ユーザーを本当の意味でしあわせにしたい。pacrel代表・塩澤が目指す未来

ユーザーを本当の意味でしあわせにしたい。pacrel代表・塩澤が目指す未来

エリー

エリー

「なにをやるかより、誰とやるかのほうが大事」。

そう考える人は多いもの。特に設立したてのベンチャー企業では、ひとり一人の距離が近いため、誰と働くかによって仕事の効率やその後の成長が左右されます。

「世の中のほとんどは、あってもなくてもいい会社。だから私は世界がちょっと幸せになる会社を作りたい」と語るのは、健康食品の通信販売を事業としている株式会社pacrelの塩澤美和社長。誰と働くかを重視して起業した結果、共同創始者と離別。その後、いまふたたび一緒に働きたい人材を募集しているそう。

もともとECの知識が皆無だったという彼女が、なぜ「一緒に働きたいと思った人」と離れても事業を続けてこられたのか。今後のビジョンとともにお話を伺いました。

_31A2433_0420114954

人物紹介:塩澤 美和
山梨県南アルプス市生まれ。
「中途半端ならやらない方がまし」という両親の教えから、何事ものめり込む性格に。学生時代はダンスにのめり込み、数々の大会で賞を受賞。料理教室や栄養学のセミナーの講師、カラーセラピストとしての側面も。

「辞める」選択肢がなかった。株式会社pacrel創設秘話

—— それではまず、株式会社pacrelはどんな会社ですか?

pacrelでは主に、青汁などの健康食品を開発し、通信販売しています。いわゆるEC事業ですね。

スクリーンショット 2017-04-20 11.43.46

▲pacrelの「めっちゃぜいたくフルーツ青汁」

2016年に設立したばかりで、社員はアルバイトを合わせて5人だけ。だからまだ、生まれたばかりのヨチヨチな会社です。

—— 設立してまだ1年未満なんですね。会社を設立したきっかけはなんですか?

設立のきっかけを作ってくれたのは、私が新卒のときに新入社員研修で出会った外部講師の方ですね。入社してから3ヶ月ぐらい研修でお世話になって、その人に誘われてpacrelを起業したんです。彼のことはすごく信頼していたので、「あなたが言うなら!」という感じで、なんの迷いもありませんでした。

でも私はその頃、ECの知識がまるでなくて……その人が手取り足取り教えてもらいながら進める予定だったんですけど、設立一ヶ月ぐらいで彼が辞めちゃって(笑)。

—— え! なんでですか!?

なんでしょう……ビジネスやお金に対する考え方の違いですかね。

私はECについて勉強中の身だったし、なんでも「させてもらっている」感じでいたんですが、その人は「やってあげている」というスタンスの方で。一緒に働いてみないと分からないものもありますよね!

_31A2219

そのときはまだ商品開発の段階で、「通販」って売り始めるまで時間がかかるんですよ。商品の企画・開発をして、撮影もして、同梱物も作って、物流も整えて、コールセンターも作って、カートのシステムを登録して、LPを作って、広告を出して……ってやっていくので。

—— こう言ってはなんですが、そのときに「辞めよう!」とは思わなかったんですか?

「辞める」って選択肢がなかったんですよ。まわりのみんなには「なんで辞めなかったの?」ってよく聞かれるんですが。それを言われて逆に「なるほど、そんな手が!」と思っていたぐらいでした(笑)

でも、彼が辞めたときにはもう商品も発注して、何千万のお金が動いてましたし、他にやる人もいないから、私が辞めるわけにはいかない!って。

—— もう後には引けない状態とはいえ、すごく責任感が強いんですね。そこから採用の募集をかけて、人を増やしていったんですか?

