自由に働いて楽しく暮らすには? ほぼFIREしてるフリーランスの達人にコツを聞きました

自由に働いて楽しく暮らすには? ほぼFIREしてるフリーランスの達人にコツを聞きました

やぎ

やぎ

こんにちは。外部メディアコンテンツ制作チームでエディターをしているやぎです。私はふだん、さまざまな企業のオウンドメディアの記事制作代行や運用支援をしています。

記事制作にあたって、ライターやカメラマンなどさまざまな外注先とお付き合いがあるのですが、なかでも働き方や生き方の部分でずっと気になっていた人がいました。それが、ライターの観音クリエイションさんです。

というのも、観音さんはただのライターにあらず。音楽をつくったりブログを書いたり、ライターをしたりして生計を立てて、古民家で野菜と猫を育てながら気ままに暮らす、とても自由な人なんです。しかも頭が良く、仕事を効率よくスピーディーにこなせる器用さがあり、遊び方や暮らし方も上手。それはきっと、行動して検証し最適解を探していくのが上手いからなのだと思います。

ということで、自由に働き、楽しく遊んで暮らすにはどうしたらいいのか、観音さんにインタビューしました。フリーランスやより自由な働き方を目指している人、ライフもワークも充実させたいと思っている人のエッセンスになれば幸いです。

観音クリエイション
大阪府堺市出身の36歳。フリーランスのトラックメイカーで、ヒップホップの楽曲制作・提供を行うほか、ブロガー、ライターとしても活動。現在は、長野県信濃町の古民家で暮らしている。趣味は車中泊、農業、ポーカー。

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インドとシンガポールで働いた後、世界旅行を経てフリーランスに

やぎ:今はフリーランスとして活動されていますが、最初はどのように働いていたんですか? 経歴について教えてください。

観音:働き始めたのは大学1年生のときで、光回線のインターネット接続サービスの契約をとるバイトをしていました。上司が仕事がデキる教え上手な人で、その人に教えてもらった通りにやってみたら、バンバン契約が取れて。

夏休みをまるまるそのバイトに費やしたら、営業成績で全国1位になりました。そのときの給料が月50万円ぐらい。根性論で仕事をする感じの会社だったんですけど、ビジネスマナーや交渉力、パソコンの使い方を学べたのは良かったです。

やぎ:え、大学生でそんなに稼いでたんですか! それはすごい……。

観音:その後は新卒でアパレル会社のF社から内定をもらったんですけど、入社前の内定者アルバイトで、服をたたみながら「いらっしゃいませ」って繰り返す働き方は自分には合わないな、と思って内定を辞退したんです。大学を卒業して、22歳でそのまま無職になりました(笑)。

やぎ:F社って大手じゃないですか。無職になって、どうしたんですか?

観音:友達と一緒にタイとインドに旅行に行った際、ついでに面接を受けたら受かったので、インドで就職することにしたんです。その求人は日本を出発する前にmixi(ミクシィ)のコミュニティで見つけました。アメリカのソフトウェア会社が、インド支社で日本語ネイティブの社員を募集しているという内容で、面接を受けるまで知らなかったんですけど、オラクルという大きな会社でした。

やぎ:無職からインドで就職って急展開というか、フットワーク軽すぎますね(笑)。

観音:今思うと無職だったからこそ思い切った決断ができたのかなと思います。失うものも特になかったですしね。オラクルでは、日本の企業とビジネスをするための20人くらいのインド人のチームの中で、顧客情報や売上データを管理する事務職として働いていました。ネイティブの日本人が僕だけだったこともあって、次第に業務効率化の仕事を任せてもらえるようになり、2年ほど働きました。


インドでの会社員時代の観音さん。最後列の左から5番目

でも、だんだんインドでの3食カレー生活に飽きてきちゃって。そう思ってたときに、オラクルの別のチームにいた日本人の先輩がシンガポールに転職して、「こっちはご飯が美味しいし、給料も上がるからおいでよ」と誘ってくれて。それで、ソフトウェア会社のオートデスクのシンガポール支社に転職したんです。

やぎ:おお、今度はシンガポールに! そこではどんな仕事をしていたんですか?

