キャリア迷子になったら役立つ 「プランド・ハップンスタンスセオリー」を解説!

キャリア迷子になったら役立つ 「プランド・ハップンスタンスセオリー」を解説!

Taiga Akiyama

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こんにちは、教育事業部のトラです!

デジタルハリウッドSTUDIO by LIGの運営メンバーとして、日々奮闘しております!

デジタルハリウッドSTUDIO by LIG(以下「デジLIG」)とは
株式会社LIGとデジタルハリウッドが業務提携をしてはじめたクリエイター養成スクールのこと。
Webデザイナーや動画クリエイターを目指す方向けのカリキュラムを展開している。無料説明会は、上野・池袋・大宮にて毎日開催中!!

主な業務としては、お客様に目的に沿ったスクール活用をご提案する「個別説明会」の実施をしています。

日々、受講を検討されている方や受講生とお話しをさせていただくと、将来のキャリアについて相談されることも少なくありません。

変化の著しい現代において、仕事や勤務先に疑問を抱いたり、将来に漠然とした焦りを感じていたり、理想の働き方から離れていると感じたりなど、様々な理由でキャリアに悩まれる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、将来設計に迷ったときに活かせるキャリア理論「プランド・ハップンスタンスセオリー」について紹介するとともに、活用の仕方を考えていきたいと思います!

プランド・ハップンスタンスセオリーとは

いきなりカタカナばかりの難しい名前で、覚えにくいですが一体どんな理論なのでしょう。

プランド・ハップンスタンスセオリーとは
プランド・ハップンスタンス(Planned Happenstance)は、日本語で「意図された偶然」や「計画された偶発性理論」と訳される、比較的新しいキャリア論です。20世紀末にスタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱した理論で、これまでになかった偶発性とキャリア形成の関係を示すものとして注目を集めました。

引用:日本の人事部 プランド・ハップンスタンス

簡単にいうと、「キャリアは意のままにコントロールできない。キャリアの8割は偶然によって左右される。だから偶然をチャンスに変える行動をしよう。」という理論です。

正直なんだか怪しげに感じますが、このクランボルツ教授は、数百人のビジネスパーソンを調査した結果、「キャリアのターニングポイントの8割が偶然の出来事だった」という事実に辿りつきます。

そして、成功者の多くは「ラッキーだった」「たまたま運が良かった」と語る人が多く、そこに成功の真相があるのではないかと考えたのです。

この前提をもとに研究を重ねた結果、自分自身だけでキャリアを切り拓くのは限界があると、この理論を通じて指摘しました。

また、この理論の対となっているのが、従来のキャリア形成の考え方である「キャリア・アンカー理論」です。

対するキャリア・アンカー理論とは

キャリアアンカー理論
アメリカの組織心理学者エドガー・H・シャイン博士によって提唱されたキャリア理論の概念。個人がキャリアを選択する際に、自分にとって最も大切で、これだけはどうしても犠牲にできないという価値観や欲求、動機、能力などを指します。(中略)キャリア・アンカーは、一度形成されると変化しにくく、生涯にわたってその人の重要な意思決定に影響を与え続けるとされています。
引用:日本の人事部 キャリア・アンカー

簡単にいうと、「できること」「やりたいこと」「生涯を通して成し遂げたいこと」この3つの軸をベースに、職種やキャリアの方針を決めていくという考え方です。

なんだかこちらの理論のほうがしっくり来ますよね。実際私もこの考え方をベースに転職活動をしていた気がします。

ではなぜ「プランド・ハップンスタンス」が、注目されているのでしょうか。

キャリアは計画どおりにいかない

これまでのキャリアの立て方は、将来の目標に向けて計画を立てて、そこに向かってキャリアをコツコツ積み重ねていく考え方が一般的でした。

しかし、現代はITテクノロジーの発展・グローバル化などにより、予測不能なVUCAの時代と言われています。また日本でも終身雇用の崩壊から働き方が多様化し、人生100年時代と言われる中、いつ何が起こるか想像することが難しくなりました。

つまり「5年後10年後は何が起こるかわからない世の中でキャリア計画を立てても、ほとんど予定通りにいかない」という時代背景から、この「プランド・ハップンスタンス」が、受け入れられ始めたのです。

参考:日本の人事部 VUCAとは―意味、想定外を言い訳にしない現代必須の認識

確かに、子供時代や学生時代に思い描いた通りに、大人になっているかと問われると「全然違うかも……」という方が多いのではないでしょうか。実際、クランボルツ教授の調査によると、18歳時点で将来なりたいと考えていた職業に、その後就いている人は全体の約2%に過ぎないらしいです。

目標を立てても意味がない?

