LIG/広報室エディターのケイ(@yutorination)です。「LIGブログ」の編集と広報を担当しています。
今回は、僕がLIGに入社した経緯を枕にしつつ、この会社に特徴的な「あだ名カルチャー」について書いてみたいと思います。
LIGの編集職になった経緯
僕は以前は某出版系の会社に所属して編集・ライターとして働いておりました。そこを一昨年夏に辞めて数ヶ月ニートをしたのち求職活動をゆるゆると始め、ちょうど1年前、去年の2月にLIGに入社することになりました。
もともとLIGのことは知っていたのですが、自分がフィットするイメージが全然なかったので、当初は受けようという発想すらなく、選考に来たのも紹介がきっかけでした。
ただ、面接を受けていく過程で、以下のようなことがあり、だんだん印象が変わりました。
- 面接で会った人にはことごとく「デコボコ」な印象を受けた=要するに、多少の欠点があっても尖った人間の個性を活かそうとする懐の深さを感じた。
- 人事のあきとさんが、面接という場にもかかわらず、ちょっと躊躇いながら控えめに「我々はパリピ……に見られがちなんですが、実はそんなことないので安心してください」と言っていて、「正直な言葉遣いをするなぁ」と感じた。
- 最終面接で出てきたマネージャー職のよすけさんの見た目が明らかに若かった(肌とかツルツル、実際に28歳)ので、めちゃくちゃ実力主義の会社だと思ったけど、とはいえ他のIT系ベンチャー企業の面接で会った完璧超人感のある若手管理職の人たちと少し違って、丁寧に人に接する姿勢に好感を持った。
- 最終面接で内定したあとに、「迷っているだろうから」と別日に焼き肉飲み会をしてくれた。焼き肉に釣られた。
- 困っていそうだった。自分が力になれると感じた(僭越ながら)。
といったことが決め手になって、入社することになりました。
入社前には自分がどんな仕事をするのかよくわかっていませんでしたが、今は広報室という部署で、LIGブログにかかわる業務やメディア対応を担当しています。
「あだ名」に感じる恐怖感
さて、そんな感じでLIGに入社したわけですが、入社前にちょっと抵抗感を感じていたことがありました。それは社風がパリピっぽく見えたこと……です。
僕は(それなりには)明るい人間だと思うのですが、基本的には書籍や雑誌、インターネット、映像やゲームなどの一人で楽しめるインドアコンテンツに親しんでいる、要は「陰」の者なのです。飲み会に行くよりも早く家に帰って本読みたいしブログとか原稿とか書きたい、と思ってしまいます。
で、特に気になっていたのがLIGのメンバーページ。
そもそも社員のメンバーページがあるとか意味がわからないし、みんなあだ名で載っています。「こんなリア充でパーリピーポー感のある中に自分が載るのはつらい」と、素朴に思いました。
とはいえ、そういう悩みは些末でもあります。面接や焼き肉で感じた「この人たちの力になりたい」という自分の直感を信じてみよう、あとは「郷に入っては郷に従え(ごうにいってはごうにしたがえ)」ということで、パリピ的な部分にも合わせられるように努力しようと決意して、最初の出社日を迎えました。
入社して「ニックネームを決めよう」と言われ……
で、入社してすぐ、同じ部署の人たちから「なんか面白いニックネームにしようよ」と言われたわけです。
これは「お前もパリピになれ」という同調圧力ではないか……?
そのときは特に思いつかなかったのと、自分は下の名前が「ケイ」で古い友達からはよくそう呼ばれていたので、あまりおもしろくせずそれでいいかなと思い、それにしました。
「あだ名」と「いじり」の複雑な関係
これは一般的にいえることだと思うのですが、「あだ名」というものはなかなか取り扱いが難しいものです。あだ名には「いじり」の要素が含まれるものですが、「いじり」がエスカレートすると「いじめ」に発展してしまう場合もあります。
僕が10代〜大学生ぐらいのころ、自分自身は変わったあだ名をつけられることは少なかったのですが、友達付き合いのなかで本人が嫌がっていそうなあだ名をつけられているケースをよく目撃しました。90年代お笑い文化を席巻したとんねるずや松本人志さんなどの「身内いじり芸」の影響もあるのでしょう。
このテーマは掘り下げるとかなり深いものだと思うのですが、この記事ではさしあたって必読文献を挙げるにとどめます。どれも面白いので、このテーマに興味のある方はぜひ読んでみてください!