観音:最初は売上情報管理の事務作業をしていて、次第にデータのトラブルシューティングや対日本チームの業務効率化の仕事をするようになりました。最終的には、日本だけでなくグローバル全体の業務効率化をはかるチームに移動して2年くらい働きましたね。


シンガポールでの会社員時代の観音さん。最後列の左から4番目

その頃に、この先ずっと業務効率化の仕事をするか、マネジメントの方向で役職を上げていくか考えたら、どちらもワクワクしなくて。考え抜いた結果、サラリーマンを辞める選択肢が頭に浮かんで「一度レールを外れてみるのもアリかも」と思ってその道を選びました。仕事を辞めた後は、今の妻と一緒に世界中を旅して周りました。タイとアメリカ、ネパール、カナダ、ペルー、ボリビアあたりに行ったかな。


世界旅行でカナダへ。オーロラの前で記念撮影


ボリビアの有名なウユニ塩湖にて。夕日の反射が美しい

やぎ:へ〜、無職になったらいったん海外に行くの、おもしろいですね。旅する中で何かヒントは見つかったんですか?

観音:自由な生活の中ではっきりしたのは、もうサラリーマンには戻れないってことですね(笑)。毎朝決まった時間に起きて、決められた時間で働く、ということができない体になってしまいました。帰国後は妻の仕事の都合で上京したんですけど、28歳で無職でした。

音楽が好きなので、趣味で作曲した音源を当時流行っていた音楽SNSにアップしたり、クラブでCDを配ったりして過ごしていたら、だんだん作曲の仕事をもらえるようになったんです。あと、ブログで日々のことを書いて月10本くらいアップしてたら、PVがじわじわ伸びてそれも収益につながっていきました。

やぎ:ブログ、おもしろいですよね。よく見にいっています。詳しい話は後ほど聞くとして、観音さんは一度LIGに就職していますよね。

観音:はい、フリーランスとして作曲と記事のライティング、ブログの執筆を5年続けた後、LIGに入りました。もともと、知り合いのつながりでLIGの旅と音楽という、カッコイイ音楽をつくって田舎町を盛り上げるプロジェクトに参加していて。社長のゴウさんもメンバーで、作曲の仕事を僕に発注してくれていたんです。そのとき、仕事の早さが印象に残ったみたいで、社員として会社に誘ってくれました。

やぎ:今LIGはフルリモート勤務ですけど、当時はフル出社が基本の中、観音さんは出社なしでライターとして稼働するという、かなり異色の存在でしたよね。

観音:そうですよね。「あの人なんなんだろう」って思われてた気がします(笑)。LIGには3年くらい在籍して、それからはずっとフリーランスです。

不労所得に近い仕事のスタイルで月20万円以上確保

やぎ:今は主にどんな仕事で生計を立てていますか?

観音:作曲して依頼主に曲を提供したり、作曲した音源を一般向けに配信・販売したりする音楽の仕事や、ライター業、「mozlog」というブログの運営をしています。あとは、知人のキムチ屋さんのネット販売の戦略を考える仕事と、幼馴染が経営してる古美術商の経営戦略の仕事もしていますね。

やぎ:もはや何でも屋さんですね! 仕事はどんな基準で選んでいるんですか?

観音:ブログで月10〜15万円、音楽の印税などでも月10万円くらいは不労所得のような形で入るので、それ以外の仕事は収入よりも知的好奇心を満たしてくれるかどうか、仕事相手が一緒に働いて面白い人かどうかで選んでいます。

やぎ:なるほど。毎月そんなに稼働しなくても自動的に収入が得られる仕組みって、理想的です。

観音:30代前半までに、どうやったらベーシックインカムのように最低限の収入を確保できるかずっと考えてきて、このスタイルになりました。

やぎ:すごいなぁ。早くもFIRE(早期リタイア)に片足つっこんでる状態ですよね。ブログはどうやって収益を得ているんですか?

観音:アフィリエイトで得ています。7年くらい前から運用していて、最初は月10〜30本程度更新していました。アフィリエイトは途中から始めましたね。今は他の仕事に注力したいので更新する本数を減らしていて、PVは月15万くらいです。ブログの内容は、買ってよかったもののレビューや本や漫画などのコンテンツのレビュー、おいいしいお店の紹介、それと今月やりたいことと前月の振り返りを毎月書いています。

やぎ:買ってよかったもののまとめ記事は毎年出していますよね。「稼いだお金全部使う」という記事も印象に残ってます。あと、今月やりたいことの記事は毎月ちょっと楽しみにしているんです。毎月チャレンジをしていると、生活も変わりますよね?

