ジモコロとAMの両編集長が語る「Webライターに求められる素養」とは? LIG主催ライター勉強会レポート

つむつむ


ジモコロとAMの両編集長が語る「Webライターに求められる素養」とは? LIG主催ライター勉強会レポート

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こんにちは、つむつむです。

わたしは現在LIGで、エディティングチームのアシスタントとしてさまざまなサポート業務を行っています。将来はスキルを身に付けて編集者として仕事がしたい!と、日々修行中の身です。

そんななか、2016年11月7日(月)、東京・上野のコワーキングスペース「いいオフィス」にて、LIG主催の第2回 ライター勉強会「ジモコロ × AM 両編集長が教える読者を引き込む企画の立て方」が開催されました。今回はライター初心者として、この勉強会をレポートします!

というわけで、イベント名にもあるとおり、今回のゲストはこのおふたりです!
 

miyazakisan 徳谷 柿次郎(とくたに かきじろう)氏
1982年生まれ、大阪府出身。株式会社バーグハンバーグバーグ メディア事業部長を務める。ライター編集者Webディレクターという謎のクッションを経て、現在は「どこでも地元メディア ジモコロ」の編集長として全国47都道府県を飛び回っている。常に「一石五鳥」にならないかを考えるのが好き。趣味は「日本語ラップ」「コーヒー」「民俗学」など。
>> イーアイデムの地元メディア ジモコロ
shibuyan 金井 茉利絵(かない まりえ)氏
1985年生まれ、東京都出身。株式会社Diverse LovelifeTeamマネージャーで、女性向けWebメディア「AM」編集長を務める。青山学院大学卒業後、農林中央金庫、編集プロダクションを経て、2011年株式会社ライブドアに入社。「AM」立ち上げ時に編集部に配属、「SOLO」「TOFUFU」をスタートし、現在に至る。
>> AM | 非恋愛時代に、未来はあるのだろうか

 

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株式会社YOSCA代表取締役の宮嵜幸志(みやざき こうじ)氏と、LIGブログ編集長の渋谷匡志(しぶや まさし)が司会を務めた今回のライター勉強会、テーマは「ジモコロ × AM 両編集長が教える読者を引き込む企画の立て方」です。これは間違いなくライターを目指す人にとって勉強になるもの! この日の参加者は69名と過去最大! やはりWeb業界で知られたおふたりの登場ということで、関心度の高い参加者が多かったですね。

それではイベントの模様をお伝えしましょう!

 

「企画が考えられないライターは食えない」ジモコロ徳谷氏

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「ネタ出しがすべて。誰も見たことがないような企画があれば、影響力を持ったライターに頼らなくとも結果は出せると思います」

と、持論を述べる徳谷氏。実際のところジモコロでは、具体的にどのようにネタを出しているんでしょうか。2 つのポイントを教えてくれました。
 

仮説を立てるクセづけを

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「ネタはすでにたくさんあって、どこに落ちているかわからないもの。常日頃、疑問を持ち続けることで実際に検証しに行きます」

という徳谷氏。「自分としては “こうなんじゃないかな” という仮説を立て、それを検証すべく現地に足を運び、地元のいろんな人に話を聞くんです」とのこと。それも「取材です」とは一言も言わずに、談笑を楽しみながら話を引き出すそうです。「話す機会がないだけで、おじさんたちは話したくて仕方ないんですよね(笑)。そこはネタの宝庫だし、地方に行けば、仮説を立証する何かが必ずあるんです」と熱弁。

 

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その仮説も、ひとつだけではなく複数立てることが重要とも述べられました。思いつきなどではなく、自分のなかから生み出せるイメージをとことん膨らませてから取材に挑む姿勢が、あのジモコロの世界観を産んでいるのだと感じ入りました。「自分のやっているメディアのカラーがはっきりしていれば仮説は立てやすい」という言葉も、ジモコロならではのスタンスから出てくるものと言えます。

