フロントエンドエンジニアのほりでーです。
Web業界では、社内・社外の勉強会や上司や顧客へ向けたプレゼンなど、何かとスライド資料を作成する機会が多いかと思います。LIGでは特にその機会が多く、前職に比べてスライド資料を作ることが増えました。具体的には
- 月数回開催されるエンジニアチームでの社内勉強会
- STUDIO上野で担当している特別講義
- 社内での上長への提案
などです。こういったスライド資料を作っていく中で、次のような課題を解決したいと思うようになりました。
- なるべく時間をかけず、スライド作成よりも内容に時間を割きたい
- 見栄えはできるだけ綺麗にしたい
- 伝えたいことが分かりやすく伝わるものにしたい
- 内容に応じて柔軟にアレンジできるものにしたい
- プロジェクター、Web、印刷などの多くの用途で遜色なく使えるようにしたい
今回は、こういった課題を解決できるスライド資料の作り方をご紹介します。なお、学会発表や大規模なコンペでのガチな提案などには向かない場合もあるのでご了承ください。
デザインについて本格的に学びたい!
クリエイティブなお仕事がしたい、働きながらスキルを身に着けたい、誰かに教えてもらいたい……という方は、「スクールでの勉強」もおすすめです。どんなスクールがあって、どんな内容が学べて、費用はどれくらいするのか、情報として持っておいて損はないはず。下記におすすめスクールを集めてみました!
【2024年12月最新版】Webデザインスクール人気30校を徹底比較|目的別に紹介!
目次
比率は4:3か16:9か
一番はじめに考えたいのはスライドの縦横比率の選択です。結論からいうと流用性の高さを選ぶなら4:3、スクリーン表示に特化するなら16:9というのが私の意見です。
プロジェクターや画面表示のことだけを考えるのであれば、16:9サイズの方が有利です。スライド1枚あたりに無理なく収められる情報量が多く、画面の隅々まで使えるためです。
しかし、そのメリットは他のメディアへの流用性を考えたときに崩れます。作成した資料をSlideShareで公開したり、スマートフォンの縦表示での閲覧性や、A版への印刷のしやすさを考えると、4:3縦横比の方へ軍配が上がります。自分が想定する用途にあわせてスライドの縦横比率を選択しましょう。
私の場合両方のフォーマットのテンプレートを準備していますが、4:3の使用実績の方が豊富です。
よく使うレイアウトをマスター化する
KeynoteにしてもPowerPointにしても、スライドのひな型(マスター)を編集する機能が付いています。この部分を自分のよく使うフォーマットにあわせて鍛えていくと、スライドの作成効率が飛躍的に上がります。人によって使いやすいフォーマットには違いがあり、一概にこうするのが良いというのはないと思いますが、参考までに私の使っているフォーマットの種類をご紹介します。
表紙
白地と反転版のバリエーションを用意し、スライドのテーマによって使い分けられるようにしています。
大見出し
センター寄せで、白地系と反転バージョンがあります。同じレイアウトでも白地系と反転版を繰りかえすことで、文字だけで発表内容にメリハリを付けられるようになっています。
見出しと箇条書き
見出しと箇条書きをベースとした数種類のフォーマットを使い分けます。私の場合、だいたいの事柄はこのフォーマットで間に合っています。
背景のみ
最低限の背景や、背景すらないシンプルなフォーマットも用意しておき、特別な図解や、図版をフルスクリーンで見せたいときに使います。背景だけのテンプレートがあると上に好きなものを載せられるので、柔軟性の高い運用ができます。
自己紹介や裏表紙
フォーマットとは少し違いますが、自己紹介や裏表紙は毎回決まった内容となることが多いので、あらかじめ使いまわせるものを準備しています。
共通フォーマット
スライド下部にはこのスライド資料全体のタイトルと、ページ番号を常に入れるようにしています。これがあると印刷時にバラバラになってしまっても関係が分かりやすく、また、まるで書籍のフォーマットのような制式な雰囲気を出すこともできます。他の要素を圧迫しない程度に入れてみるのがおすすめです。
スタイル機能を鍛える
ここまでやるのは少し大変ですが、見出し、本文のフォーマットや、オブジェクトのスタイルも自分で使いたいものだけを整理していけば、さらに生産性がアップします!
