伝説のアメリカ人ライターに学ぶ、よい文章を書くための17の心得

トギー


伝説のアメリカ人ライターに学ぶ、よい文章を書くための17の心得

こんにちは! ライターのトギー(@tototogy)です。

アメリカの伝説ライター、ウィリアム・ジンサー氏をご存知ですか?

ウィリアムジンサー http://www.williamzinsserwriter.com/index.html

プロのライターであり編集者でもある彼は、これまで19冊もの書籍を執筆し、名門イェール大学などで文章の書き方を講師を勤めてきたいわゆる文章のスペシャリストです。

彼の代表著作である『On Writing Well』(よい文章の書き方)は販売部数150万部を超えるベストセラーとなり、ライティングの教科書として使われ続けています。

すばらしい本なんですが、残念ながら日本語訳は出版されていないみたいなんです。そこで、名著『On Writing Well』から、より良い文章を書くための心得やコツをピックアップ&トギーなりの翻訳(意訳含む)をつけて、ご紹介していきたいと思います!

1. 文章を徹底的にシンプルにしよう

The secret of good writing is to strip every sentence to its cleanest components.

ー 良いライティングの秘訣は、すべての文章をもっともシンプルな要素まで削ぎ落とすことだ。

これはライティングや編集の世界でよく言われていることですね。でもライターの性分から、つい文章を長く書いてしまう人も多いのではないでしょうか。
 

Every word that serves no function, every long word that could be short word, every adverb that carries the same meaning that’s already in the verb… these are the thousand and one adulterants that weaken the strength of a sentence.

ー 意味のもたない単語、冗長な言葉、動詞と意味がかぶっている形容詞などは、その文章がもつはずの力を弱めてしまう。

無駄に長い文章は本当に伝えるべきことが埋もれてしまう可能性があります。一つ一つの文章、一つ一つの単語に過不足がないか、しっかり見極めていきましょう。

2. 一人称で、人間らしさを表現しよう

Writers are obviously at their most natural when they write in the first person.

ー ライターは、一人称で文章を書くときがもっとも自然体になる。

当然ながら、自分の視点で文章を書くほうが自然に書けますよね。
 

Writing is an intimate transaction between two people, conducted on paper, and it will go well to the extent that it retains its humanity.

ー ライティングとは紙の上で書き手と読み手が親密なやりとりをすることである。だから文章に人間らしさがあるとよい。

文章を書くことは一方的に伝えることであるような気がしますが、むしろ“やりとり”だと表現しているところが印象的です。ただ伝えることだけでなく、読者の反応を意識してやりとりしているような気持ちをもてれば、一つレベルの高い文章が書けそうですね。

3. 文章の書き方は、真似することで学ぶべし

If anyone asked me how I learned to write, I’d say I learned by reading the men and women who were doing the kind of writing I wanted to do and trying to figure out how they did it.

ー どのように文章の書き方を学んだのかと問われたら、私はこう答える。私が書きたいようなものを書いた人の文章を読み、彼らがどのようにそれを書き上げたのかを理解しようとしてきた。

ジンサー氏は、文章の書き方は真似して学んでいくものだと断言します。歴代の名のあるライター陣はもちろん、現在進行形で活躍している人の文章も勉強する必要があると言います。

注目したいのは“figure out how they did it”の部分。単に文章を真似るということではなく、どのようにしてそれが書かれたのか、そのプロセスを吸収することが大切です。

4. 自身の意思を信じて貫こう

Sell yourself, and your subject will exert its own appeal. Believe in your own identity and your own opinions. Writing is an act of ego, and you might as well admit it.

ー 自分自身を表現することが、あなたの伝えたい内容を後押しする。自分のアイデンティティや意見を信じなさい。ライティングとは一種のエゴであり、ライターはそれを受け止めるべきだ。

ライティングとはエゴである、と言い切るところがかっこいい! なにか伝えたいことがあるのなら、その気持ちにしっかり向き合い、自分自身の思いや考えをさらけ出す勇気が必要だということですね。

5. 一番の読者は自分自身。自分を楽しませる文章を書こう

Don’t ask who your audience is…you are the audience.

ー この記事の読者は誰かと問いてはならない。なぜならその読者は……自分自身だ。

読者は自分自身とのこと。とてもインパクトのある言葉です。
 

You are writing primarily to please yourself, and if you go about it with enjoyment you will also entertain the readers who are worth writing for.

ー なによりもまず自分が嬉しくなる文章を書くこと。そうすれば楽しく書き進められ、同時に読者をも楽しませることができるものになる。

自分がつまらないと思っていることって、どうしたって面白い記事にはできないですよね。自分が面白いと思えるもの、楽しいと思えるものを文章にしていきましょう!

