10年後の日本はマジでヤバい――『pairs』エウレカが海外展開に注力する本当の理由

ナッツ


10年後の日本はマジでヤバい――『pairs』エウレカが海外展開に注力する本当の理由

こんにちは、LIGブログ編集部のナッツです。

日本の人口減少が叫ばれる昨今。少子高齢化からはじまり、年金問題、下流老人と様々な課題がいま浮き彫りになってきました。
そんな中、縮小していく日本市場だけでなく、海外進出を進めている企業があります。それはマッチングサービス『pairs』やカップル専用アプリ『Couples』を運営し、2015年にはMatch、Tinder、Vimeoといったサービスを傘下に置く米国 Inter Active Corp(IAC)にグループ入りしたエウレカ。

「ユニバーサルに優秀な人材を育てる」ことを掲げ、海外事業進出に積極的な同社は、いまどのようなアプローチを試みているのか。また、米国企業の傘下に入って約1年が経とうとしている中で、今後どのような展開をしていくのか。
男女ツートップ共同創業者として、いま注目を集めているエウレカ副社長の西川さんにお話をお伺いしました。

Poole:アイコン_エウレカ様 西川 順 | 共同創業者 取締役副社長COO兼CFO
立教大学在学中に、オランダ国立マーストリヒト大学留学。帰国後、ブルームバーグの翻訳チーム、雑誌取材記者を経て、インターネット業界に転職。オールアバウト、サイバーエージェントでWEBプロデューサーを経験し、株式会社イマージュ・ネットに入社。ECサイト運営、新規事業立ち上げ、広告事業などを行う。その後、株式会社エウレカをCo-Founderとして起業、取締役副社長COOに就任。

「勝てない市場では絶対勝負しない」世界のデータがエウレカを加速させる

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― IACに傘下に入ってからもうすぐ1年が経とうとしていますが、いかがですか?

彼ら(IACメンバー)は「アジアのことは、僕たちには分からないから」と、本当にすべてを任せてくれています。ただ、これから日本も含めてどういう戦略を立てていくか、それに必要なことはなんでも協力してくれるんです。

これは世界的なグループ企業にいる利点だと思うのですが、Tinderや他のグローバルサービスの詳細データを見たいといえば、「お、いいよ! ちょっと待って」とすぐにくれるんですよ。それを分析して、うちがアジアのどこから展開していくべきかを決める材料にするわけですが、その過程でデータが足りないと思ったら「あのデータちょうだい」「このデータ持ってる?」と図々しく言いまくると、何でもくれます(笑)
私たちは勝てない市場では勝負しないと決めているので、すでに世界中で使われているサービスのデータにすぐアクセスできるのは本当に助かりますね。

また、3ヶ月に1回くらいのペースでface to faceのミーティングをやるんですけど、私たちがUSに行くのではなく、彼らが毎回、東京に来てくれる。「来たかったら来てもいいけど、大変でしょ?」みたいな感じなんです。でも、彼らもCOOやCSOというCクラスの人たちなんで忙しいはずなんですけどね、毎回来てくれます。
4月も数名来日するんですが、「桜をぜひ見たい!」というので、お花見ディナーをします(笑)
仲がいいというか、我々がビジネスに専念できるように、彼らがすごく気を遣ってくれているので、仕事は本当にしやすい。感謝してるし、彼らと組んでよかったなと本当に思います。

 
― コミュニケーションはもちろん英語で?

英語ですね。今、実際に現場を見ているCOO&CTOの石橋とCSOの中村は、ものすごい勢いで英語を勉強していて、半年ほどでかなり彼らとコミュニケーションを取れるようになってきました。
ただ、極論、英語がしゃべれる、しゃべれないなんて、彼らからしたらどうでもいいんですよね。仕事ができるか、結果が出せるかしか見ていない。

石橋、中村もまだまだネイティブレベルに話せるわけではないので、ミーティングによってはバイリンガルの社員が通訳していますが、USチームも私たちも英語だろうが通訳が入ろうが、お互い話したいことが全部伝わればそれでいい、と思っています。ちなみに、ホワイトボードがあれば、英語力が低くても大体解決しますね。図解したり数式を書けば、一発で理解し合えます。

 
― 代表の赤坂さんは英語を話せるのでしょうか?

赤坂はいまだに英語が話せないままです(笑)
USのメンバーにもずっと日本語でしゃべりかけて、「はい、西川さん。通訳よろしく!」って。しょーもないことまで通訳して、って言うのですが、赤坂が言っていることは3割ぐらいしか通訳してない、これはいらないなと思ったことは無視してます(笑)

それでも、彼らは赤坂や石橋、中村が話していることを黙って聞いてくれますね、日本語でしゃべっている間も、通訳している間も。「めんどくさいな、日本語でしゃべって」みたいな態度は絶対に取らないです。

 
― 西川さんは一方で学生時代に留学されてますよね。留学経験からいまの西川さんに影響していることってありますか?