観音:そうですね。生きることに飽きないというか、マンネリがなくなりました。最近は、田舎暮らしや農業、車中泊、ポーカーを始めて毎日充実しています。

やぎ:いいですね、楽しそう。田舎暮らしの話は、また後ほど聞かせてください。仕事の話だと、観音さんて作業スピードがかなり早いですよね。観音さんに執筆をお願いすると、数日で納品してくれるのですごく助かっています。以前取材の翌日に原稿が届いたときは、びっくりしました。タスクを早く終わらせるために、工夫していることはありますか?

観音:仕事に取りかかる前に、最適な手段を考えるようにはしていますね。例えば、記事制作なら取材の時点で原稿の完成形を頭の中でイメージしています。あと、ブログを書くときはスマホの音声入力を使っています。環境や場所を理由に仕事ができないのはかっこ悪いと感じるので、できることはスマホでしているんです。

それと、大学生のときにタイピングサイトでひたすら練習して上位のランクまでいったおかげで、タイピングはそこそこ速いですね。そういう、ずっと使えるスキルや知識は早い段階から身に付けておくと役に立つと思っています。いざというときのために、刀を研いでおく感覚ですね。

最近は、その感覚で私生活や仕事に役立つと思ってファイナンシャル・プランニング技能士の3級を取りました。

次は長野で周囲の人を豊かにしたい

やぎ:さっき、幼馴染の古美術商の仕事を手伝っているって言ってましたよね。記事で見たのですが、改めてどんな仕事なんですか?

観音:古美術品や骨董品を買い付けて別の市場に卸したり、ネットで個人のコレクターに販売したりする仕事です。僕は仕事場の環境整備から始めて、必要な機材をそろえたり、フローを見直したりと業務効率化をはかっています。あと直販ルートを強化すれば売上を安定的に立てられそうなので、そのうちECサイト付きの公式HPも僕がつくる予定です。何でもする野良の経営コンサルみたいな感じですね(笑)。美術家の人生とか、キレイなものとか、知らない世界を知れて楽しいです。

やぎ:会社員時代の業務効率化のノウハウがフルに活きてるんですね。観音さんて、仕事も遊びも楽しんでいて、そこに境目があまりないように見えます。実際、境目ってありますか?

観音:ないですね。作曲は好きで始めたことだし、ブログは生活を楽しむとそれがネタになって、そこから収益も生まれるので。仕事と遊びが表裏一体になって、切り離す必要がなくなっていったんです。

やぎ:仕事と遊びと収益のサイクルが上手くまわっているんですね。そのゴールデンサイクルを見つけられたら、FIREに近づけそうですね。

観音:そうですね。ただ、僕が今やってる仕事は再現性がないというか、そっくりそのまま誰にでも当てはまるわけじゃないと思っています。音楽をつくったり、文章を書いたりすることを難しいと感じる人もいると思うので。

僕は今36歳で、30代いっぱいは自分の幸福度を上げることに全力を注ごうと思って動いてきました。その結果、今はわりと自由に時間を使えるようになったのですが、僕の地元の友だちや周りにいる好きな人たちも自由な時間を持てるようになったらいいなと思っていて。そうすれば、もっと一緒に遊べるし、お互い楽しめるじゃないですか(笑)。

そのためには、仕事をつくって定期的に友人に依頼すればいいんだと気づいたんです。僕は今、長野県の信濃町に住んでいるんですが、こっちで古美術商の売上を伸ばして仕事を生み出し、友人に外注しようって。それなら信濃町に移住を考えている友人たちも来やすいし、僕のライフとワークもいい感じになると考えています(笑)。移住者が増えれば、信濃町への貢献にもなるし。今は、どうすればそれを上手く実行できるか挑戦中です。

やぎ:自分の収入と時間をある程度確保したうえで、今は周囲の友人を豊かにしようとしてる段階なんですね。それってすごいなぁ……。自分がまず豊かになってから、その次に身近な人を豊かにするのって健全な順番という気がします。

ところで、埼玉から離れて信濃町に古民家を買って暮らそうと思ったのは、どうしてですか?

