「日本のヤクザ取材で学んだ」ふたりが見てきた奇妙な世界 | ヨシダナギ × 丸山ゴンザレス

ナッツ


「日本のヤクザ取材で学んだ」ふたりが見てきた奇妙な世界 | ヨシダナギ × 丸山ゴンザレス

こんにちは、LIGブログ編集長のナッツ(@nuts612)です。
先日、フォトグラファーのヨシダナギさんにインタビューさせていただきました。

 
ちょうど記事公開のタイミングで、TBS系列で放送されている『クレイジージャーニー』という番組にヨシダナギさんが出演されていたこともあり、多くの反響を頂けました。そんなヨシダナギさんが、同番組に何度も出演されている丸山ゴンザレスさんとトークショーを行うことに。

番組の裏話やアングラの取材術、またお二人が見てきた奇妙な世界についてお話いただきました!

本記事はイベント『世界奇行vol.01|ヨシダナギ × 丸山ゴンザレス』での対談内容を書き起こし、編集したものです。

「TV放映後は乳首祭りだった」クレイジージャーニーの裏側

よしだなぎ

 
— 司会(以下略):自己紹介をお願いします。

ヨシダナギ(以下、ナギ):フォトグラファーとしてアフリカの少数民族を撮り歩いています。こう見えてシャイです。だけど好奇心は旺盛なので、好奇心だけでアフリカに行っているようなものです。
幼少期の夢はアフリカ人になることで。20歳くらいになれば、肌の色が選べると思ってました。だけど親に「あなたはアフリカ人みたいにはなれないのよ」と突きつけられてショックを受けたのを覚えてます。

丸山ゴンザレス(以下、丸ゴン):親御さんが否定してくれてよかったですね。「褒めて伸ばせばいい」というわけではないことを示すいい例ですよ。
僕は普段の仕事は書籍の編集で、その他にジャーナリスト活動もしています。取材先は危険地帯というか裏社会の取材をしています。幼少期の夢は考古学者でした。実現はしたんですけど、諸事情あって辞めました(笑)
性格は野次馬根性むき出しな感じです。

 
— 二人の出会いは?

丸ゴン:クレイジージャーニーがキッカケですね。Facebookで定型文の領域を出ない範囲のやり取りはしていました。
それで、クレイジージャーニーはTBSの人がひとり取材に同行するんですけど、ナギさんに同行した人と僕に同行した人が同じディレクターだったんです。これがキッカケで繋がるようになりました。

ナギ:もともと丸山ゴンザレスさんが出ている放送を見たときに、「わたしも出たいな」と思ってました。

丸ゴン:思いました?(笑) 普通出たいと思わないでしょ。結構ギリギリでしたよ、こんなの放送できるのかなみたいな。ジャマイカでスラムを取材したときも、取材交渉した連中が20歳とかで、初めて人を殺したのは14歳って言ってたんです。怖いなーと思いましたね。

あと大麻畑もすごかった。あそこは、ボスに交渉して取材しているんで詳しく話がきけて、実態もよくわかりました。おかげで大麻を育てるのって、ホントに農作業なんだって思いました。だって、年に2ヶ月しか休みがないんですよ。
でもね、農園のオヤジに「休みの日は何してるんですか?」って聞いたら、「休みはクルーザーに乗ってる」だって。ちなみにそのクルーザーは、休みのとき以外は何に使っているのか聞いたら、「取引に」って言ってました(笑) 

 
— 続いてナギさんより番組の振り返りをお願いします。

よしだなぎ_3

ナギ:これはエチオピアで飲んだ地ビールです。わたし、お酒飲めないんですけど礼儀で口をつけるんですね。でも本当にヨダレの味でした。

丸ゴン:お腹いたくなったりするのは気にしないんですか?

ナギ:昔は気にしてたんですけど、アフリカ人たちから「お腹いたくなることがどうした?」って言われて。「トイレに行く回数が増えるだけじゃないか」って。確かにそうだなと思って気にしないようになりました。

丸ゴン:そうだなってなります?(笑)

 
— ちなみにTV放送後、ナギさんはネット上で「なんで乳首隠してるんだ」って乳首祭りでしたよね。

ナギ:でも、薄いモザイクだったんですよね。だから、うっすら乳輪っぽいのが見えてたと思うんですよ。だけどあれ、赤土で乳輪をでかく描かれているだけで「わたしの乳輪はそんなデカくないよ」と言いたい。

 
— それが言いたくて今日イベントに来た(笑)

