うぬらこんにちは!
カリカチュアの帝王、田中ラオウです。
日本古来のことわざ「帝王の周りには帝王が集まる」とはよく言ったもので、ラオウの友達の帝王っぷりが目に余るので、この前地元に帰ったついでにインタビューしてきました。
いち音楽ファンがどうして、憧れのアーティストのアートワークを担当するデザイナーになったのか。その理由や道のり、今後のビジョンなどを聞いてきました!
インタビューされる人:N.S.P グラフィックデザイナー 。2010年より札幌を中心に活動を開始、主にヒップホップ業界で数多くのアーティストのCDジャケットや、イベント広告、アパレルブランドなどのデザインを手がける。 現在は北海道最大級のクラブイベントである「街おこし」のトータルデザイン、2013年〜2016年KENTO MORIのツアービジュアルデザイン、ZEEBRAのレーベル「GRAND MASTER」ロゴ制作、DOBERMAN INFINITY LIVE TOUR 2016グッズ制作などを行っている。自身のブランドである「REPRESENT」からリリースした札キャップやナマラヤバイキャップがロングセラーとなっている。レペゼン函館。ラオウとは北海道造形デザイン専門学校の同級生。 http://nsprepresent.wixsite.com/nspdesignworks |
代表作は「それゆけ!カリカチュア帝国」のカバーデザイン
ーN.S.Pの代表的な仕事といえば、ZEEBRAのレーベル「GRAND MASTER」ロゴ制作や、横浜レゲエ祭「ONE LINK」のロゴ制作、最近で言うと、フリースタイルダンジョンのモンスター達の楽曲「MONSTER VISION」のジャケットデザインとかが印象的なんだけど、1番の代表作はこの連載「それゆけ!カリカチュア帝国」のカバーデザインってことで間違いない?
に、しとこう!(笑)
仕事のきっかけについて
ー学生時代、N.S.Pから「俺ベスト」という自作のヒップホップセレクションMDを貰ってよく聞いてたのを覚えてるんだけど(笑)、そのMDに何曲も入ってたようなアーティスト達と今どんどん繋がって一緒に仕事してるってなまらすごくない? 一体どういうきっかけで仕事に繋がってるの?
俺ベスト! あれは有名だからね(笑)。ラオウvol.何持ってる? 今俺の家に俺ベストvol.28まであるかんね(笑)。
仕事のきっかけは、やっぱり「街おこし」かなあ。
2000年より “音楽で北海道を元気に!”をテーマに開催されているイベント。2012年よりN.S.Pがトータルデザインを担当。https://ameblo.jp/machiokoshi-00/
自分の中で昔から、ヒップホップに関わるデザインがやりたいって気持ちはあったんだけど、やり方もルールも分かんないから、「街おこし」にゲストで来てくださったアーティストに、作った作品をとりあえず見てもらってたんだよね。
何回か見てもらってるうち、その相手をモチーフにした仮想のデザイン物を見せたときが一番喜んでもらえることに気づいて、本人に会う前にその人モチーフのジャケットなんかを勝手にデザインして、見てもらってたんだよね。それを気に入ってくれたりして、きっかけができていった感じかなぁ。とにかくやり方がわかんなかった。
フリースタイルダンジョン
ー「MONSTER VISION」のジャケットデザインはどういうきっかけで依頼を受けたの? ZEEBRAさんから話が来たの?
いや! よくZEEBRAさんとの繋がりで依頼が来たと思われがちなんだけど、実は全然違くて、はじめは、GRAND MASTERがモンスター達の楽曲を制作するってTwitterで見て、自分から、チコさん(CHICO CARLITO / 楽曲参加メンバー)に、ジャケットデザインがもう決まってるかを問い合わせたんだよね。
フリースタイルラップバトル番組『フリースタイルダンジョン』での、プロの強豪ラッパーの呼称
それで「決まってないと思う」って言われたから、その日のうちに自分で2案くらいデザイン作って見てもらったの。そしたらイイねって言ってくれてマネージャーさんと繋いでくれて。
今まで色んなアーティストと繋がってお仕事させて頂いてきたけど、やり方は、ただのヒップホップファンが憧れで作ったものを図々しく本人たちに見せてきただけなんだよね(笑)。
デザインについて
ーちょっとデザインについて聞かして。例えば今名前が出たチコさんが昨年末にリリースしたアルバムのジャケットも、N.S.Pがデザインをやってたと思うんだけど、あれ沖縄っぽくてめちゃめちゃ良い写真使ってるよね。
でも、ある意味ヒップホップっぽくないというか、ジャケットから音楽のジャンルを嗅ぎ取るのが難しいデザインだと思うのね。そのあたりN.S.Pがどういう考えでデザインしてるか教えて。
ヒップホップのジャケットデザインって、アメリカで流行ってるものをそのまま日本人でやるっていうパターンも多いと思うんだけど、自分はアメリカのヒップホップにそんなに詳しくないし、そこで勝負しても勝てないから、普段は自分で感じたアーティストの印象に合わせてデザインしてます。
あと今回は、とにかくチコさんをできるだけ小さく載せたかったんだよね。その方が沖縄のでっかい海が映えて、沖縄を背負ってレペゼンしてる、っていうメッセージがきちんと伝わるから。そういうイメージと、先方から頂いた素材写真がバッチリ嚙み合った感じです。
曲の歌詞で「おばあたちが流した涙、海の色。おじいたちが流した血、太陽の色」という歌詞があったんだけど、そのイメージで、オモテ面を空と海の青、裏面を夕日にしたんだよね。
このためにデザインを始めた
ー今まで数えきれないほどのデザインをやってきたと思うんだけど、なんか印象的な仕事はある?
