こんにちは、ディレクターのもときです。
ディレクターによる連載「いいWebつくろう〜クライアントと制作会社〜」の第6回目のテーマは、ペルソナとターゲットの違い、ペルソナの設定方法についてのお話です。
みなさんはWebサイトやサービスをつくる時に、その目的やコンセプトはもちろんですが、それらを誰に対してつくるのかをきちんと意識していますか? そこを意識せず、万人向けを狙ったものはコンセプトや伝えたいメッセージが薄れ、失敗してしまうことがあります。
失敗しないためにおすすめするやり方が、ターゲットとペルソナの設定です。今回はターゲットとペルソナを設定するメリットとその設定方法、「ターゲットとペルソナの違いってなんなの?」というところからお話できればと思います。
ターゲットについて
ターゲット(標的)とは、サービスを利用するであろうユーザーを指し、年代、男女、既婚未婚、職業、年収などのスペックでユーザーをセグメンテーション(似たようなグループに分類)し、狙いたい見込み顧客を絞り込むことをターゲティングといいます。
ターゲットを絞ることで、ユーザーの特性やニーズをしっかりと汲み取り、狙ったマーケットに対して有効にコストをかけることができます。
逆にターゲットをしっかりと定めないと、こういう人もいるはずだ、ああいう人もいるはずだとあらゆるニーズに答えようとして、コンセプトがぼんやりとしたものが出来上がってしまいますので、ターゲットはおもいっきり絞った方が良いです。
ペルソナについて
市場が成熟し、生活者のニーズも多様になった今では、より詳細な顧客像を基にしたマーケティングが求められるようになりました。そこでユーザーの理解を深めるために、サービスを使う、もしくは使って欲しい最も重要なユーザーモデルとして設定します。
それによって、趣味や価値観、パーソナリティーを持った架空の人物像が「ペルソナ」となります。
例えば、新しく立ち上げるWebサービスの利用者を「都内に住む営業職の30代未婚男性」とターゲティングしても、プロジェクトメンバーの頭に浮かぶ対象者は、バラバラになってしまいます。そこで、Aさん、Bさんというペルソナを設定することで、具体的な顧客像を手に入れて、ユーザーのことがより理解できるようになります。
ペルソナを設定することで得られる4つのメリット
1. 具体的な顧客のニーズを理解できる
「都内に住む営業職の30代未婚男性」ぐらいのふわっとした設定だと、性格や趣味、行動などがバラバラすぎて、どんな表現が共感を呼ぶのかがわかりづらいので、特定の人物像まで落とし込むことにより、精度の高い理解ができるようになります。
2. ユーザー目線での判断ができるようになる
現代のプロモーションやWebマーケティングの現場では、ユーザー主義、ユーザー体験という概念が重要になっています。ペルソナを定めることで、クライアントや制作者の好みや都合ではなく、本当のユーザー目線に立った意思決定ができるようになります。
3. 曖昧な意思決定を避け、最適なデザインを実現しやすくなる
「こういう人もいるだろうから、こういう要素も必要だ」を集めていくと、不必要なコンテンツ、ページ、機能が山積みとなります(制作者あるあるですよね)。
それでは無駄にお金と時間がかかり、結果として非効率的なWebサイトが出来上がります。ペルソナを基にした判断をすることで、ユーザーにとって最適なものをつくることができます。
4. プロジェクトメンバー間での意思決定が迅速になる
ターゲットベースで、各関係者が頭のなかで想像する人物を思い描くと、認識がズレることが多々あります。
ペルソナを定めておけば、その機能や説明、デザインがあっているのか、間違っているのかといった議論に時間をかける必要がなくなります。
さっそくペルソナをつくってみよう
それでは、早速ペルソナ設定のやりかたをご紹介します。
1. ユーザーをいくつかのグループに分ける
顧客データなどを基に想定されるユーザーをグループ分けします。どの属性で区切るか迷う場合は、そのサービスやWebサイトの利用方法に違いが見られる部分で区切るといいです。
2. ペルソナを作成するグループを選ぶ
先ほど切り分けたグループに優先度をつけ、コアなターゲットになる、最も狙っているグループを選びます。
3. ユーザーインタビューをおこなう
選んだグループに当てはまる人間を、同僚や知人から見つけ、インタビューをおこないます。インタビューで足りないと思った部分は、アンケート調査結果などを参考にしても構いません。
4. 調査結果をまとめ、ペルソナを作成する
調査結果を基に、架空の人物を1人作成します。年齢・性別・家族構成・住んでいる街・収入や学歴などの外面的な要素から、性格や趣味、休日の行動パターンや好きなブランド、インターネットの利用状況などの内面的な要素を細かく設定し、最後にペルソナの写真を決めます(感情移入するためにはここが結構大事です)。この時になるべく個人的な先入観を無くし、データーを基にしましょう。
5. くり返し
狙うべきターゲットが複数になる場合は、3と4をくり返して、ペルソナも複数人立てます。
ペルソナ作成について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
ペルソナとは?マーケティング初心者にもわかる作り方や事例を解説
ペルソナ活用のコツ
設定したペルソナは、メンバーやクライアント全員で共有し、今後はそのペルソナのことを名前で呼びましょう。
「◯◯さんならこっちのほうが好きなはず」
「◯◯さんはこれをすれば喜ぶ」
「◯◯さんはこの機能は使わない」
と、ペルソナを基準に考え、感情移入していくことで本当のユーザー目線に立つことができるようになります。
また、ペルソナの活用方法を考えた上でペルソナ立てをすると、ペルソナに必要な情報(設定)がわかります。また、インタビューや調査するべき項目がわかり、どうグループ分けするべきかがわかるようになります。
まとめ
いかがでしたか?
昔は、良い商品を作っていれば売れていたという時代があったようですが、今は生活者のニーズの多様化が進み、八方美人で中途半端な商品では見向きもされません。それはサービス、キャンペーンやWebサイト制作でも同じことが言えます。
ユーザーの心理を理解し、強力なファンをつかむために、ペルソナを設定してユーザーにとって最適なWebサイトをつくることが大切です。
一緒にいいWebつくりましょう。