そんな仮説の原動力はというと、「好奇心」という徳谷氏。

公私混同でいいから、自分たちの好奇心を満たしていくこと。そして、流行に左右されない丁寧な企画づくりを心がけること。「企画の立案に正解なんてありません。自分たちが知りたいと思うことをどれだけ突き詰めていけるか」という持論に、ジモコロの発信力の強さが垣間見えた思いです。
 

フィールドワークが重要

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“仮説を立てること” に続いて導き出されるのが、自らの足で情報を探し出すフィールドワーク。徳谷氏ほどの人物になると、私たちのような新米ライターでは足を踏み入れられない世界からネタを仕入れているのか……などと思っていたのですが、彼が足を運ぶのは、仮説を立てた地方はもちろん、誰もが参加できる普通の飲み会や、自分が暮らしている地元の周辺だとか。

重要なのは、フラットな関係性を持ってアンテナを張ること。私たちもネタ探しでいろんなところへ足を運びますが、それよりも「もっと身近なところに驚くべきネタが眠っている」のだと徳谷氏は語ります。彼と私たちの差は、やはり好奇心の強さ。ついつい聞き流してしまいそうな何気ない話から、「それってどういうこと?」「もしかして、その話にはこんな裏側がある?」と、さらに掘り起こそうとする好奇心が、埋もれている未知のコンテンツを引きずり出すキッカケとなるのでしょう。

 

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「地元の蕎麦屋のおばさんや、取材に訪れた地方の飲み屋など、いろんなところにネタが眠っているんですよ」という当たり前のような話も、ジモコロという世界を生み出している徳谷氏が語ると、深みをもって伝わってくるよう。こちらのジモコロの記事にも、そんな編集部としてのスタンスが垣間見えます。

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好奇心が足を動かし、フィールドワークへとつなげていく。そして自らの足で探りだしたネタが独自性の強いコンテンツとなってアウトプットされる……というわけなんですね。

「ジモコロでは、ネタ出し会議を定期的にしないんです。仮説の切り口はさまざまで、普段のフィールドワークが全部ネタになりますから」

“公私混同”というキーワードがあったように、常にアンテナを張って行動すること。日頃は私たちもネタ探しのために出かけたり、リサーチに時間を費やしたりしていますが、意外と身近なところにもネタが転がっているものなんだと教えられました。どんなものにも好奇心を向けて接してみることが大事なんだと教わりました。

そんな徳谷氏は、日頃からこんなロジックをもとに仮説を構築していくのだそう。

・属人的な世界観にファンがつく
・情報の価値をつける側にまわる
・専門性かタレント性は必ず武器になる
・誰にでも書ける記事はAIに淘汰される
・メディアは大局を描かないと死ぬ

メディアによって、取材への取り組みやスタンスはさまざま。ジモコロの一端が垣間見えたというのは、参加者にとって大きな収穫だったことでしょう。
 

「恋愛企画に一般論はなしで。独自の切り口を」AM金井氏

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「企画は誰かの実体験を元にしていることが多いです。編集部で “土日に起こった恋愛の派手な失敗” の話をしたり、実際に合コンやハプニングバーに行った話を聞いたり」

と金井氏。こちらのフィールドワークも実にアクティブ。刺激的な企画が多いAMですが、コンテンツを生むに当たって心がけていることはどのような点なのでしょうか。

“本当の疑問や知りたいこと”に焦点を当てた企画を

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「『付き合う前にベッドインしていいはずだと思う』みたいに、切り口や仮説が偏っていたって全然いいと思います。恋愛を一般論の観点から語ると、つまらなくなってしまいますよね。大勢の人から聞けそうな正論より、その人が実際に経験して得た本当の疑問とか知見を大事にしたいです。人類全員に伝わるより、『今、本当に困っているあの女の人』に響く新しい尺度の企画が作れたらいいですよね」

ジモコロとはまったく異なる世界観を展開するAMの編集長も、やはり “個が生み出す面白さ” を重視するとのこと。確かに「恋愛」は話題そのものが広いので、どれだけソリッドなコンテンツにできるかはライターやエディターが見てきた恋愛観、それも独自性の強い切り口なんですね。

