こんにちは。ディレクターのはっしーです。
「契約」「法律」
普段制作を中心におこなっている僕にとって、たびたび頭が痛くなるワードです。
でも、クライアントと円滑にプロジェクトを進めるには絶対に必要になってくるものですよね。
今回は、「Web制作時に必要な契約と書類」についてです。
契約の体系によってはクライアントと取り交わす契約の種類も変わってきますよね。
今回はそんなWeb制作時に必要な契約をWeb制作フローに沿って見てみましょう。
引合〜提案
どんな案件もまずはクライアントへのヒアリングから始まります。
この時点でまだ発注が決まっていないのにクライアントからしてみたら、いろいろな情報を開示することは非常にリスクが高いように思われがちです。
でも、プロジェクトの詳細を聞かないことには僕たちも具体的な提案はできません。
そのために、まず「秘密は守りますよ」という契約をします。
秘密保持契約
秘密保持契約は、NDA(Non-disclosure agreement)と呼ばれることもあります。
NDAとは、取引や交渉に際して相手方から一般に公開されていない秘密の情報を入手した場合、それを公開したり第三者に渡したりしないことを求める契約。一方の当事者が相手方に求める場合と、双方が互いに求める場合がある。
「公開されていない秘密の情報を他の人や会社には渡しませんよ」という契約です。
情報を保持している当事者が相手に求める場合と、双方でこの契約をしあう場合とがあります。
クライアントにとっては、引合の段階で複数社にお声がけすることもしばしばあるので、引合内容が他企業に流出するのを防ぐために有効な契約となります。
詳細な取り決めは企業によって異なる場合もありますが、有効期間は1〜3年が一般的です。ただし情報の重要度によっては、有効期間を永久に設定している情報もありますので、契約時には必ず確認するようにしましょう。
契約書は内容を確認後、双方が署名・捺印をし、1通ずつ保管することになります。
ちなみに、よく秘密保持契約と機密保持契約のどちらが正しいのか、と聞くことがあります。基本的にはどちらも正しいのですが、秘密保持契約とする企業の方が多いようです。
発注
クライアントからの要件もある程度固まり、発注の意思をいただいてもまだまだ喜ぶのは早いです。
正式な発注にするために結ぶべき契約はまだまだあるのです。
発注書(注文書)
正式な発注(注文)として、書面にサインをいただきましょう。
発注書は、クライアントから「正式に仕事を依頼しますよ」という覚書です。
これに関しては、厳密に言うと発注書がなくても正式に発注をいただくことは可能です。
それはたとえ、口頭で約束した場合も成立します。
しかし、曖昧なまま進めることは後々の混乱に繋がる要因になりかねないので、発注書もしくはメールなどでエビデンスを残すようにしましょう。
また、発注書(注文書)に対し、発注請書(注文請書)は「確かにその内容で発注を受けましたよ」ということを証明する書類です。LIGではお客様からご要望があればこちらの書類も提出するようにしています。
業務委託契約(請負契約 or 準委任契約)
業務委託契約とは、簡単に言うと「あなたの会社に業務をお願いするからこれは守ってね」という契約です。
契約と名前は付いていますが、実は民法上では業務委託契約というものは存在しません。あくまで請負契約と準委任契約の総称になります。
では、請負契約と準委任契約とはいったい何でしょうか。
請負契約
請負契約は「この納品物を完成させますよ」と約束する契約です。
請負契約とは、企業などが業務を委託する際の契約形態の一つで、受注者が仕事の完成を請け負い、発注者が完成した仕事に対して報酬を支払う契約のこと。
請負契約は仕事の完成を目的とし、受注者は納期までに委託された業務を完遂して成果を発注者に引き渡す義務を負う。仕事の進め方についての指揮命令権は受注者側にあり、発注者が直に管理・監督することは認められない。
ここで重要なのは「仕事(納品物)の完成」をゴールとしているところです。
受注側には完成責任があり、これを一方的に破棄することはできません。
また、瑕疵担保責任があり、成果物に問題が発生した場合は無償で修正をする責任があります。一般的にこれは成果物の引き渡しから1年以内と設定されています。
デザインデータやソースコードなどは納品物に含まれるか否かをしっかりと設定しておかないと、契約が曖昧になってしまいますので「納品物の定義」はしっかりとしましょう。
準委任契約
準委任契約は「お客様から与えられた業務を、責任をもって遂行しますよ」という契約です。
準委任契約とは、企業などが業務を委託する際の契約形態の一つで、(法律行為以外の)業務の遂行そのものを委託するもの。民法656条などで規定されている。
これは運用・保守のような具体的な納品物が発生しないプロジェクトにおいてよく用いられます。
請負契約に比べ、納品物を完成させる責任はないので、基本的には期間内の稼働に対して報酬が発生します。
プロジェクトは進行しないといけないが「納品物の定義」が流動的な場合も準委任契約を締結するのが望ましいでしょう。
他にも労働者派遣契約など派遣業務に関する契約などがあるのですが、LIGではこちらの契約を結ぶことがないので、今回は割愛させていただきます。
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制作〜納品、検収
成果物が無事、完成した後も必要な書類はいくつかあります。
納品書
納品書は「依頼されたものを全て納めますよ」という書類です。
発注書と同様に絶対になくてはならないものではありません。しかし、納品書を作成することによって明確に受注側の作業が完了したことを示すことができるので、お互いの認識にズレが発生するリスクを抑えることができます。
検収書
納品したものに対して「間違いなく全て納品されましたよ」という書類が検収書です。
これは発注側、つまりクライアントが納品された成果物の確認をします。検収書をもって納品が完了します。
請求
クライアントの検収まで終わり、いよいよ請求となります。
請求書
基本的には、見積書もしくはサマリーの項目をそのまま請求書としてクライアントに送付します。
最後の最後に請求タイミングなどでトラブルにならないよう、こちらも見積書を提出するタイミングなどで定義しておくようにしましょう。
やっぱり契約書は、大切!
制作のフローの中でも何種類もの契約書が存在していますね。
中にはうっかり見逃しがちな書類がいくつかありますが、お客様とスムーズにプロジェクトを進めるためには必要な書類です。
この契約を曖昧にしてしまったりすると、思わぬトラブルに発展しかねません。そうさせないためにも契約内容をしっかりと確認し、制作に集中できる環境を準備しましょう。
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