「LIGに入社して、命削りまくった」デザイナーの野田一輝さんが語る

「LIGに入社して、命削りまくった」デザイナーの野田一輝さんが語る

キャシー

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こんにちは、エディターのキャシー(CK_livi)です。

ec3134511126deb1bbf9f8f9f12aa8dc 人物紹介:キャシー
LIGの新人編集者。趣味はJ-POPのピアノ弾き語り。得意な曲はm-floとさだまさし。

私がLIGのOBたちにLIGでの日々や今現在のことをインタビューする連載、

題して

「キャシーのOB訪問(販売)

第6回目のゲストは、デザイナーの野田一輝さんです。
野田さんが代表を務めるWebサイト制作デザイン会社「UNIEL ltd.」様のオフィスと、併設カフェ「UNI STAND」にお邪魔してきました。

 
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ーこんにちは。まずは自己紹介をお願いします。

こんにちは。デザイナーの野田一輝です。
簡単に経歴をお話すると、18歳まではDJをしていました。DJのノルマとか営業に疲れちゃって、パソコンとデザインを覚えたくてITの会社に入り、キーボードの打ち方から覚え、なぜかたまたまデザインのお仕事があったので徐々にバナー制作などからやっていきました。ガラケーサイトのコーディングから入り、Web制作をし、スマホが出てからはUIデザインをおこない、グラフィックデザインを経験し、またWebに戻ってきた……という転職が趣味みたいな人間です。

 

がむしゃらに突っ走ったLIGでの日々

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ーLIGに入った経緯を教えてください。

25歳のときに転職先として、一緒に成長できそうなWeb制作会社を探していたら、LIGを見つけました。当初は面白い会社を探していたわけではなくて、単純にWeb制作をしていてデザインがちゃんとできる会社を探していたんです。尚且つ、中身の仕組みが整っていない成長時期の会社に入って、足りてない仕組みをつくりたいと思っていました。その頃社員が12人程度だったLIGが自分に合いそうだなと思い、入社させていただきました。

 
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ーLIGではどんなお仕事をされていたんですか?

主にデザインをメインとした仕事をしておりましたが、内部的な部分は、大げさに言ったら「仕組み」みたいなものをつくっていました。マネージメントとしては、目標指数の組み立てや社員の評価制度などをおこなっており、マネタイズとしては、LIGブログに広告を出したら面白いんじゃないかなと思って「メディア化」を提案したりと。気が付いたら今のLIGブログの形態になりました。その後に今執行役員をしているそめひこっていうボスが入ってきて、ぐわ〜〜〜ってLIGブログを持ち上げてくれました。

あとは、仕事中でも、少しでも隙間があると社内資料のデザインをつくったり、ほかのチームを見渡して「あのチーム、コミュニケーション取れてないな」って思ったら勝手にいろいろとリーダーにおせっかいで文句を投げたりと、多分面倒くさくて嫌われてたと思います。

 
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ーLIG社内に野田さんが受賞された賞状がずらーっと飾られていて圧倒されました・・・

ありがとうございます。なんていうのかな、「賞を獲りましたね」って社内で言われることもありましたけど、過大評価が多いと思ってます。僕がやったことはシンプルで、単純にやりたいことを準備して「これやりたいです!」って言ったら部下の方々や周りの人が気持ち良く協力してくれただけの話です。僕が賞をとるために、2カ月間くらい徹夜したり無理してくれたメンバーもいましたし。僕のわがままに付き合ってくれたメンバーがいたってのが、すごく幸せなことでしたよね。今もまさに同じなんですが。

 
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ーLIGではどんなキャラクターだったんですか?

入る前はとりあえず「はい!」って返事するただの怖がりの若い子でした。LIGは当初社員同士が家族みたいな感じだったんですけど、僕がマネージャーを任されて「家族」を「組織」にして欲しいという要望を受けてからは、とりあえず、自分が絡みたくないような面倒くさい人になりましたね。

怖い人ってただの怖い人なんですよ、怖い人と面倒くさい人、皆どっちの言うこと聞くかって言ったら、面倒くさい人の言うこと聞きますからね。だから、面倒くさい人になろうって決めて演じてました。ちまちま細かいこと言って。そうしてるうちに本当に面倒くさい人になり、芯の部分の性格が変わっちゃったなぁ〜って。

LIGにいた頃は張ってたんです。若かったせいか、張ってないとダメだし言うこと聞いてくれないしナメられちゃうからと信じてました。でも本当はもっと仲良くしたかったんですけどね。あ、でもチームはみなさんのお陰で仲良しでしたよ。

 
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ーLIGでどんなプライベート生活を送られていたんですか?

結構周りの人に相談するくらい、ギリギリの生活をしていました。自分の仕事が終わっても終わらなくても、みんなが帰るまで帰らないようにしていたので、用もないのに別の仕事をしていたり。自分の子供が産まれる日も、予定日が近いのはわかっていたんですが、徹夜するかしないかを終電10分前まで駅で考えてたんですよ。仕事もまずい状況だったので、「終電乗ろうかな、やめようかな」って。ただ、妻の陣痛が始まったと聞いて、急いで電車に飛び乗ることができました。
陣痛ありがとう。

 
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ーLIGで得たものは何ですか?

