こんにちは! Pooleの塚本です。
昨年の11月から開始してきた「待たない採用イベント」もついに7回目。過去のイベントに半分以上ご参加いただいている方もいらっしゃっり、うれしい限りです! 私も毎回毎回本当に勉強になっています。
今回は5月21日に開催をした「テモナ株式会社」と「株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)」の採用戦略についてイベントレポートです。ご参考にしてみてください。
ベンチャー企業なのに新卒比率が85%。テモナ株式会社の3つの採用戦略
テモナ株式会社は、定期通販に特化したカートシステム「たまごリピート」、販促ツール「ヒキアゲール」などを開発・運営している企業です。
過去中途採用をおこないましたが離職率が半年で8割にもなり、思い切って中途採用から新卒採用へ180度転換。
新卒と中途を合わせ、5月現在42名(1年で2.3倍)が入社し、ベンチャー企業なのにもかかわらず新卒比率が現在85%を締めています。
「理念経営が徹底されていないと、結局誰も残ってくれない」と感じた取締役CTOの中野氏が、実際におこなったことをお話いただきました。
テモナ株式会社 取締役 CTO 中野賀通 中学及び工業高校の教員を経て、ベンチャー企業にて事業の立ち上げや国内大手企業のマーケティング基盤構築のプロジェクトに数多く従事。現在はシステム開発統括業務を軸に、社内インフラ整備から採用・教育まで幅広い分野で活動。 |
1.共通のものさしを導入し、自分たちを知る手がかりに
採用のミスマッチをなくすために、まずうちの企業にはどんな人がいるのか、どんな人を必要としているのかを知るのが重要と考え、ストレングスファインダーというツールを取り入れることにしました。
これは、長い質問に答えていくと、繰り返し現れる“考え”や“行動”、“才能”が定義され、34種類にタイプが分類されるもの。
現在、入社前の段階からストレングスファインダーを受けていただき、上位5つの才能をベースに人材配置等をしています。
ストレングスファインダーの導入により、下記のようなメリットを得ることができました。
- 「どんな才能の人がいて、どんな役割を果たしているのか」の詳細分析をしながら採用のミスマッチをなくすことができる
- ストレングスファインダーのような共通のものさしがあることで、採用時にも「アレンジ、学習欲のある人がいいな」と共通した言語での会話ができる
2.自社にフィットする人材を待つより、「育つ文化」をつくる
「自分たちにフィットする人を待ってるよりは、1からフィットするであろう人格や人を見てフィットするように育てればいい」と考え、「育つ文化」の仕組み化にも取り組みました。
具体的におこなったことは以下です。
- アメーバ経営方式を一部採用し、会社のPL/BS、売上から採用コスト、人件費以外の福利厚生を見える化
- 3ヶ月に1回全社員を集めて意見を言い合うぶっちゃけ大会を開催
- 勉強会や開発合宿など社内行事を増加
- 社外との関わりを増やし、自分たちの市場価値を把握
▲右上がぶっちゃけ大会。それ以外は各部門の合宿にて
「対価をもらう」ことを目に見えるようにすることで、新卒社員の目標を「赤字じゃなくて黒転させる」とし、自然と頑張れる環境をつくりました。
ぶっちゃけ大会で出た意見をもとに給与テーブル、評価制度の見直しをおこない、今年の4月から新しい制度でスタートしています。
3.人材を求め、海外まで視野を広げた
6年くらい運用している求人ナビサイトで採用してたんですが、思い切って利用をやめたこともターニングポイントでした。
海外の人材を使って開発のスピードを上げたいと思い、過去の縁もあって、会社説明をしにベトナムのハノイ工科大学へ。
費用もあまりない中での採用活動だったのですが、最終的に4名のベトナム人の採用につながりました。
▲右から2、4番目と左から2、3番目の方をベトナムで採用。うち2名が現在東京オフィス勤務。
思い切って国外に採用を広げたことで、2つの気づきを得ることができました。
- イヤでも動かないと人が採用できない状況にすることで、よい人材の採用を加速することができる
- 「実際一緒に働きたい」思いや、「一緒に夢描いて、ビジョンを実現していくか」がわかれば、国を超えても問題ない
2016年の採用では、7名中5名が外国籍(ベトナム4名、中国1名、日本女子2名)という割合に。
外国籍メンバーを採用した経験がなかったため、当初社内では猛反対の意見がありましたが、最終的には「会社を変えよう」という共通の意識をもち、現在も採用をおこなっています。
質疑応答
Q.海外メンバーの採用に関して、言語の問題はないのか?
A.日本語を勉強をしてもらってから来てもらうので、言語の壁はないです。来日前に半年くらいラボのプロジェクトに入ってもらい、日本でも開発をできるような状態にしています。
Q.どういう文化を作ろうとしているか、そしてどういう施策をアメーバ経営であげている?
