SEOもマーケティングもわかる! Web編集者におすすめの教科書【2019年版】(前編)

SEOもマーケティングもわかる! Web編集者におすすめの教科書【2019年版】(前編)

平林 享子(きょうこ)

平林 享子(きょうこ)

こんにちは。LIGのWeb事業部でエディターをしているきょうこ(@cloverbooks)です。

LIGには、現在(2019年)、10数名のエディターが所属し、広報・PR・外部運用という3つのチームに分かれて働いています。この3つのチームをつないだ「エディターユニット」が4月からスタートし、そのリーダー役を拝命しました。

LIGのエディターユニットが集合エディターユニットのメンバー集合!

エディターユニットの目的は、それぞれのエディターのさらなるスキル向上はもちろん、仕事上の課題をひとりで抱え込むことなく仲間の助けを借りたり、キャリアプランを先輩に気軽に相談したり、部署をこえてお互いの仕事やメンタルに好影響を与え合おうということです。

はじめに:編集力も自宅で筋トレ!

先日、エディターが全員集合するミーティングのときに、LIGの取締役CTOのづやさんから、「初心者のエディターが読んでおくべき教科書ってあるの?」という質問がありました。

さらに、若いエディターからもリクエストがありました。

「自宅でできる編集力アップにおすすめの本を教えて!」

家で自主トレしたいと。すばらしい向上心と学習意欲ですね。

そこで今回は、リクエストに応えて、おすすめの本を選んでみました。

せっかく書いたので、LIGブログにも公開してみなさんにもシェアしたいと思います。

ここで読者として想定しているのは、「編集の仕事を始めばかりの若者」や「編集者になりたいと思っている大学生」です。

なお、LIGでは職種名を「エディター」で統一していますので、この文章内でも、なるべくエディターと書いていますが、意味は「編集者」と同じです。

Webライティングについて学ぶ

① 『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング』

コミックナタリーの初代編集長の唐木元さんの本です。

Webで読まれやすい文章の書き方のコツが、具体的にわかりやすくまとめられているので、まだ読んでいなかったら、ぜひ読んでみてください。

文章がうまいかどうか以前に、大前提として「事実を伝えること(情報の正しさ)」が大切ですよ、という当たり前のことから始まります(でも、Webでは軽視されがちなので、ここは強調しておきたいところ)。

個人の趣味のブログや小説などの創作物を発表するブログなら別ですが、信頼されるWebメディアとなるには、情報の正確さ、公平性、客観性は欠かせません。

エディターにも文章力は必要!

そして、音読したときに語呂がいいか(文章はリズムも大事)、漢字とひらがな、カタカナのバランスを考える(視認性を高める)など、原稿を推敲するときのチェックポイントが整理されています。

ですからライターだけでなく、エディターにとっても役立つ本です。

当然ながら、エディターにも文章力は求められます。エディターは、記事を制作するとき、ライターに「こういう原稿を書いてください」と指示します。「この原稿のターゲットはこうで、目的や狙いはこうです。だから、こういうキーワードを使って、こういう構成にしてください」と具体的に指示を出すので、自分で原稿を書く能力よりも、ディレクション能力が求められます。

とはいえ、ライターから送られてきた原稿をチェックし、そのよしあしを判断し、もし不足があれば、足りない点をライターに具体的に指示して書き直してもらわないといけません。実際には、ライターさんに書き直してもらう時間がなくて、自分でリライトすることもよくあるので、文章構成力も必然的に求められます。

編集者を長年やっていれば、文章力も自然に身につきますので、肩書きを「エディター、ライター」と併記する人が多いのは、そういうわけです。

SEOについて学ぶ

② 沈黙のWebライティング —Webマーケッター ボーンの激闘—〈SEOのためのライティング教本〉

SEOを意識したWebライティングの「古典」とも言える1冊。著者は、この分野の第一人者であるウェブライダーの松尾茂起さん。

Webライティングで欠かせないのがSEO(Search Engine Optimization)の知識です。Googleの検索結果で上位に表示されるよう、その評価システムの基本的なことを知っておくことは、現代のエディターにとって非常に大切です。

そうは言っても、Googleのアルゴリズムの詳細は公開されていませんし、アルゴリズムはどんどんアップデートされているので、柔軟に対応することが求められます。

基本的に変わらないことは、

Googleで上位表示されるには、いいコンテンツをつくること。

これに尽きます。

いいコンテンツとは、ユーザーの役に立つ、満足度の高いコンテンツのこと。

「検索するユーザーの悩みや課題が解決されるような満足度の高いコンテンツかどうか」を計測する指標として、読了率、コンバージョン率、被リンク数などがチェックされているんですね。

そのために私たちエディターが心がけることは、

  • 読みやすくて、わかりやすい記事を作成する
  • ユーザーの検索意図を理解して、解決策を提案する
  • 正確で最新の情報を提供する

などですね。

そして、「こういうことに注意してね」ってことは、Google先生本人が解説してくれているので、まずはGoogleのガイドライン(「ガイドラインを遵守する」)をしっかり読みましょう!

