サブドメインか?サブディレクトリか?新規サービス立ち上げ時のURL設計

サブドメインか?サブディレクトリか?新規サービス立ち上げ時のURL設計

Jo Ota

Jo Ota

こんにちは、コンサルタントの太田です。

新規サービスの立ち上げ時、必ず議題に上がるのが「サイトはサブドメインで切るか、サブディレクトリにまとめるか」という問題。

たとえば、あるスポーツ用品メーカーが新規事業としてオンラインフィットネスサービスをスタートするにあたり、以下の2案が検討されたとします。

  • サブディレクトリ型
    http://sports-brand.jp/fitness/
  • サブドメイン型
    http://fitness.sports-brand.jp/

どちらも一見大きな差がないように見えますが、SEOやブランド戦略の観点では重要な分岐点です。今回は、サブディレクトリ・サブドメインそれぞれのメリット・デメリットと判断のポイントをご紹介します。

サブディレクトリ型の特徴

⭕️メリット
  • 親ドメインの「ドメインパワー」をそのまま引き継げる
  • 内部リンク構造を整理しやすく、検索エンジンからも一貫性を評価されやすい
  • 運用・管理が比較的シンプル
❌️デメリット
  • 親ドメインの「専門性」がブレる可能性
    (スポーツ用品なの? フィットネスなの? となりやすい)
  • サービスごとに柔軟に運営ルールを変えにくい
  • 下層ページが増えると管理が煩雑に
具体例 価格.com
kakaku.com/camera/kakaku.com/pc/ のように、カテゴリごとにサブディレクトリで整理しています。既存ドメインの評価を活かしながら、一貫したブランド体験を提供する典型的なケースです。

既存サービスの延長線上にあるコンテンツであれば、こちらが王道です。

たとえば、スポーツブランドのECサイト内に「トレーニング動画ページ」を追加するようなケースなら、迷わずサブディレクトリでよいでしょう。

サブドメイン型の特徴

⭕️メリット
  • 独立した新サービスとしてブランドを打ち出しやすい
  • サイト構造がフラットになり、将来的にLPや体験談記事などを大量に増やす際に柔軟
  • サーバー構築やセキュリティ上も、別サービスとして分離しやすい
❌️デメリット
  • 親ドメインから自動的な評価は継承されないので、設計によって相乗効果を引き出す工夫が必要
  • 初期は検索流入が少なく、集客まで時間がかかる
  • 運用が分かれるため、工数がやや増える
具体例
  • 楽天
    travel.rakuten.co.jp(楽天トラベル)、books.rakuten.co.jp(楽天ブックス)といった形で事業ごとにサブドメインを分けています。
  • Adobe
    blog.adobe.comhelpx.adobe.com といった形で用途ごとにサブドメインを展開しています。

今回のように、「スポーツ用品の販売」から「オンラインフィットネスサービス」へと事業領域を広げるケースでは、サブドメインにすることで「別ブランド」として位置づけやすくなります。専門性の一貫性を守る意味でも有効です。

※補足:サブドメインもサブディレクトリもSEO的な優劣はない?

Googleの公式見解では、サブドメインもサブディレクトリもSEO的な優劣はないため、目的や運用に応じて選んでよいとされています。

ただし実務では、サブディレクトリは短期的に効果が出やすい、サブドメインは独立ブランドとして育てやすい、といった「効果の出方の違い」を感じるケースもあります。

サブドメインは独立扱いですが、内部リンク設計を工夫することで親サイトとの関連性を示し、SEO効果を相互に高めることも可能です。具体的には、例えば以下のような方法があります。

  • グローバルナビやフッターに相互リンクを設置する
  • 関連コンテンツ内で自然にリンクを張る
  • アンカーテキストにキーワードを含める
  • サイトマップや構造化データで「同じブランド」であることを示す

独自ドメインという選択肢も

なお、完全に別ブランドとして立ち上げたい場合は、新たに独自ドメインを取得するという選択肢もあります。短期的なSEO評価はゼロから育てる必要がありますが、親ドメインの影響を受けない独立運営が可能です。

たとえば親サイトがペナルティを受けた場合、サブディレクトリは親サイトの一部として扱われるため、確実にその影響を受けます

また、サブドメインは技術的には「別サイト」として扱われますが、内部リンクやブランド要素で強く結びついている場合、検索エンジンは親サイトとの関連性を認識することがあります。そのため間接的に影響を受けるケースもゼロではありません

どう判断する?

  • 既存ブランドの延長として見せたいなら → サブディレクトリ
  • 新しいブランドを独立して育てたいなら → サブドメイン

つまり「SEOの即効性」か「ブランドの独立性」か。ここを天秤にかければ判断しやすくなります。

今回のケースでは、「完全新規事業であり、今後のコンテンツ拡張も想定される」ため、サブドメインを推奨という結論に至りました。

もちろん例外はあります。

  • コラムやお知らせページなどを増やす予定がほとんどない場合
  • 今後もスポーツ事業の一環として複数サービスを束ねていきたい場合

このような条件では、サブディレクトリのほうが適していることもあります。また、サブドメインは独立扱いになるものの、親サイトとの内部リンク設計を工夫すれば相互にSEO効果を高めることも可能です。

サブドメインかサブディレクトリかは、単なるURL設計の問題ではなく、ブランド戦略・SEO方針・運用体制の三点をどう設計するかに直結します。

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地域密着系広告会社のプランナーとして7年間、企業の広報活動を支援。WebディレクションやSNS運用、企業タグライン開発や広告クリエイティブ制作など、守備範囲の広い業務を柔軟に対応。コピーライターとデジタルマーケターの2つの視点を活かした提案が得意。WACA上級ウェブ解析士。地域広告賞受賞多数。週6日は水玉の服を着ている。Twitter:@jo_ota_dot

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