こんにちは、ディレクターのエリカです。
ディレクター連載「いいWebつくろう〜クライアントと制作会社〜」第4回のテーマは、Webサイト制作の受注形態についてです。
今回は、Webサイト制作にはどのような受注形態があり、その受注形態にはどんなメリット・デメリットがあるかをおさらいしていきます。新人ディレクターや、制作会社選びに悩んでいる企業のWeb担当者さまのお役に立てたら幸いです。
3つの受注形態「指名・相見積・コンペ」って?
【1】指名受注
指名受注とは、発注するお客様が特定の制作会社を指名する形態です。
お客様と制作会社が話し合い、見積やWebサイトの要件定義がまとまって、双方の合意ができた段階で、正式受注となります。
- メリット
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- 制作以前の方向性を模索する段階から、二人三脚で考えることができる
- プロジェクトの動き出すスピードが早い
- デメリット
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- 複数社の比較ができない
- 指名受注に適したプロジェクト
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- 制作以前の段階から、方向性を含めたWebサイト制作を相談したい
- プロジェクトの動き出すスピードを優先したい
制作会社が受注のお話をいただくとき、特に嬉しいのが指名受注です。お客様に「一緒にお仕事がしたい!」と思っていただけるのは本当にありがたいことです。
指名受注は、他社と比較しない方法なので、受注側のメリットが多いように感じますが、実際には発注するお客様にもさまざまなメリットがあります。それは、何を作るかが決まっていない場合や、スピードを優先したい場合です。
例えば、こんなお悩みです。
「○月に新ブランドが出ると決まっているが、Webでどうアピールしていけばブランド認知や売上の向上ができるのか」
コンペでいろいろなアイデアを見るのもひとつの手ですが、コンペには最低でも2週間ほどの時間が必要で、制作会社を選定するころには1カ月が過ぎています。新商品のパッケージが決まったころには、Webサイトの発注がギリギリで……なんてことも多いですよね。
そのような状況であれば、1社を指名して密なやりとりを開始した方が、企画にかけられる時間が長くなり、結果として、いいWebサイトが完成するはずです。
つい見落とされがちな、発注側のメリットも意識しながら検討してみてください。
【2】相見積
相見積とは、発注するお客様が要件を提示し、複数の制作会社に見積を提案してもらう形態です。
お客様は金額感の合う制作会社を選定することで、正式受注となります。選定後に話し合いを重ねて、再見積をしてから、正式受注に至る場合もあります。
- メリット
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- 制作にかかる金額の比較がしやすい
- デメリット
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- 制作金額偏重になる場合がある
- 発注側が要件を提示するため、成果物が画一的になってしまう可能性がある
- 相見積に適したプロジェクト
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- 成果物の方向性が決まっている
依頼する際に作りたいものが決まっているときに、金額面で検討できるのが相見積です。
ざっくりですが、例えばこんなご依頼です。
「20ページのコーポレートサイトで、PCのみ。写真・原稿はパンフレットの素材を支給できる。更新性が必要なのはニュースのみで週1回程度」
とはいえ、相見積の要件定義は難しいものです。
20ページのコーポレートサイトという大枠が決まっていても、デザインコンセプト、JavaScriptの実装レベルなどの違いで、見積が100万円以上違うことは珍しくありません。
相見積を成功させるポイントは、予算感を事前に共有すること。そして参考サイトを使った「どこまでこだわるかレベル」の擦り合わせかと思います。
見積結果が比較にならないほどバラバラでは、相見積の意味がなくなってしまいますので、要件定義をしっかり話し合うよう意識することが大切です。
【3】コンペ(コンペティション)
コンペとは、発注するお客様が目的を提示し、複数の制作会社に企画と見積を提案してもらう形態です。
発注側は、企画と金額感の合う制作会社を選定し、正式受注となります。選定後に話し合いを重ねて、企画の詳細を決めたのちに、再見積をする場合が多いです。
※ここでいう企画とは、話題づくりのネタに限らず、KPI(目標達成度)設定 / 情報設計 / デザインコンセプトといったものを含みます。
企画提案には、資料づくりやデザイン提案などの実働を伴うため、提案料が発生する場合もあります。
- メリット
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- さまざまな企画を比較、検討できる
- デメリット
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- 制作会社の選定までに時間がかかる
- 企画によっては、金額比較にならない場合がある(企画による)
- コンペに適したプロジェクト
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- 制作・サイトローンチまでの時間や、制作に対する予算にも余裕がある
- 成果物が未確定(ただし一定の条件/目的がある)
プロジェクトに対して、求める結果がおおよそ決まっていて、その手段に迷っている場合に検討できるのがコンペです。ただし、ある程度の時間的余裕が必要です。
例えば、こんなお悩みです。
「自社Webサイトを経由して採用者を増やしたいと考えている。採用応募者を増やすために、採用サイトを制作したいが、そこでどのような情報を掲載すればよいか」
上記の例で言えば「自社サイト経由の採用者を増やしたい」がポイントです。ここがブレてしまっている場合は、まだコンペをするべきタイミングでは無いかもしれません。
いろいろな会社のアイディアが見えて、発注するお客様の満足度が高いコンペですが、その裏側では、コンペのデメリットがあることも意識しておいてください。
もしあなたが制作会社のディレクターで、コンペそのものがお客様のデメリットになるようであれば、「コンペにしない方が適切ですよ」と提案する勇気も必要です。
まとめ
制作会社選びに失敗したくない! ということは、住々にしてあるかと思います。それなら、たくさんの候補から選んだ方が失敗しないのではないか、と思われるかもしれません。まずは、しっかりとプロジェクトの性質によって、依頼することが大切です。
Web制作会社の受注形態による違いを把握し、そのメリット・デメリットを理解しておきましょう。みなさんが発注者・受注者となって悩んだときに、この記事を思い出していただけたら幸いです。
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