A.「ECで日本一を獲る」「顧客の感動」「起業家を輩出する」の3つ理念があります。
理念や制度を変えるプロセスにも参加したいメンバーがいれば参加させますし、経営をしている中で節々に理念に沿ったメンバーを育てるためのプロセスを導入しています。
Q.ストレングスファインダーを活用するためのポイントはありますか?
A. テモナ社の組織は「テクニカル部門」「コンシェル部門」「営業部門」「バックオフィス部門」4部門に分かれているので、部門と職種ごとに、才能ベース適正に応じて人数の配置を変え、運用しています。
【辛抱強く攻めて待つ】DeNAのインバウンドリクルーティング
モバイルを中心としたインターネットサービス事業をメインとし、1999年に設立されたDeNA。プロ野球チームの「横浜DeNAベイスターズ」やその他「Anyca」「ロボットタクシー」「MYCODE」2015年にはキュレーションプラットフォーム「DeNA Palette」など、様々な領域の事業展開をおこなっています。
今回は、採用難易度の高い職種に、て「採用人数を数倍に増やす」「単価を半分まで下げる」ためにおこなわれたことをお話いただきました。
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA) クリエイティブ採用チームリーダー 手塚園子氏 2005年より組織人事コンサルティング企業にて採用/教育研修/評価制度領域のコンサルティングに従事。その後スタートアップ企業での人事/採用責任者を経て2014年にDeNA入社。 |
【戦略】UIデザイナーを採用すべく、コストを意識した採用へ
前職は社員5人のベンチャーにいたので、DeNAに行ったら応募いっぱい来るんだろうな、採用簡単なんだろうなと正直思ってました(笑)
しかし、現実は真逆。UIデザイナーを採用したかったんですが、DeNAはクリエイターのにおいがしないとほぼ応募なし。社名の有名さから想像もつかないほどの人気のなさだったんです。
採用難易度があまりに高いことがわかった後は、いろいろ考えながら採用戦略を整理していきました。
整理していくなかで、採用人数は非常に多いけど、候補者が少ない難関Zone対策を徹底的に考えることに。下記の状況を目指し採用活動をおこなっていきました。
- 何も活動しなくても応募がある
- 10名応募が来て、10名入社決定
- マッチング度合いの高い候補者だけが、向こうからやってくる
=理論上採用担当者が不要になる(笑)
戦略1.市場の中でプレゼンスをあげる
クリエイター採用において、DeNAからクリエイティブなにおいを感じさせることが最初の勝負でした。
どんな言葉が求職者に響きそうかを考え、コンセプト(「個」で勝負できるクリエイターは強い)を決定。コンセプトに沿って冊子の刷新やイベントなどをつくっていきました。(詳細資料)
施策 | 内容/効果 |
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サイト刷新/求人作成/冊子作成 |
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DeNA×Goodpatch社主催のイベント |
(※デザイン×プログラミングをテーマにした回は800名の応募)
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展示会の主催(年に1回) |
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戦略2.市場外から人材を見つけ育成。市場の拡大へ
候補者が少ない難関zone対策として、市場のなかで候補者を見つけるのではなく、市場の外から人材を見つけて育成しようと考えました。
育成のために、オンラインスクールやイベントを主催しています。
施策 | 内容/効果 |
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DelightU |
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UICrunch UNDER25 |
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【結果】1年半で10名の採用に成功
上図が、1年半前から現在の状況の変化です。目標にしていた10名の採用は達成することができました。
どの職種でも、基本的に目指すことは「●●といえばこの企業」といわれることだと思っていたので、いろんなアプローチを仕掛けることで、他の採用にも良い影響が出たと感じています。
結果が出るまでには、現場のクリエイターとの関係性が非常に大事なので、毎日ランチか飲み会へ一緒に行ったり、Slackでコミュニケーションをとったり、会議に勝手に出たりしましたね(笑)
質疑応答
Q.新しい施策にどのくらいのコストをかけているのか。
A.幸いなことに自社にエンジニアやデザイナーがいるので、サイト刷新、社員紹介の冊子作成もそんなに費用はかかっていません。
イベントをするにも場所があるので、飲食代ぐらいしか出費はありませんでした。
Q.現場の声が強い会社では、どうやって協力体制を作って行ったら良いか
A.ベンチャーであれば、代表の方が採用を重視しているかどうかでかなり影響されると思います。代表を採用に巻き込めれるほど、現場の協力体制も整えられるはずです。
Q.1年半の間で具体的に一番良かった施策は?
A.良かったことは「コンセプトを定めたこと」と「UIcrunchという人気イベントをつくったこと」です。
知名度が上がってきているイベントなので、職種別広報にすごい効いているなと思いました。
イベントを終えて
今回のセミナーでは、経営と採用手法の2つの観点からお話いただきました。
過去7回、勉強会を開催してきましたが、各企業さまごとに攻める形はそれぞれ。今後も、もっともっとたくさんの手法や人事の方にとって参考になる情報をご提供できるような勉強会を実施していきますので、よろしくお願いします!
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