こんにちは。メディアディレクターのよっしーです。
“リファーラル採用”という単語を耳にしたことはありますか?
海外では主流になっている採用手法なのですが、日本ではまだまだ浸透していないのが現状です。しかし、国内にもリファーラル採用に成功している企業はいくつかあります。そういった企業は、どのような取り組みをしているのでしょうか。
各社ならではの採用手法について学ぶため、株式会社gloopsが主催するイベント「リファーラル採用 (Referral recruitment)~成功企業から学ぶ実践型勉強会~」に参加してきました。
そもそも“リファーラル採用”って、何?
リファーラル採用とは、社内外の信頼できる人脈を介した“紹介・推薦”による採用活動のことです。リファーラル(referral)は“委託、紹介、推薦”という意味で、具体的には自社の経営者や優秀な社員からの紹介、外部の専門家や著名人からの推薦などを指します。
リファーラル採用と同様に“縁故採用”という単語を耳にすることも多いと思いますが、この2つの採用手法には大きな違いがあります。
縁故採用では、コネクションである、取り持ってくれた人への配慮が優先されます。一方、リファーラルリクルーティングは採用候補者に一定以上の質を求めていることが特徴です。
引用元:人の繋がりを活かす採用方法「リファーラルリクルーティング」 縁故採用とどう違う?
http://u-note.me/note/47500584
ちなみに2012年にアメリカの大手採用コンサルティング会社のCareerXroadsが大手米国企業の採用経路を調査した結果、求人求職サイト(20.1%)よりも、リファーラル採用(28.0%)が割合を多く占めていました。
更に興味深いのは、過去10年間でこの割合は変わっておらず、海外ではリファーラル採用が一般的な採用手法として根付いているということです。また同社の調査では、米国企業の約85%がリファーラル制度を導入しているとのことでした。
参考:「米国の社員リファラル採用のしくみ」リクルートワークス研究所 杉田 万起
詳しくは以下の記事をご覧ください。
本当のリファラルリクルーティングとは?––「縁故」を活かして転職・キャリア採用をスムーズに
それでは早速イベントレポートにいきましょう^^!
某大手外資系IT企業のリファーラル採用の場合
今回のイベントで登壇したのは、面白法人カヤックでギブ&ギ部(管理本部)に所属する柴田氏と三好氏、そして某大手外資系IT企業の人事部でリクルーターを務める矢野氏。3名とも採用の最前線で活躍をする方々です。
某大手外資系IT企業に務める矢野氏ですが、リファーラル採用は苦肉の策からはじまったそうです。また、大手といえども、リファーラル採用の方法や手順には、一般企業と大きな差はないようでした。
では、どのようにしてリファーラル採用を成功させたのでしょうか。
人物紹介:矢野 駿氏 某大手外資系IT企業に務め、現在は人事部にてリクルーターとして活躍中。 |
「なぜ日本は採用にこんなに予算がかかるの?」と言われ、リファーラルを進めるしかなかった
私は外資系の大手IT企業に務めているのですが、担当部署の現場マネージャーは海外の方でした。海外では基本的にLinkedInやMonster Jobsなどを使ったダイレクトリクルーティングがメインなので「なぜ日本は採用にこんなに予算を出しているの?」「高すぎだからなんとかしてくれ」と。いろいろ説明はしたのですが理解してもらえなくて、費用をかけずに採用をするためにリファーラル採用へシフトしました。
私の場合は、現場の社員に対して「友人を紹介すれば、僕たちも人事も楽になるらしいよ」というコミュニケーションをとることで協力を仰ぎました。社員の協力を募るのはリファーラル採用において重要です。
結果的にエンジニア職を含む担当部署ではリファーラル採用が5割以上と、他部署と比較して高い数字をあげることができました。だから、成功の背景は、この方法でやらざるをえなかったというのが正直なところです。
リクルーターはどう動くべきなのか