得たものは、「ブレない意志があれば貫けるという精神」ですね。実行するまでの折れないプロセスづくりが得意だったのかもしれないです。これやりたい、あれをこうしたいって、ぐちぐち不満言うだけの人にはなりたくなかったので、不満を言う前に自分で先に資料をつくって提案したりとか。あとは無茶振りが多かったので、「チームのつくり方」「ブランドの考え方」という点ではすごく学ばせてもらいました。今こうしてやっていけてるのも、LIGでの経験があったからだと思ってます。

 

「本当は独立したくなかった」独立した経緯と、仕事論

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ー独立された経緯を教えてください

僕はみんなに本音をあまり話さないので勘違いされてることも多いと思うんですけど、フリーになりたくなかったんですよ。結婚もしていましたし、子供も小さく家も建てたばかりだったので、独立も全然したくなかったです。ただ、単純に自分を必要としてくれている会社に転職をして役に立ちたかったのが本音です。そのためにポートフォリオや履歴書のデザインまでつくっていましたし。

でもその反面、自身の将来のイメージで、自分が手が動かせなくなる前に独立しなければと思っていました。その矢先に、現在の社内のメンバーに誘われたことがきっかけで、「ついてきてくれる人がいるなら今かな」と覚悟を決めました。今考えると僕の人生、16歳から27歳くらいまでは、ただがむしゃらだったので、たくさん遊んだ記憶がなく、覚えることをひたすら覚えているだけのズタボロ人間でしたよ。

 
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ー普段デザイナーとして、どんなインプットをおこなっているんですか?

ゲームや映画でインプットすることが多いですね。特に映画が好きすぎて、家に結構なお金をかけて大きなスクリーンのあるホームシアタールームをつくったんです。スピーカーも、とある夢の国と同じスピーカーにしてみたり。無駄に命を削ってます。一番好きな映画は、結構いろいろ見ていて意外って言われるのですが「ハチ公物語」なんですよ。犬の謙虚さや主人に対する思いとかを、ここまで忠実に描いている映画ってないんじゃないかなって思って、初めて映画観て泣きました。

映画は結構「表現」に通じるところがあるのですが、「スパイダーマン」や「ロボコップ」のエンディングのモーションなんかは感動して何度も何度もひたすら見たり、「エンダーのゲーム」のモーションを巻き戻して何度も見たり、エンドロールで名前確認してネットストーキングをして「この人なんだー」って。そんな感じで映画からは何かしらインプットしています。

 
ー仕事に対する考え方を少しだけ教えてください。

僕、クリスマスはチキンライスも精一杯の家庭で育ったので、小さい頃から思うことがあって。尊敬している方々の言葉も結構引用しますが、お金の重さってのは一人一人一緒なんですよ。例えば1千万円のWebサイトを、お金をたくさん持っている大企業さんからお願いされたとしても、そこで働いている従業員さんの家族に対する影響も考えなきゃいけないんですね。当然自分がつくったものは多少なりとも影響はありますから、社員の家族がざっくり1万5千人だとして、その家族の人たちに影響があるかどうかという感覚でWebサイトをつくらなきゃならないんです。そのくらい重い1千万円だと自覚する必要があると感じています。たとえ誰かが小さい会社をつくって「Webサイトが欲しい」って依頼してきても、その人の人生を背負うくらいの覚悟がなきゃだめだろうなと。

たとえ経営状況判断から何かを削るなどしても、それはお客様には関係ないことだから「タイミング悪かったね、運悪かったね」じゃ失礼だと思うんです。なので、自分に余裕がないときや覚悟がないときは結構断ってしまいます。「依頼主が自分の家族だったら……」と考えることが手っ取り早いかもしれません。だから僕は経営に向いていないんです。

 

「迷いが出ている」LIGブログを見なくなった理由

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ー今のLIGを見てどう思いますか?

実はあまり見てないんです。最近またサイトが結構変わったじゃないですか、それからは全然見てなくて。情報が埋まってつまらなくなっちゃったかなって思います。例えば、僕はWeb制作やってるんで、Web制作で一個突き抜けてる感じがLIGになきゃわざわざ見ないんじゃないかなって。今、情報がありふれている中で人はいくつか絞って限られたインプットをしないといけないじゃないですか。そのインプットする媒体を、例えば娯楽、勉強、おもしろ……とかってカテゴリー分けした際に、そこに対してのLIGじゃないなって感覚になっています。そこにうまくアプローチをかける姿を待っています。

親切さがないといけないサイトなのに、迷いが出ています。表面的な部分ではね。裏側で考えている人たちがどういう意図があるのかを、いつか聞いてみたいです。もともとLIGに在籍中もアイデアは出していましたが、コーポレートサイトには一切タッチしていなかったので、いつか設計部分でご一緒してみたいです。

 
ーなるほど。重く響くアドバイス、ありがとうございます。この後少しお時間いただけますでしょうか。

 
 

 
 
 
 

 
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ーところで・・・

 
 
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ーこの絵って、どう思いますか?

