CREATIVE X 第2弾
CREATIVE X 第2弾
2018.09.26

【絵画解説vol.1《Fire bird》】画家として新たに生まれ変わる。手塚治虫先生の「火の鳥」をイメージして描きました。

田中ラオウ

うぬらこんにちは! 画家の田中ラオウ(@raoutanaka)です。

先日、株式会社LIGに新たな事業アート事業部が誕生しました。


今回からは、みなさまにアート事業部の活動をより知っていただくために、いままでの自分の作品を一点ずつ振り返りながら、制作のプロセスやそこに込めた思いなどを紹介していくシリーズをはじめます。

僕は作品の解釈は人それぞれ、受け手の感じたとおりで良いと考えておりますので、作者が作品を語ることにはどちらかというと否定的です。ただ、僕はまだ画家として駆け出しの身なので、作品のバックグラウンドを開示していくことも、自分という画家を世の中に知っていただくために必要だと考えています。

今日の一枚


《Fire bird》2016 Mixed media on board 665×243

今回紹介する絵は自分が画家としての活動をはじめるきっかけになったこちらの絵です。

制作当時の状況

当時の僕はカリカチュアリストとして10年目を迎えており、今後の自分の身の振り方を考えている時期でした。

カリカチュアとは
事物を簡略な筆致で誇張し、また滑稽化して描いた絵。社会や風俗に対する風刺の要素を含む。漫画。戯画。風刺画。
引用元:カリカチュアとは – コトバンク

2014年にカリカチュアの世界チャンピオンになると同時に、カリカチュアの今後の展開に行き詰まりを感じていました。行き詰まりの原因はカリカチュア特有の制約にあります。

モデルありきのカリカチュアは、時間をかけて渾身の作品を描いたとしても、モデルの許可がなければ一般に向けて販売することはできず、たとえば芸能人の顔を描いた場合には、許可をもらうための時間的、金銭的コストを考えると、とてもハードルが高いといえます。

※ こちらは映画『戦場のピアニスト』のワンシーンをモチーフにした作品。映画の版権元やエイドリアン・ブロディ氏サイドへの許可申請が必要になるため販売不可。

また、一般の方を作品として描いた場合にはコスト面の心配は軽減されますが、カリカチュアの醍醐味である似ているかどうかを判断することが、モデルとなった人物を知っている人にしか伝わらないという問題があります。

次の目標をどうするか考えたときに、今後は一枚の価値を上げていくことに力を注ぐべきだと思いましたが、カリカチュアでいくら力を入れた作品を描いても、上記のような理由で仕事には繋がりにくいのではないかと感じました。

そこで思い至ったのが画家になるという選択肢です。画家は似顔絵より販売の制約がなく、一枚の値段を高く設定できそうだったからです。

値段が高いということは、一枚に掛けられる時間が長くなるということです。(売れるかどうかは別の話ですが)

もともと、いま描いているものが自分の人生で最後の絵になっても悔いがないような姿勢で、一枚一枚の絵に向き合いたいと考えていたので、画家になるというアイデアは自分に合っていると思いました。

ただカリカチュアリストがどうすれば画家になれるのかはわかりませんでした。

いずれにしても作品がなければ始まらないので、まずは自分が素直にかっこいいと思える絵を真剣に丁寧に描き切ってみようと思い、着手したのが今回紹介した鳥の絵です。

制作に至る経緯

画家として最初の一枚を描くにあたり、まずは画材の選定からはじめました。

手に持つだけでイマジネーションが湧き、創作意欲を掻き立てられるような自分の性格に合っている画材を探すのに半年ほど時間を費やしました。

InstagramやPinterestで面白い表現をしている画家を見つけるたびに、ハッシュタグなどからどんな画材を使っているかを探っていきました。

理想の表現に繋がる可能性がある画材を見つけたあとは、それを使いこなせるようになるためにたくさんの実験的な絵を描きました。

そして運良く自分と相性の良い画材に巡り会え、ある程度研究を重ねて画材の特性を理解したのが2015年の末頃だったので、これまでの研究の成果をひとつの形として作品に起こすのに「頃合いや良し!」と翌年の干支である酉をモチーフにして絵を描きました。

絵のテーマ

この絵はタイトルの通り手塚治虫先生の「火の鳥」をイメージして描きました。

カリカチュアアーティストから画家として新たに生まれ変わる自分の状況や、未知の世界へのチャレンジにおいて必ず訪れる挫折や高い壁なんかには僕は絶対に屈しないという気持ちが込められています。

僕はどんな世界でも「上を目指す」というのは「今の自分の全力がまったく通用しない」という経験の繰り返しだと思っていますから、いまの自分が通用しないくらいでいちいち傷ついていられません。

悔しさを糧にした未来の自分が必ず見返してくれると信じて、いまだけを頑張ればよいと思ってます。そういう思いを込めて、僕は絵を描いています。

今回ご紹介した絵はアート事業部のサイトから購入可能ですので、ご興味のある方は以下のページをご覧ください。

絵画作品を見てみる

Adobe MAX Japan 2018

さいごにイベントのお知らせです。

2018年11月20日(火)に開催されるクリエイターの祭典「Adobe MAX Japan 2018」

今年も田中ラオウのワークショップが開催されることになりました。今回のワークショップのタイトルは「クリエイティブ基礎力アップ!モバイルアプリで描くデジタル作画講座」です。

iPadを使った作画アプリの基本的な使い方から人物をバランスよく描くコツ、老若男女の描き分け方などをレクチャーいたしますので、デジタルイラストにご興味がある方は是非ご参加ください!

下記のAdobe MAX公式ウェブサイトからエントリー可能です。
https://maxjapan.adobe.com/

▼去年のMAXの様子をまとめた動画です。クリエイターにとっては最高に楽しいイベントなので、みなさんぜひご参加のほどよろしくお願い申し上げます。

アート事業部へのお問い合わせ