こんにちは。
サウナビルダーの野田クラクションベベーです。
長野県の信濃町という場所で、アウトドア・サウナが楽しめる施設「The Sauna」を作りました。
人生初のサウナ小屋作り。
というより、チェンソーすら握ったことのない自分が、何もない土地にサウナ小屋を建てることができたのは、ログハウス作りのプロフェッショナル「株式会社ログラフ」さんやゲストハウスLAMP野尻湖でインストラクターをしている遊さんをはじめとするみなさんのおかげです。
今回は、一年前の自分のように「サウナ 作りたい」「サウナ 作り方」そんなキーワードで検索している方に向けて、実際にサウナ小屋を作るための準備や、できていく工程を写真とともにご紹介していきます。
サウナを自分で作りたいという方のお役に立てれば幸いです。
目次
超重要! サウナ小屋を作るための準備
① 目的設定
まず最初にどういった目的で作るのかをはっきりさせましょう。
自宅用なのか、商業目的なのか、どういったサウナにしたいのか……などなど。ここら辺を明確にすると設計するサウナ小屋も変わってきます。
自分の場合は、こんな目的を設定していました。
- 商業用にする
- 10平米以下(10平米以上だと建築確認申請が必要になる)
- 最高のロウリュを浴びれるようにする
- ウィスキングできるようにする
- 対面で会話できるようにする
- ベンチはサウナストーブよりも高くする
- サウナ小屋を出てすぐに野尻湖にダイブできるようにする
- テレビ、BGMはなし
- 小屋は渋いログハウス
これを叶えるためのサウナ小屋を設計していきます。
とはいえ今回は予算の関係上、設計図の制作は依頼せずに「サウナのログハウス部分」を施工してくださいと依頼をしました(実際は細かい部分も手伝ってもらうことになるのですが……)。
② 場所選び
目的のひとつ「サウナ小屋を出てすぐに野尻湖にダイブできるようにする」を叶えるために湖畔沿いの土地を探しました。
が、湖畔って高いんですよね……。そしてなかなか出回らない。つまりは、ほぼほぼ無理なわけです。
ただ、40年以上野尻湖でアウトドアスクールをしているサンデープラニングの人脈のおかげで、レンタルできそうな土地が見つかりました。
理想の土地だったのですが、「商業用にする」=「公衆浴場の営業許可を取る」を満たそうとすると、予算の3倍〜4倍近くかかる可能性があることが判明しました。これはまずい。
ちなみに公衆浴場の営業許可ですが、「一般公衆浴場」と「その他の公衆浴場」に分かれており、今回作るサウナは「その他の公衆浴場」に分類されます。
簡単に説明すると「一般公衆浴場」は料金などは一律(地域によってさまざま)の代わりに、各自治体から水道料金や土地の固定資産税の免除といった優遇を受けることができます。「その他の公衆浴場」は料金設定などの制限はありませんが、とくに優遇もないといった感じです。
「その他の公衆浴場」を運用するためには、「サウナの入浴」だけではなかなか難しく、食事や宿泊などのほかのキャッシュポイントなどが必要になってきます。そういったモノを湖畔で作るとなるとさらにお金がかかるし、運用するコストも莫大になってきます……。ここ、すごいポイントです。
つまりは、パターンとしては2つ。
1つ目は、莫大なお金をかけて好立地に作り、5年〜10年で回収していくパターン。
2つ目は、既存する施設にミニマムの金額で「サウナ小屋」を作り回収するパターン。
今回のプロジェクトは自分自身が会社に提案しはじめた事業。「5億円を用意してください! 絶対に5年〜10年で回収するんで!」はさすがに、実績もないし無理。いきなりそんな夢は見ません。
なので、2つ目の既存する施設にミニマムの金額で作るパターンにしようとなり、LIGの運営するゲストハウスLAMP野尻湖の施設内に作らせてもらうことにしました。
「サウナ小屋を出てすぐに野尻湖にダイブできるようにする」こそ叶いません(いつの日か……ウォォォ)でしたが、その他の要望は叶えられるし、少し歩けば野尻湖に行くこともできるので、良しとしました。
③ イメージづくり
サウナ小屋を作るといっても、何をどうすればいいかわからないと思います。
そんなときは「Pinterest」で「sauna」「sauna house」「log sauna」みたいなキーワードを入れて調べると、世界中のサウナ小屋の設計とかでてくるのでオススメです。
あとは、『サウナをつくろうー設計と入浴法のすべて』という本は絶対に読むべきです。むしろ、これを読めばある程度設計できるようになります!
もう一冊『オールドスモークサウナ』もオススメです! サウナの原点「スモークサウナ」の解説をしてくれているので、サウナの設計だけではなく、サウナへの動線やサウナの存在意義などを知ることができますよ!
④ 申請周り調べ
目的、イメージが固まったら申請周りも調べておきましょう。
具体的にいうと建築物を建てるとなると「建築確認申請」が必要なこともありますし、サウナ小屋となると消防法も関わってきます。さらに、野尻湖の場合は国立公園に指定されているため、自然公園法の申請も必要だったり……。県や町によって違う部分も多いので、しっかりと調べてから進めることをオススメします。
まず最初は、町役場に「〇〇という場所でサウナ小屋を作りたいと思っているのですが、どういった申請が必要ですか?」と聞いてみてください。きっと、ていねいに教えてくれるはずです!