留学した理由は、大学2年まで付き合っていた彼氏と別れて、日本にいたくないなと思ったのが一番大きかったんですけど(笑) 英語を話せるようになってから、思考の仕方が変わった気がします。

英語って回答する際に「イエス」「ノー」を先に言うのと、文法的に結論が先に出てくる言語ですよね。逆に日本語は最後に結論が出てくる。「私は今日渋谷に行き」「ます」なのか「ません」なのか、最後まで聞かないと分からないけど、英語って先に否定が来るか、肯定が来るかって分かるじゃないですか。

実際、外資で4年ほど仕事をしていたときに、外国人上司に話しかけるシチュエーションがあるのですが、結論から言わないと怒られまくっていて。そのおかげで思考を整理することが早くなり、物事の意思決定も速くなりましたね。

「10年後、日本はヤバい国に」ユニバーサルに優秀な人材を輩出することが必要

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― 海外との接点が多いエウレカですが、グローバルを意識した企業文化なのでしょうか?

社員にずーっと言い続けてるんですが、「これからの日本は、すごく大変な国になるよ」ということ。経営陣中心に「日本、マジでヤバい」って意識を持っているんですよね。

人口は減っていくし、人口知能がより商用化され普及すると、単純作業しかできない人は仕事が奪われるし、中国・インドをはじめとしたアジアの優秀な人材と戦っていかなければいけない。何も考えずにそういうときを迎えてしまったら、「楽しく仕事する」とか、「ワークライフバランス」とか以前に、仕事がなくなり、下流老人になってしまう。すでに、これから下流老人になると言われている人のパーセンテージはものすごく大きいですし。

なので、エウレカでは「ユニバーサルに優秀な人材になる」というのを掲げています。これは、昔から漠然と思っていたことを、今の取締役2名が言語化してくれ、エウレカとして公に謳うようになりました。

 
― ユニバーサルに優秀な人材とは?

時代も国境も言語も越えて、どこでも生きていける人です。

先のこと、これから確実に起こることを考えていない人があまりに多いなと。これだけどんな情報でも世界中から手に入る時代に、どうすれば知的労働者として生き残っていけるかを真剣に考えた上で仕事を選ばないと、今のままのほほーんと生きていたら10年後、大変な国になっている日本で途方に暮れちゃう。その意識を持っているか持っていないかで、この10年の過ごし方が大きく変わりますよ。

私たちがなぜ海外をすごく意識しているかというと、人口が減るとマーケットは理論上必ず縮小するので、そうなると分かっていて日本だけでビジネスをしているのってすごくリスクだし、会社としてだけでなく、個人としても生き残り戦略としてリスク。だから、どこでも働ける人になってほしいというのがあるので、海外売上比率を増やしたいんですね。もちろん、日本は世界でもまだまだ裕福な国だし、人口がそこそこいるので実感しにくいとは思うのですが、だからこそです。

 
― とはいえ、日本がヤバいという意識はありつつも、情報収集ができない人って多いですよね。

それで言うと、エウレカでは社内での情報共有を意識的にやっています。「2035年までに何が起こるか」とか「20xx年には家庭用ロボットが1ドルで販売される」みたいな、すでに予測されている未来の出来事を年表にして、全社会で発表したりしています。いつ国民年金の資金が枯渇するのか、そうなった場合、老後にいくら貯めておかないと生きていけないかのシミュレーションエクセルを作って配ったりもしてます。

そういう情報って実はあふれているのに、なかなか自分たちで取りにいかないじゃないですか。だから私たちができるだけ発信するようにして、そういった情報をふまえてどう働くかを決めるほうがいいなと。

 
― すごい。そういった情報共有によって社内の雰囲気などに変化はありますか?

もともと、エウレカの社員は「変化に対応できる人材」が多いんです。理由は、事業を何回も変えているので、「明日からこの事業をやめて、これにするから」と言ったときの対応の速さはすごい(笑)

ただ、この先世の中に起きる変化は、今までの変化とスピード感も違うはずだし、起きるときに一気に起きてしまいそうな気がするので、常にアンテナを張っておいてほしいので、とにかく関連記事を英語日本語問わず私はFacebookで流しまくってるんですが、「いいね!」する社員が増えた気がします。あとは、私は海外出張が非常に多く、特にアジアに行くことが多いんですが、「出張どうでした? なんか感じたことありますか?」と聞いてくる社員が増えましたね。

同時に、そこまで悲観的になる必要もないと思っていて、情報さえきっちり持っていて努力していれば、この先の世界ってすごく面白いと思う。今まで面倒だったことをロボットがやってくれるようになる分、私たちはより高度な仕事だけに集中すれば良いので。

「起業したい人はエウレカに入ればいいじゃん」会社員時代に経験した “社員の気持ち”

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― 新規事業に海外展開と、スピード感のあるエウレカさんですが、採用において意識されていることはありますか?

