こんにちは。メディア事業部マネージャーのたくです。
以前、アドマスターのきょうへいが記事広告などで見落としがちな「ビュースルーコンバージョン」という指標について、その重要性と計測方法をご紹介しました。LPであれ、記事広告であれ、サイト全体であれ、Web施策を評価するには多くの盲点があります。特に自社サイトに訪問したユーザーが「なぜコンバージョンしなかったのか?」という問いを分析することは特に難しいですよね。
そこで今回は、コンバージョン最適化(Conversion Rate Optimization、CRO)を目指す際に、最も見落とされがちな「コンバージョンしなかったユーザー分析=ログリサーチ」について考えていきたいと思います。
▼もくじ
CROのためには、見込み顧客の獲得が必須
見込み客の獲得と、カゴ落ち防止策
製品やサービスを買う可能性のあるターゲット、すなわち「見込み客(見込み顧客)」。CROにおいて、どんな見込み客が存在するのかを考え、いかに彼らを獲得するかの戦略を立てることが重要です。しかし、これは簡単なことではありません。
サイト訪問者を離脱させることなくコンバージョンさせるためには、その場で強いニーズを引き出し、購入する必然性を作り出す必要があります。また、一度は購入を決意させたとしても、その後の手続きを完了しないまま離脱する「カゴ落ち」となってしまうことも多々あります。
かご落ち防止策として行われることといえば、A/Bテストの実施や、フォームの改善、信頼のおけるデザイン設計などがさまざま挙げられますが、まずはこういった基本的な項目をクリアしていくことが大切です。
施策のコストに見合う成果が得られなくなったら……?
しかし基本的な部分がある程度まで改善されると、それ以上離脱率を下げられないという壁にぶち当たることがあります。多くのコストを注いで施策を打っても十分な成果が見られなくなったら、一度立ち止まって考えるべきことがあります。
そのターゲットは、本当に見込み客だと言い切れますか?
その施策は、本当にユーザーが求めているものですか?
この問いかけに対して、自信をもって「YES!」と答えられるマーケティング担当者は多くはないのではないでしょうか? なぜ言い切れないのか、その原因をマーケティングリサーチ手法を概観しながら紐解いていきましょう。
ブラックボックスだったのは、コンバージョンしなかった人の“本音”
まずは、従来のマーケティングリサーチの手法を整理してきます。
これまでの主流は「局部的CRO」と「潜在マーケティング」
従来のマーケティングを大きく分けると、「局部的CRO」と「潜在マーケティング」の2つに集約できるといえます。
例えば、ECサイトをイメージしてみましょう。売上げアップを目指してCROに取り組むときには、入力フォームを改善したり、わかりやすいナビゲーションを設置したり、関連商品へのリンクを増やしたりといった施策が打たれます。これらの施策はすぐに目に見える効果が表れますが、その反面、効果はすぐに頭打ちします。なぜなら、もともとコンバージョンに限りなく近い、ごくわずかな局部的な層しか動かすことができない施策だからです。これが「局部的CRO」です。
一方で、そもそものサイト訪問者を増やすために「潜在マーケティング」も多く行われています。ECサイトでいえば、キャンペーンを行ったり、バナーを出稿したりすることが挙げられます。そのECサイトを知ってもらうことが販促の第一歩ですから、大切な施策であることは間違いありません。しかしサイト訪問者が増えても、CVが比例して上がらないことがあります。なぜならサイトに集めた人たちに何を伝えればいいのか、いまいちわからないままだからです。
コンバージョンしなかった人の情報は手に入れづらい
通常はコンバージョンした人に対して、年齢や居住地などの属性情報や、コンバージョンに至った理由などを詳しく質問することができます。しかしコンバージョンしなかった人に質問することはできません。コンバージョンしなかった人の数や行動ログは取得できますが、属性などの情報を手に入れる手段がありませんでした。
ログデータから分析した見込み客像は、あくまで「仮説」の像
サイト運営側の手元に残るのは、サイト訪問者全体のログデータと、コンバージョンした人の情報だけ。見込み客に施策を打とうするときには、ログという数字を分析することで「なぜコンバージョンしなかったのか」の仮説を立てるほかありません。
もちろん、ログデータの分析が正解に近い答えを導き出すこともあります。ただ、それには多くの時間やコストがかかりますし、ときにはコストをかけても間違った仮説を生んでしまうこともあります。行動ログから導き出した見込み客像は、社内で議論を積み重ねた「仮説」であって、彼らの“本音”を反映させたものではありません。
すなわち、サイト訪問者のうちカゴ落ち層を含め離脱した人の属性や心情、意識といった実情は、ブラックボックスだったということです。
コンバージョンした人よりも、しなかった人の方が数のインパクトが大きい
一般的なECサイトのCVRは2%前後と言われています。2%の数少ないコンバージョンした人よりも、残り98%のコンバージョンしなかった人の数のインパクトの方が大きいことは火を見るより明らかです。数の大きなコンバージョンしなかった人たちの実情を、仮説ではなく“本音”で聞き出すことができれば、見込み顧客もしぼり込めるし、角度の高い施策を打てることができるはずです。
では、どうすればコンバージョンしなかった人たちの“本音”を聞き出すことができるのでしょうか?