いえ、そのころはバタバタしすぎて「人を採用する」なんて考える余裕がありませんでした……。いろいろなことが初めてなので、なにが分からないかも分からなくて、とにかく失敗して学んでいましたね。今でこそ笑い話ですが、1番大変だったときは、5日で4kg痩せちゃうくらい心身ともに擦り減ってしまった(笑)。

—— でもpacrelの「めっちゃぜいたくフルーツ青汁」はイメージモデルに有名なモデルさんを起用して、Webでの露出も多い人気商品ですよね。そういったノウハウは独学で培ったんですか?

まわりの人に助けてもらいながら、ですね。いろいろ教えてもらっています。彼が抜けてから半年ぐらいは1人でがむしゃらにやっていて、そこから徐々に人を採用していったかんじです。

「社長になりたかったわけじゃない」若き女社長が生まれるまで

_31A2386

—— 昔から「自分で事業をやっていきたい」という気持ちはあったんですか?

いえ、全然!(笑) 社長になりたいなんて自分では考えたこともなかったです。でもSNSで会社設立を報告したとき、まわりからは「やっぱりね!」「いつかやると思ってた」という反応が多かったですね。

—— じゃあやっぱり昔から目立っていたんですね!

学生のときから部長や委員長をやっていたので、人の前に出るのは慣れていたかもしれないですね。

あと、コレと決めたらのめり込むタイプでした。高校受験はどうしても行きたい学校があったので、3年生の秋から猛烈に受験勉強をはじめて睡眠時間は毎日2時間とか。高校時代はダンスにのめり込んで、学校が終わって3つのレッスンを受けて、そのあと深夜練を朝4時までやって、一旦家に帰って7時に学校へ行く。みたいな生活をしていました。

—— のめり込む一途な性格は今でも一貫していそうです。新卒で入った会社はどんな企業だったんですか?

ヘッドハンティングなど人材サービス系の企業で、営業をしていました。実は就職活動をほとんどしていなくて、その会社ぐらいしかまともに受けていなかったんです。

私の母は朝から夜まで土日関係なくバリバリ働く女性だったので、私もいつかそんな風に働きたいと思っていました。でもなかなか働きたいと思える会社がなくて。そんななか、たまたま面接をしてくれた部長と意気投合して、「この人と働きたい!」と思って入社を決意しました。

—— そこで例の共同創始者に出会って、今にいたるんですね。

その共同創業者の外部講師の先生が、ものすごく熱い人だったんです。「この人に認めてもらいたい!」という一心で新入社員研修も、のめり込んでました(笑)。

営業会社では鉄板の、飛び込みの名刺集めや、テレアポとかもしてたんですけど、どうすれば同期や自分に勝てるかを常に考えて、毎日、今の自分が出せる限界までやっていました。

でも次の日には、前日の私に勝つためにさらに全力で挑まないといけない……、毎日泣きながら、吐きながらやってましたね(笑)。でもその甲斐もあって、その会社で歴代1位の記録も出せましたし、その働き方やマインドを、彼が見ててくれたからpacrelを設立するときも、社長として声をかけてくれたんだと思います。

—— 健康食品にはもともと興味があったんですか?

もともと料理が好きだったんです。そこから興味が沸いて、食や栄養学のことを勉強してアスリートフードマイスターや、食事プロデューサー、美容食アドバイザーなどの資格を5つぐらい取りました。そして、その先のインストラクターの資格もとって、講師として栄養学のセミナーをやったり、お料理教室で先生をやったりしていました。のめり込んじゃうタイプなんですよね。

_31A2509

—— それで食品に関する関心が高いんですね! 今後、チャレンジしてみたい食品はありますか?

「本当にお客様のためになっている商品か」は常に追求していきたいなと思っています。もちろんコストとか製法の問題で100%やりたいことができない場合もありますが、コストを重視するあまり「それ本当に使う意味ありますか?」という商品にはしたくないですし、何よりもこの商品はなんのために作ったのか、商品自体のコンセプトはしっかり決めていきたいと思っています。

100円のハンバーガーでも5,000円のハンバーガーでもない価値のある会社へ

—— 今後、pacrelはどういう会社にしていきたいですか?

