うぬらこんばんは!カリカチュアの帝王、田中ラオウでございます。
今回は結婚式で活躍する似顔絵ウェルカムボードの紹介します。
ウェルカムボードとは、結婚式場の入り口に飾ってある「我々のハッピーなウェディング会場へようこそ」という感じの案内板のこと。よく見かけるものでは、ボードや鏡に新郎新婦の名前とHAPPY WEDDINGという文字がおしゃれに印字されているものや、文字を囲むフレームにお花の装飾がなされたものでしょうか。最近では新郎新婦の似顔絵を飾るのも定番になってきましたね。
僕が似顔絵で商売していることもモチロンありますが、ウェルカムボードには似顔絵を使うのがめちゃくちゃオススメです。なぜなら似顔絵は似てるだけで笑えるから。文字や装飾だけのウェルカムボードでも、式の素敵な世界観を演出できます。しかし、似顔絵を使うと入り口から参列者を笑顔にさせられるので、暖まった状態で式に臨めますね。
似顔絵ウェルカムボードはどこに頼めばいいの?
ショッピングモールや観光地で見かける似顔絵屋に「ウェディング用で二人の姿をドレスとタキシードにして描いてください」と言えばその場で描いてもらえます。実際にドレスを着ている写真を持っていってもいいし、無くても想像で描いてもらえます。最近は、ネット注文で写真から似顔絵を描いてくれるウェブサイトもたくさんあるので、好きなタッチの絵が見つかるまでネットサーフィンするのもありです。大抵どのお店でも描いてくれると思うので、好きなタッチの絵と出会えると良いですね。
似顔絵選びに失敗しないためのポイント
路上絵師も含めると、世の中に似顔絵屋は星の数ほどいて、絵のタッチや技術力はみんな違います。その中にはご自身の好みに合うタッチも合わないタッチもあるでしょう。似顔絵選びをミスってほしくないので、似顔絵屋を選ぶときに注意すべきポイントを紹介しますね。
失敗している似顔絵とは
似顔絵の失敗とは「似てない」これに尽きます。実際、似顔絵屋に寄せられるクレームのほとんどが「似てない」です。
似顔絵は似てないと全然笑えないんです。例えばモノマネ芸を想像してみてください。全然似てないのにモノマネだと言われると笑えないどころかちょっと不快ですよね。反対にそっくりだとなぜか見てる方がハッピーな気持ちになります。不思議ですよね。似顔絵も全く一緒です。そっくりだと「めっちゃよく特徴つかんでるww」という具合に楽しめます。
- 補足
- 僕が生業にしているカリカチュアは、特徴を大きく誇張する似顔絵のことです。モノマネで例えるとコロッケさんのような。好きな人は爆笑できるけど刺さらない人にはヒドイと言われてしまうような、そんな似顔絵がカリカチュアです。そのため僕はコロッケさんが好きです。
というわけで、いかに似せて描けるかがこの仕事の技術の見せどころです。似せる技術が低い似顔絵屋は避けた方が良い、というのがこの項の結論です。
似顔絵師の技術力を見極める方法
とは言っても、いきなりプロの技術を見極めろと言っても難しいですよね。以下に似顔絵屋に似せる技術力があるか判断するための3つの行動を提案します。
1. 作品集を確認する
今まで描いた作品から確認するのが手っ取り早いです。Webからの注文の場合は、作家ごとの作品紹介ページを確認して下さい。観光地などに出ている作家にお願いしたい場合は、店頭の作品サンプルがその人の絵じゃない場合もあるので、本人に「作品集とかありませんか? もしくは作品が見られるウェブページはありませんか?」と確認するのが良いと思います。
その作家が芸能人の顔を描いているサンプルを持っていたら、それがすべて似ているかどうか、モデル選びの傾向に偏りがないか(似顔絵師は自分のタッチに合うタイプの顔や、似せやすい得意なタイプの顔がそれぞれあります。描きやすい得意な顔立ちのモデルだけをサンプルにしている場合があるのです)を確認すると良いと思います。