それはジブさん(ZEEBRAの愛称)だよ! GRAND MASTERロゴだよ。そのためにデザインやってきたもん。スーパースターだもん。ジブさん愛は絶対語り尽くせないからやめよう(笑)。
俺はとにかく日本語ラップ大好き。日本語ラップにパワー貰ってきてるから。
キレイごとだとか言うな! マジでうるせえ! 俺のこの人生で証明するぜ!(ZEEBRAの曲『STREET DREAMS』の一部を突然歌い出すN.S.P) ……俺バカだから、ラップの言ったことそのまま信じちゃうんだよね(笑)。
ー僕もN.S.PにオススメされたZEEBRAさんの曲『STREET DREAMS』には、世界大会のときなんかにかなり励まされたよ。
ストドリは最高。あの歌パンチラインだらけでしょ。時代によって刺さるリリックはちがうけど。歌詞の、「だれも止めらんねぇハイパーなやつ」になったつもりで頑張ってるもん(笑)。
最強のライバル
ーDOBERMAN INFINITYのMC・SWAYなど、札幌から東京に出てスーパースターになった人たちが沢山いるけど、仲間の活躍はどう見てるの?
ホントSWAYと今会ってなんの話するか迷うね(笑)。だいぶレベル高いでしょ。ラオウとかもそうだけど、SWAYに対しても負けたくないって気持ちは持ってるし、まだプレイヤーとしてできるとこまでやってみたいから。
でも本当、要所要所でいい話をくれるSWAYには感謝してますし、また対等に仕事の話ができるように俺は俺で頑張るのが正しい形だと思う。彼らのスピード早すぎて追いつけないけど(笑)。全然止まってくれないんだもん。
N.S.Pがデザイナーとして、イベント「街おこし」に関わり始めたのと同じころ、出演者としてレギュラー出演し始めたのがSWAY。2人は「街おこし」同期のような関係で、良きライバルだった
最近流行のヒップホップ
ー地上波でフリースタイルバトルの番組が放送されてるとか、純粋にヒップホップが流行ってると言っていいと思うんだけど、ヒップホップ業界の今の盛り上がりはどう感じてる?
みんなこれで売れたとは思ってないと思う。こっからどうするかを考えてやってると思う。その中のひとつの仕掛けが、今回のMステ(※2017年6月16日放送回に、フリースタイルダンジョンの主要メンバーが出演)だと思うので、またこっからスタートな気がします。
けど、般若さんとかがMステ出るとか、ヒップホップが地上波でかかる日が来たってのはすごいことだし、めちゃくちゃ嬉しい。自分がデザインをやってなかったとしても、こんなに嬉しいことはないよ。
今回たまたま楽曲のデザインを作らせてもらえたので、少しでも関われてホントに嬉しい。けどもし自分が全く関わってなかったら、やっぱりかなり悔しいと思う。こんなに世の中が大好きな日本語ラップで盛り上がってるのに自分何やってんだって。
だからこれからもひとつひとつ、チャンスを逃さないようにやっていきたい。
今後の夢や目標
ーデザイナーN.S.Pの今後の目標や夢を教えてください。
直近でいい? あと2年くらいでN.S.Pの活動が10周年になるんだけど、それを期に今まで関わってきた楽曲をコンパイルしたCDを出したい! メンバーはいろんなジャンルの人になると思うんだけど、そんなことやったデザイナーいないからさ。
北海道のやつが、なんでこんなCDを作れんだ、って思わせたい。
ーそれは究極の「俺ベスト」だね。「やったことないことやる」っていうのはかなりヒップホップらしくてカッコイイと思う。今日は話聞かしてくれてサンキュー! そんじゃまた。お互い頑張ろう。
おー! したっけウンコして帰るからここで!!
- N.S.P 公式Webサイト「N.S.P DESIGN WORKS」
- REPRESENT公式通販「REPRESENT ONLINE STORE」
田中ラオウ公式Webサイト 「The Artwork of Raou Tanaka」
田中ラオウ監修の似顔絵販売「似顔絵制作ドットコム」