どうもコンニチワ、モリイです。じめじめした梅雨がむしろ好きな私は「梅雨男」。
さて、本日は記事のタイトルにあるIPアドレスについてのお話をします。
IPアドレスとは
ここで確認させていただきますが、みなさんはIPアドレスについてどのくらいご存知ですか?
IPアドレスとは、インターネット・プロトコル(Internet Protocol)アドレスの略で、ネットワーク上の機器を識別するために指定する識別用の番号のことです。
簡単に説明するなら、ネットワーク上の住所を識別するための番号と言ってもいいでしょう。
ちなみに、現在、皆様がご利用中のIPアドレスは「IPv4」(Internet Protocol version 4)という種類のプロトコル(通信方式やルールのまとめみたいなもの)です。
「IPアドレスが足りなくなる?」は本当か
そして数年ほど前から、IPv4のグローバルIPアドレスが「もうすぐ枯渇する」や「枯渇した!」というニュースが定期的に報じられていました。
Wikipediaにも「IPアドレス枯渇問題」というそのものズバリの記事があります。なんとなく問題があるということだけわかればいいので以下の引用部分はとりあえず読み飛ばしてください。
IPアドレス枯渇問題(アイピーアドレスこかつもんだい)とはインターネットの発展に伴い浮上してきた問題で、現在使用されているIPv4というプロトコルでは近い将来にIPv4アドレスが不足してしまうことが予想されている事態を指す。インターネット上のノードはIPアドレスによって一意に区別される。
IANA (Internet Assigned Numbers Authority) の管理するIPv4アドレスは2011年2月3日に枯渇した。現在は、RIR(地域インターネットレジストリ)が管理する在庫を割り振っている状態である。各RIRの最後の1ブロックは、IPv6への接続性の確保や既存のインターネット接続を維持する目的で、限定された条件で割り振られるので、自由には取得できない。
2011年4月15日には、他のRIRに先駆けて、APNICのIPv4アドレスの在庫が/8ブロック換算で、1ブロック未満となり、アジア太平洋地域では、IPv4アドレスの在庫は事実上枯渇した。また2012年9月14日にはRIPE NCCでも最後の1ブロックからの割り当てが始まった。
でもこの話題、そういえば最近聞かないな~、と思ったので、考察を含めてちょっとまとめてみました。本当のところはどうなのでしょう。IPアドレスは本当になくなっているのでしょうか。
IPアドレスの実際
まず、IPv4はRIRという組織が地域ごとに管理しております。
地域インターネットレジストリ(Regional Internet Registry)(以下RIRと略す)は管轄地域において、
インターネットリソース(IPv4、IPv6の両IPアドレスとAS番号)の配分と登録を管理する組織である。
とりあえず、このRIRという組織が世界に5つ存在しており、それぞれIPアドレスを管理しているわけですが、5つの内訳は、
- American Registry for Internet Numbers (ARIN) は北アメリカを担当。
- RIPE Network Coordination Centre (RIPE NCC) はヨーロッパ、 中東 、中央アジアを担当。
- Asia-Pacific Network Information Centre (APNIC) はアジアと太平洋地域を担当。
- Latin American and Caribbean Internet Address Registry (LACNIC) はラテンアメリカ とカリブ海地域を担当。
- African Network Information Centre (AfriNIC) はアフリカを担当。
- パナソニック→16,640個
- 東京大学→200,704個
- 本田技研工業→768個
となっております。
そして、IPv4の枯渇とは、要は「RIRが持っているIPv4がなくなりそうです」という意味なのです。
注意していただきたいのは、あくまで「RIRが持っているIPアドレスが枯渇」という点です。
例えば日本について考えてみると、日本のIPを管理しているのは、APNICの下部組織であるJPNICという組織です。そして下記参考ページを見ると、実は日本のJPNICは、すでに2011年4月15日で在庫切れの状況なのです。
参考:IPv4アドレス在庫枯渇Q&A基礎編
https://www.nic.ad.jp/ja/ip/ipv4pool/qa1.html
では完全に枯渇し、新規のIPアドレスを払い出せない状況なのか?と言うとそうでもなく、現在もIPアドレスの払い出し申請を受け付けているようなのです。(2014.7.2現在)
これは一体どういうことなのでしょう。
IPアドレスを返却してもらう動き
実は、現在では未使用のIPアドレスや利用していないIPアドレスを、移転や返還、譲渡する動きが出てきています。
