「職能×プロ意識=次の仕事」技術の壁は自分たちで壊す| ソニックムーブ

ペロンパ田中


「職能×プロ意識=次の仕事」技術の壁は自分たちで壊す| ソニックムーブ

こんにちは、LIGライターズの田中です。普段は株式会社ペロンパワークスという会社で、広告制作や商業誌の編集・執筆をやっています。

2002年に創業した株式会社ソニックムーブは、ガラケーが主流だった時代からモバイルサービスの開発市場において第一線を走ってきた企業です。またWebサイト制作のほか、近年は動画広告配信プラットフォーム『GUILE』の開発も手がけるなど、事業展開はさらに拡大しています。

ガラケーの着メロサービスからスマホアプリ、リッチメディア広告などさまざまなコンテンツ制作を手がける同社は、どのようにして時代のニーズを先取りし、長く走り続けてきたのでしょうか。

「 “一緒にやろうぜ” みたいな言葉や雰囲気を、現場では重要視したい」と話す取締役の関口さんと、マネージャーの橋本さんに、今後の展望を含めてお話を伺いました。

Poole:アイコン_ソニックムーブ様02 人物紹介:関口 篤史氏
平成13年からソニックムーブ代表を務める大塚氏と、クリエイターチームとして、ソニックムーブを結成。その後、平成14年3月に起業し現在に至る。経営のかたわら、デザイン・フロントエンド・システム・サービスプロデュース・ディレクションなど多様な、領域を経験。
Poole:アイコン_ソニックムーブ様01 人物紹介:橋本 文希氏
2011年メディア事業部のディレクターとしてソニックムーブに入社。ゲームアプリの開発・運用を中心にディレクションを担当。広告マネタイズの運用や受託開発ディレクション等、幅広い領域の案件に対応。プロジェクトリーダーとして、コスト・リソース管理・プロモーション施策等、複数の案件を統括。

正確な見積もりが作れない。でも、「やれます」と答えて、どんどんハードルを上げた

ソニックムーブ様_記事002

― 2002年の創業当初、関口さんは代表の大塚さんと事務所兼住居をお二人で共有していたと聞きました。創業時から順調な滑り出しだったのでしょうか?

関口:今と比べるとまだWebコンテンツを作る人が圧倒的に少ない頃だったこともあり、当初から手持ち案件は多かったですね。でも、毎日分からないことだらけで解説書を片手に目の前の業務と戦っていました。そもそもシステム開発とかはまだ工数が見えにくいところもあったので、正確な見積りすら作れない案件も多かったですから。

僕はデザイナーとして業界に入ったので、システムの知識はほとんどない。でもオーダーがあればとりあえずは「やれます」と答えて、どんどんハードルを上げていきましたね。

そうするうちに案件も自分たちだけでは抱えきれなくなって、きちんと法人化して事務所を構えることになりました。大塚とは1年ほど一緒に住んでいましたが、今思えばその経験でもの凄く絆が深まったと思います。

 
― アプリ開発やWeb制作の会社が今ほど多くないにせよ、すでに競争で淘汰される企業もあったと思います。なぜソニックムーブは創業から波に乗れたのでしょうか?

関口:単純に何でもチャレンジしてきたからだと思います。でもそのためには、まず自分たちが楽しんでいないといけない。たとえばガラケーでFlash再生に対応したときも、もともとリッチコンテンツの制作に興味があって、知識もあったから、すぐに技術を応用できました。

ほかの案件も同様で、「どうやってこれ動いているんだろう」とか「自分でやるならどう仕組みを作ろうかな」とか、先に個人的な興味があった方が吸収も早いじゃないですか。弊社はそれがうまく機能して、波に乗ったというか、スキルの更新に対応してこられたのだと思います。

でも挫折もたくさんあります。楽しさを追求しようとして、すでに2002年頃に動画のリッチコンテンツでメディアを作ろうとしたことがありました。いろいろなところに企画を持っていったんですけど、当時はインフラも脆弱で、容量が軽いサイトが主流で実現できなかった。そういうときは歯がゆさを感じましたね。

 

「技術の壁は自分たちで壊せる」自社サービス開発で踏み出した大きな一歩

ソニックムーブ様_記事1100

― アプリ市場で大きなターニングポイントとなったのが、2010年頃からの急速なスマホの普及だと思います。コンテンツメーカーとして、ガラケーからの技術の移行に不安はありませんでしたか?