入ってみてわかった、「あだ名カルチャー」にもいいところはある
とはいえ自分のような非パリピタイプの人間にとって意外だったのは、「社員同士あだ名で呼び合う」というのは、意外とメリットが多いなということでした。
たとえば弊社には「こやにい」さんという人がいます。これまで記事広告のメディアディレクターとして数々の秀作記事を担当してきたメンバーなのですが、普通の会社みたいに正式な苗字の「小山さん」と呼ぶよりも、「こやにいさん」「こやにい」と呼んだほうが、なんか距離感が近くていいんですね。
で、特にいいなと思ったのが、「あだ名」+「丁寧語」の組み合わせ。
たとえば、
「小山さん、例の◯◯社の件なんですけど、今どうなってます?」
「こやにいさん、例の◯◯社の件なんですけど、今どうなってます?」
の2つを比べてみると……。
上はいかにも会社会社している感じを受けます。
なのですが、下の「こやにいさん、例の◯◯社の件なんですけど、今どうなってます?」は、親しみを込めつつ、ちゃんと「丁寧語」なのでなれなれしい感じもせず、仕事に必要な「メリハリ」もつく。
結果、「あだ名」で呼び合いつつもきちんと丁寧語(もしくは敬語)を使うことによって、無駄に格式張らずに適切な距離感で、合理的なコミュニケーションが可能になると思うわけです。
やや余談ですが、僕はもともと出版業界にいたので、IT/Web系とちがって「編集者は黒子に徹しよう」という文化がありました。今は僕もLIGブログ上で顔を名前を出していろいろ書いていますが、当初はそのことにも強い抵抗感を持っていました。
でもIT/Web系の人たちはどんどん顔出しして情報発信するし、「あだ名」を名乗っていてそれで定着している人も多いですよね(「はあちゅう」さんや「ちょまど」さんなどなど)。そちらのほうが発言にも説得力が増すし、読者にも親近感をもってもらえる。それはそれでなかなか合理的でもあるな、と思うようになりました。
LIGのあだ名カルチャーの由来は?
LIGの「あだ名カルチャー」ってそもそも何なのか、社長のゴウさんにミニインタビューをしてみました。
あだ名は「ルール」じゃなくて「カルチャー」だよ
ケイ:LIGのメンバーページを見るとあだ名が並んでいるじゃないですか。「あだ名で呼び合うことが会社の制度として決まってるんだ」って僕は最初に思ったんですけど、そうではないんですか?
ゴウ:いや、制度なわけじゃなくて、自然発生的なものなんだよね。もともと俺とづや(取締役CTO)が幼馴染だから「ゴウ」「づや」って呼び合ってて、二人で起業してから、それがだんだん他のメンバーにも波及していって、今こうなってるというだけ。
だから、あだ名はルールとして決めてるわけじゃないってことは強調したいんだよね。カルチャーはルールじゃない。「うちはあだ名を決めるルールです」ってクソダサいじゃん。俺、それはヤなんだよ。たとえば「こういうルールでやるのがストリートカルチャーのルールです」ってめちゃくちゃダサくない?
ケイ:たしかに、そうですね。
ゴウ:もちろん戦略的にあだ名をルールにしてるような会社もあると思うよ。「お互いのコミュニケーションを活発にするため」みたいな。強い言葉でいっちゃうと、俺はそれクソダサいと思う。あだ名なんて自然発生的に生まれるものだし、自然とあだ名で呼び合うような関係がいいと思ってる。ただ、俺は、「中野くん」って呼ぶよりは「ケイ」って呼びたい、ってだけなんだよね。
あだ名ってどういうふうに決めてるの?
ケイ:僕は今も出版系のライターとして活動しているんですけど、本名をそのままペンネームとして使ってるんです。だからLIGブログでの表記をあだ名にするかペンネームにするか悩んだんですけど、結局は併記でいいかなと思ってそうしました。
僕はそんな感じでやってるんですけど、採用面接で来てくれた応募者の方からもたまに「あだ名ってつけなきゃいけないんですか」って聞かれたりするんですよね。
ゴウ:なるほどね。まずは自分が呼ばれたい名前が最優先で、特にルールとして決めてるわけじゃないよ。あだ名じゃないといけないってことはない。
ケイ:本名でもいいわけですよね。堀田さんは「堀田」なわけですし(堀田さんのメンバーページをご参照ください)。ただ、メンバーページ上でも社内でも、多くの人には「あだ名」がついていてそれで呼ばれていますよね。そうなると、どういう基準であだ名を決めていけばいいのかが気になってしまって。
ゴウ:基本的には、本人がどう呼ばれたいかでいいと思ってるよ。俺は「友達になんて呼ばれてるの?」ってよく聞く。昔からの友達に呼ばれている名前のほうがしっくりくるじゃん。その人がなんて呼ばれるのが気持ちがいいのか、俺はそこが一番大事だと思ってる。
ケイ:たしかに入ってみて、ほとんどの人は「呼ばれたい名前」を自分のあだ名にしていますね。ただ……「齊藤ジョニー」とか「野田クラクションべべー」のように、明らかに芸名感のある人もいるじゃないですか。最初見たときは「なんじゃそりゃ」って思ったんですけど(笑)。
ゴウ:まあ正直、「齊藤ジョニー」とか「野田クラクションべべー」みたいに芸名っぽいビジネスネームを付けちゃってることもある。どっちも俺が考えた名前だけど、でも彼らが活動しやすくなるようにめっちゃ考えて名前を付けてて。子どもに名前をつけるときってめっちゃ考えるじゃん。俺は「人の名前を考える」ってそういうことだと思ってるんだよね。
ジョニーにしてもべべにしても、営業なり広報なりで人前に出ることが多い仕事だし、キャッチーで呼びやすい、聞きやすい名前、ビジネスでもちゃんと使える名前って何だろう? ということはめっちゃ考えた。
でも、そういう思いもなく、単に面白がって押し付けるみたいな、そういうのは違うじゃん。ちゃんとビジネスでも役に立って、本人も大切にしてくれるような名前じゃなきゃダメだって思うんだよね。
ケイ:なるほど。実際、「齊藤ジョニー」にしても「野田クラクションベベー」にしても、本人も周囲も相当気に入って使ってますよね。一回で覚えられるインパクトがあるのもいいなぁ、と思います。
「齊藤ジョニー」「野田クラクションべべー」誕生秘話
ケイ:ちなみに「齊藤ジョニー」と「野田クラクションベベー」は、どうしてこの名前になったんですか?
