面白法人カヤックのリファーラル採用の場合
面白法人カヤックは、鎌倉に本社を置くインターネットコンテンツの会社です。2014年に東京証券取引所マザーズ市場に上場しました。“何をするか”より“誰とするか”をキーワードに一緒に働きたい仲間を重視した採用活動をおこなっています。
では、外資系大手IT企業と、上場したばかりWebベンチャー企業カヤックがおこなうリファーラル採用は、どのように異なるのでしょうか。
人物紹介:柴田 史郎氏 面白法人カヤックのギブ&ギ部(管理本部)に所属。 |
人物紹介:三好 晃一氏 面白法人カヤックのギブ&ギ部(管理本部)に所属。 |
直接応募による採用は52%
カヤックの採用活動において、求人サービスを使わずに自社サイトや社員紹介からの採用率は52%です。
「採用キャンペーン」と呼ばれる、話題になる求人広告を制作することに加えて、カヤックでは全社員を人事部に所属させる「ぜんいん人事部」という活動をおこなっていますね。全社員を人事部に所属させた結果は、『社員全員が人事部になったら採用コストが25%下がった話』という記事にまとまっています。
この記事では「ひとり会社説明会」という、カヤック社員が1名だけ登壇し、自分の仕事内容を説明する会社説明会についても書いてあります。これはリファーラル採用施策ですね。
効果がある施策でも、社員がやりたがらないものはNG
実行すれば効果がある採用手法でも社員がやりたくなければ、おこなわないというスタンスです。
具体的に「社員がやりたいかどうか」を判断する方法は、“社員がSNSなどでシェアしたい施策になっているかどうか”。LINE NEWSやYahoo!のトピックスに載るような内容なのか、という目線でも確認しますね。あとは人事としての自分自身がやりたいかどうか。
「ひとり説明会」で説明すると、自分が登壇するイベントはSNSでシェアしやすいですし、同僚の「ひとり説明会」もシェアしやすい、という点でSNS経由での採用施策としては優れています。
ただ、これには前提条件があります。カヤックはインターネットを活用した事業をおこなっていて、採用対象もネット系のクリエイターです。彼らはSNSでつながっている可能性が高いので、この施策が聞いてきます。これは、飲食業界でコックさんを採用するために使えるかというと、わかりません。向いている業界、向いていない業界があるとは思います。
リファーラル採用に使える求人サービス
リファーラル採用の進捗を管理したりするサービスもありますが、営業マンを管理するツールなどに似ている気がしていて、カヤック社員は使いたがらないかなあという判断をしています。ただ、年に1回1ヶ月限定で使うなど、瞬間的に盛り上げたいときだけ使うとか利用目的を限定すればありですね。
ちょっと話が飛ぶのですが、北海道にある人口2,000人くらいの村で、「どうやって働き手を採用するか」と聞いたことがあります。そのときの返答が「事務所にある印刷機で200枚くらいチラシを刷って、近所の人に配る」っていう。1週間も経たないうちに「ご近所さんのところの息子さんが東京から帰ってきたんだけど、就職先も何も決まってないから、チラシ渡しておいたよ」って話になり、採用に至るらしいですよ。これってWantedlyの仕組みと同じですよね。リファーラル採用は、別にネットが普及したことによって出てきた採用手法ではないので、もっといろんなやり方があるとは思います。
弊社もWantedlyを使っていますが、Wantedlyでもチラシと同じように求人を社員にSNSで拡散してもらう必要があります。社員にどうすれば拡散してもらえるかを考えた結果、社員のキャラクターを前面に出した求人、例えば「オタクリエイター天野清之と一緒に働く仲間を募集!」というようなものだと、拡散しやすいことがわかりました。求人に出ている社員も、自分に興味をもってくれた人と一緒に働けたら嬉しいじゃないですか。
Wantedlyは毎月3万ぐらいの掲載料金で、求人の掲載数に上限はありません。だからカヤックの全社員、約200人を求人に出したいんですが、まだできてないですね。Wantedlyの理念から考えても「社員を前面に出した求人原稿」というのは合っているのではないでしょうか。
質問タイム
Q.会社を巻き込む方法は?
A.先ほども述べましたが、ネット上で話題になる前に社内で「おもしろい!」と話題になるものでしょうか。
あとはやはり、現場にいるクリエイターの社員に考えてもらったものは、自分たちで考えたものなので、巻き込みやすいですね。「ぜんいん人事部」も人事部が考えたわけではなく、現場社員が考えました。
今度実施する「卒業文集採用」に至っては、株主に考えてもらったアイデアです。株主のみなさんも会社を作っていく仲間だという前提で協力してもらっています。
イベントを終えて
今回、リファーラル採用をメインに、2社の採用の取り組み方についてお伺いし、会社の規模や市場は異なっていても、社員がやりたいかどうか、という基準は変わらないのだとわかりました。
採用は企業と個人のマッチングです。成功をどこに置くのかによってもリファーラル採用やダイレクトリクルーティングという採用手法が合わないこともあるでしょう。ただ、考えなければならないのは、優秀な人材こそ他社からのオファーも多く、求職者を待っているだけではすでに採用市場から取り残されている可能性があるということです。
今回のイベントレポートが、市場と企業の採用の取り組み方について、何かしらの参考になればとてもうれしいです。
以上、よっしーがお伝えしました^^!