 

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そしてAMでも、そんな女性独特の視点を軸に仮説を立てていく……という流れを汲んでいます。単純な評価判断として “どこかで見たことあるかないか” はもちろん、それ以上にブレイクスルーした企画になる可能性を秘めているか、も重要なのでしょう。

そんなAMで過去に突き抜けた記事が、こちら。

>> “ノマドセックス女子”が現れた!本命でも浮気でもない新しい生き方

当時流行していた「ノマド」という言葉に、セックスという言葉をかけ合わせて考案したこの「ノマドセックス」企画。やや炎上気味ながら、すごい注目度を集めたそうです。確かにこの言葉のインパクトは相当なものですよね。

また、AMでも連載を持つタレントの下田美咲さんの電撃結婚発表の翌日、「たまたまこのタイミングだった」というご本人のインタビュー記事がAMで掲載され、大いに話題を呼びました。

>> 「セックスだけで結婚を決めてもいい!」下田美咲どうなってるんだインタビュー/紫原明子

下田さんという突出したキャラクターと話題性が組み合わさった、AMらしいコンテンツだと言えますね。
 

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「 “100人と寝ました” っていう人には割りとたくさん出会うんです。ただ、飛び道具的に経験を使うんじゃなくて、そこからどれだけキャッチーな持論を作れるかですよね。また、あくまで例ですが “セフレとは木曜日にしか会わなくて……” っていう、よくわからない自分のルールを持っている人の方が、女子を自由にさせる変わった仮説や企画を生みやすいかもしれません」

ということをさらっと言ってのける編集長です、爆発力というよりは、突拍子もない発想力が力強いコンテンツとなる……。金井氏の話には、そんなメッセージが吹き込まれているようでした。

さらにAMでは、タイトルの付け方にもひと工夫するのだそう。「クスッとさせつつも具体性があるもの」を基軸としつつ、目を引く言い回しになるよう、試行錯誤を重ねているのです。「確信犯すぎるとスベるので、“真面目にいったつもりがちょっと間違えました” みたいな感じを出して、ウザすぎないように調整することもあります」と金井氏。こうしたチャレンジを重ねていくことで、メディアとしてのタイトルの精度も上がっていくのでしょうね。

「その話もっと聞きたい!」と単純に思えるかどうか

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「ライターさんと企画を立てる際には、できる限り客観的に読者として “その話、先が知りたい!” と思うかどうかを最低限の基準にはしています。企画を通すか通さないかでいうと、メディアとしてのコンセプトが明確にあるので、採用に関するジャッジは編集部員全員が大体一致します」

上記のように、これまでの人生経験から生まれた発想力が、力のあるコンテンツとなるわけです。だからライター自身がどんな人生を歩んできて、どうアウトプットしているかが問われているのだな、と感じ入りました。そこで大事なのは、やはり「どれだけ好奇心を持って、どれだけ多くの経験を積んできたか」ですね。

「恋愛というテーマだけに文章力が必要不可欠なんじゃないか」という徳谷氏からのハードルの高い意見については、「確かに細かい着地の仕方や表現に、ライター自身の世界観が出るジャンルかもしれません」と語ってくれました。

 

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「メディアや企画を通して、女性の選択肢を広げたいですね。押しつけがましい表現だとなかなか思うように伝わらないので、笑えたりハッとする提案を織り交ぜた伝え方を心がけていきたい」というブレない姿勢こそが、編集者やライターにとって最大の武器のように感じました。ストイックなフィールドワークやライティングが、面白い記事になる秘訣なのかもしれません。

「ライターとして存在感を増すには、すでに世にあるものの逆張りをやるのは近道だと思います。とはいえ、それぞれ個人が信じる切り口を尖らせ続けるのはずっと必要なことですよね」と、金井氏。概念的に表現するのが難しいところですが、それでも個人のアイディア力の重要性を強く説かれました。自分だけの切り口を見つけねばなりませんね。

 

質疑応答

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ゲストのお二人への質疑応答では、ライターとの付き合い方や選び方に関する具体的な問いから、記事をバズらせる方法についてとさまざまな質問が飛びました。
 

Q1, 編集長ってどんな仕事ですか?