事業をきちんと回せる人、つまりちゃんと売上があげられる人がすごく必要だなと感じている一方で、今のままの成長曲線を描いていてはつまらないと。そこで、ガツンとむちゃくちゃな目標を立て、そこから逆算してどうやってアクションを起こし、目標を達成できる人を探しています。

そうじゃないと海外展開も成功しないし、日本でもこれ以上大きくすることはできない。なので、どの職種においても、自分自身の目標を高すぎるくらい高く設定できる人がほしいですね。エウレカは「一見、無謀だと思うような目標を立てて、それを達成するための手段を考えて実行する」という考えのもと、会社も社員も成長してきたので。

 
― それが自分でできてしまう人は、自ら会社をつくってしまうパターンも多そうですが、いかがでしょう?

そうなんですよ、その通りなんです。ただ、起業したい人はエウレカに入ればいいじゃんと思っていて。実は社内でもすでに「起業したい」と思っているメンバーはいて、よく相談を受けるんですよね。そして、いますぐ起業したほうがいいと思うメンバーには「起業したほうがいいよ」と正直に言うし、そうじゃないメンバーには「まだしないほうがいい。なぜならアナタにはこれが足りないから」と伝える。

本当に起業したい人、起業して成功する人と言うのは、きっちり社内で大きな結果を出しているし、だからこそ自信を持っているので相談もしないで起業する。逆に、相談している時点でやりたいことがまだ決まっていなかったり、スキルがなかったりする。それでも早く起業したいのであれば、赤坂とか私とか他の取締役をつかまえて、アドバイスをもらえばいいんですよ。

会社をやりたいんだったら、会社をやっている人に話を聞くのが一番早い。「ご飯を食べにいきましょう」「少しだけ時間をもらってもいいですか」と時間をつくって、まず先輩の声を聞くことが重要だなと思っています。
例えその人が、エウレカにとっていなくなったら困る人材でも、起業すべきだと思ったり、本人の意思が固いなら「起業まだしないほうがいいよ」と説得して残ってもらう、みたいなことは絶対にしないですね。

 
― 会社にとってではなく、本当に社員のことを思ってアドバイスをされているんですね。

そうですね。やりたいことをやったほうが人生、絶対いいじゃないですか。
ただ、エウレカでやりたいことを見つけて一緒に世界を目指してくれるのが一番嬉しいです。エウレカって本当に魅力的な会社だと手前味噌ながら思っているので(笑)

ちなみに、代表の赤坂も私も、サラリーマン時代は一般的な企業の評価制度に不満を感じていたんですね。特に私はサラリーマン経験が長く、33歳で起業したので、「社員」や「管理職」としての気持ちをずっと味わってきて。いろいろな評価制度の中でいろいろ感じながら生きてきたので、「私が社員だったら、エウレカの今の評価制度って本当にいいのかな」「自分がこれで評価されるとしたら納得するかな」と常に考えるようにしています。これは経営陣みんな同じ気持ちですね。

 
― 組織が大きくなるにつれて、人材の入れ替わりも多くなるのではないかと思うのですが、西川さんはどうお考えですか?

もちろん、納得できないことが増えたり、やりたいことができていないと辞める人が増えていく。でも、それでいいのかなって。やはり会社って生き物なので、ステージが変わると、色んなことが変わるし、人が辞めるのも仕方ない。
いつまでも誰も辞めないでいることは良い面ももちろんありますが、流動性がなくなるという見方もできる。なので、もちろんずっと一緒にやってくれたら嬉しいですけど、何年か経ったらエウレカを卒業するものだと思っています。

卒業しても、どこかで一緒に仕事をすることもあるし、エウレカから起業した人たちが「エウレカマフィア」として活躍してくれれば、会社を作った意義があるなあと。会社って、サービスを作るだけでなく、優秀な人材を輩出することも大きな役目だと思っているので。

インタビューを終えて

ご自身の会社員時代の経験から、会社としての発展だけでなく、個人の「生き残り」までも視野に入れて事業展開をおこなうエウレカ 西川さん。

すでに台湾、シンガポールに現地法人を設立し、pairsは台湾ですでに会員数が右肩上がりで伸びているそうです。着々と海外展開を進めており、「ユニバーサルに優秀な人材」がどんどん日本から輩出されるかと思うと、今後の動向に目が離せません。
いま頑張れば、日本の未来が明るくなる――そう実感するインタビューでした。


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ナッツ
この記事を書いた人
ナッツ

4代目広報担当

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