「“つくる”ことの先にあるものを」デジタル・ インタラクティブ領域からエンドユーザーと企業を結ぶ|株式会社ワンパク

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まゆこ

まゆこ

「いいものをつくりたい」震災も越えてなんとかやってきた7年を振り返る

ワンパクさま:記事02

しかし、クライアントワークで上流から制作に関われる制作会社はそう多くないでしょう。このような制作工程を実現するまでには、どのような経緯があったのでしょうか。

もともとは僕を含めて3人で起業したんです。バランス的には、代表の阿部がプランニング系、テクニカルディレクターの近藤がテクノロジー系、僕はクリエイティブ系を見るという感じですね。「製品やサービスが完成して、売る」っていう、プロモーション的な立ち位置より、もう少しクライアントのビジネス活動にコミットできる位置から関わりたい、ちゃんと役立つ成果物を出したいっていうのが、起業したときの大きなテーマの1つでした。

だから、ワンパクではクライアントと直にコミュニケーションさせていただくことを大事にしています。サービスだったらサービス開発の前の戦略や施策とか、プロダクト系だったらプロダクトをつくる前のコンセプトとか。ただ「その上流の部分をやりたかったの?」と聞かれると、そういうわけではなく「いいものつくるには、そこから関わらせていただいた方が最良のアウトプットにつながる」と思ったからです。

受発注っていう上下関係の中だとなかなか情報も足りないですし、判断材料もない。それなら「もうちょっといいものをつくるために、判断材料を増やしたい」ということで、手前から入るかたちでやっています。

上流の工程から制作に関わるためには、クライアントの理解が必要なるでしょう。実績のない起業当初はどのようにしてクライアントとの関係性を築いていたのでしょうか。

(最初は)うまくいかないですよね。立ち上げと同時に仕事の方は発注いただける状況で、環境には恵まれていたんですが。でも、3人とも経営者としては素人なので、目測を誤ったり、見込みが甘かったりで仕事が空いてしまう時期があったりと試行錯誤していました。

そして、2011年には東北大震災の影響も受けたようです。

起業してから3年目の、ちょうどいろんな仕事が上手く回りはじめた時期に震災が起きました。関東系のクライアントの仕事はほぼ全てペンディングとなってしまって。そこは、苦しかった時期です。

ただ、そこは関西の方でもお仕事をいただけるコネクションがあり、なんとか乗り越えることができました。そのときから現在でも会社の全体の3割ぐらいは関西の企業とお取引させていただいていて。そういう経緯もあって大阪オフィスを設立することができたんです。

時代の流れに合わせて、そのときに最適な方法で仕事を生み出しているというワンパク。ワークショップに関しては前職を含めて「10年以上前から制作に取り入れている」と、原氏は語ります。そんなこだわりがあるからこそ、社員同士だけではなくクライアントと意見交換をするときは議論に発展することもあるそうです。

目先の「つくること」がゴールではなく、それを提供することで「どのような成果が出せるのか」「エンドユーザーにどのように伝わるのか」など、制作重視の視点だけではないので、各プロジェクトメンバーが担う役割はデザイナーとかエンジニアとか制作前提の職域の役割で限定していません。デザイナーもフロントエンジニアもバックエンドの仕様に意見するし、逆のパターンもあります。エンジニアがコンテンツやデザインにも意見することがありますよ。職域が違うから「口を挟まないで」「僕はエンジニアだから、ここまでしかやらない」っていうことはありません。

仕事として完成度を上げるために、各職域からのいろんな意見を吸収できるような座組みでやっています。もちろん「違う!」って真っ向否定はしませんが「こういう考え方で、こういうものでは?」って、整理したうえでの意見のぶつけ合いはしますね。特に内部だとそんなに礼節があるわけじゃないので、意見のバトルになることも頻繁にあります。

そういう意味で社内のコミュニケーションはフラットです。クライアントに対してもですけど、“意見”に対してではなく、本当に“いいもの”をつくるために意見を交換したいので。

スタッフにワンパクマインドが根付いていることが最高の喜び

ワンパクさま:記事03

では、ワンパクにおける原氏の仕事の喜びとはどこにあるのでしょうか。

喜びがダイレクトに伝わってくるのは、クライアントやエンドユーザーからの反応です。プロジェクトで定めた目標に見合った結果が出たときは、うれしいですよね。でも、そういうミッション的なやり甲斐もそうですが、長年勤めているスタッフの意識が自ずと制作物やクオリティの先にある出来事に向いていると感じられたときもうれしいです。

社内では各自に年間のアクションプランを立ててもらって、スタッフ全員にプレゼンします。そこで、つくることの先にあるものを見据えた目標やアクションプランが見えることもあって。会社を起業したメンバーの一人とすると、とてもうれしいです。

「いいデザインがしたい」とか「こういうものをつくりたい」っていう目標も大事だけど、クライアントの満足度とか信頼をどうやって得るか、社会や市場に対しどうやって接していくのか。そいうところに目標を置いて、アクションプランを立てるメンバーが増えてきたので。そういうスタッフの意識に触れると「会社をやってて、よかったんだな」って思います。

そんなワンパクが求める人材としては、“チャレンジしてみたい”という精神が重要になるそうです。

ワンパクのこれからの方向性に合わせていうと「チャレンジしてみたい」という気持ちをもっている人。特に募集したい職種はアートディレクターです。ワンパクの特性としては、さまざまなクライアントと直接取引させていただいているので、僕たちのようなワークフローをプロジェクトメンバーとチームプレーで遂行することに興味がある方だったら、うれしいです。

最後に、今後のワンパクの方向性についてお聞きしました。

まずは、今までお話ししたことが完璧にできているかっていうと、まだ足りないところもあるので、その精度を上げていきたいです。請負でも、もっとクライアントにコミットして、ビジネスに参加できるようなかたちで関わっていきたい。そこをより強めていくっていうのが一番課題です。

あとは、業種的にも日本だけ見ていても狭い世界なので、海外の方も視野に入れています。会社としてはクライアントワークで培ったノウハウを活かし、自社サービスもつくっていきたいです。

「本当にいいものをつくる」ための徹底したヒアリングや社内コミュニケーションは、既存の方法論に囚われない仕事を生み出すのではないでしょうか。そして、広告代理店に依存しないクライアントに寄り添ったアプローチは、両者の信頼関係を強固なものへと深化させます。

クライアントと一心同体に限りなく近い状況での制作は、“「心」と「体」にHOTをつくる”というワンパクの理念を象徴するものであり、今後も世界に影響を与え続けるのでしょう。


furture_bnr

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記事の編集しています、まゆこです。喋るのが得意ではありません。シャキン、シャキンという音を聞きたくて、週末に前髪をよく切ります。目上の方にドッキリをしかけるのが好きです。あと寿司も好きです。

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