「日本の99.7%が中小企業」市場が縮小してもネット広告が伸び続ける理由| リーチローカル・ジャパン

「日本の99.7%が中小企業」市場が縮小してもネット広告が伸び続ける理由| リーチローカル・ジャパン

タクロコマ

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「広告にお金を投資してもリターンが不透明だ」と思っているLIGライターズのタクロコマです。

でも、その費用対効果を “見える化” できるリーチローカル・ジャパンなら、日本の中小企業の広告業界で革新を起こせると思った──。こう語るのは、リーチローカル・ジャパンで執行役員・管理本部長を務める阿部洋介さん。同社は競争の激しいインターネットの広告業界で設立以来、10年間連続で平均120%の成長率を維持した米国のReachLocal(NASDAQ上場)が2011年11月に設立した日本法人です。

「リスティング広告の黒船」と言われることもある同社ですが、阿部さんは「業界全体を盛り上げていきたい」と話します。アメリカの広告ビジネスを日本に最適化していく流れと、今後のインターネット広告業界の成長の鍵になり得る、同社の展望ついてお聞きしました。

Poole:アイコン_リーチローカル・ジャパン様 人物紹介:阿部 洋介氏
新卒で大手総合電機メーカーに就職し、社会インフラ部門の管理会計及び他社とのジョイントベンチャー設立等に従事。その後、従業員20人の外資系ソフトウェア会社に転職し、管理部門全体を統括し、会社の急成長や黒字化をサポート。その後、外資系自動車部品会社にドイツ人社長に請われ転職し、リーマンショック後の業績のV字回復・大手トラックメーカーとの供給契約の締結に尽力。リーチローカルには、日本での営業開始後半年の2012年8月のタイミングでCFOとして入社し、経理・人事・法務のインフラ整備・会社合併・取引業者との契約改定を主導。日本での営業開始後3年での黒字化を実現させ今日に至る。モットーは、「Think simple, act faster」

社名はダサいけど、日本の中小企業の広告業界で革新を起こせると思った

リーチローカル・ジャパン様_記事004

─ まず、阿部さんとリーチローカル・ジャパンの出会いは?

きっかけは単純ですよ。ヘッドハンターからリーチローカル・ジャパンという企業を教えてもらったから。初めて聞いたときには、「社名、ダサっ……!」って思いました。リーチローカル(Reach Local)を直訳したら、「田舎に手を伸ばせ」ですよ?(笑)
─ 入社の決め手は何だったのでしょうか?

社名に込められた本当の想いは、インターネット広告を通じて地域に根差す企業の成長を支援することです。

そういったリーチローカル・ジャパンが目指していることに賛同できたこと。そして米国本社の仕事を見たからですね。
カーディーラーや歯医者といったお客様の声が、YouTubeで公開されているんですよ。およそ300件くらいあったかなあ。やらせではできない、お客様の本当の笑顔だったんです。

一方で日本は99.7%が中小企業で成り立っているのに、彼らはインターネット広告をまだ活かせていない。それは、例えばリスティング広告(※)は手間をかけなければ費用対効果が上がらず労働集約的な業務だと思っているからなんですよね。

 

※リスティング広告:リスティング広告とは、日本でシェアが高いYahoo!JAPANやGoogleといった大手検索エンジンをはじめ、各エンジンが提携しているその他の有名サイトなどに広告を掲載できるサービスです。

引用元:初心者のためのリスティング広告運用ガイド集

─ でも中小企業は、大企業ほど広告にかける予算はあまりないと思います。

それもありますが、中小企業はインターネット広告に対して懐疑的な人が多いんです。だから「日本は約4百万社の中小企業があるけれど、リスティング広告のアカウント数は数十万社しかまだない」と言われている。

つまり日本のほとんどの市場が人口の減少等で縮小していくなかで、インターネット広告の分野は、市場として確実に伸びていく業界なんですよ。
─ なるほど。以前からインターネット広告の分野に興味があったのでしょうか?

以前はメーカーやソフトウェア会社の経理部で予算の編成や決算を担当していました。そのときに経験したのは、マーケティング部の予算は根拠がなく提案されること。例を挙げると、あるイベントを数千万円の予算を投じて開催した結果、どれくらいの集客や売上につながったのか、測れないんです。
─ 広告は爆発的な流行をつくりだす場合を除くと、結果が目に見えにくいものですよね。

そうですね。テレビもラジオも、日本の広告は費用を無視しているように思えました。あえて強く言うけれど、広告業界に自己満足の雰囲気を感じたんです。

たとえばメディアに出演する人のキャスティングは広告代理店とその企業の広報部の満足にはつながるけれど、社会にどんな影響を与えるのかわからない。会社の業績に寄与したのかさえもわからないんです。
ぼくも経理部として予算を承認する立場でありながら、マーケティング部や広報部の結果が見えにくい支出にはものすごいストレスを感じていました。

経理視点でいうと、コスパが良くて結果も出す広告が好きだ

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─ なぜ印象の良くなかったインターネット広告の業界を転職先として選んだのですか?