Googleの傾向として、E-A-T(Expertise=専門知識、Authoritativeness=権威があること、TrustWorthiness=信頼できること)をより重視しているため、その点を理解して記事を制作する必要があります。

ただし、なんでもかんでもSEOのルールを当てはめようとすると、自由に面白い記事が書けなくなってしまいます。

ですから、記事を2種類にわけて考えることが大切です。

  • フロー記事(旬の話題をとりあげて、SNSで拡散することを優先する)
  • ストック記事(ユーザーの検索意図を理解し、役立つ知識を提供することを目的とする)

ストック記事にはSEOを効かせるけれども、フロー記事ではライターのアイデアや取材時のライブ感を優先する、というふうに区別することが大事です。

前置きが長くなりましたが、この『沈黙のWebライティング Webマーケッター ボーンの激闘』は、世界最強のWebマーケッター、ボーン片桐が主人公のシリーズ第2作です。

Web集客に困っている人を助けるため、立ちふさがる敵と戦いながら、ボーン片桐と仲間たちが活躍するストーリー。第1作『沈黙のWebマーケティング −Webマーケッター ボーンの逆襲− ディレクターズ・エディション』もおすすめです。

この本の中で、著者のウェブライダー松尾さんが繰り返し伝えている「極意」とは、文章で読者の感情を揺り動かして「自分ごと化」してもらうこと。

そのための手法として、ドラマ仕立てにしたり、マンガにしたりして、ストーリー(物語)でメッセージを伝えることを推奨しています。なので、この本でもそれを実践していて、劇画タッチのマンガでストーリーが展開していきます。

SEOの観点でいいコンテンツの条件のひとつに「網羅性」がありますが、この本はそれも体現していて、とにかく内容が盛りだくさん。

ライティングのコツを徹底的に紹介するだけでなく、ライターに原稿を依頼するときの注意点や、インタビューを成功させるための準備など、きめ細かく作業フローが解説されているので、この本の内容をすっかりマスターできたなら、世界最強のWebエディターの誕生です。

さらに、「オウンドメディアの立ち上げに必要な7つのステップ」として、オウンドメディアの立ち上げ方法を初心者向けに解説しているので、会社で突然オウンドメディア担当者に任命されて困っている、なんていう人にもおすすめ。至れり尽くせりの本なんです。

マンガなのでシチュエーションが理解しやすいし、実際に役立つヒントが満載で、Web編集者になりたいなら必読の本なんですが、1つだけ僭越ながら短所を言わせていただくとしたら……長い! 分厚すぎ! まあ、でも、それも含めて神話的なバイブルらしいと言えるかもしれません。

③ 『スピードマスター 1時間でわかるWebライティング』

②とは対極的に、「1時間でわかる」というとおり、Webライティングのコツがコンパクトにまとまっています。

①と②を読んでから、③を読むと、「大事なポイント」とか「コツ」として解説されている内容が重複していることがわかります。つまり、そこが大事なポイントです!

編集者の仕事は、職人的なところがかなりあります。現在、プロとして活躍している編集者も、論理的、体系的にスキルを学んでから仕事をスタートしたわけではなくて、いきなり現場に飛び込んで、先輩たちのやっていることを見て覚えて、OJTでスキルを身につけていった人がほとんどだと思います。

なので、いざ、自分が新人や若手に仕事を教える立場になると、けっこう、戸惑います。自分自身は夢中で手を動かしながら感覚的に身につけたスキルですし、編集者によってそれぞれ自分のスタイルがありますから。

ですが、原稿の整理方法や校正などは、ある程度、法則性があります。編集者が身につけている暗黙知を「見える化」したものがこうした教科書ですから、汎用性の高いノウハウを覚えて、作業をショートカットしてほしいと思います。

さあ、このあと、すごく大切なことを書きますよ。

一度読んで終わりではなく、何度も繰り返し読むこと!

新人エディターにおすすめの本

最初に読んだときはさらっと通りすぎても、実際に作業をしていて困ったり、つまづいたりしたときに、「これってあの本に書いてあったことだな」とピンとくるはずなので、そのとき再読すれば、すごく腑に落ちたり、経験が血肉になります。

なので、一度だけじゃなくて、何度も繰り返し読むことをおすすめします!

すっかり長くなったので、続きは【後編】で。

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平林 享子(きょうこ)
平林 享子(きょうこ) エディター / 享子 平林

エディターのきょうこです。「コンテンツマーケティングを極めたい」「さまざまな業種のサービス・商品のオウンドメディアに携わりたい」と思い、LIGへ。目標は「100歳まで元気に現役エディター」です。趣味は、占い(西洋占星術)、アンチエイジング、料理、ワイン、ゴルフ(ずっと初心者)です。ご贔屓賜りますようお願い申し上げます。↑この写真の設定は「リグ屋旅館の女将」です。

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