「わたしの師匠はチンチン鍛えていたんですよ」サドゥに弟子入りしたインドでの旅

丸山ゴンザレス

 
— おふたりの普段の活動を教えてください。

ナギ:わたしはアフリカの印象も強いですけど、途上国も好きなんですね。去年の夏にインドの少数民族を探しにいったりして。そしたら、たまたまサドゥの方に目をつけていただいて「オレの弟子にならないか?」ということで、弟子になって一緒に寝泊まりしてました。

丸ゴン:ツッコミどころ満載で全然わからないんですけど、どういうことですか?(笑)

ナギ:くれって言ってないんですけど、サドゥの人たちがわたしにご飯とかくれるんですよ。でもサドゥって神様に近い存在なので、本当は彼らからモノをもらっちゃいけないんですね。そんなこともあって彼らから「なんかお前おもしろそうだな」って言われて、「私もこの人、おもしろそうだな」と思って弟子にしてもらいました。

丸ゴン:百歩譲ってわかったことにします。それで、彼らは修行してるんですよね? その師匠はどんな修行してるんですか?

ナギ:サドゥの人たちは何かしらの修行してるんですけど、死ぬまで左手をあげ続けるとかですね。それで、わたしの師匠はチンチンを鍛えていたんですよ。

丸ゴン:いろいろ控えめにしてましたけど、ナギさんからぶっこんできましたね。その修行をする意味があるんですか?

ナギ:わたしも聞いたんですよ、そしたらサドゥって煩悩を捨てなきゃいけないんですけど、彼は「そうだ、チンチン鍛えればいいんだ」ってなったそうで。それ自体が欲なんですけど(笑) だけど彼はチンチンを鍛えたから、チンチンで10人乗りのトラックを引けるんですよ。

丸ゴン:みなさんを代表して聞きますけど、その人に弟子入りして何を極めようとしたんですか?

ナギ:だいたいの人はチンチンに乗らずに死んでいくと思うんです。だってチンチンの上に乗ったことありますか? ないですよね? 弟子にならないとチンチンに乗れないんですよ。

丸ゴン:……なるほど。まぁ、わかりました。

 
— ゴンザレスさんは普段どういった活動をされているんですか?

丸ゴン:自己紹介通りで、書籍の編集などをやっています。出版社に何年か勤めていて、独立してからはジャーナリストとしての活動も本格化しています。
取材者なのに野次馬根性で、ついつい最前線でちゃうこともあって、香港の学生たちのデモ取材をしていたときには、僕は取材する側で行ったのに、デモ隊より前に出ちゃって。年長者だからか学生たちも「どうぞ、どうぞ」みたいな(笑)

ナギ:取材で走ったりすることあるんですか?

丸ゴン:ありますよ。100mダッシュできる筋力と心肺能力をなるべく維持しようとしてます。ヨハネスブルクに滞在してたとき、見渡す限りの黒人に囲まれたんです。手で壁ができるんです。これは戦っちゃダメだと思って走って逃げましたよ。そのためだけに鍛えてますから。

「日本のヤクザ取材で学んだ」危険な状況での振る舞い方

丸山ゴンザレス_2

 
— 危険だったこと、思いがけないハプニングはありますか?

ナギ:アフリカにいくと虫がいるんですね。あるとき、指の中に水ぶくれができて、その中に小さなイクラみたいなものが入ってたんです。「なんだ、これは」と思ったら、虫の卵だったんですよ。産みつけられちゃって。そしたら翌日また違う指にできちゃって。自分で針で取りました。

丸ゴン:すごいなぁー、僕、虫系はないですねー。食べるくらい(笑)

ナギ:あとは、わたしはひとりで行くので、どこでもセクハラに遭うんですよ。笑えるセクハラのお話をすると、バングラデシュへ行ったときにホームステイさせてもらって。その家の主がハビブルという人で、警察官で奥さんも子どももいるから大丈夫かと思って泊まったんです。
それで寝ているときに寝苦しいなと思って目が覚めたら、大の字で寝ている私の上にハビブルが大の字で重なってたんです。一応、ヒジでガンってやったんですけど、無言でいなくなっちゃって。翌日も何も言ってこないし、なにも起きてないから「まぁ、いいか」と思って。

丸ゴン:なにも起きてないですけど、嫌ですよね(笑) そういうのを避ける方法とかあるんですか?

ナギ:インドとかは、笑ったり愛想を振りまいちゃいけない。とりあえず露出しない。胸元を隠すようにしたり。
インドの寝台列車に乗ったときも、わたし含めて6人の部屋だったんですけど、ハビブルみたいなやつがいたんですね。挨拶しても無表情で。それで怖いなと思いつつ、寝てたら乳に違和感を感じて。そのハビブルみたいなやつが顔だけそっぽ向きながら、わたしの服の中に手を入れてるんですよ。
深夜で騒ぐわけにもいかないので、上に寝ていた友人のアフリカ人のシーツをひっぱたら、ドンキーコングみたいに騒いでくれました(笑)

丸ゴン:アジア人はネチッコイんですよね、親戚のませたガキみたいな動きしますよね(笑)

 
— 丸山ゴンザレスさんは間合いのとり方がうまいなと思うのですが、いかがですか?