必見! サウナ小屋の作り方
それでは、サウナ小屋ができ上がる流れを写真とともにご紹介していきます。
①丸太運び
まずは、小屋のメインとなる丸太を運びます。
今回は、立ち枯れ材のヒノキを安く手に入れることができました。サウナ小屋の王様と呼ばれる、立ち枯れのパイン材で作られたケロ(Kelo)のログハウスと同じような素材で作っていきます。
「小屋は渋いログハウス」というわがままを叶えてくれました。ログラフさんすごい。
ユニック車という特殊な車で丸太をどんどん積み上げていきます。てっきり手で一本一本運ぶと思ってたので、一安心です。機械すごい。
②基礎づくり
小屋の土台となる基礎づくり。
今回は10平米以下の建物かつ、基礎工事をしていないので、建築物ではなく工作物になります。杭の上に置いているような状態です。
ここからは、職人さんの仕事を目の当たりにします。
丸太を採寸し、
チェンソーで切っていきます。
僕もお手伝いしたのですが、チェンソーがめちゃくちゃ重いんですよ……。木を平らに綺麗に仕上げていくためには、チェンソーをぶらさず(筋肉キープ)に整えていきます。
切り終えたログはどんどん積んでいきます。このときは、あんな感じのログハウスになるとは想像もできませんでした。
積み上げるときは、ログの両サイドをチェンソーでくり抜いていきます。ええ、この作業がまさに職人技なんですよ。
自分がくり抜いたやつ。
職人さんがくり抜いたやつ。
ぜんぜん違いますよね…。滑らかな感じにするのが難しいのなんの……。練習したい。
③ひたすら積む
積む。
さらに積む。
雪が降っても積む。
ひたすら積む。
④屋根づくり
片屋根。
両屋根完成。こんな感じで小屋ができ上がっていきます。
段が高くなればなるほど積むのが大変になるんですよ。めちゃくちゃ重い……。
屋根ができたら「ログハウス」としてはおおむね完成ですが、ここから「サウナ小屋」へと変化させていきます。
⑤「サウナ小屋」へ装飾
三角屋根のままだと一番いい熱が天辺に集まってしまので、フラットな天井にしました。これで、最高のロウリュを浴びれるような設計に。
サウナ小屋の前にフィンランド感ある綺麗な景色が広がっていたので……
窓枠をくり抜いてもらい……
うん。いい感じになりました。最高です。
ログハウスの隙間はチンキングをしていきます。
アイスクリームみたいなやつです。
めちゃくちゃ大変で地味な作業だったので、子どもたちにも手伝ってもらうことに。お礼にアイスおごったら想像以上に喜んでくれて、これが労働に対する対価の形なんだと気付きに繋がりました。
※ 保護者の方の了承を得ております。
⑥ベンチ&ストーブづくりDIY編
大枠ができたら、インストラクターの遊さんのお手伝いのもと「ベンチ作成&ストーブ作成」の作業をすることに。
ここで、一旦整理すると……ベンチは以下の理想を叶えるようにお願いをしました。
- 対面で会話できるようにする
- ベンチはサウナストーブよりも高くする
- 最高のロウリュを浴びれるようにする
- ウィスキングできるようにする
いろいろと考えに考えた結果……
理想が実現したことを実感できるストーブとベンチの完成。
インストラクターの遊さんが詳細の記事を書いてくれているので、合わせて読んでみてください! サウナベンチを自作してみた〜手作りサウナ小屋のDIY解説・第一話〜 薪ストーブを自作してみた〜手作りサウナ小屋のDIY解説・第二話〜
製作期間約2ヶ月……至極のサウナ小屋が完成
11月からはじまったサウナ小屋制作。
1本1本の丸太をていねいに切っては積んで、切っては積んでの繰り返し。
雪が降れば除雪をし、終わったと思ったら再び除雪……そんな日もありました。
初日の火入れはまさかの温まらない&ケミカルな匂いに包まれて逃げ出したくなりました。
サウナ小屋なんて作ったことないのに、なぜか「最高のサウナができます!」と周りに言いまくってしまい、完成が近づくにつれて逆にプレッシャーになり、眠れない日もありました。
でも多くの人に自分が作ったものが喜んでもらえて、「こんなにうれしいことってあるんだな」と毎日幸せな日々を過ごせています。
「サウナを作りたい!」そう思ってがむしゃらに走り続けましたが、多くの人の支えがなければ完成を迎えることはありませんでした。
最近ではサウナ小屋に関しての問い合わせもたくさんいただき、「自宅にサウナ小屋を作りたい!」「サウナ小屋を運営したい!」など……サウナを作りたい人が増えています。なんて素敵な世の中なんだ……と感激しております。
冒頭の方に書いてある「目的」「場所選び」をめちゃくちゃ真剣に考えた上で、サウナ小屋を建てることをオススメします! ただ、ひとつ言えるのは最高の水場(川、海、湖、湧き水)や雪があるところなら、サウナ小屋を建てるだけで立派なコンテンツになります。温泉掘るよりよっぽどお金もかからないし、リスクも低いです。
つまりサウナには、日本にある「水」という資源を最大限に生かせる可能性があると信じています。
ぜひ、「サウナ小屋をつくりたい!」「サウナ小屋ってどうやって作るの?」などの疑問があれば、ご相談に乗りますので、ご連絡のほどお待ちしております。
- サウナ小屋を作ってくれた会社さん
- 会社名:株式会社ログラフ
TEL:026-255-2927
メール:info@lograf.jp
URL:http://lograf.jp