こんにちは、外部ライターの無一です。
実家からの「今年こそいい出会いを! 結婚を!」という重圧にずっと悩まされていたのですが、とうとう今月ガチでお見合いをさせられることになりました。お相手は、なんとお坊さん。
「どうしよう、マジで気が重い……」と周囲にこぼしているうちに、ある方より「僕はこの漫画が好きなんで、お相手のお坊さんのことも可愛がってやってください」と薦められたのが、こちらの漫画です。
本日紹介する漫画『お慕い申し上げます』
望んで(?)望まれて(?)実家の副住職となった佐伯清玄29歳。
僧としての高い志と色欲の狭間で悩む、実家のお寺の副住職・佐伯清玄。
断ったはずのお見合い相手の女性・節子が寺に弟子入りしてきて、清玄の悶々ライフはさらに加速!
そんな中、同僚の清徹と節子の距離が一気に縮まりココロ穏やかでない清玄。
お寺の中の三角関係、急展開!
えっ、なにこれおもしろそう……! しかも著者は、朔ユキ蔵。ちょっとエッチなお寺ラブコメを期待しながら読みはじめたのですが……。
当初こそ、あらすじ通り主人公・清玄の悶々ライフが炸裂しつつ、イケメン有能な幼馴染みの坊主・清徹も登場し、「これは坊主2人とヒロインのアブない三角関係勃発か!?」という期待に胸が躍らされます。しかし、それらはすぐに裏切られ「えっ、この漫画、こんなに“重い石”を投げかけてくるの?」と戸惑いを生み出します。このあたりの展開は、ぜひ皆さんの目でお確かめください。
恋愛どころかもはや人生の書といえる教えの数々
さて、この漫画の魅力は、ヒロインはじめとする登場人物たちが「仏の教え」で救われるストーリーにあります。やはりお坊さん漫画ですから、名言もたくさん登場します。というわけで以下、私の心に残ったというか、現状をあらわしてくれているかのような教えを紹介したいと思います。
正見というのは見ること知ることが最初なんですね
清徹は、10歳のときに主人公・清玄が教えてくれた「八正道(はっしょうどう)」がきっかけで、仏の道に目を向けることになります。「正見(しょうけん)」とは、人生における苦しみを滅する八つの道(=八正道)の最初の道のことです。
「自分が苦しんでいること、その原因などを正しく知る。自己中心の見方や偏見を持たず、正しく見ること。見なければ知ることはできない。」
お見合い嫌だなぁ、という私個人の気持ちはそれとして置きつつ、とりあえず会って・見るということが最初に必要なんですねきっと。
諦めるのじゃ
高齢から、ボケがはじまってしまった清玄のおじいちゃん。物忘れは誰にでもあるよ、と気遣う周囲に対してこう諭します。
「諦めるのじゃ と言っても断念するとかではないぞい。 教の教えで『諦める』とは『物事を明らかに見極め 知る』ということじゃ」
「真実を知り 原因を明らかにする さすれば己の振る舞い方も見えてくる」
今起きていることをありのまま受け入れれば、自分が何を感じ、何をすべきか自ずとわかるようになる、という考えですね。
私は少し前に「自分にとって100%理想どおりの人、というのは存在しない。ならば、自分を気に入ってくれた人と付き合えば、新しい道が開けるのかもしれない」と考え、婚活イベントで知り合った方と付き合ったことがありました。
いま思い返せば「新しい道が開けるかも」と言いつつも、根底には「そううまくいくはずもないだろうけど」という断念の気持ちの気持ちがあったように思います。一般的に使われるマイナスの意味での「諦める」です。
結局、まだまだ修行が足りなかったせいか、結局私の気持ちが下降する一方でTHE ENDに。ちゃんとした意味で「諦める」……難しいんですよねぇ。
まずは形から
心がざわついたら、とりあえず胸の前で手を合わせてみるだけで、不思議と静かな気持ちになれます。苦手な人を目の前にしたら、とりあえず口角をあげ柔らかい表情を作れば、とげとげしい態度も少しは丸くなっていきます。
どちらも、気持ちを整えるためのひとつの作業です。何度もくり返し、よい形のクセをつければ、気持ちは後からついてくるものです。
だからこそ、気が進まないお見合いであっても、相手の前では穏やかでにこやかな表情で接することにします。良き場を作るのは、お互いの心がけです。そして、機会を作ってくださった方々に、感謝を忘れずに……。
まとめ
作中では、清玄・清徹のように「聖職者だから妻帯はしない」という気持ちを固めているお坊さんのほか、「妻帯して子どもも生まれたたけれど、家族はお寺に住まわせていない」というお坊さんも登場するなど、お坊さんのライフスタイル例も垣間見られ、参考になりました。
かくいう私の叔父も実は住職で、少し前までは「寺の跡取りたる者、身を固めねばならん」と周囲から勧められたお見合いを何度も繰り返す姿を見ていました。そしてご縁があり、今では二児の父親となり、別の職も持ちつつ立派に住職を続けています。
お坊さんに限らずですが、結婚、家族、地域の人々との関わり方など、結局すべてはご縁なのです。そして私にとっての今回のお見合いも、ご縁のひとつ。まずは「お見合いするからには、結婚を考えなければいけない」という色眼鏡を外し、曇りのない目でお会いしましょう。
ひとりの人間としてあるがままを見つめ、話をして、お相手がどのような方かを素直に感じられれば、もしかしたら、私が結婚に対して感じているモヤモヤ、迷いや逃げたいという気持ちの正体に気づけるのかもしれません。
本作は、結婚だけでなく「どう生きていくか」「どう人と関わっていくか」など、人生全般における気づきがたくさん詰まった漫画です。実家に向かう前に、もう一度読み返したいと思います。
最後に、最近noteで婚活マガジンをはじめました。無料ですので、興味のある方はぜひ。それでは。