ゴウ:さっきも言ったみたいにジョニーは営業で、外に行って名乗ることが多いわけだよね。名刺を渡したときに、記憶に残ってもらえるような、呼びやすい名前ってなんだろうって考えた。しかもあいつは顔が濃くて「ジョニー」っぽいじゃない。
ケイ:馴染んでいる感は認めざるをえないですね……。(齊藤ジョニーのメンバーページをご参照ください)
ゴウ:あとは、もうひとり「齊藤ジョニー」っていう同姓同名の爽やかイケメンのシンガーソングライターがいるんだよ。その彼に勝てるくらいに活躍しろって、そういう思いを持ってつけたんだよね。
ケイ:なるほど。「ふっせまさぴろ」とかもそうですけど「あだ名をハードルにしてそれを越えていけ」っていうのは、謎にLIGで受け継がれている感はありますね(笑)。
▼「ふっせまさぴろ」というあだ名の社員については、下記の動画をご参照ください。
ケイ:では、「野田クラクションべべー」はどうですか?
ゴウ:べべもめっちゃ面白いやつなんだけど、本名のままだとあいつの面白さがうまく出ないなと思って、パンチの聞いた名前にしようってことを話してて。野田クラクションべべーの由来は、昔のMステ(ミュージックステーション)だよ。
ケイ:えっ、そうなんですか?
ゴウ:「t.A.T.u.(タトゥー)」っていうロシア人の二人組がいたでしょ。彼女らがMステをドタキャンして尺が空いちゃったときに、ミッシェル・ガン・エレファントが「代わりに俺らが歌います」って出てきて、そのときに歌ったのが「ミッドナイト・クラクション・ベイビー」っていう曲だったんだ。
ケイ:へー、そうだったんですねぇ。 t.A.T.u.ドタキャン事件って、存在自体は知ってましたけど、そのときにミッシェルが歌った曲がそれだったと。
ゴウ:誰かがピンチのときに、「俺がやります」って言って前に立てるような、ロックな男になってほしいっていう願いを込めて、「ミッドナイト・クラクション・ベイビー」から採らせてもらった。「クラクションベイビー」よりも、「クラクションべべー」だなって。で、苗字の野田は残して、「野田クラクションべべー」。
ケイ:なんか、いい話だ(笑)。
ゴウ:いい話でしょ(笑)。
ケイ:でもジョニーさんにしてもべべさんにしても、「お客さんにいじってもらってなんぼ」というところもありますし、覚えてもらうことって本当に大事なんだな〜ってことは、LIGに入って思いました。本人たちも周囲も気に入っていて、お客さんにも覚えてもらいやすいのであれば、それはそれで合理的なのかもしれないですね。
まとめにかえての余談
僕はLIGブログ上では「ケイ」という表記を使っていつつ、ライター名として使っている本名も併記することにしました。本当は「ケイ」だけでもいいのですが、IT/Webも好きだけど出版業界にいまでも魂を引かれている人間として、これまで使ってきたライター名も残しておきたいという思いがあります。
今でも自分のSNSで「LIGブログでこんな記事を書きました!」って発信すると、出版関連の知人から「記事にケイって書いてある」「なんじゃそりゃ(笑)」とツッコミが入ることがあります。僕もそういう「あだ名でなんか発信する」というのは恥ずかしい、という感性はまだありつつ、それ以上にメリットも多いなぁと思うのです。
今回の記事で、少しばかりは社内の雰囲気を伝えることができたのではないかと思います。というわけで若干むりやりですが「LIGで働いてみようかな」と思ってくれた方は、Wantedlyにいろんな採用情報がまとまっているので、ぜひ見てみてください!