こんにちは、エディターのまっきーです。元新聞記者で、研究機関の広報室で働いていたこともあり、コーヒーをお供に(紙の)新聞を開くのがしあわせ、というオッサンみたいなアラフォー女子です。
さて、みなさんは「新聞」と聞いて、何をイメージしますか?
難しそう、古いメディア、満員電車でオジサンが広げていてジャマ、部数減少……などなど、ネガティブなイメージを持たれている方も多いと思います。実際に、日本で出されている新聞の総発行部数は、この10年間で1,000万部以上減少、2018年には4,000万部を割りました。すさまじい減少率。
ただ、新聞紙面がテレビのニュースやワイドショーにそのまま使われたり、ウェブの記事に転載されたり、ひとつの記事で政治的な決断が動いたり、企業の経営陣の判断や株価に影響したりと、新聞の情報がもたらす社会への影響力はまだまだとても大きいのが現状です。情報をもっと広くたくさんの人に知ってほしいとお考えのみなさんには、ぜひ「新聞の影響力」をうまく活用してもらえたらと思い、記事を書いてみました。
新聞記者ってどんな人?
新聞記者は、新聞社の採用試験で入社する会社員がほとんどです。私のように新卒で入社する人が多いですが、メーカーや銀行などからの転職組もけっこういました。
そんな新聞記者は、普段どんな生活をしているのでしょうか。新聞記事に掲載されるには、記者がどんなところから情報を得ていて、どんなことをしているのかを知ることも大事です。
ただ、「人とのつながりで情報をもらう」のが第一の仕事である新聞記者は、友だちのつくり方が人それぞれなのと同じように、仕事のスタイルも1日の流れも、人によって、日によってさまざま。
どんな生活? どこからネタを取っている? と問われれば、「人による」の一言に尽きます。
それだけではなんの参考にもならないので、私が実際に新聞社で働いていたころの経験を踏まえて「新人記者のある一日」を書いてみます。新人記者はだいたい、地方の支局で「サツタン(警察担当、事件・事故などを扱う)」となり、数年修行を積みます。
新人記者のある一日
5:00ごろ
- 新聞各紙、NHKニュースをチェック
- 抜き抜かれ※1を確認
- 朝がけ※2に出動
- メモ・ペン・カメラの3点セットは24時間必携
9:00ごろ
- 出社 会社に顔を出し、県警の記者クラブに行く
- 警察からの発表文をチェック 夕刊に出すべきものは原稿にする
11:00ごろ
- 夕刊用の原稿を出す 300字程度を2本くらい
昼間はネタを探して各警察署まわりや街を歩き回る。適当に昼食
(昼間、会社の自分の席にいると「外でネタ取ってこい」と怒られる)
16:00ごろ
- 翌朝刊用の原稿を出す 600字程度を2本くらい
- デスクの問い合わせ、再取材、原稿の書き直しなど
19:00ごろ
- 夕食、夜回りに出動
21:00ごろ
- 支局に戻り、組み上がった紙面のチェック
23:00ごろ
- 地方面校了、帰宅
地域面は2つの面があり、支局の記者たち(私のいたところはだいたい10〜15人くらいでした)で毎日埋めなければいけないので、けっこう大変。日々、おもしろそうなネタを探しています。
以上は通常の毎日ですが、管轄内で大きい事件などが起きると、容疑者の自宅周辺や警察署で一日中張りこみ取材、ということも。また、泊まり勤務も順番で回ってきます。だいたい月に2〜3回。記者はとにかく24時間気が休まりません。
- ※1 抜き抜かれとは……?
- 「抜く」 とは、他社の新聞にはない情報を掲載すること。反対に、自社の新聞にない情報を掲載されることを「抜かれ」という。
- ※2 夜討ち朝駆けとは……?
- 深夜や早朝に記者が関係者の自宅を訪ねて取材すること。「夜回り朝駆け」ともいう。
新聞に掲載されるには?
新聞記者の情報源
記者が記事を書くときの情報源は、以下のようなものがあります。これから書くことは、新聞各社もそうですが、記者の行動パターンや取り上げる情報が似ているNHKの報道記者にも当てはまります。
- タレコミ※3など、人から聞いた生の情報(1対1なので特ダネになりやすい)
- 省庁・企業などから記者クラブや報道各社に投げられるプレスリリースや発表文
- 「これってどうなの?」という問題意識から解説、調査系記事としてじっくり掘り下げて調べる
など。
速報性と独自性を売りにしてきた新聞社の特徴として「他社より先に新しい情報をつかむ」特ダネは、記者個人の功名心と熱量も加わり、紙面上大きく扱われます。ただ、大きな事件での新情報や、政治家のスキャンダルなど、社会的な影響が大きそうな情報が特ダネとなりやすく、一企業や一個人の新着情報などを特ダネとして取り上げてもらうのはなかなか至難の業です。
実際の紙面に載るかどうかはデスク(紙面の構成を考える人)の判断、その日出されているほかの記事の本数や兼ね合い、社の方針に合うかなど、さまざまな条件で決まります。
- ※3 タレコミ
- 「密告」の意味。不正を行っている会社内に所属する人物からの情報提供など。
プレスリリースで記者の「書きたい心」をくすぐる
その点、プレスリリースは企業の新商品や新しい取り組みなどを記者さんに直接アピールでき、それを手に取った記者が「これは書いてみよう、書かなくては」と思えば取材してくれます。とにかくまずは、記者に興味を持ってもらうこと。
私が研究機関の広報として勤務していたとき、プレスリリースを書く仕事もしていました。その際に気をつけていたのは「お? これなんだ? と思わせるキャッチーなタイトル付け」と「わかりやすい内容」、そして「記者の書きたい心をくすぐる」ということです。
記者といえど、個人の趣味趣向をもつ人間。なので、具体的な人の顔を思い浮かべて、「その人にどうおもしろいと思ってもらえるか」と考えて書くことが大事です。前の広報室長は「プレスリリースは記者に向けたラブレター」とよく言っていました。そういった気持ちでリリース文が書けるといいですね。
また、そのためには個人的なつながりも大事です。記者懇談会や現場の見学会などを開き、頻繁に記者さんたちと対面のコミュニケーションを持つ場を設けるのも効果大です。
記事になる条件はさまざまな事情が絡んでいるので、「こうすれば必ず載る!」という特効薬的なものはないような気がしますが、記事になる確率を上げる方法はたくさんあるはず。ニュースを見たり読んだりしながら、「どうやってこれがニュースになったのか」を普段から考えてみるクセをつけると、どうやったらニュースになるか、その方法がわかるようになってくるかもしれません。
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さいごに……本で垣間見る新聞記者の世界
新聞記者の仕事ぶりがわかる本もたくさんありますが、2点をご紹介。
クライマーズ・ハイ (文春文庫 よ 18-3)
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元上毛新聞の記者さんだった横山秀夫さんの名作。ひとつひとつのセリフがとてもリアルです。古き良き時代の新聞社のおはなし(このころに働いてみたかった……)
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さて、さまざまなメディアでの経験を持つ人が多いLIGでは、オウンドメディアのコンテンツ制作代行も行なっております。
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どうやって情報を広めたらいいのか、どんなことを伝えたらいいのかお悩みのみなさんは、ぜひご相談ください。まっきーでした。