リーチローカル・ジャパンなら、広告の費用対効果を “見える化” できます。日本の中小企業の広告業界で、革新を起こせると思ったんですよね。

たとえばウチが開発・提供している、クライアントが出稿する全ての広告媒体経由の電話による問い合わせ数を計測できる『TotalTrack®(トータルトラック)』と、ネット広告を経由した問い合わせ(メール・電話)の測定が可能な『ReachSearch™(リーチサーチ)』を併用すると、リスティング広告やオフライン広告経由の通話数計測と分析ができるんですよ。

我々のサービスを通じてお客様が広告を掲載するとき、電話番号(広告専用ダイヤル)はリーチローカルが発行します。その電話番号宛の着信はウチの社内サーバーを経由してお客様に転送されるので、見た人がどの広告をクリックして来たのか、どの媒体を通して問合せに来たのかわかるんです。

もちろんインターネットだけではありませんよ。新聞からタウンページ、駅の看板や電車の中吊り広告、フリーペーパーまで、どの広告の費用対効果が高いのか調べられます。つまり最高のコストパフォーマンスで、結果を出す広告を選択できるんですね。
─ 経理時代のことを思うと、なんだかスッキリしますね。費用対効果の高い広告媒体は、一体どこになるのでしょうか?

じつはインターネット広告が一番コストパフォーマンスが高いですね。ランチや美容室に行くとき、タウンページは見なくなりましたよね? その代わりにスマホで検索してお店を見つけます。
─ たしかに。テレビやラジオで関心のない人に広告を配信しても、あまり効果的ではないとも言えますね。

逆に検索は、すでに対象に興味のある人でないとしませんからね。たとえばインターネットでレクサスと検索するなら、その人は車に興味がある。インターネットとそれ以外のメディアの最も違う点です。
─ 米国発のサービスを日本で展開するにあたって、どのような対応をしていますか?

請求システムの改善を3年ほどかけてつくり込んでいます。アメリカはクレジットカード決済の社会ですが、日本はクレジットカード決済が全体の30%で、残りの70%は請求書を出してお振り込みいただいています。ときにはお金が入金されないこともあるし、印刷や郵送の費用がかかってしまって。

お客様とサービスのシステム間で歯車が合わない部分も生まれてくるので、改善を続けています。

地方の中小企業にこそ、 “インターネット広告の伸びしろ” がある

リーチローカル・ジャパン様_記事001

─ 業界別ではいかがでしょう? サービスの導入が進んでいるのはどの業界ですか?

歯科業界と、あとは税理士や司法書士が広告を出稿するような法律関係の業界です。

たとえば過払い金の問題は、東京の大手の事務所が全国にCMを展開しているんですね。ぼくの地元の北海道にもそのCMが放送されているので、北海道の案件なのに東京の弁護士事務所が仕事を受注していることがあるんですよ。
だから、地方の弁護士事務所は手をこまねいています。こういう状況が生まれているから、法律関係の業界でも、お客様を得るためにはインターネット広告が有効な手段になるんですね。
─ 都市とローカルの垣根はますますなくなっていきそうですね。

そうなんですよ。今後の数年はいかに地方でインターネット広告を啓蒙していくかが、大きな鍵になる。Googleも地方の中小企業にこそ、インターネット広告の伸びしろがあるとわかっています。

そこでリーチローカルは、Googleのグローバル・プレミアム・SMEパートナーになりました。アメリカや日本の地方でインターネット広告を普及させることは、間接的にGoogleの売上を上げることにもつながります。
海外では地方で成功しているので、日本でも彼らと一緒にインターネット広告を開拓していきますよ。
─ でも地方にはインターネットに詳しくない、GoogleやYahoo!が広告会社であることを知らない人もいますよね? どう開拓していくのでしょう?

Web制作やプロモーションをしている企業や新聞広告を入れているメディア企業とパートナーになることを考えています。
アメリカでもWeb制作やオールドメディアのパートナーが全米に散らばってるんですよ。まずはこの手法を見習って、地元の有名な媒体とアライアンスを組んでいきたいですね。

「中小企業の経営を助けたい」広告の参謀に求められる視点

リーチローカル・ジャパン様_記事002

─ ますます広告営業のコンサルタントの役割が重要になっていきますね。リーチローカル・ジャパンにはどのような考え方をする人が多いですか?

「リーチローカルで何を実現したい?」と問いかけると、「経営者の役に立ちたい」と考える人がものすごく多い。
残念ながら日本はインターネット広告が未発展。だからこそ、より良い経営をするためにはどうするべきなのか考えた結果、ウチに行き着く社員は多いですね。
─ お金の損得を計算して効率よく広告を運用することが重要と思っていたので、経営者の視点が必要なのは意外でした。

お客様が来なかったら、その企業は潰れてしまいます。だからある程度広告費を投じてお客様を呼ぶ必要がある。集客を効率的におこなうのが広告というツールなんですね。
インターネットや新聞、あるいはリアルイベントなのか、適当なツールを見つけて提案することがぼくらの仕事です。
─ なかには「リスティング広告に伸びしろはない」と考える人もいるのではないでしょうか?

リスティング広告は画期的な新しいツールではありませんが、成長が鈍化しているのは大企業の世界。地方の中小企業では、まだ圧倒的に取り組めていない分野です。

ぼくらは狭い範囲でパイを奪い合うのではなく、業界を盛り上げたい。だからこそ「中小企業の経営を助けたい」という経営的な視点が、うちの社員に求められるんですね。お客様の成功なくして、我々のビジネスモデルは成り立ちませんから。

インタビューを終えて

90%以上が中小企業、 “100年企業” が2万7,000社超と言われる中小企業大国の日本。彼らのための新規顧客獲得の効率化や品質アップにつながるサービスを提供し続けるリーチローカル・ジャパンは、グローバルなビジネスセンスを駆使して、ローカルな市場を盛り上げていくでしょう。


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