観音:埼玉に5年住んで首都圏の生活にもう満足したことと、自然の中で過ごす良さを改めて感じたこと、仕事で信濃町に何度か行って住むイメージが湧いたことがきっかけですかね。あとはコロナがあって、都会にいるメリットを感じなくなったことも理由です。それに、おじいちゃんになってから田舎に移住するよりも、体が動く若いうちのほうが農業もしやすいかなと思って。

やぎ:確かに、コロナをきっかけに地方へ移住した人ってけっこういそうですよね。信濃町へ移住するために、前もって準備はしていたんですか?

観音:いや、全然(笑)。長野に旅行したついでに、家を5軒くらい内見して決めました。ここなら楽しく暮らせそうだから、買ってからどうするか決めるか、と思って。


観音さんが信濃町で購入した古民家。現在リフォーム中で、その様子はブログでも見られる

やぎ:え、家をノリで買ったんですか(笑)。田舎暮らしで生活ってどう変わりました?

観音:広告や喧騒などのノイズが減りましたね。そのおかげで、脳がいつもシャキッとしてます。あとは、やることが増えました。家をリフォームして、畑を耕して、作物を収穫して、近場の温泉を開拓して……。フィールドを変えただけで、インプットの質と量が変わったのはいい変化でした。

やぎ:そういう過ごし方って、いい疲れ方ができそうですね。これからも、しばらくは信濃町に住む予定なんですか?

観音:とりあえず5年は住んでから、信濃町に住み続けるか、国内で住み替えるのか、海外に行くのか決めようと思ってます。5年後に妻とミーティングをして決めます。

やぎ:観音さんにとって、飽きのこない生き方がテーマの1つですもんね。


購入した古民家の畑。観音さん自身で畑を耕して作物をつくっている

フリーランスになる前に最低限必要な生活費を知ろう

やぎ:最後に、フリーランスになりたい人や自由に働いて暮らしたい人へ向けて、ぜひアドバイスをください。

観音:最低限いくらあったら1ヶ月間生活できるか、知っておくことですね。そのうえで、最低限のラインをどこまで下げられるかチャレンジしておくといいと思います。そうすると、フリーランスとして成功できる確率が高まるんですよ。月に5万円、10万円、20万円が必要な人がそれぞれいるとしたら、月5万円で生活できる人が1番燃費がいいですよね。

僕の場合は、例えば埼玉で暮らすなら妻と折半すれば月12万円あれば足ります。仮に大阪の実家で暮らすなら、月7万円程度あればいける。もっと削る場合、ネパールのポカラという町なら月4万円あれば暮らせる、とか。ここまで考えておくと、最低限の生活費を稼ぐにはどうしたらいいんだろう、ということから考えられます。

月20万円以上をいきなりフリーで稼ごうと思うとハードルが高いので、この考え方が手っ取り早くてオススメです。確実に成功するための最短経路を知っておく、ということですね。

やぎ:確かに、一度最低限の費用で生活してみると、より現実的に考えられそうですね。具体的なアドバイス、ありがとうございます。そして今日は、改めてお話しできて楽しかったです。引き続き、ライターとしてよろしくお願いします。ありがとうございました!

観音:こちらこそ、ありがとうございました!

おまけ:ライター募集中

私の所属する外部メディアコンテンツ制作チームでは、外部のライターさんと一緒にクライアントのオウンドメディアの記事制作にあたっています。今回お話を聞いた観音さんも、ライターとしてLIGとの仕事で活躍してくださっているので、この場を借りて呼びかけます。LIGではライターを常時募集しているので、下記のいずれかに当てはまるライター歴のある方は、ぜひ一度ご連絡ください。

  • スマホ・ガジェットの知見がある
  • IT分野に知見がある
  • 金融分野(証券・暗号資産など)に知見がある
  • 企業取材が得意
  • おもしろ企画の立案・執筆が得意

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以前は、〆切前で切羽詰まって原稿を書いてるのに、 目の前でギターを掻き鳴らしながらオリジナルソングを聞かせてくる、 社員思いの社長のもとでライターをしていました。 その後は経営者向けのWebマガジンで編集者をして、 2018年にLIGにジョイン。 (ジョインって言ってみたかっただけです)。 金曜の夜にドラマや映画を見まくったり、 本や雑誌を読みまくったりして夜ふかししまくることが得意です。 私はこれを堕落の時間、もとい“インプットの時間”と呼んでいます。 翌日はもちろん、時間を忘れて寝まくっています。 朝活に憧れた時期もありましたが、私には無理だったので諦めます。 ちなみに今これも、真夜中のテンションで書いてます。 夜ふかしストです。夜ふかし最高。

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