KEN THE 390に聞く「サラリーマンやりながらラップ続けるの大変じゃなかったですか?」

KEN THE 390に聞く「サラリーマンやりながらラップ続けるの大変じゃなかったですか?」

ナッツ

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こんにちは、自称ラッパー・ナッツです。

Zeebraがオーガナイザーを務めるラップバトル番組『フリースタイルダンジョン』。ご覧の方も多いのでは? 僕も番組を見て、さらに収録にも行って、はじめて “MCバトル” の現場を目にして以来、「ラッパーに就職したい」熱が高まっています。

そんな中、同番組で審査員を務め、今年でデビュー10周年を迎えるKEN THE 390さんにインタビューさせてもらえることに!

3年近く会社員をしていたKEN THE 390さんのラッパーへの道、そして昨今のラップブーム、また社会人からのラップのはじめ方まで、根堀り葉掘り聞いてきました!

kenthe390 人物紹介:KEN THE 390
ヒップホップMC/株式会社DREAM BOYS代表取締役CEO。リクルートに3年近く在籍していた元ビジネスマンラッパー。現在『フリースタイルダンジョン』の審査員を務める。2016年にCDデビュー10周年を迎え、毎月ワンマンライブを実施する企画『LIVE MARATHON』がスタート。
WEBサイト:http://www.kenthe390.jp/

サラリーマンやりながらラッパー生活「飲み会はいつも断ってました」

リクルート出身ラッパーKEN THE 390

 
― 今年でデビュー10周年、おめでとうございます。学生時代にすでに音楽活動をはじめられていましたが、大学卒業後はリクルートに入社されていますよね。なぜサラリーマンになる道を選んだのですか?

KEN THE 390:就職活動ってはじまるの早いじゃないですか。卒業する1年前とか。そのときはまだアルバムとか出していたわけでもないですし、クラブとかで活動してはいましたが、「ラップでお金もらう」というのをしたことがなくて。
だから実感がなかったんですよね、ラップで食っていくということに単純にリアリティがなかった。でもラップは好きだったから、「仕事しながらラップやりたいなー」と思ってて、就活してましたね。

でも、内定もらった4年生のころからCD出せることになって、しかもなんか調子乗っちゃったのか留年しちゃったんですよ。それで5年生になって、さらにラップの方が調子よくなってきて。
リクルートは内定を1年待ってくれることになったんですけど、内定もらってから実際に入社するまで2年間あって、アーティストとしても活動し始めていて「ヤバい、どうしよう」みたいな(笑) でも1年待ってもらってるんで、入社しようと。

 
― 会社員になって、ラップをやる時間がなくなりませんでしたか?

めちゃくちゃ忙しかったので、その当時は逆にラップが息抜きになってました。仕事終わって帰ってきたら、1時間くらいラップ書いて寝るような感じで。むしろラップやってるから平常心を保っていたなって。たぶんテレビ観て寝るような生活してたら、リセットしきれなかったと思います。

 
― 『ラップのことば2』(SPACE SHOWER BOOKs)で、「ラップをやらなかったら1日が “サラリーマン” で終わってしまうから、30分でもラップやろうと思っていた」とおっしゃっていましたね。

そう言うとカッコいいんですけど、本当に余裕がなかっただけで(笑) あと単純にラップが好きだから「ラップやりたい!やりたい!」って感じでした。でも、本当に時間ないじゃないですか、社会人って。だから「早く帰ってラップ書きたいな」みたいな社会人生活でしたよ。

 

2016年2月10日リリース『真っ向勝負』

 
― 社会人1年目だと先輩から飲みに誘われたり、自分の時間をつくりづらくなかったですか?

いま考えると本当ダメな新卒だったんですけど、めっちゃ飲み会断ってました(笑)
ラップのためというより単純に帰りたくて。でも仕事は一応やらないといけないから、仕事が残っていたら残業はするんですけど、四半期に一回の飲み会とか以外、普段の帰りにちょっと飲みにいこうよみたいなのはほとんど断ってましたね。そしたら、「あいつは、そういうの来ないからな」というブランディングができていったという(笑)

 
― 会社員を続けながら、ライブやったりとラッパーとしての活動も続けていて。サラリーマンとラッパー、二足のわらじを履いて大変だったことはなんでしょう?

