ガラスに像を写す「湿板写真」でポートレイトの撮影イベントを開催しました

ガラスに像を写す「湿板写真」でポートレイトの撮影イベントを開催しました

栗 原平

栗 原平

イベントレポート

では、いよいよイベントのレポートに入りたいと思います。

機材や薬品のセット

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(photo by Genichiro Miyata)

 

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(photo by Masayuki Satoh)

まずは、スタジオにこういった機材や薬品をセットします。

技術的なことですが、湿板技法のISO感度は約1です。現在のデジカメやフィルムだと100が基本ですので約7段も差があります。
ISO100で普通に写る場合と比べて7倍の光量が必要となるので、ストロボを使います。使用したストロボは、3200wattと1600wattのものを1台ずつと、400wattのものを2台です。

写真スタジオだからできることですが、普通はできません。
(屋外で天気の良い日に撮影した場合、通常のデジカメなどであればISO100、F値8、シャッタースピード1/250くらいで撮れるのですが、湿板だと同じ絞りで2秒ほどかかります。)

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(photo by Danny Danks)

イベントで使用したカメラは、年代不詳ですが戦後のものです。
レンズは真鍮製の銅鏡が金色に輝くDallmeyer 3Dを使用しました。シリアルナンバーから察するに1903年製造とのこと。

嬉しいことに午前10時のスタートから、途切れなく来場者の方たちが来てくれたので、周りとわいわい会話する暇もなく、黙々と撮影作業に打ち込むことができました。

実際の作業工程

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(photo by Danny Danks)

 

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(photo by Genichiro Miyata)

まず、ガラス板に薬品を塗り、硝酸銀溶液に3分ほど浸けます。この作業により、薬剤に感光性を持たせることができます。

 

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(photo by Genichiro Miyata)

写真の奥に見える黒い箱が今回のダークボックスです。これはかなり簡易的なものですが、本当は自分が入れるくらいのテントみたいなのがあるとすごく作業がしやすいです。

硝酸銀溶液から取り出した板は感光性を持っているので、ダークボックス内でフィルムホルダーに入れてから撮影に臨みます。
撮影後の工程は下記のとおり。

  1. 現像(暗室下)
  2. 水洗(一回目)
  3. 定着
  4. 水洗(二回目)
  5. 仕上げ

 

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(photo by Danny Danks)

定着作業は暗室を出て作業ができるので、来ていただいた方に見てもらいながら進めました。はじめはこんな感じで乳白色ですが、段々と画像が出てきます。

 

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(photo by Danny Danks)

最終的には暗い部分が透明に、明るい部分が白っぽくなります。ガラス板は透明なので、板の後ろに黒い布や紙などを置くことで、より像がはっきりと見えるようになります。
また、この像はネガティブではなくポジティブなのも面白いところ。(露光時間や薬剤を変えることで、ネガを作ることもできます)

 

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(photo by Genichiro Miyata)

最後にアルコールランプで板を乾かし、その上にニスを塗ってコーティングします。
これにより傷などから表面を守り、100年以上は像を保つことができます。

そんなこんなで現物ができあがります。

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