うぬらこんにちは! 画家の田中ラオウ(@raoutanaka)です。
先日、株式会社LIGに新たな事業アート事業部が誕生しました。 壁画制作やライブペイントも!株式会社LIGは「アート事業」を始めることになりました。
今回の記事はいままでの自分の作品を振り返りながら、制作のプロセスやそこに込めた思いなどを紹介していくシリーズの第二回目です。
▽第一回目はこちら 画家として新たに生まれ変わる。手塚治虫先生の「火の鳥」をイメージして描きました。《Fire bird》絵画解説vol.1
僕は作品の解釈は人それぞれ、受け手の感じたとおりで良いと考えておりますので、作者が作品を語ることにはどちらかというと否定的です。ただ、僕はまだ画家として駆け出しの身なので、作品のバックグラウンドを開示していくことも、自分という画家を世の中に知っていただくために必要だと考えています。
今日の一枚
《厳冬》2017 Mixed media P10
制作当時の状況
この絵は2017年の10月に船橋東武百貨店にて行われた「東武絵画市 – 美術特選逸品会」への出品用に描いた絵です。自分にとって初の百貨店への出品で、展示枚数は五枚という規定がありました。それまでは手の空いたときにコツコツ作品を書き溜めてきていたので、特に納期に縛られるようなことがなかったのですが、このとき初めて納期というプレッシャーを体感しました。
納期に追われて「こなす」感覚で絵を描くのは絵描きとして最低なので、やはり日ごろの準備の重要性を感じました。常に自分が描きたいものや自分が好きなものを意識して生活できるかが、勝負の分かれ目になってくるなと思いました。
制作に至る経緯
自分は北海道で生まれ育ったので、冬が好きです。展示に向けてどんな絵を描こうかと考えたとき、やはり自分が好きなものを描いた方がうまくいくと思いましたので、冬の絵を描こうと思いました。実は《厳冬》の前に一枚、冬の絵を描いてます。
《雪やこんこ》2017 Mixed media M10
この絵は画材の効果を活かしながらよく考えて描いた絵で、可愛らしくて良いのですが、自分としてはちょっと体裁を整えにいってしまった感じがして、あとから見ると落ち込みます。
反省点
まず僕が子供のころに雪山で見た狐は、こんなに顔が可愛くないです。もっと野犬っぽいというか、粗暴なオーラを放っています。そして、もっとも落ち込むポイントは雪を丸く描いてしまったことです。実際雪は丸くないんです。これは雪国の人間として恥ずかしいです。
ランダムに白い丸をちりばめて描けばそれらしく見えるだろうという甘い考えで、観察を怠ったまま手をつけてしまいました。猛反省しました。
反省を活かした《厳冬》
これらの反省を活かして「冬の寒さ」を絵で表現するためにはどうすれば良いかを考えて着手したのが、今回紹介する《厳冬》です。まず雪は人間にとっては「自然の猛威」であり「地球のエネルギーの表出」とも言えると思います。冬を表現するには雪の粒ひとつひとつの形を追うよりも、冬そのもののエネルギーを表現しようとする方が正しいアプローチに思えました。
そのため、少し禍々しささえ感じるような捉えようのない模様を雪山に見立てて、虎を上に立たせました。なぜ虎を立たせたかというと「寒い地方の冬とかマジでシャレにならんくらい厳しいから、もう虎くらい最強じゃないと生きていけませんよ!」という僕のメッセージを込めたからです。
僕は虎とかライオンが本当に好きなんです。強いし見た目もかっこいいからです。僕は「最強」という言葉を聞くと「うひょうっ!!」という気持ちになります。こういう気持ちを絵で表現できるように、今後も頑張っていきます。
Adobe MAX Japan 2018
さいごにイベントのお知らせです。
2018年11月20日(火)に開催されるクリエイターの祭典「Adobe MAX Japan 2018」。
今年も田中ラオウのワークショップが開催されることになりました。今回のワークショップのタイトルは「クリエイティブ基礎力アップ!モバイルアプリで描くデジタル作画講座」です。
iPadを使った作画アプリの基本的な使い方から人物をバランスよく描くコツなどをレクチャーいたしますので、デジタルイラストにご興味がある方は是非ご参加ください!
下記のAdobe MAX公式ウェブサイトからエントリー可能です。
https://maxjapan.adobe.com/
▼去年のMAXの様子をまとめた動画です。クリエイターにとっては最高に楽しいイベントなので、みなさんぜひご参加のほどよろしくお願い申し上げます。