こんにちは、空間ディレクターのリッキーです。サンドイッチが大好物です。
今週は、フィリピン・セブ島のコワーキングスペース「いいオフィス CEBU」の家具を考えていました。
悩んだ末に、街中のカフェへと逃避。いつも、こんな感じでフラッと出かけるので、最近はセブ支社プレジデント(仮)のせいとから「どこに行ってるんですか、早く戻ってきて」とメッセージが届くようになりました。
サボってるわけじゃないんですよ。これも仕事です。
日本だと当たり前だと思っていたことが、フィリピンだと通用しない。
今回のプロジェクトで痛感していることなのですが、家具の制作の場面でも、材料がない、加工できる技術がない、道具がない、という問題に直面しました。
ただ、ローカルで流行っているお店にいくと、解決のヒントがあったりするんですよね。
どういう素材が安価に仕入れられるか、どういう加工だと職人が技術に長けているか。こういう情報があるかないかで、費用の掛かり方が大幅に変わってきます。セブ市内で多拠点に展開しているお店や、クリエイティブな場所ほど、これらの特徴が顕著にあらわれていたりします。
ということで今回は、フィリピンの家具事情についてレポートします。
木材がないフィリピンでは、石の家具のほうが安い
セブ島のカフェやレストランでは、よくこんなテーブルを見かけます。
グラナイトという石のテーブルや、コンクリートやセメントで作られたキッチン。
床もフローリングではなくて、タイル張り。もしくは、セメントを流しこんだような仕上がりのモルタル床の場合が多いです。
右も左も、石、石、石。とにかく石が多用されているのが、セブのカフェやレストランの特徴です。
これはなぜか。セブでは木材が高く仕入れが大変、という背景があるからなんです。
セブで木材といえば、輸入品が主流です。輸送費がかかっているため価格も高価。種類も少なく、指定した木材が発注してから2週間〜1ヶ月ほど待たないと仕入れできないという状況もザラにあるそうです。
その点、セメントやグラナイトといった石材は豊富です。加工の手間はかかりますが、フィリピンは職人の人件費が安い。だから結果、工事費用を抑えられるというわけです。
日本だと、木材はホームセンターに行けばどこでも種類豊富に揃えられています。だから、オリジナルの家具を作るときは、木材を加工する前提で設計することが多いです。
今回の家具製作も、例に漏れず木材を切り出して組み立てる設計だったのですが、予想していたよりも1.5倍ほどの制作費がかかってしまうという結果になりました。(ウン十万円違いますからね……)
なので、当初のプランからキッチン、受付カウンター、ソファなどの大型家具は、セメントをベースにした設計に変更することにしました。費用もなんとか想定内に収まりそう。
セメントだからグラつきも心配することもありません。無骨で荒々しい素材感と、シンプルな意匠が相まって、なかなか良い具合に仕上がりそうです。
ちなみに……、このソファをセメントで設計するアイデアソースとなったこのベンチは、BIG TOM’Sというバーガーショップで見つけました。
店名 | Big Tom’s Charbroiled Burger |
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住所 | Juana Osmeña St,Cebu City,Cebu |
https://www.facebook.com/bigtomscharbroiledbuerger/ |
このボリューム満点のハラペーニョバーガーはポテトが付いて200ペソ(約500円)。ピリ辛で、舌もお腹も満たしてくれます。オススメです。
ドラム缶やタイヤが家具に、アイデアがいっぱい
フィリピンは物価が安いです。
タクシーは初乗り40ペソ(約100円)、食事も70ペソ(約170円)でご飯におかず2品ついてきます。
ただ、チェアやソファ、テーブルなど、ほとんどの家具は輸入品です。家具の価格は、日本と変わりません。
フィリピンに住む人にとって、家具はめちゃくちゃ高価とも言えます。
そんな状況からか、街中のお店には、安く手に入る部材をアレンジして家具として使っているところをよく見かけます。
これは、白く塗ったタイヤに丸いクッションを被せたスツール。
タイヤの弾力とクッションのフカフカ感が、絶妙な座り心地。見た目も可愛くてGoodです。
小ぶりなバイクのタイヤは、ランプシェードに早変わり。シンプルですが、ユニーク。愛嬌たっぷりの照明です。
300ペソ(約750円)ほどで手に入るドラム缶に板を乗せて作ったハイテーブルは、ドラム缶の痛み具合がいい味を出していますね。
同じドラム缶でも、加工次第ではチェアにもなります。背もたれが曲面なので、座り心地も悪くない仕上がりです。
これらに共通するのは、どれも工業製品をアレンジした家具だということ。タイヤもドラム缶も、大量に生産されているので価格も安く、簡単に手に入れられるものばかりです。
またこれらは、溶接や塗装など職人の人件費のみで対応できる加工しか必要としません。多種多様にアレンジされた工業製品メイドの家具は、アイデアの宝庫なんですよね。
なかでも、ガス管を使ったアレンジは、とりわけクールです。
テーブルの脚や、照明など、強度が必要となる部位にも適応できるのがガス管のいいところ。直管、エルボ管(角の部分)、分岐管などの組み合わせで自由にアレンジできるのがいいんですよね。
見た目もパンチが効いてて、ソソります。
特に、心惹かれたのが、このシャンデリア。
大ぶりでダイナミック。インダストリアルなディティールが生み出す、本来のシャンデリアが持つイメージとのギャップがたまりません。
こんな風にガス管を赤くペイントしても……格好いいですね。天井の黒とのコントラストが効いています。
ガス管シャンデリア……これなら作れるかも! ということで、さっそく今度組み立てて見ようと思っています。