アルバムのレコーディング期間が大変でした。ラップ書いたりするのは、あくまで自分の空いた時間で書くじゃないですか。でも、レコーディングだとスタジオに行かないといけなくて。土日だけだと時間が足りないんですよね。

一番忙しいときは、仕事が終わってから夜中にスーツのまんまスタジオ行って、始発で家に帰ってまた会社に行くという生活を一週間ずーっとやるみたいな。
その時期は昼休みは弁当を一瞬で食って公園で寝たりしていて。そういうのが続くようになって、そろそろやべーなと思って会社を辞めました。
でも、すぐにはラップだけで食えなかったので、1年くらいは貯金を食い潰してましたね。

フリースタイルブーム、これはいつか終わる

リクルート出身ラッパーKEN THE 390

 
― KEN THE 390さんも審査員で出ている『フリースタイルダンジョン』筆頭に、いまラップブームが来ていると思うのですが、「ブーム、来てるな」って実際に感じますか?

ブームというか、バブル来てるなって感じです。僕がラップをはじめたときって、もうHIP HOPブームが終わってたんですよ。2000年くらいはDragon Ashとかキングギドラが普通に『HEY!HEY!HEY!』に出てたりとか、ラッパ我リヤがすげー売れてて。当時はTVでラッパーを普通に見ていたけど、僕がラップをはじめた2006年はもう無風で。
だから、初めて「ラップ盛り上がってきてるな」っていま感じてますね。噂には聞いていたけど、これが音楽のブームというやつなのかぁ、と。

 
― このラップブームをKEN THE 390さんとしては、どう見てます?

続いてほしいなって思うんですけど、このブームは絶対終わるだろうなって。ブームが盛り下がりしてるのも見てきたし、いまってHIP HOPブームではなく、フリースタイルブームなんですよね。
HIP HOPの中でも、流行り廃りがある。KREVAさんみたいなスタイルが流行ることもあれば、AK-69さんみたいなスタイルが流行ることもある。そのとき売れてる人のスタイルがぐーっと流行って、そして次のスターが出てきたら次のブームに移って。

だから、まぁブームはいつか終わるだろうなって思いつつ、いまできることを一生懸命やっとかないとなって思ってます。

 
― KEN THE 390さんはレーベルもお持ちですが、いま注力したいことは?

大きいことで言うと、フリースタイルブームから、HIP HOPがブームになってほしいんですよ。MCバトルを見て面白かったから曲聞いてみようとか、ライブ行ってみようとかってなってもらえるようにしたいなって。
そのためにも、MCバトルで人気な子たちの曲をちゃんとPVまでつくって出したり、ライブイベントをちゃんと企画して告知したりして、HIP HOPというジャンル自体を好きになってもらいたい。

あとは僕自身もデビュー10周年なので、毎月ライブイベントをやっていきたいなと思います。

「韻を逃げ道に、好きなことを書き綴ればいい」ラップのはじめ方

リクルート出身ラッパーKEN THE 390

 
― 僕もまさにフリースタイルブームに乗って「ラップやりたい!」と思っているんですが、これからラップをはじめたいという人にアドバイスをいただけないでしょうか?

本当に自由でいいと思うんです。自分の仕事のこととか自分の立場とか環境を、 “ラップ” っぽくしようとせずに言う方がHIP HOPだと思うんで。
いま世の中にあるものを見て、それっぽく披露しちゃうと、もうあるものを真似てるだけ。それはもうHIP HOP的にはおもしろいものではなくなっちゃう。だから誰にどう言われようと、ラップっぽくしようとせずに、オリジナルなやり方で思ったことを思った通りにやったほうがHIP HOP的な感覚ですね。
みんなが思うラッパー像に乗らない方が、いまいるラッパーができないラップできるじゃないですか。

 
― なるほど。まずは自分の言葉で書いてみることからはじめようよ、と。

はい、まず書いてみることですね。そして人前でやってみたり、レコーディングしてみると、めっちゃおもしろいですよ。書いて終わりだと、自分で完結しちゃうじゃないですか。
人のリアクションを見るまでやってみると、ウケるのもあるし、苦しい思いするのもあるんですけど、人に見せるまでがひとくくり。結構そこのハードルが高いから、みんなたどり着かないけど、そこまでやるとハマってきますよ。

 
― ただ、僕もいざノートを開いて「ラップ書こう!」と思っても、なにを書いていいか分からなくなるんですよね。

2つあって、1つは僕もよくバカにされるんですけど、ラップって自分語りを曲にしちゃうのがおもしろいところ。自分のことをひたすらいっぱい書いて、1曲つくっちゃうみたいな。
もう1つは、話芸という一面。たとえば、超ざっくり、「オレの車はすごいんだよ」とかでも1曲書けるんですよね。