金井氏:みんなにコンセプトを思い出させる係ですかね。あと、励ます係。過剰なくらい褒めて、モチベーションが少しでも上がったらいいなと思ってます。ただ、そこまで明確に仕事を分けているわけでもないので、基本なんでもやります。

徳谷氏:あと、孤独です。

渋谷:わかります(笑)。

 

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Q2, インタビュー記事のコツはありますか?

金井氏:編集部員によっても違うのですが、私はテーマを決めて、そこからブレない質問を用意することが多いです。Webの場合、ふわっとした企画だと誰にも刺さらないので。

徳谷氏:質問を用意するのはベストですね。企業の著名人なら、出ているインタビュー記事は全部読みます。で、今までにない切り口を考える。プロインタビュアーの吉田 豪氏みたいに『よくこんなこと知っているな』ということまで調べられたら理想じゃないでしょうか。どれだけ相手を気持ち良くさせるか、が勝負だと思いますね。それによって返ってくる言葉も違うので。

 

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Q3, 3ヶ月で100万PV目指せと上司に言われました。アドバイスをください。

徳谷氏:よほど大きな流入元がないと無理ですよ。それも、わずか3ヶ月限定のミッションですよね。最近、Web系の会社がなんとなくオウンドメディアを始めることが多くて、若手に丸投げするケースをよく耳にしますが……もうやめた方がいいんじゃないですか? 地に足がついたコンテンツで稼いだ数字じゃないと、将来に生きないと思いますし。って、これじゃ答えになっていないですよね(笑)。

金井氏:それできる自信ないです……(笑)。もし頑張るとすれば、具体的な策として、SNSのフォロワーなど数字を持っている人を使ったり、ソーシャルネットワークの広告を駆使して流入を頑張ったりと、飛道具みたいなものを使うしかないかもしれませんね。

 

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Q4, フィールドワークで、おじさんに話しかける際の注意点をおしえてください

徳谷氏:僕、元々はすごい人見知りだったんです。でも20歳のとき、大阪の牛丼屋でバイトしていたことがいい訓練になりました。というのも、夜になるとお店にはしょっちゅう変わったおじさんらがやってくるんです。彼らと付き合っていくうちに、今につながるコミュニケーション能力を高めていけました。そういう体験があると、大体どんな人に会っても臆さなくなりますね。

あと、年に一回は大阪の西成っていうドヤ街まで泊まりに行って、ヤバいおじさんの空気感に身を置いて「初心に返る」みたいなことをやっています。

注意点というのはありません、積極的に自分から非日常の世界に飛び込んでいくことだと思います。
 

ご参加ありがとうございました

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まさにゲストのおふたりが主役となって盛り上がったこのトークイベント。「個性が大事」というありきたりの言葉に、明確な輪郭が与えられたかのようなでした。精力的にフィールドワークを繰り返し、読者と向き合いながら自身のメディアにさまざまなカラーを付与しているおふたりだからこその力強さを感じた次第です。

あらゆる方面にアンテナを張り、見落としがちなことにも好奇の目を向け、「これってどういうことなんだろう」という疑問を解消すべく自分の足で飛び込んでいく。そこで見つけた意外な発見がコンテンツとなり、オリジナリティとして自分の武器となっていくのでしょう。

穏やかな雰囲気を醸しながらエッジの効いた視点で女性ならではの世界観を形成する金井氏と、全身からほとばしるような情熱と無邪気な好奇心に満ち溢れた徳谷氏。キャラクターは対照的ながら、人気メディアを牽引するおふたりには明確な哲学があり、それが「ジモコロ」と「AM」の背骨として筋を通しているのだと教えてもらえました。

次回のライター勉強会は2016年12月13日(火)、場所は同じくLIGの「いいオフィス」で。今度はどんなゲストが独自の談話を聞かせてくれるのか、今から楽しみですね!
 

(敬称略)

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