参考:Pv4アドレス移転履歴(2014年7月2日現在)
https://www.nic.ad.jp/ja/ip/ipv4transfer-log.html
※現在はアクセスできません。
参考:AS番号移転申請手続き(JPNIC契約組織から移転対象レジストリ契約組織への移転用)
https://www.nic.ad.jp/doc/jpnic-01198.html
参考:AS番号移転申請手続き(移転対象レジストリ契約組織からJPNIC契約組織への移転用)
https://www.nic.ad.jp/doc/jpnic-01199.html
また、IPアドレスの移転仲介サービスも存在しています。
そんな状況ですので、実際、現在は事業者が返却した IPv4 の再割り当てが始まろうとしています。
参考:IPアドレス管理業務に関するJPNIC文書施行のお知らせ ~AS番号移転・JPNICに返却済みIPv4アドレスからの割り振り申請受付開始~
https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2014/20140701-01.html
IPアドレス管理業務に関するJPNIC文書公開のお知らせ ~AS番号移転制度施行・JPNICに返却済みIPv4アドレスからの割り振り開始~
https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2014/20140602-01.html
JPNICに返却済みIPv4アドレスからの割り振りについては、上記参考サイトに、
「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」として定義されているアドレス範囲(103.0.0.0/8)から、 1組織につき/22(1,024アドレス)を上限として割り振りが行われているアドレスとは別に、1組織につき/22を上限とする新たなIPv4アドレスの割り振りを行います。
とあり、なんと合計/21(2,048アドレス)が割り当て可能になるようです。IPアドレスを必要としない方々にはどうでも良い話かと思いますが、データセンターやレンタルサーバ事業者さんなんかは涙が出るほどうれしいことなのではと。
また最近別のニュースがあり、AfriNICにはまだIPアドレスがあることがわかったようです。
参考:LACNICがIPv4アドレス在庫の枯渇を宣言、世界完全枯渇まで残すは1地域のみ – IT Pro by 日経コンピュータ
https://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20140611/563347/
これはひゃっほ〜ですね。結論から言うと、IPアドレスはまだ枯渇していなかった、ということになります。
IPアドレスの今後とまとめ
なお、下記海外参考サイトで2014年7月2日現在の残IPを確認すると、世界で101985341の残IPが存在していることがわかります。
参考:IPv4 Address Report
https://www.potaroo.net/tools/ipv4/
IPv4の総数が約43億個なので、計算ではまだ余っているIPが約1億、存在していることになるため(さらに少ない数である可能性はありますが)、まだIPアドレスは枯渇しないと言えるのでは…しかし確実に枯渇に向かっているとは思います。
(おまけ)各組織のIPアドレス保持数を調べるには
余談ですが、大量にIPアドレスを保有していると思われるプロバイダや携帯キャリアなどのIP保持数を調べるための方法があります。
IPを保有する企業はASナンバーという番号を保有しており、そのASナンバーを調べれば企業または団体が保有するIPアドレス数を調べることができます。実際に企業が保有するIPアドレスの状況を確認するには下記サイトをご覧ください。
参考:Hurricane Electric BGP Toolkit
日本については下記ページに記載されています。
参考:日本におけるASナンバーごとのIPアドレス保有者
ちなみに、この一覧ではソフトバンクBBが1つのASナンバー上最も多くのIPを保有していることになります。1つのASナンバー上で44,518,912個保有しているということは、グローバルIPアドレスの総数が約43億個ですので、世界のIPアドレスの約1.03%を保有していることになります。
また、例えば、上記のサイトで有名な企業や大学の保有するIPアドレスを調べた結果は下記のような内容です。
※この他にもASナンバーを保持している可能性がありますので、これはあくまで、1ASナンバー上に割り当てられているIP数のお話です
ちなみに、アメリカの保有者だと、同様にコチラで調べることができますが、桁が違います。
世界ってやっぱ、広いっていうか、でかいですわ・・・。ということで、今日はこの辺で。
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