こんにちは! LIGで「BiTT開発」というオフショア開発事業に所属しているNoah(ノア)です。楽天やファーストリテイリングを経て2021年6月にLIGにジョインしました。
近々、オフショア拠点であるセブに渡航予定なのですが、コロナ禍のせいでなかなか目処が立たず悶々としている今日この頃です……。
ただお仕事のほうは有り難いことに色々なプロジェクト案件をご発注いただけるようになってきており、僕も今までのキャリアでPM(プロジェクトマネージャー)やAM(アカウントマネージャー)をやっていた経験もあるので、最近駆り出されております。そこで改めて思うのが……
やっぱりクライアントと一緒にお仕事するのは楽しい!
ということ。理由を考えてみましたが、おそらくクライアントと関係性があるからだと思っています。そこで、今回は「クライアントとの関係値の作り方」についてお話します。
営業の方に限らず、外部のクライアントとのコミュニケーションが発生する業務に携わる方にとって、きっと参考になると思います!(この手の話は持論が盛り沢山なので、中身をさっさと見られたい方は下の目次からいきなり本題にジャンプしてください)
目次
こんなことってありませんか?
部下からの「◯◯社とは良い関係値ができている」「◯◯社の担当者はグリップできている」という報告。
頻繁に訪問している様子もあるし、年末年始のご挨拶に行けば親交が深いのもわかる。……ただ、なかなか売上が拡大しない、なまじ距離感が近いばかりに無茶な値引き交渉をされてしまいなかなか断りづらい状況にあるようだ。
現場営業の方や、クライアント窓口担当の方でも、「◯社の◯◯さんは、いつ会っても明るい雰囲気で会話してくれるしこちらの提案も快く聞いてくれる。ただ、取引金額は横ばいや微減、もしくはゼロ」というケース。
良い関係値があると言っているのにこういったケースに陥ってしまうのはなぜでしょうか。
それは「その関係値が売上に直結する本当の関係値」ではないからです。
How to関係値の作り方6選
僕は過去、営業をする側・受ける側の両方のポジションを経験してきました。
新卒で入社した楽天の広告事業にいたときは新規営業を長らくやっており、全社表彰3度、事業年間MVP、事業史上最年少リーダー/マネージャーと、トップクラスの成績を収めてまいりました。
(決して自慢したいのではなく、今から書くことを実践していたら自然と結果が付いてきたよということを言いたいのデス……)
その次に転職したファーストリテイリングのPM部隊にいたときは外注する立場として、複数社のベンダーと十数億円規模のお付き合いをしていました。
営業する側としての成功体験、発注する側としてベンダー選定軸にしていた点のうち、基本的なものを6つご紹介したいと思います。
①クライアント(プロダクト・サービス)をよく知る
まず基本中の基本ですが、そのクライアントのこと及びそのプロダクト・サービスをよく理解することです。
会社概要や最新のニュースリリース、直近のIRや中期経営計画等は当然理解したうえで、そのクライアントが全社としてどういった方向に進んで行こうとしているのか、何を課題と捉えどういった対策を講じようとしているのか。それらを理解しておく必要があります。
プロダクトやサービスに関していうと、当然それらを使い倒しユーザー目線での何かしらの意見を持っておくこと。提案を受ける側からすると、自分たちのことをよくわかってもいない人間からの提案は聞くにも値しません。
②クライアントの業界・競合をよく知る
これは①の「クライアント(プロダクト・サービス)をよく知る」と似ていますが、もう一歩踏み込んで、その業界全体や競合企業についての理解を深めることです。市場規模や成長率、新規参入企業の推移や直近の動向、法改正の有無やニュースなどのことを指します。
競合企業のプロダクト・サービスはどのようなものか。それが提案先クライアントのプロダクト・サービスとどこがどう違っていて、マーケット内のポジション(シェア)はどうなっているか。エンドユーザーからはどう認識されているか。
自分がそのクライアント企業の社員になったらと考えると、最低限その程度の知識は頭にインプットされていますよね?
これも①と同じく、業界に明るくない=専門性が無い人間からの提案は的はずれなことが多いと思われてしまい、これも提案を聞き入れてもらえなくなることに繋がります。
①②があって初めて提案やヒアリングができる状況になります。これがあって初めてクライアントの課題を予測する精度が上がってきます。
「お、そうそう。そういう状況だから◯◯なところが課題なんだよね」と、クライアント側も胸の内を語ってくれる可能性が高くなるでしょう。
提案時に一番しんどいのは、こちらが一生懸命喋っているのに無反応、何のリアクションもないことだと思います。そうなっている場合は、恐らく①②がズレているか及んでいなくて、聞くに値しないと思われてしまっている可能性が高いです。
③担当者をよく知る(担当者の社内ミッションを理解する)
これは担当者のひととなりにもよりますが、「相手の立場になって物事を考える」という意味で必要です。要は「どんな結果になったら担当者は社内で評価されるのか」です。
担当者も社内で評価される立場の人間のはず。その担当者が、上長からどういったミッションを期待されているのか。どんなことが評価判断基準になっているのか。売上を上げることなのか、コストを下げることなのか。もっと具体的なKPIが他にあるのか。
その担当者が最終決裁者であってもそうでなくても、その担当者のミッションやKPIを満たす内容の提案になっていなければ、あなたの提案が通る可能性は低くなってしまいます。
担当者が最終決済者ではない場合は、「一緒にこの提案を通しに行きましょう」と思ってもらえることが、まず目指すべきマイルストーンです。
これらはビジネス的側面からのアプローチでしたが、担当者のひととなりによってはプライベートなことまで範囲を広げます。学歴・社歴や趣味、家族構成、休日の過ごし方、応援しているスポーツチームなどですね。
このあたりの情報がインプットされていると、アイスブレイク時の引き出しが広がるとともに、「自分のことをよく知ってくれている(知ろうとしてくれている)」と思ってもらえるポイントにもなります。
あなたの周りの人でも、親しい友人はあなたのことよく知ってくれていますよね。
あなた自身のことをよく知ってくれていない人と、深い交友関係になることは無いと思います。これは「私はあなたに対して好意を持っていますよ」という意思表示を行うことで、「好意の返報性」を使って距離を縮めることに繋がります。
僕は、会話の中で得た担当者の情報は必ずメモにして残しておき、できる限りすべて記憶するようにしています。LinkedInやFacebook、noteなども使って情報収集することもあります。
ただ、やりすぎると人によっては引かせてしまって逆効果になる可能性もあるので、その点はご注意を。
④スピード!スピード!スピード!