このプランド・ハップンスタンスは一見すると「計画を立てても、結局偶然の出来事に左右されるんだから、未来のことなんて考えても無駄でしょ(笑)」と言われているようにも感じます……。

こっちは真剣に悩んでいるのに、そんな身も蓋もない話があるかと、にわかには信じがたいですよね……。

しかしクランボルツ教授は「キャリアプランを立てることに意味がない」と言っているわけではありません。もちろん今後のキャリアを決めるためには、漠然とでも目標やプランを立てることは重要です。

しかし、先の見えない将来の目標に固執してしまうよりも、目の前に転がって来たチャンスに気付けることで可能性が広がり、キャリアの成功に繋がると指摘しています。

つまりこの理論のポイントは、以下の2つです

 

  • 偶然の出来事を意図的にキャリア形成に活かす
  • 自ら積極的に偶然の出来事(チャンス)を生み出す行動をする

 

キャリア・アンカーで方向性を定めつつ、プランド・ハップンスタンスで偶発的なチャンスを掴み取る。その両輪でキャリアを築き上げていくのが良さそうです。

しかし「自ら偶然のチャンスを生み出す」ためには、どうしたら良いのでしょう? そもそも「計画的」に「偶発性」を起こすとは、なんだか矛盾している気もしますよね。

キャリア創出の機会を生む5つの行動指針

この理論では、キャリアを好転させるために、偶発の出来事が起こるのを待つのではなく、自ら引き起こすべく行動することがポイントとなります。

具体的には、以下の5つの行動特性を持つ人にチャンスが訪れやすいと考えられています。

1 好奇心:たえず新しい学習の機会を模索し続ける

興味関心のある分野だけでなく、普段から広い視野で持ち続けること。新しいことに挑戦したり多くの場所に足を運んだりすれば、それだけチャンスや出会いが増える考え方です

2 持続性:失敗に屈せず、努力し続ける

失敗してもあきらめず向き合い、納得いくまでやってみること。好奇心を持って挑戦したことでも、困難を避けたり苦手意識を持ったりすると、その先にある可能性が閉ざされてしまうことがあります。

3 柔軟性:こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変える

こだわりや理想にとらわれて、行動や思考を狭めないこと。他人の意見や新たな視点などを受け入れる続けることが大切です。

4 楽観性:新しい機会は必ず実現するとポジティブに考える

失敗や困難もポジティブに捉えること。一歩踏み出してみて、うまく行かないからといってすぐに不安になっては持続は困難です。多少の不安や、不満は受け流すスタンスも必要です。

5 冒険心:結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こす

リスクを恐れず行動すること。チャレンジするときは一歩踏み出す勇気が大切です。失敗はつきものなので、ある程度のリスクは引き受ける心構えをしておきましょう。

▼参考書籍

この5条件が揃っていれば、目の前の偶然のチャンスを逃さず、キャリアを好転させやすいと、クランボルツ教授は論じています。

コネクティング・ザ・ドッツ

プランド・ハップンスタンスの例としてスティーブ・ジョブスがよく挙げられます。

彼が自らの半生を語った、スタンフォード大学の卒業式での講演の一部、「コネクティング・ザ・ドッツ」という有名なスピーチは、ご存知の方も多いかもしれません。日本語では「点と点を繋ぐ」と表現しますが、過去の経験が、その当時は思いもかけないことに将来活かせることを指しています。

スティーブ・ジョブズは学生の頃、カリグラフィーという「文字を美しく見せる手法」を学ぶ授業に興味をもち、そのノウハウを習得するのですが、そのときはこの授業がどのように役立つかはわかっていませんでした。

しかしその10年後、Appleで最初のPCを設計しているときに、その「カリグラフィー」の知識が役に立ち、「多様なフォント」や「字間調整」の機能を盛り込まれ、その後当たり前のようにその機能は世界中のPCにも搭載されることになります。

この経験からジョブズは、

将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。運命、カルマ…、何にせよ我々は何かを信じないとやっていけないのです。私はこのやり方で後悔したことはありません。むしろ、今になって大きな差をもたらしてくれたと思います。
引用:日本経済新聞「ハングリーであれ。愚か者であれ」 ジョブズ氏スピーチ全訳

と語っています。

一見無関係な過去の経験がその後役に立ち、新たなキャリアを創り出す考え方ですが、「あの時の経験がこんな風に役立つなんて」と感じる瞬間は、皆さんも一度は経験あるのではないでしょうか。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

従来の「キャリア・アンカー」では、未来に向かって考えていくのに対し、「プランド・ハプンスタンス」では「今」を大切にしている考え方になります。

何が起こるか予測できない未来は、裏を返せばいつどんなチャンスが巡ってくるか、わからないともいえるのではないでしょうか。だからこそ、今は好奇心旺盛に、失敗を恐れず、新しいことに挑戦することでチャンスが見つかり、キャリアを好転させるための準備をしておく。

5つの行動指針すべてを徹底させるのは、中々大変かもしれませんし、すぐに結果に結びつかないかもしれません。

ですが「コネクティング・ザ・ドッツ」のように、新しい思考や行動の「点」がいつか繋がり、結果として将来に大きく役に立つかもしれません。

人生の岐路に立って迷ったとき、まずは好奇心の赴くまま「何か面白いことが起こりそう」だと思える道に進んでみることが、自身のキャリアを前に進めるのではないのでしょうか!

以上、トラでしたー!!

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Taiga Akiyama
Taiga Akiyama Digital Education / School Adviser / 秋山 大河

大学卒業後、地元長野で地域密着型のメディア・出版・広告を扱う会社に企画営業を経験。並行して、複数の地域振興団体に所属し、自治体と青少年育成・まちづくりに取り組む。その後に不動産会社で広報職を経験し、LIGに入社。デジタルハリウッドSTUDIO by LIGのセールス・企画・運営を担当し、クリエイターを目指す方々のサポートを行う。

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