これに対する一つの解決策が、最近話題になっている「ログリサーチ」です。
コンバージョンしなかった人の“本音”を聞き出す「ログリサーチ」
ログリサーチとは?
「ログリサーチ」とは、行動ログとアンケート調査を組み合わせることで詳細な分析を可能にする新しいマーケティングリサーチ手法です。
具体的には、リサーチ会社が保有するパネルの人が調査対象であるサイトを訪問した際にCookieを付与します。それにより、サイト訪問者がコンバージョンしてもしなくても属性情報と行動ログを一緒に取得することができるという画期的な手法です。サイト訪問者に対して別途でアンケート調査することもできるため、より深く、より具体的に、ユーザーの意見を聞くことができるのが特徴です。
すなわち、従来のログ解析だけでは知ることのできなかったサイト訪問者の属性、意識、ニーズを、リアルに把握することができるということです。
ログリサーチで解析できる4つのこと
では、ログリサーチはどんな分析を可能にするのか、具体的にどんなことが知れるのか、代表的な観点を4つご紹介します。
1. どんな人がコンバージョンしなかったのかがわかる
これまでコンバージョンした人にしか聞くことができなかった属性情報を、コンバージョンしなかった人からも取得することができます。コンバージョンのした人としなかった人の間に、どんな属性の差があるのかを定量的に解析できるようになります。
2. コンバージョンしなかった理由がわかる
コンバージョンした人としない人の比較はリサーチ会社がもつ属性情報だけでは終わりません。対象者にアンケート調査を実施することもできるので、「なぜ購入まで至らなかったのか」「どこで魅力が下がったのか」「何に対して不満・不安があったのか」など、詳細に聞き出し掘り下げていくことが可能です。
つまり、コンバージョンしない背景や理由を分析していくことができます。
3. 現状サイトの「足りなかった」観点がわかる
ログはあくまで存在しているページの閲覧状況を計測できるだけですので、不必要なページを見出すことはできましたが、存在していないページの必要性についてはなにも示してくれません。閲覧数の少ないページがあっても、ニーズがないのか、もしくは導線が足りないのか、その違いを判断するのは非常に難しいことでした。
そんなログ解析の課題も、アンケート調査を活用することで「何が足りないのか」といったことも可視化できてしまうのがログリサーチです。
4. 次に狙うべきターゲットが見えてくる
コンバージョンしなかった人を深く分析できるということはつまり、彼らを分類することができるということです。例えばA、B、Cなどとランク付けをして、どのグループがよりコンバージョンに近いのかを分析することができます。つまりは、次に狙うべきターゲット像やニーズを探ることができ、本当の見込み客像をあぶり出すことができるということです。
ログリサーチ導入実例:株式会社ECC
これまでより精度の高いマーケティング施策を実現するログリサーチですが、実際にはどのように使われているのでしょうか?
実際にログリサーチを導入した株式会社ECCに、その内容についてお伺いしました。
ユーザーの生の声を聞くために
競合の多い子ども英語業界。各社が生徒募集を本格化させる勝負のシーズンに向けて、ECCはホームページのリニューアルをすることを決定。しかしログの数値だけでは本当に自分たちの意図がユーザーに伝わっているかがわからないと感じ、ユーザーの生の声を聞くことのできるログリサーチの導入を決めたそうです。
社内の議論だけでは気がつかない改善点が見えてきた
株式会社ロックオンの『アドエビスリサーチ』を導入し、リサーチの設計に1ヶ月、調査開始から結果が出るまでに半月、合計1ヶ月半でログリサーチを実施したそうです。その結果、メールアドレスの入力フォームの不便さや、地図表示がわかりづらいことなどがユーザーに不快感を与えているということが判明。社内で検討していただけでは気がつかなかった重要な改善点だったといいます。
これまでブラックボックスだった「コンバージョンしなかった人の本音」を知ることができるログリサーチ。その貢献は大きいようです。
ログリサーチを始めるなら『アドエビスリサーチ』

株式会社ロックオンが運営する『アドエビスリサーチ』は、アドエビスで取得した行動ログデータとアンケート調査を組み合わせることで、サイト訪問者の「属性・行動・意識」をすべてひも付けて分析することができるサービスです。提携しているのは業界最大手の「楽天リサーチ」と「GMOリサーチ」で膨大なパネルをもっているため、サイトを訪問した人を対象とした確実で詳細な調査を可能にしています。
アドエビスリサーチの魅力はなにより、安価でスピーディーに行えること。最低限のコストで調査することができます。ログリサーチを始めてみるならアドエビスリサーチがおすすめです。
おわりに
これまでは閲覧数やCVR、直帰率や離脱率といった数値を分析し、まるで点と点を結ぶようにしてマーケティング施策が考えられてきました。しかし、ログリサーチによって点と点の間をリアルな声で埋めていくことができ、線でつながったマーケティングへと変化しているように感じます。見込み顧客の獲得に限界を感じてきたら、一度は試してみたいリサーチ手法です。
より正確で、より詳細で、より精度の高いマーケティングを実現していきたいですね! それでは、また。