関口:その頃はすでにニフティさんの『デコゲット』など、ガラケー時代に培った大規模なサービス構築のノウハウやワークフローは社内に備わっていたので、どこかで「何とかなるだろう」と思っていました。あとスマホとはいえ、小さな画面の制約があるなかで、ユーザーに響く本質的な表現方法は変わらないだろうと。

ところが、やっぱり技術的な壁はありましたね。たとえばFlash Playerに対応していないので、弊社で開発を行ったソーシャルアプリの『海の上のカメ農園』がそのまま移行はできない。HTML5で同じアニメーションを作り直そうとすると、気の遠くなるような作業が待っています。

かつてリッチコンテンツメディアの起ち上げで挫折したように、以前ならここでインフラのせいにしてストップしていたかもしれません。でも、昔と違って大勢の信頼できるスタッフがいる。何度か彼らと話し合っているうちに、自然と「自分たちで再生エンジンを作ろう」という結論になったんです。そこで初めて自社でサービス開発したのが、『JswfPlayer』というFlashからHTML5への変換ソリューションです。

 
― 初めて自社サービスを開発された経験によって、業務に対する考えや会社の方針に変化はありましたか?

関口:創業から10年近く経った段階のことでしたが、初めて明確に自分たちの技術力に自信を持てたことですね。この経験は非常に大きい。

JswfPlayerは業界内でいろいろな会社に導入していただいていますが、自社開発のサービスが制作現場で普及するのはやっぱり嬉しいですよ。B to Cの場合は、「ちゃんとユーザーのツボにハマるかな」とか、最後までヒットするかどうか予測できない部分があります。

でもBtoBサービスの視点は、開発者である自分たちがまず使いたいかどうか、というニーズが明確だと思うんです。その課題に対して、きちんと満足度の高いソリューションに仕上げることができたのは、大きな一歩だったと思います。

 
― 満足度の高いサービスを提供できれば、結果的に開発者の自信にもつながる。さらに良いパフォーマンスを提供しようという探究心を刺激して、スキルアップについてもよいサイクルが生まれるわけですね。

関口:そうですね。Web業界って、そこに技術的な裏付けを提供できないと、商品として成立しない。つまりユーザーの視点と職人的な視点が不可欠です。

自分たちは自分の技術にこだわりと自信を持って取り組む。外部に対しては、BtoBサービスを通じて「ソニックムーブの技術力はなかなか高いんだぜ」というメッセージを発信できれば、ビジネス上の信頼関係もいい影響を与えると思います。

「一緒にやろうぜ」職能が違う人との会話がチーム意識を高める

ソニックムーブ様_記事0003

橋本:第一印象は明るいなと。ジョークを飛ばしたりして、楽しみながら仕事するっていうのは今まで勤めてた会社にはなかったかなあと思いました。バランスボールで跳ねている人がいたり、ずっとテレビゲームやっている人がいたり。

 
― 同じ悩みや喜びを共感するのではなく、職域を超えた交流がポイントということですか?

橋本:そうです。デザイナーはデザイナーとあるあるネタを話して共感するだけじゃなくて、フロントエンジニアやイラストレーターなど、いろいろな専門スキルを持つ人ともよく会話をしています。要は根底にリスペクトがあるかどうかですね。

弊社は制作スタッフの職能が網羅されているので、互いの仕事内容を尊重しながら、業務に対する考え方の違いやこだわりを話し合えるんです。

― 社内のコミュニケーションのほかに、チームワークがうまく機能するために気をつけていることはありますか。

橋本:マネージャーの視点からいうと、チームではなく、まず個々のモチベーションを失わないように気をつけることですね。制作期間も延びて制作費もなくなったりすると、どこからモチベーションが下がったりとか、やりたくない領域の仕事が生じることもあると思うんです。でもそんなときこそ、スタッフには小さな目標を持ってもらって、会社に来ることを楽しくなるように心がけています。

 
― スタッフが楽しんで仕事をできるように、適性をみて業務や目標を割り当てるということですか?