また芸能人のサンプルよりも一般のお客様の作画実例が載っていると判断の好材料になります。芸能人サンプルの場合は写真を見ながらいくらでも時間をかけて作画できますが、一般のお客様の場合は作画時間に限りがありますし、実際にその作家が商品としてお客様に提供している絵ですから、仕上がりのイメージを掴みやすいです。また一般人の場合は、絵だけでは似ているか判断できないため、絵と一緒にモデルの顔写真が載せてあると思います。これが抜群に似ている作家は技術があると見て間違いないでしょう。
2.作画実績
今まで似顔絵師として何名くらいのお客さんを描いてきたかもひとつの判断基準になります。経験の有無で技術を判断するのはナンセンスだとは思いますが、絵は描けば描くほど上手くなるのも事実です。ちなみに、これは僕の個人的な感覚ですが、似顔絵の大会で活躍するレベルの作家になると最低でも1万人以上は描いている印象です。
3.受賞歴
古今東西、さまざまな似顔絵の大会が開催されています。大会で受賞歴があることは第三者から高い評価を受けたということなので、その作家の絵が自己満足で終わっていない証明になります。また、技術者として自分が試される場に身を置くのは、とても大切な姿勢です。そういう作家の技術には期待してよいのかもしれません。そして、受賞歴が煌びやかなものであればあるほど、多くの人から支持される技術といっていいでしょう。
田中ラオウ作画工程紹介
ここまで偉そうに解説してきましたが、僕自身が上の条件を満たす作家かどうか、実際の作画を見てご判断いただければと思います。「俺っち帝王だから実力なんて見なくてもわかるっしょ」みたいな姿勢は本当に最低だと思うので描きます!
モデルのお写真
僕は普段ネット注文専門で、基本的に写真をメールで送信していただき作画しています。お顔はシワの一本、眉毛の微妙な角度、二重かどうか、だけでも大きく印象が変わるほど繊細な描き分けが必要なので、お客様にはできるだけ本人らしい表情で、鮮明なお写真を用意いただいてます。
下書きからペン入れ
色塗り
新郎新婦の雰囲気によって多少色味は変えますが、明るい仕上がりになるように色を置いていきます。薄い色から順に塗ります。
肌の色と背景
完成
新郎は、この写真だと優しそうな表情をされていますね。しかし参考でいただいた他の写真では、ヤンチャそうな印象があったので、あえてこの表情でお描きして新郎さんから新婦さんへの半端ない愛しみが表現できると、新郎側の親族やご友人が結構笑えるかなと思いながら描きました。新婦は本人のかわいらしさと新郎との体格差をうまく表現すると満足いただけるかなと思いながら描いています。
まとめ
似顔絵は似てないと笑えない!
似ている絵が描ける似顔絵屋を見極める方法は以下の通りです。
- 作品集を見せてもらう、一般のお客様を描いているサンプルがあればそこに注目する。
- 今までの作画人数を尋ねる、多ければ安心というわけでもないが、参考までに。
- 大会などの受賞歴を確認する、大会で結果を出すのは甘くないので受賞歴がある作家は上手い可能性高し。
せっかく似顔絵を描いてもらう気になった方に、満足できる似顔絵屋に頼んでほしいと思い、今回の記事を書きました。技術があるか判断できない場合は、単純に自分が好きなタッチを選ぶのも良いと思います。僕はやはり似てないと満足度が下がると思っています。
しかし、昔ロッテがやったキャンペーンで、当選者が『ちびまる子ちゃん』の作者、さくらももこ先生に似顔絵を描いてもらえる企画があったんです。似顔絵自体はまるっきりちびまる子ちゃんのキャラクターの絵で、正直似ていなかったのですが、そのキャンペーンのCMで似顔絵を描いてもらった俳優の坂口憲二さんが、絵を見ながら「これ、俺~? 俺かぁ~?? や、でもすっげぇ嬉しい~!!」と言っていたのが印象に残っています。
今回の記事と矛盾するようですが、似ているかどうかが関係なくなるほど絵に世界観があれば、それもまた素晴らしいことですよね。最終的に描いてもらった人が気に入ればそれが正解なんです。最後矛盾ですみません。
※記事中のイラストは全てラオウが描いたものです。
田中ラオウ公式Webサイト「The Artwork of Raou Tanaka」
田中ラオウ監修の似顔絵販売「似顔絵制作ドットコム」