6. 単語や文章の“音”を意識しよう

Good writers of prose must be part poet, always listening to what they write.

ー 上手いライターは詩人に違いない。彼らは常に自分が書いたものを聴いている。

“文章を聴く”とは、どういうことでしょうか?
 

Bear in mind, when you’re choosing your words and stringing them together, how they sound. This may seem absurd: readers read with their eyes. But in fact they hear what they are reading far more than you realize.

ー 言葉を選びつなげていくとき、それらがどんな音をするか確認しなさい。読み手は目で読むのだから不思議に思うかもしれないが、人は自分が意識する以上に読んでいるものを耳で聴いているのだ。

黙読していても頭ではその文章の音が流れている人は多いはず。その音が心地よいことが良い文章の秘訣ということです。

7. 定期的に文章を書く習慣を身につけよう

You learn to write by writing. It’s a truism, but what makes it a truism is that it’s true. The only way to learn to write is to force yourself to produce a certain amount of words on a regular basis.

ー 書くことでしか書くことは身につかない。これは自明の理だが、自明の理とたらしめているのは、これが真実だということ。書く技術を身につける唯一の方法は、定期的に相当な量の文章を書くことを自身に強いることだ。

まさしく、といった感じでしょうか。書く技術は書くことでしか身につきません。肝に命じるべし。

8. 読者の心に残したいものを1つ選び抜こう

Every successful piece of nonfiction should leave the reader with one provocative thought that he or she didn’t have before. Not two thoughts, or five just one. So decide what single point you want to leave in the reader’s mind.

ー ノンフィクションで成功しているものはどれも、読者にそれまで知らなかったような刺激的な思いを残しているはずだ。その思いは2つも3つも要らない。たった1つでいい。たった1つ、読者の心に残したいものを決めよう。

文章を書き始めると、あれもこれも伝えたいと観点が膨らみがちですが、1つの記事で読者が読み取れるものはほんのわずかです。読者の心に刺さるなにか1つを選び抜きましょう。

9. 書き出し1文を大切にしよう

The most important sentence in any article is the first one. If it doesn’t induce the reader to proceed to the second sentence, your article is dead.

ー どんな記事ももっとも重要なのは最初の1文だ。その1文が読者を2文目へと誘引できなければ、その記事は死んでいる。

最初の1文で読者は続きを読むかどうかを決めます。その1文に記事のすべてがかかっているといっても過言ではないかもしれません。

ただし、ジンサー氏はこう続けます。
 

And if the second sentence doesn’t induce him to continue to the third sentence, it’s equally dead.

ー そして2文目が3文目に誘引できなければ、同じくその記事は死んでいる。

要するに、最後まで読んでもらいたければ、1文たりとも気を抜くなということですね(笑)

10. 類語辞典を使いこなそう

The Thesaurus is to the writer what a rhyming dictionary is to the songwriter–a reminder of all the choices–and you should use it with gratitude.

ー ライターにとって類語辞典は、作詞家にとっての同韻語辞典のようなもので、さまざまな言葉のチョイスを教えてくれる。感謝して使うべし。

自分の頭の中にある語彙だけで書きがちですが、類語辞典を使えば文章に広がりをもたせることができるはず。使えるツールはどんどん使っていきましょう。

11. 一度書いて終わらせない。リライトしよう

Rewriting is the essence of writing well: it’s where the game is won or lost. That idea is hard to accept. We all have an emotional equity in our first draft; we can’t believe that it wasn’t born perfect. But the odds are close to 100 percent that it wasn’t.

ー リライトはよい文章のエッセンスであり、ここで勝負が決まる。みな最初に描き上げた原稿への思い入れが強く、そこに不備があったと考えるのは難しいことだ。しかしリライトすることで完ぺきな原稿へと限りなく近づけることができる。

自分の文章を読み返して書き直していく作業って、ちょっと面倒くさいですよね。私は苦手です。でも面倒くさいことだからこそ、他の文章と差をつけることができるのかもしれません。

12. 自分のペースで、自分の土俵で闘おう

Many writers are paralyzed by the thought that they are competing with everybody else who is trying to write and presumably doing it better… Forget the competition and go at your own pace. Your only contest is with yourself.

ー 多くのライターが、文章を書いているすべての人と競争しているという思いに苛まれて身動きが取れなくなっている。そんな競争は忘れて、自分のペースで進みなさい。あなたが勝負する相手は、あなた自身だ。

世の中には有名なライターさんがゴロゴロいるし、自分より上手い文章を書く人、すばらしいネタやキャラをもった人がわんさかいます。でもそういった人たちを意識しすぎて自信をなくしていたって仕方がありません。自分は自分。自分が書ける文章に専念すればいいのです。

13. 今記憶に鮮明に残っていることを書き出そう

Think small. Don’t rummage around in your past—or your family’s past—to find episodes that you think are “important” enough to be worthy of including in your memoir. Look for small self-contained incidents that are still vivid in your memory. If you still remember them it’s because they contain a universal truth that your readers will recognize from their own life.