①〜③は割と基本中の基本、行っていて当然レベルのものばかりでしたが、個人的に一番重要と思っているのはこの「スピード」です。
多くの方が頭では理解しているものの、なかなか実践できていないのもこの「スピード」だと思います。メール返信、資料送付、折返しの電話など、すべての対応に当てはまります。
スピードこそが、クライアントに対して一番現れる「誠意のカタチ」です。
「今週中に提案資料を送ります」と約束していたのに、ついつい忙しくて週明けになってしまったこと、ありませんか?
「今日中にサンプルをお持ちします」と言ったのに、緊急案件が発生して持っていけなかったこと、ありませんか?
もしかしたらその担当者は週末、上申用の資料を作成しようとしていたかもしれません。
もしかしたら次の日の朝一にそのサンプルを社内会議で使おうとしていたかもしれません。
逆に「今週中に」と言っていたのに即座に対応してくれたら、「自分のことを優先してくれている」とかなり好意的に感じるものです。
クライアントと約束した締切は、「遅くとも」それまでに対応するべき最低ラインであり、「早ければ早いほど良い」のです。
「スピードこそが最大の誠意のカタチ」
必ず覚えておいてください。
⑤フリークエンシー
これはシンプルな方法で、「単純接触回数を増やす」という方法です。巷では「ザイオンス効果」と呼ばれているヤツですね。
相手に繰り返し何度も接触すると、その回数に比例して好意度が増えていく、というものです。つまり「たくさん会いましょう!」ということです。
ただ僕の感覚的にはもう少し補足があって、「短い期間に繰り返し接触すること」が、距離感を縮める上ではよりワークすると考えています。
(1)1週間に1回の接触を3ヶ月続ける(合計12回)
(2)3ヶ月に1回の接触を3年間続ける(合計12回)
少し極端なケースですが、上記の2つのケースだと圧倒的に(1)の方がクライアントの好意度が増す可能性が高いです。
第一印象で少し苦手だなと感じる相手でも、会う回数に比例して色々な一面が垣間見えてくると思いますし、相手の対応も変わってくるかもしれません。
ただ、これもあくまでも前述の方法を実践し、「会う価値がある人間」と思ってもらえているという前提の元に、です。その前提が無いと、むしろ「しつこい」「ウザい」と逆効果になりかねません。
(担当者側も暇ではないと思うので、何度も会う時間を作ってくれている=少なからず会う価値があると思ってくれていることになると思いますが……)
何度も接触機会を持ってもらうためには必ず動機を作る必要があるので、商談の際は必ず宿題をもらって帰る、一度の訪問で手の内を見せすぎないなどといったことにも留意が必要です。
⑥印象を残す
最後はちょっと変化球な方法ですが、「あなたという人間を覚えてもらうための+α」を作るということです。
担当者はあなただけではなく、他の企業からの提案を受けている可能性もあります。大手企業や取引先が多い企業であればなおさらその可能性は高くなり、提案を受ける数も多くなります。
そんな多忙な担当者がいちいち一つひとつの提案を細かく覚えていると思いますか?
答えは当然「No」です。むしろ提案を受けたことすら忘れているかもしれません。
①②があって初めて提案土台に上がれるといった理由はここにも繋がります。いくら初訪の目的が「ヒアリング」だからといって、事前の下調べや課題想定も無く臨んでしまうと、早々にアポを切り上げられてしまい二度目のアポを取ることすらままならなくなるでしょう。
クライアントに失礼にならない程度に自分らしさを出すことが大切です。
僕の場合は、必ず真っ白なメガネをかけていました。また、関西生まれなので、商談の場では行き過ぎない程度で関西弁のイントネーションを混ぜて話したりもしていました。
後は名刺に「一期一会」という目立つハンコを押したり、商談終わりに手書きの手紙でお礼を伝えたり、とにかく担当者の印象に残るようなアクションは一通りやっていました。
「◯◯(社名)の関西弁の白メガネ」だけで十分でした。「◯◯(社名)さん」と社名で覚えてもらうのではなく、己という個を印象づけることが目的でした。
フックにするネタは、あなたらしさがあるものであれば何でも良いと思います。
もちろん本筋でいうと、ドンズバの提案ができており、そちらで印象に残すのが良いのですが、こういうアプローチもあるよというくらいで捉えていただければと思います。
さいごに
今回は僕の実体験から、基本的なクライアントとの関係の関係値の作り方についてお伝えしました。
業界や役割、商材や今の関係性にもよるとは思いますが、基本的にどのフェーズにあっても使えるものだと考えています。
それではまた、次回!