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第56話
漫画チャンネル

遺す者と、遺される者たちの物語『女の子が死ぬ話』(※ネタバレ含)

けいろー

え……ここで!? 一転する時間軸

そのまま「その後」と、さらにその先の「未来」が語られてハッピーエンド……かと思いきや、一転して物語の時間軸は「その前」まで遡る。語り部となるのは、死んだ女の子に替わるのです。

本作の最後で描かれるのは、死んだ女の子と、幼なじみの男子の物語。本来であれば、序盤で主人公を務めていた彼女との友情模様が繰り広げられてもおかしくなかった病院を舞台に、どうしようもない感情と、互いを想っているからこそやるせない、辛く苦しい問答が展開されます。

そこにはテンプレート的なお涙頂戴展開はなく、見えるのは結末が見えているがゆえの暗鬱たる空気と、ほんのちょっとの救いのみ。それが正しいのか、正しくなかったのかは物語中では言及されないし、そもそも「正しさ」とは何ぞやというところにまで思考が及びかねないほどに、モヤモヤがMAXになる展開でした。

もう半分くらいはネタバレしちゃってるので今更ですが、どうか最後の部分はぜひ実際に読んでいただければと思います。そして僕のようにモヤモヤするがいいさ! ふーははは! ……はぁ。

それでもひとつだけ、はっきりとした救いも用意されていることが、この作品を好きになった理由のひとつであり、また「漫画」という媒体ならではの魅力だと思います。祝福は、カバー裏にあった。

まとめ

この『女の子が死ぬ話』という1冊の漫画は、何よりも物語展開の「構成」が独特で印象に残った作品です。

言ってしまえば、タイトルどおり。それ以上でもそれ以下でもない話なのに、うまい具合に時系列と視点をいじることによって、読者の心情をあっちゃこっちゃへと揺さぶってきます。

1人の人間の「死」という重いテーマではあるものの、そこから炙りだされる複数の視点は他の作品ではなかなか読めるものではなく、新鮮に感じられるものでした。最後まで読み終えた人に、きっと何らかの感慨を残してくれるはずです。

例えるなら、口にした食べ物の後味に首を傾げるとか、歯と歯の間に何かが挟まっているような。じわじわと効いてくる毒のようなものであり、下手な感動話よりも響くものがある。いつまでもいつまでも耳に残響音が残るような、ちょっと切なく、だけど前向きになれる漫画です。

皆さんもぜひご覧ください。

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