むしろ、それで1曲書くのがラップのすごさ。「オレの車すげぇんだ」も、「最新のMacBook風みたいにデカイ」とか「どこどこのコンピューターチップより性能が高い」とか、比喩表現で自分の車がどんだけすごいのかを言えるわけですよ。1つのことを韻を踏みながら、いろんな言い方で言い切って1曲書いちゃうんです。

だから不思議だなと思うのは、韻を踏まない歌詞を書いてくださいって言われると、逆に僕は恥ずかしくて書けないと思うんです。韻が逃げ道になっているのに、その逃げ道がないと100%僕がよいと思っていることを書いてるって思われたら、恥ずかしすぎる(笑)

「2時間以上、時間がとれるときに書きます」KEN THE 390のラップの書き方

リクルート出身ラッパーKEN THE 390

 
― KEN THE 390さんは普段どうやってラップ書いているんですか? 『8 Mile』のエミネムみたいに、いつでも書き綴ったりしますか?

思いついたのをメモすることはありますけど、基本的には家で時間とって「書こう」と思って書きますね。
書きはじめて集中したら、やめたくないので。なにかの途中でやっちゃうと、ひらめいても途中でやめないといけないじゃないですか。そうすると乗りきれないので、最低でも2時間は自分の時間があるときに書きはじめたいと思ってますね。

 
― 普段はノートに書くんですか? それともパソコンで?

A4のノートで書いてます。特にこだわりはないんですけど、なるべく1バースを1ページで書ききりたいので、A5だとちょっと字を小さくしないと書ききれないんですよ。1ページにおさまらないと、歌うときにページめくるのが面倒くさい。僕は普段のノートをそのままレコーディングで使うんですけど、ラップしてるのにペラっとするのはちょっと嫌じゃないですか(笑)

 
― ちょっと帰りにA4のノート買って帰ります。韻を踏むこと以外に、歌詞を書く上でのポイントがあればぜひお伺いしたいです。

ラップってフリとオチだと思ってて。フリの言葉があって、韻がオチなんですよ。意外な言葉で韻を踏むのもそうだし、一方で韻がどんなに堅くてもフリがつまんないとつまんなくなる。
だから先にオチになる韻だけ思いついておいて、これが一番生きるフリをいっぱい考える。それをただ繰り返していくといいのかなと。

 
― なるほど、めちゃくちゃ勉強になります。ありがとうございます。たしかに、実際にラップを書いてみようとすると難しいので、いかにフリースタイルダンジョンのモンスターたちがスゴいかがわかりますね。

本当にそうだと思いますよ。だから、みんなラップやったらいいんじゃないかと思ったりします(笑)
実際にやるとわかる “凄み” ってあるなと思っていて。たとえば、サッカーやったことない人間がメッシのプレイ見ても「まぁ、メッシすごいよね」くらいかもしれないけど、サッカーやったことある人からしたら、「あのプレイ、めちゃくちゃすごいよ!」ってなるじゃないですか。

ラップも同じで、1回ラップを書いてみたり、1回フリースタイルやってみるだけでも、それこそR-指定がどれだけすごいかとかがわかる。普通に見てもすごいんだけど、自分がやってみて出来なさ加減を痛感すると、「あいつバケモンだな」ってなるんですよね。社会人だろうがなんだろうが、ラップに興味を持ったのであれば、一度はやってみてほしいな。

― 僕も、これからラップ書いていきます!

【告知】KEN THE 390が審査員として登場! 社会人のためのラップバトルが5/14開催

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今回インタビューさせていただいたKEN THE 390さんが特別ゲストとして審査員を務める社会人ラップバトル『Businessman Rap Tournament』が5月14日(土)に開催! 当日はKEN THE 390さんのスペシャルLIVEも!

ナッツも当日はエントリーしちゃおうかな。

イベント情報
  • 日時:2016年5月14日(土)18:30開場/19:00開演
  • 場所:Circus-tokyo
  • 住所:東京都渋谷区渋谷3-26-16第5叶ビル1F・B1F
  • 料金:2500円(1ドリンク付)
    ※前売り購入で特製ステッカープレゼント
  • URL:https://peraichi.com/landing_pages/view/businessmanrap
ナッツのラッパーへの道、To Be Continued…

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北海道生まれ、ナッツです。文章書いたり、写真撮ったり、撮られたりしています。好きな映画監督はウディ・アレン。がんばります。■ 個人ブログもやってます。

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