特に外資系IT企業の場合、現場のマネージャーが採用の責任を負います。なので、リクルーターと現場のマネージャーが連動することが多いです。そこで両者から社員に対して「紹介してほしい!」とコミュニケーションをとっていくのですが、「友人が選考に落ちたら、気まずい」「あまり深い仲じゃない」「友人を売るような真似はしたくない」など、抵抗を感じる社員も数多くいます。
こういったマイナスイメージを改善するためのアクションとして、友人紹介に対するハードルを下げることが重要です。例えば、友人の連絡先を教えてくれれば書類のやりとりは人事がやります、というように社員に関与してもらう部分は入り口だけにすることが多いです。
特に、紹介してもらった候補者が不採用になった場合を考慮し、基本的に候補者の採用結果は社員にお伝えしません。私の働いている企業では、リクルーター全員が“選考情報を伝えない”という、統一したアクションをしています。友人を紹介した社員は、候補者である友人に対して「結果や理由は全く教えてもらえないのでわからない」という形で、普通は気まずくなってしまう状況を情報がないことで防げるんです。
もし、社員が友人の選考結果を聞きたいと言った場合は「個人情報なのでお伝えできません。もし知りたければ、友人本人に直接聞いてください」とお伝えしています。
紹介する友人との関係性によって適切なアクションが必要ですが、私の場合は以下のようなレベル分けをしています。
- よく知っていて履歴書のやりとりも問題ない場合
履歴書を社員から預かった後からリクルーターが担当する。
- よく知っているが履歴書のやりとりに関与したくない場合
社員には友人への興味喚起だけしてもらって、履歴書などのやりとりはリクルーターが担当する。
- 連絡先は知っているが深い仲じゃない場合
リクルーターから、社員の友人に対して「うちの人事と話しませんか?」など、カジュアルに話す機会をもらえるよう連絡する。
- 連絡先は知らないが名前だけ知っている場合
社員から名前を聞き、LinkedIn、ビズリーチ、GitHubなどを使って情報を探し出しコンタクトをとる。ダイレクトソーシングに近いですが、私たちはこれもリファーラル採用の1つだと考えています。
その他、紹介数を高めるアクションとしておこなっていること
- 現場の社員と一緒に、社員のネットワークを利用して他社の優秀な社員を洗い出すミーティング、“ネームジェネレーション”をおこなう。
- 外部と接触を持つ機会が少ない社員に、外部のイベントに参加してもらう機会を作る。
ダイレクトソーシングでは、まずはリクルーターにつなげるためにオープンハウス(説明会)や、カジュアルミーティングを設定して機会を作ることが多いです。
以上の通りアクションの取り方について述べましたが、会社の業種、規模、市場によって状況は異なるため、参考として認識していただければと思います。
参加者から矢野氏へ質問タイム
Q.リファーラル採用の失敗事例はありますか?
A.以前、チームごとに社員の紹介数を競うことをしていたのですが、あまり採用に繋がりませんでしたね。そういった経験もあって強制してやらせるのではなく、“協力するスタンス”のほうが良いと思いました。
Q.社員は友人が採用に落ちることを心配して、紹介しにくいのではないかと思います。そのハードルを下げるために何か工夫はしていますか?
A.外資系のIT企業は特に多いと思うのですが、リファーラル採用のハードルを下げると言いつつも、公平性を担保するために今までの社員と同じ面接基準でやります。採用のハードルは絶対に下げません。
Q.協力してくれる社員のモチベーション要因は何ですか?
A.人数的なリソースが多くはない部分もあり、紹介した人が採用されたら自分の仕事が楽になることが要因になっているかと思います。だから、活躍していて忙しい人ほど紹介してくれますね。
Q.社内向けの求人票を作ったほうがいいですか?
A.どこのポジションが空いていて、どんな人が欲しいのか、社内共有は重要なので絶対に作ったほうがいいと思います。弊社の場合だと、社内異動は自ら希望する仕組みになっているので、キャリア形成のため特に必要だったりします。