橋本:適性というより、シンプルにやる気を高めようとしています。何が向いている、向いてないとこちらが勝手に判断するよりも、「これめっちゃ楽しいね」とか「一緒にやろうぜ」みたいな言葉や雰囲気を、現場では重要視しています。

あとは成果を伝えることですね。「あなたの仕事はこういう貢献を生んだ」ということをはっきり言うことで、本人の自信にもつながるので。これは売上などの数値的な達成度だけじゃなくて、ノウハウひとつでも「次回に活かせるね、助かったよ」と感謝を伝えことを大切にしています。

関口:自分の仕事を見てくれている人が社内にいる、というのは大切ですね。それは別に同じ職能じゃなくて、デザイナーがエンジニアの仕事ぶりを参考にしたり、尊重したりしてもいいと思うんです。

弊社はセクションやチーム体制を作って売上を競い合ったりすることはしていません。意図的ではないのですが、今思うとだからこそコミュニケーション量が多く、社内の一体感にも良い影響を与えているのかもしれません。

一生懸命作った成果が目の前のレールを作る。だから営業人員は創業以来1人もない

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― 御社ではスタッフブログを公開していますよね。日々の業務で忙しいなか、あえて自社メディアを設けている理由は何でしょうか?

関口:弊社はこれまでアウトバウンドの新規営業ってしたことないんです。目の前の業務を一生懸命取り組んで成果を出し、それが次の仕事につながっているというのがずっと続いているんです。だから、創業以来営業担当者を配置したことがないんです。

でも、競争が激しくなりそうな今後は、外部に向けて自分たちの技術力やアイデアを発信していく必要があると思って。そこで3年前にブログを開設しました。

橋本:技術者が自分の言葉で伝える機会ってあまり多くないじゃないですか。でも、きちんとプロセスを説明することでクライアントから信頼感を得たり、同意を形成できたりすることも結構あるんです。ブログは論理的な説明能力を高める練習になればいいなと思って設けています。

 
― アウトプットすることでノウハウの整理にもつながると。

橋本:そうです。ノウハウや経験、技術のアウトプットをそれぞれの立ち位置で行って、外部に伝えられる組織になることが、クリエイターを創出し続けられる会社だと思うんです。またクライアントがそれを読んでくれたら、「ソニックムーブはこんなことができるのか」という技術的なPRにもなるかなとも思っています。

 
― 会社の展望として、ソニックムーブの認知度を高めたいという狙いがあるということですか?

関口:それよりも、まず有名なサービスがあって、そこに紐付いて「へー、ソニックムーブが作っているんだ」と思われるのが嬉しいです。

弊社は組織というより、職人目線でスタッフを大切にする企業文化だと思うんです。なので、世の中のクリエイターに向けてもっと認められる存在になって、それが結果的に一般的な認知度につながればいいなと。

 
― 最後に、一緒に働きたい人材について教えていただけますか。

関口:もちろん技術的な話も面接では尋ねるのですが、仕事でも学生生活でも大切なのは、何かを乗り越えた経験ですよね。敬語がうまく話せなくてもいいです。責任感というか、プロとしての意識やプライドを最低限持っている人と一緒に働きたい。

そこさえ備わっていれば、例えばエンジニアとして万一本人が向いていないと思ったときに、ほかの役割に転換するなどの提案もできるわけです。弊社はディレクターやデザイナーなど色々な役割のポストがあるので、長く走り続けやすい環境だと思うので。

橋本:内発的なプロ意識というか、探究心があればいろいろなチャンスがある会社だと思います。私は受託ディレクターとして入社しましたが、ゲーム開発や運用、広告などいろいろな職域をまたいで仕事をさせてもらっているので。もちろん慣れないところもたびたび発生するので、不安は尽きないですが(笑)

仕事に対してマンネリを感じることもなく、ここなら皆と一緒に成長できると思います。

インタビューを終えて

「それぞれが別案件に取り組んでいても、職場のコミュニケーションは尽きない」と話す関口さん。専門スキルを磨きつつ、それぞれがチーム意識を保てているのは、職域を超えた相互のリスペクト精神があるからでしょう。

高度なプロ意識から生み出されるサービスやプロダクトによって、今後もクリエイターから注目される存在になりそうです。


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ペロンパ田中
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