PXCフェザー級世界チャンピオン・矢地祐介流 勝ち癖のつけ方【前編】

PXCフェザー級世界チャンピオン・矢地祐介流 勝ち癖のつけ方【前編】

ケン

ケン

 
ーそうですよね。格闘技が全盛期のときですからね。

1つのトーナメントの1階級に、50人とか出ていて。フレッシュマントーナメントも、俺のときは65キロ級だけで45人とか50人までいかないくらいの人数が出ていました。1回戦はシードだったんですけど4〜5回勝てば優勝で、なんとか勝っていって決勝で負けちゃったのかな。

フレッシュマントーナメント2位という肩書きになって、その次は関東選手権という16人トーナメントに出場しました。選抜なんですけど、なんとかその16人の中の一人に選ばれて、準決勝で負けちゃいました。3位だったんですよ。

 
ーいきなり3位はすごいですね。

俺は3位だったんですけど、全国色々な地区大会がある中で、各地区の1位と2位は、全日本アマチュア修斗選手権に出られるんです。で、関東選手権の同じ階級で優勝した選手が関西と東北と関東で優勝していたんですよ。

その選手は飛び級でプロになったのかな。そのおかげで関東の枠が1つ空いて、繰り上げで全日本アマチュア修斗選手権に出られたんです。でも、1回戦でいきなり優勝候補の選手と当たっちゃって。下馬評では、俺なんか優勝候補でも何でもない1回戦で負けるだろう的な感じだったんです。

 
ーえ! いきなり優勝候補と対戦ですか?

そうです。でも、1本勝ちで。あの当時は寝技で結構勝ってたんです。

 
ー今はパンチの強いストライカーというイメージがありますけど、全然違うじゃないですか。

打撃なんて一切やってないですよ。だって、習ってないですから(笑)
柔術の下地だけで、腕ひしぎ十字固めや三角締めだけで勝ってました。それで、全日本で優勝して(笑)

試合に出はじめて1年で全日本で優勝して、プロ昇格になりました。18歳でプロになったんです。

 
ーそれはまたスゴイですね。

スゴイほうかもしれない(笑)結構みんな負けたりすると翌年、翌々年となってしまってプロ昇格に時間がかかる人はかかるので。なんとなくスッとプロになった方ではあると思います。

 
ー関東選手権で3位に入って、全日本選手権に出場したときに自分が優勝するんじゃないかとは思わなかった?

あんまりなかったかな。目の前の1戦1戦に集中してやろうと思っていた感じですかね。優勝するなんて思ってなかったかも。全日本なんか特に。他団体でプロの選手として出場していた人とかいたので、強いやついっぱいだなって。

だから『とりあえず楽しもう!』みたいな(笑)、そんな感じでした。

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ーでは、プロに昇格してアマチュアとプロの決定的な違いは、どこですか?

やっぱり防具(注3)がないってところじゃないですか。素足だし、ヘッドギアもないし、人前で戦うし。何から何まで違いますね。

(注3)修斗はプロ昇格と同時に、ヘッドギア、レッグガードを外して戦う

 
ーファイトマネーはすぐ出るんですか?

ファイトマネーは、デビュー戦から出ます。最初は微々たるものですけど、いままでお金を払って大会に出ていたものが、逆にお金をもらえるっていうのも大きな違いですよね。

 
ープロになって第1戦目って覚えてますか?

覚えてます。
まったく緊張とかしなくて。

 
ー普段からあまり緊張しない方ですか?

しないほうですね。『みんなの前で目立てるじゃん!』『イエ〜イ!』って。本当に緊張しなかったですよ。それもノリで。本当に学生ノリ(笑)

良くも悪くもその場だけ楽しもうってやってましたね。

 
ープロになったときの目標みたいなものってあったんですか?

修斗のプロになった。だから、修斗のベルトを獲ろうっていうのはありました。ただ、ベルトを目指しますって言ってますけど、当時はそこまで将来が見えてなかったから、遊び感覚に近い感じでした。 

“運動会で目立てる”じゃないけど、そういうノリでやっていたので、口では言っていてもそこまでの目標は見えてはなかったですね。
明確な将来が見えてるわけではないけど、とりあえず試合を1戦1戦こなしていこうと思ってました。

 
ー最初の試合の結果はどうでしたか?

最初の試合は判定でした。2R制だったんですけど、1R目で相手をボコボコにして、なんか一瞬勝ったみたいな瞬間があったんですよ。相手をパンチで倒して、攻めていたら、レフィリーに止められて、「あ! 勝った!」って。でもそれは勝ちじゃなくて、相手がロープの外に出たから、それに対するブレイクだったんですけど、俺も対戦相手も終わったと思ったんですよ。

 
ーでも、実際には終わっていなかった?

相手もパンチが効いていて、訳がわかっていなくて「え? まだやるの?」みたいな感じで1Rが終わって。で、2R目にダメージが復活した相手に寝技で攻め込まれました(苦笑)

タックルで寝かされて。下から色々攻めてはいたんですけど、2Rは相手にポイントを取られて。でも判定では、1Rで相手をボコボコにしていたので一応勝てました。

 
ーデビュー戦を終えて、すでに課題は見えた感じですか?

うん。寝かされてはダメだなって。デビュー戦の前に、山川さんというボクシングのトレーナーの方が来てくれて打撃を教わっていたので、打撃は習得できていたんです。それで打撃の方が得意になっていたんですけど、打撃だけではダメなんだなと。タックルされて、相手よりも体勢が下になったら負けちゃうんだな、だから、下にならないようにしようとか最初はそんな感じですかね。

 
ーアマチュアからプロになるまでには本当に順風満帆というか、ストレートにプロになったわけですが、最初に負けた試合も覚えてますか?

覚えてますよ! 先ほどのデビュー戦が大学入学式の直前だったんですよ。その年だったかな……新人王トーナメントに出たんですよ。それも勝って、優勝して新人王を獲ったんです。MVPも同時に獲って。すべてが順風満帆だったんです。若いし19歳で新人王獲って。周りからも「矢地っていう、若くていい選手が出てきた」なんて言われて結構ちやほやされて浮かれてて。

新人王を獲ったらランキングが上位のランカーとやらせてもらえるんです。そこで戸井田カツヤ選手と試合をして、俺、反則負けしたんです。それが一応初めての負けでした。

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LAMP豊後大野 支配人・エディターのケンです。 日本人とのハーフの日本人です。オカルトと柔術が好きです。 好きな食べ物は、チャーハンです。 目標は、フリーメイソンに認定されることです。

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