丸ゴン:女性のバックパッカーの人は、相手との距離をゼロにするのがうまいですよね。ナギさんみたいに旅先で知り合って遊びにいくとか、僕しないですからね。距離をとってるのも、別れやすいようにするためです。取材者として対象に接するのは、その場限りでおさめるべきだと思っているんです。

友人として来たわけではない、異物として入っていって、異物として出ていく。そういう距離の取り方を心がけています。仲良くなると聞きづらいこともあるじゃないですか、年収とか今後の暮らしとか。 “友だち” に聞かれると嫌なんですよ。だから僕は友だちにはなれないし、ならない。むしろ、なんでナギさんは仲良くするんです?

ナギ:わたし寂しがり屋なんですよ、だから仲間が欲しい。結構、飛行機の中での出会いも多くて。指の毛を抜いて遊んでたら、「手伝うよ」ってバングラデシュ人が話しかけてくれたり。

丸ゴン:いろいろおかしいですよね?

ナギ:彼ら(毛を抜くのが)うまいんですよ!

丸ゴン:(笑) 僕はですね、これは象徴的な話なんですけど、ビンボーな生活を覗きたいんですよね。ヤンゴンのスラム街にいったときも、明らかにお金がない生活をしている人たちがいるわけです。それで何してるんだって聞かれるんで「ここの人たちの生活を知りたい」と言って家に行かせてもらって。
取材のときの僕の一つのルールとして、同情はしない。取材で行っている以上、僕は謝礼なり何なり対価を支払うから。そのときも客がきたということでジュースを出してもらうんですけど、その家の子どもたちはジュースなんて想像の産物なんですよ。見たことがない。でも、こちらも出されたからには飲みたくなくても飲むんですけど、子どもたちはジーッと見てくるんですよね。それでも気にしない。

 
— 貧しい家族とかではなく、悪そうな人たちへはどうアプローチするのですか?

丸ゴン:弟分とか子分的な立ち位置で入っていくんです。「へへっ、旦那」みたいな(笑)
自分は誰の下につくのかって大事なんですよね。その辺の子どもたちが話しかけやすいからって子どもと話していたら、「こいつ、ガキンチョと話すヤツなのか」って思われてナメられちゃう。だからこそ、ボスにぴったりくっつく。そして「ボスの客」として振る舞う。側近とも仲良くしない。

そういうのをどこで学んだかというと、日本のヤクザの取材で学びましたね。「紹介してやるよ」と言われても、その人がどういう立場にいるとかを分かってないと、紹介してもらっても意味ない。上から入っていかないと下が見えないんで。
なので、こういう距離をゼロにするパターンでは、取材が終わるときが大変で。「じゃあ」とぶった切って逃げ去らないといけない。この先も取材すると判断したときだけ繋がるようにしていますね。
なのでジャーナリストはひとつのルールだと危険で、いろいろなパターンを持っていなくてはいけないなと。

日本は日光や京都だけじゃなく、代々木や初台がある。海外も一緒。

よしだなぎ_ポストカード

 
— 最後に一問一答的な形で、事前に集まっている来場者からの質問を。まず、「普段はどういった生活をされているんですか」とのことで、おふたりいかがでしょう?

丸ゴン:仕事というとつまらないですけど、仕事になりそうなことをやってますね。新宿を夜中フラフラしたり、新大久保の街娼を見て、「いまは何系の子が立っているのかなぁ」とか。ナギさんはお洒落なカフェとか行かないんですか?

ナギ:日本にいるときは引きこもってます。基本、人と会うのが嫌なんですよ。一回外に出た帰りじゃないと、お店とかも入らないんです。

丸ゴン:えっ? あー、まぁ何となくイメージ通り。

 
— 次に、「異性の趣味を教えてください」という質問が多いですね。

丸ゴン:趣味でいうと、外国の方やハーフの子が好きですね。

ナギ:わたしはアフリカ人には性的魅力は感じないんですよ。

丸ゴン:そうなんですか? てっきりあるのかと思ってました。

ナギ:そう思ってる人が多いようなんですが、私にとって彼らは恋愛対象ではないですね。私のタイプは蝶野正洋さんなんで。

丸ゴン:えっ、そうなの?! 会場ザワついてますよ(笑)

 
— 最後に、今後の展望を教えてください。

丸ゴン:危険地帯だけじゃなくて、ちょっとした裏側というか。たとえば外国人が日本に来て、日光を見て京都を見て「日本ってこういう国か」と思っても違うじゃないですか。六本木もあるし、渋谷もあるし、池袋もあるじゃないですか。
逆に僕が行く危険地帯とかスラム街の人たちも同じようなことを思っているので、海外の代々木とか初台とか、そういうエリアに該当するようなところを取材していきたいと思ってます。

ナギ:(展望は)ないです。今日はありがとうございました。

丸ゴン:えっー?! まぁ、ヨシダさんも取材されてますけど、今後フィールドを広げていっても、民族を取材するんですか?