ひとことで言えば、「ユーザー目線の会社」ですね。企業利益主体の会社って多いじゃないですか。ユーザーの利益より会社の利益を優先するような。「安かろう、悪かろう」の商品を売って、ただただお金儲けを追求して……でもそれって本当に意味あるのかなあって思うんですよね。

そういう会社って「儲ける」ために商品を売っていると思うんですけど、事業をやっている以上、「儲ける」ことは当たり前なんで、その先に、「その会社にはどんな志があって何をしていきたいのか」がないとやっている意味がないと思うんですよ。だから私は意味がある事業をやりたいし、本当の意味でユーザーを幸せにしたい。

—— どうすればユーザーを幸せにできますか?

例えば、粗悪な食材を使った100円のハンバーガーと、質の良い食材を使った5,000円のハンバーガーがあるとします。もちろん品質が高い方がいいけれど、さすがに5,000円はちょっと高いですよね。そこで仕方ないから100円のハンバーガーを選ぶのは個人の自由です。

でも、100円のハンバーガーが体にどんな影響を与えるのか知って欲しいとは思います。それは決して、100円のハンバーガーが悪いと言っているわけではなく、知識があれば選択肢が増えるので、「最近ファーストフードが多いから、体にもこんな悪影響があるな。だから今日は体に良いものを食べよう」とか考えるようになるかもしれない。知らないで選ぶよりも、知った上で選ぶ。そんな人を少しても増やせたらいいなって思ってます。

そのためにも、何年後かにはそういった食の知識を伝えられるセミナー事業にも裾野を広げたいですね。

—— その基盤作りのため、今回は採用活動をしているんですね。募集している職種はなんですか?

広告とクリエイティブ、フルフィルメントに募集をかけています。ほしい人材のタイプで言うと……責任感のある人。

ベンチャーなのでもちろん即戦力になってくれる方はありがたいですが、それよりも「投げやりにならず、最後までやり切れるかどうか」を重視しています。社員もプロフェッショナルな人が多いので、勉強ができる環境はありますし。責任感があってコミュニケーション能力に長けている人なら、そこまでスキルがなくても吸収していけるはずです。

—— 塩澤さんはまだ20代半ばということですが、メンバーの平均年齢もそのぐらいですか?

いえ、もっと上です(笑) アルバイトさんを除けば私が最年少で、30代半ばから40代までの経験豊富な社員が多いですね。

本当にできたての会社なので、やりたいことがある人ならすごく提案がしやすい環境です。その提案にロジックが通っていれば「どんどんやろう!」ってバックアップしますし。責任感があって、自分のやりたいこともハッキリしてる。そんな人が入ってくれれば、コストと価値のバランスが取れた「ちょうどいいハンバーガー」が作れると思います。

_31A2419

—— では最後に、春なので新卒社員にアドバイスをお願いします!

「真面目になりすぎるな」ですかね。合わなかったら辞めてもいいんだよ、と。私も新卒の会社を1年半で辞めていますし、合わない環境で続けるよりは「自分がなにをやりたいか、どうなりたいか」を考えて、そのためにいまの環境で留まることが正しいのかどうかをよくよく考えて判断してほしいです。

「のめり込む」と「責任感」。完全燃焼できる株式会社pacrel

_31A2231

塩澤社長がくりかえし唱えていた「のめり込む」と「責任感」。
「私が事業を続けてこられたのは、まわりがサポートをしてくれたおかげ」と彼女は言うものの、その2つのキーワードこそ塩澤社長の最大の魅力と武器なのでしょう。

最後まで責任感を持ってやり遂げたい!と思っていても、大人になると「ほどよい手の抜き方」を覚えてしまいがち。「そこまで必死にならなくてもいいんじゃない?」なんて言われて、まわりの温度差に落胆することもあるでしょう。

そんな不完全燃焼を感じたとき、まずは「一緒に働きたい社長」がいる会社から探すのも良い選択肢なのかもしれません。

pacrelが気になる方はこちら

この記事のシェア数