ちなみに……、このガス管シャンデリアは、アヤラセンターセブにある THE SOCIALというダイニングバーで見つけました。
店名 | The Social Cebu |
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住所 | L4,Outside,Ayala Mall Cebu,Archbishop Reyes Avenue,Cebu City,Cebu |
https://www.facebook.com/TheSocialCebu/ |
サンドイッチは大体300ペソ(約750円)〜380ペソ(約980円)ほど。
他のカフェにくらべると値が張りますが、アメリカナイズされたボリューム&味が空腹を満たしてくれます。空間もバッチリ格好いいので、優雅なカフェタイムを過ごしたいときにオススメです。
壁は積極的に活用すべし
空間をつくるとき、「どんな雰囲気にするか」「どういう人をターゲットにするか」、よく考えながらインテリアを調整します。
その際に、肝になってくるのが壁の意匠です。
視界に大きく映る壁面は、さまざまな機能をもたせることができます。
メッセージボードのようなコミュニケーションを促す仕掛けを施したり、大きなロゴをあしらってフォトスポットとして活用したり。
また、入り口からどんな風景を見せたいか、シーン毎にどういう印象を与えたいか。これらを念頭に設計すれば、壁はいわばブランドイメージも担う大切なピースとなります。
たとえば、こんなふうに木板を貼り付けるだけで、空間は暖かい雰囲気を帯びます。
このピザ屋さんでは、アクセントにブラックボードを使っているのも特徴的ですね。楽しく、会話がどんどん生まれるような、フランクな雰囲気を上手く演出しています。
また、別の壁を見ると、ここにはピザにどんな素材を使っているのか分かるように、各メーカーのサインロゴが貼られています。
これは、グラフィティとしても優秀ですし、品質保証にも繋がる機能的な壁。この壁だけメタル地なので、ピリッと真面目なムードも出せています。
さらに個性的な壁がありました。
これは飲食スペースをゾーニングするためのガラスパーティションなのですが、透明なガラスを埋めつくすほどの落書きが施されています。
パーティションの近くにはホワイトマーカーが置かれていて、「自由にメッセージを書いて」とひとこと。
落書きをする、というアクションが、会話を生むきっかけを作りますし、唯一無二のアートにもなる。しかも、掛かるコストとはマジックのほんの僅かな費用だけ。このアイデア、素晴らしい!
いいオフィス CEBUでは、コワーキングスペースの入居者さんが自然と交流、そして情報の共有ができる壁を作ろうと計画しています。
たとえば、壁の一面にセブ市街のマップを描いて、街の気になるスポットをどんどんメモをしてもらう。おすすめ情報でも良いし、このスポットが気になってるんだ、という情報でも大歓迎です。
このメモがきっかけとなり、「行ってみよう」「調べてみよう」というアクションを生み出し、新しい発見に繋がるだろうと思っています。
ちなみに……、このナイスな壁のアイデアは、自由にトッピングしてオリジナルピザを作って食べられる、Pizza Republicで見つけました。
店名 | Pizza Republic Pick + Mix |
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住所 | Salinas Dr,Cebu City,Cebu |
https://www.facebook.com/PizzaRepublicPicknMix/ |
トッピングピザは250ペソ(約625円)。
居心地の良いこなれた感のある空間もマッチしてます。「どんな具材をトッピングした?」「どんな味になった?」と会話が弾むので、ランチにおすすめですよ!
さて、家具の部材の買い付けに行ってきます!
若干、食べてばかりいるシーンが目立っていますが……、家具や意匠の設計は順調に進んでいます。
いよいよ、家具の制作です。
今回、家具製作チームの陣頭を切ってくれるのは、イタリアとイランの血が流れるエッサン。エッサンは建築の博士号を持ち、セブ島で語学留学事業を営むQQ Englishのスクールの構築経験もあり、かつフィリピン事情に詳しいスペシャリストです。
さてと……、セブ島中のホームセンターや家具屋、はたまた廃棄場まで駆け巡って材料調達から始めますか!
以上、セブ島からリッキーがお届けいたしました!
最後に、大切なお知らせがございます。
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オープン予定日が変更となります
この度、一部の工事の遅れおよび準備の都合により、オープン予定日を延期とさせていただく運びとなりました。
心待ちにして頂いた皆様、協力して頂いている皆様には大変申し訳ございません。
しっかりといい仕事ができる品質のよい空間を提供したい。
そんな想いを胸に、皆様に満足頂ける空間を精一杯努めて参りますので、少しお時間をいただけますと幸いです。
20名様限定の先行予約割引、月額5,000ペソ(おおよそ12000円程度)でいいオフィス CEBUをご利用いただけるキャンペーンはこれまでと変わらず企画しております。
ご興味のある方は、以下のお問い合わせフォームより「いいオフィス CEBU入居の件」と記載の上、ご送信くださいませ。
オープン日 | 6月中旬(決定次第 アナウンスいたします) |
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場所 | Don Gil Garcia St、Cebu City, Central Visayas |
地図 | |
https://www.facebook.com/iioffice.cebu/ |