ナギ:そうですね、裸族を撮っていきたいです。

おわりに:特別にお話をお伺いしました!

とても刺激的な紀行を続けられているヨシダナギさんと丸山ゴンザレスさん。
イベント終了後、おふたりにお時間を頂戴し、本イベントの振り返りをお伺いしました。

丸山ゴンザレス_よしだなぎトークイベント

 
— アングラな取材での間合いの取り方とかは、どうやって身につけたのですか?

丸ゴン:いろいろ失敗しましたけど、考え方としてはステップを踏んでいくのではなくて、「現場でうまく立ち振る舞えたから残っている」という感じですね。失敗して消えていったやつはたくさんいますよ。聞き方を間違えて相手を怒らせてしまって、中華料理屋で土下座とかは全然あるわけで。
誰かに教えてもらってとか、どこかの雑誌に入って新人記者として始めたわけでもなく、ヨーイ、ドンで始めるだけ。どうやったらできるかではなく、「そんなに大きな失敗をしなかった」というだけですね。

 
— 話を聞くのに謝礼を払わないこともあると思うのですが、どうやってメリットを提供しているのですか?

丸ゴン:小銭もらったところで生活改善にならないような人が多いエリアってありまして、そういうとこだと僕の登場自体が娯楽になったりするんですよ。だから、生活のアクセントになったりすると、お金を要求されることもないですね。むしろ逆にちょっと金あるやつの方が要求してきますね。もちろん無理強いはしないし、こっちから「払いますよ」と提案はします。

 
— 今日のイベントを振り返って、いかがですか?

ナギ:ゴンザレスさんとはお会いしたことあったんですけど、ここまでお話を聞いたことがなかったので、わたしも観客になった気持ちでした(笑)

丸ゴン:俺、しゃべりすぎだねぇ(笑)
そう、今日打ち合わせがあるから「12時半に集合」と聞いて。そんな早い時間に来れるわけないだろと。僕はいつも朝9時とかに寝て12時くらいに起きるんです、なるべく寝たくないので。だから、12時は僕にとって早朝なわけですよ。皆さんが朝6時とかに集合するようなものなので。

ナギ:あと、ゴンザレスさんはアドリブすごいな、と思いました。

丸ゴン:ナギさんはアドリブ弱いね(笑) 僕は売れない時代からトークイベントはいっぱい出ているんでね。たとえば、「これどうかな」というのを投げてみるんです。それで会場のウケがどうか見ながら話して。だから今日は昼間のイベントだったので、普段とは違う客層でよかったなと思います。
また、俺ばかり話してる(笑)

 
— ありがとうございました!

永田優介 あとがき
丸山ゴンザレスさんの「現場で立ち振る舞えたから残っている」というひと言が、グッと心に刺さりました。修羅場を乗り越えられる男でありたいです。(ナッツ

【告知】ヨシダナギさんが、12月に大阪と東京でトークショーを開催することになりました。

俺とお前と黒いヤツ2015

ヨシダナギ presents 俺とお前と黒いヤツ2015

人気沸騰中の旅番組『クレイジージャーニー』に出演し、巷の話題をかっさらったフォトグラファー・ヨシダナギが、アフリカでの珍道中やテレビで明かされなかった珍エピソードを携えて12/17に大阪ロフトプラスワンウエスト、12/21に新宿ロフトプラスワンをジャック。
東西ロフトプラスワンでヨシダナギの全貌を体感してください。

【 大阪編 】
日時:2015年12月17日(木) OPEN 18:30 / START 19:30
会場:Loft Plus One West (大阪府)
料金:前売 ¥3,000 / 当日 ¥3,500(飲食代別)※要1オーダー¥500以上
詳細:http://www.loft-prj.co.jp/schedule/west/38912
前売券の購入はコチラから。

【 東京編 】
日時:2015年12月21日(月) OPEN 18:30 / START 19:30
会場:Loft Plus One
料金:前売 ¥2,500 / 当日 ¥3,000 ※要1オーダー(500円以上)
詳細:http://www.loft-prj.co.jp/schedule/plusone/39003
前売券の購入はコチラから。

ナッツ
この記事を書いた人
ナッツ

4代目広報担当

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