ー 考えすぎないこと。身の回りや自分や家族の過去をほじくり返してエピソードを探さないこと。自分の記憶に今も鮮明に残っている些細な出来事を探そう。記憶に残っているということは、それは読者にとっても自分の人生で見出だせるような普遍的な真実を含んでいるということだ。

こじつけの話は誰の心にも響かないのは想像にたやすいですよね。自分の記憶に残るようなことは、たとえ小さなことでも、他の人の記憶にも残りやすい重要なトピックかもしれません。今頭にある何かを書き出してみたくなりますね。

14. 誰かについて書くときは、その人自身の言葉を聞き出そう

Learn to ask questions that will elicit answers about what is most interesting or vivid in their lives. Nothing so animates writing as someone telling what he thinks or what he does – in his own words. His own words will always be better than your words, even if you are the most elegant stylist in the land.

ー 人生でもっとも興味深くて印象的な話題を引き出せるような、質問の仕方を身につけよ。人の考えやその人となりを説明するとき、“その人の言葉で”伝えるほど魅力的な文章はない。その人自身の言葉はライターがつくる言葉よりもずっと良い。たとえあなたが最高の仕立て役だったとしても。

インタビュー記事で必ず意識したいことです。その人にしか語れない言葉を聞き出せるような、話術のある聞き上手なライターになりたいですね。

15. 文章を終わりを適切に見極めよう

When you’re ready to stop, stop. If you have presented all the facts and made the point you want to make, look for the nearest exit.

ー 文章を書き終える準備ができたらすぐに終わらせよ。必要な要素や伝えたいことを書き終えたなら、最短で終わらせる方法を探すべし。

必要なことを書き終えたら、すぐに切り上げることを心掛けましょう。

16. 良い文章を書き上げるのは大変なことだと受け止めよう

A clear sentence is no accident. Very few sentences come out right the first time, or even the third time.

ー わかりやすい文章は偶然にはつくられない。最初から良い文章が思いつくことなどほとんどなく、3度考えたても思い付くことは稀だ。

良い文章や心に刺さる言葉って、そうそう思いつくものではありません。たまには天から降ってくればいいのに。
 

Remember this in moments of despair. If you find that writing is hard, it’s because it is hard.

ー 書くことが大変だと絶望したら、このことを思い出してほしい。それは大変なのことなのだ。

ライターとして文章を書いていると、壁にぶち当たることや、もう書けない! と弱音を吐きそうになるときがあります。でもジンサー氏でさえ「書くことは大変だ」と言っているのだから、文章を書くのは大変なことなんですね。こうやって素直に受け止めたら、それだけでちょっと心が軽くなる気がします。

17. 自分の文章にプライドをもとう

If you would like to write better than everybody else, you have to want to write better than everybody else.

ー もし誰よりも上手く文章を書きたいと思うなら、上手く書きたいと強い意思をもたなければならない。

良い文章が書きたいと思っているだけでは不十分、強くはっきりと意識する必要があるということかと思います。

さらにジンサー氏は続けます。
 

You must take an obsessive pride in the smallest details of your craft. And you must be willing to defend what you’ve written against the various middlemen – editors, agents and publishers – whose sights may be different from yours, whose standards not so high.

ー 自分が書いたものに対し、細部の細部まで異常なほどにプライドをもたなければならない。そして編集者、エージェント、出版社などのあらゆる関係者に対して自分の主張が正しいと怯まずに伝えていかねばならない。彼らの視野は自分とは違うし、彼らのレベルはさほど高くないのだから。

誰になんと言われようと自分の主張を貫くこと、これがライターとしてあるべき姿だと思います。そのためには、まずは自分の文章としっかり向き合って、誰にも文句を言わせないほどまで昇華させる必要がありますね。

まとめ

こんな数多くの名言を残したウィリアム・ジンサーは、2015年5月に92歳でその生涯を終えました。彼は1976年にこの『On Writing Well』の初版を出してから、最近まで常に内容をアップロードしてきたそうです。人生をライティングに捧げたその姿勢、かっこいいですね。

この記事は、“10 Writing Tips from Legendary Writing Teacher William Zinsser”や“20 Inspiring Quotes From William Zinsser’s “On Writing Well””で引用された文章を参考にしています。この記事では紹介していない引用文がまだまだありますので、気に入った方はぜひご覧になってください。

以上、トギーでした!

トギー
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