 
 
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え?

 
 
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ー野田さんってカラオケでいつも何歌いますか? 私は毎月給料日になると「Easy Come, Easy Go!」つって散財しちゃうくらいのB’zファンなんですけど、カラオケでいつも「LOVE PHANTOM」っていうB’zの名曲を歌いたい気持ちは山々なのにとにかく前奏が約1分20秒間もあって長いから曲入れるの躊躇しちゃうんですよ。前奏終わって稲葉さんのかっこいい声で歌い出すなら余裕で待っていられるはずですが、私女ですしその中でも声高めですからね。だからその先への期待感の無さから前奏待ってる間に家に帰っちゃう人もいるだろうし、その辺で洗濯とか芝刈りとか始めちゃう人も出てくるだろうし、結局一人きりで歌い始めることになるんだったら「初めからALONE歌えよ」ってそもそも論になって自己責任が問われると思うので、あの曲の前奏の時間を使って何か披露できることはないかなと思って、一発芸では長すぎる、だけど演説に使うには短すぎるし、火を使わずに目玉焼きをつくるのにも足りなすぎるこの前奏の時間を使って「ピンチはチャンス」ということを体現して世界中の人々に夢や希望を与えたいなって、結構スケールでかいこと考えてたりするんですよ。でもでかいことやろうとしすぎると、その途中で心折れたり失敗したりしちゃうんですよね。そんなことを考えているときにふと思い出したことがあったんですけど、そういえば大学卒業するまでは何か失敗をしたときに自責の念に駆られて上まつ毛と下まつ毛を結んで牢屋の中にいるような視界を作り出して反省してたなって。あれって目をつむったときに一瞬緩むじゃないですか、そのときだけ「あ、奇跡」ってくらい本当に癒されるんですよね。できればずっと目をつむっていたいけど見開いて前を向いて歩いていかなきゃならない現実と今日も戦うというか。まぁ、人はそんなこんなしながら大人になっていくんでしょうけど……でも社会人になってからは全然そうやって体張って自分を追い込められてないなって思って、気合いやウルトラソウルが全然足りてないんですよね。そういうのってサプリメントとかじゃ補えないんです。という前置きはいい加減この辺にしてそろそろ本題に入りますが、この絵は「捜索願」っていう、ラッセンとしては珍しく漢字だけのタイトルで売り出された絵なんですけど、どこを探してもイルカが見当たらないんですよ。幸せと同じようなもんですかね。本当にイルカがいないので嘘だと思ったら探して欲しいですし味噌だと思ったら食べてくださいって感じなんですけど、たしか実際に、この絵を見た人からイルカの捜索願が出されたそうです。ラッセン側がイルカの当日のスケジュールを押さえてなかったというかちゃんとアサインできてなかった説も囁かれていたのですが、ラッセンは素晴らしいアーティストですしそんなことはしないだろうし。だとしたらきっとイルカ逃げたんでしょうね。おしゃれな場所に飾っておくことによってイルカが帰ってくるって言ってる占い師もいるので、今日この絵をおしゃれなここに持ってきたんです。あ、ちなみに聞きにくいと思うので先に答えちゃいますが、この絵は野田さんが想像している通り5,000円で、これまでのラッセンと比べても一番コストがかかってるためこの値段でも赤字なんです。でも「利益ゼロがいいゼロになろう」って一生懸命社長説得したところなので、大変残念なお知らせですが値引き交渉は受け付けておりません。

 
 
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え!?

 
じゃあ、ちょっと、飾ってみましょうか。

 
 
 
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どこに飾ってもしっくりこないんですけど・・・

 
 
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どうしよう。

 
 
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ー諦めるのはまだ早いと思います。とりあえず、社員さんの意見を聞いてみましょうよ。さあ。

 
 
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ーこの絵って、どう思いますか?

 
 
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ーこうして絵に向かって手をかざしているだけで、大量のO₂、そう、酸素が出てきたりもするんです。

 
 
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すごくいいんじゃないかな。ちょうど酸欠気味だったし、これでもっと空気が綺麗になりそうだし。飾ろうよ。

 
 
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ー5,000円頂戴いたします。

 
 
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ー本当にありがとうございます。

 
 
 
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野田さんも買ってくれました。

野田さんからいいお話を聞けて、こちらからもいいお話をご提供できたので、うまいことWin-Winの関係を築けてよかったなと安堵しております。

 
 
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ついでに宣伝ですが、本日の撮影でお邪魔したUNIEL様に併設されている「UNI STAND」は、Yuinchu様がプロデュースしている、本格的な日本茶もいただける珍しいカフェです。井の頭恩賜公園のすぐ近くにありますので、お近くにいらした際は是非「UNI STAND」に立ち寄ってみてくださいね。

【カフェ情報】
住所:東京都三鷹市下連雀1-16-1
営業時間:10:00~19:00
定休日:火曜日
URL:http://unistand.jp/

 
野田さん、UNIEL様、本当にありがとうございました!

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ライター兼日本人ぽい外国人のキャシーです。 今生きているこの世界は、魂が体験している一瞬の夢でしかない。という考えのもと生きています。趣味は換気です。

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