全体の意匠を自分の好みで統一する
意匠とは外観や図案のことです。色彩・文字・形体の種類をあえて限定することによって、スライド資料を通じて統一感のある整然とした印象を与えることができます。
- 使われている色彩を、無彩色・テーマカラー・アクセントカラー程度に整理する
- フォントの種類を汎用的に使える1種類、3ウエイト(太さのこと)程度に整理する
- フォントの大きさの種類をある程度整理する
- よく使う矢印マークや表組みのフォーマットを統一する
プレゼンソフトに最初から入っているテンプレートは、これらの意匠が既に整理されているため、通常は自分でこだわらなくてもスライドが作れるようになっています。しかし、実際のところこれらのテンプレートは英語での利用を想定した作りになっていたり、自分の好みとマッチしていない部分があったりで、気にいらない部分も出てくるでしょう。
フォーマットをカスタマイズするのであれば、自分の好みが反映された意匠を作ってみるのも楽しいものです。お気に入りのフォントや色彩を使ってテンプレート化してしまえば、以降ずっとそのテーマを使い回してスライドを作成できるようになります。
私の場合、緑のテーマカラーとピンクのアクセントカラーを中心にした色彩と、大きめのフォントサイズでウエイトの太いヒラギノファミリーを使ってフォーマットを作っています。これにより、これまでのスライド資料を一覧化すると統一感のある意匠になっています。
よく使うパーツをストックしておく
矢印、表組み、マーク、吹き出しなどといった要素は、一度作ったものをどこかにまとめておくととても便利です。都度パーツを作る手間が省けるだけでなく、全体を通して意匠が統一されるため、見た目も整理された印象となります。
スライド1枚あたりの情報量を制御する
スライド1枚あたりの情報量を多くするか、少なくするかで、発表のテンポや資料の読みやすさにも影響があります。
スライド1枚あたりの情報量を増やし、全体のページ数を減らした場合:
- 印刷したときの資源の消費が減る
- スライドの情報量が多いので、スピーチの進行に対してスライドをめくる回数が少なくなる
- 細かい情報が増え、スマホや縮小印刷時に内容が読みにくくなる
スライド1枚あたりの情報量を減らし、引き換えに全体のページ数を増やした場合:
- 印刷したときの紙の枚数が増える
- スライドの情報量が少ないので、スピーチの進行に対してスライドをめくる回数が増える
- 情報が少ないので、要素を大きくレイアウトできる。結果、スマホや縮小印刷時でも内容が読みやすい
どちらが良いか
スライド1枚あたりの情報量の増減は、物理的なスライドの枚数や、スライドの内容のレイアウト的な自由さとトレードオフの関係にあります。
スライド1枚あたりの情報量を増やした場合は、スピーチの内容に対してスライドをめくる回数が少なくなります。これは、画面の変化が少なくなるので聴衆が退屈しやすい、というデメリットと、画面の変化よりも登壇者のトークに注意を向けやすい、というメリットの両方の側面があります。
反対に、スライド1枚あたりの情報量を減らした場合は、頻繁にスライドをめくることになります。とりあえず画面の変化があるので、聴衆をスライドの内容に集中させやすいというメリットと、登壇者自身へは注意が向きにくいというデメリットがあるでしょう。
このどちらを選ぶのが良いかは、自分の性格や、発表したいコンテンツに応じて選択するべきです。私の場合は全体的に後者のアプローチを好んでいて、それは
- 遠くの席、スマホ表示、縮小印刷での可用性を確保したい
- 次々と画面を切り替えて、テンポよく進行している雰囲気を出したい
- 1つ1つのコンテンツに多くの面積を確保して、自由に図解や注釈を入れたい
- スライド1枚の情報が少なく趣旨が明確になるので、観る人にとって理解しやすくなる
といった判断からです。LTなどの比較的ラフな発表では、こちらの方針の方がマッチしやすいのではないかと思います。「何秒〜何分に1回スライドをめくるのが良いか」をベースに、スライドの情報量を制御してみてはいかがでしょうか。
スライドをプレゼンの強力な武器にしよう
整った見栄えで要点をおさえた資料をサクッと短時間で作れるようになれば、資料を作るのが楽しくなり、発表の回数も増やしやすくなります。是非、自分の用途に合ったスライドフォーマットを作成し、強力な武器を手にしてください。
LIGはWebサイト制作を支援しています。ご興味のある方は事業ぺージをぜひご覧ください。