こんにちは、エディターのエリーです。
「地域情報や空間デザインに強い「三幸エステート」に聞くオフィスのお役立ち情報」シリーズの第5回目になる今回は、オフィスの地震対策です。
一口に「オフィスの地震対策」と言われてもピンときませんが、棚の配置に気をつけたり帰宅のためのスニーカーを準備したりすることも立派な地震対策です。
日常の大部分を過ごす場所だからこそ、小さなことから安全に気をつかってみませんか?
まずは地震のことを知ろう
いつどこで起こるか分からない地震だからこそ、あらかじめ知識をつけておくことが大切ですね。
自分が働く地域にどんな危険があるのか、地盤の強さ・建物の耐震強度はどうなのかを知っておくこと、オフィスのレイアウトを整え防災グッズを用意しておくことなどで、被害を減らすことができるはずです。
地震はどうして起きるの?
理科のおさらいのようになってしまうのですが、改めて確認しておきましょう。
地球の表面は「プレート」という岩盤で覆われています。そのプレートは年間数センチほどの速さでゆっくりと動いていて、プレートとプレートが押し合ったり跳ね上がったりすることで、地震になります。
日本にはプレートが4つあるため、地震が発生しやすいのだそうです。
日本周辺ではどのぐらい地震が発生しているの?
それでは、実際にどのぐらい日本のまわりで地震が発生しているのでしょうか。気象庁のデータをご紹介します。
日本及びその周辺の地震回数(1年間の平均)
※2001年〜2010年の気象庁の震源データ
マグニチュード | 回数(1年間の平均) |
---|---|
M8.0以上 | 0.2(10年に2回) |
M7.0-7.9 | 3 |
M6.0-6.9 | 17 |
M5.0-5.9 | 140 |
M4.0-4.9 | 約900 |
M3.0-3.9 | 約3,800 |
- 参考:地震について|気象庁
M4以下の小規模な地震が頻繁に起こっていることがわかりますね。
なんと世界で起こる地震のおよそ1/10が日本及びその周辺で発生しているそうです。ここまで高頻度だと、オフィスにいるときに地震が発生する可能性もかなり高いと言えます。
ということで、オフィスの地震対策を再確認しましょう。
オフィスの地震対策
地震からオフィスを守るためには2つのポイントがあります。
1. オフィスビルの耐震性確保
今までは建築物を頑丈に作る「耐震」に力を注いでいましたが、近年では「耐震」に加えて以下の対策が講じられるようになりました。
- 地震の力を建物内などの制御器に吸収させ、揺れをセーブする「制震」
- 建物と地盤の間に揺れを吸収する装置を設置して揺れを低減させる「免震」
最近は地震などの自然災害による被害を抑えるため、オフィス移転をする企業も増えているそうです。
2. オフィス内での地震対策
震度4程度ならふらつきながらも歩行することができますが、震度6を超えると立っていることもできなくなるため避難が困難になります。
さらに、収納家具が固定されていなかったり段ボールが積んであったりすると、大きく倒れて避難通路を塞いでしまうことも……。
オフィスビル自体の耐震性確保はもちろん重要ですが、オフィス内の地震対策も安全なオフィスを目指す上で重要なポイントの1つです。
次の章では、今から見直せるオフィスでの地震対策をご紹介します。
そのオフィスは大丈夫?地震対策チェックリスト
近年発生した地震で怪我をした原因の約30〜50%が、家具類の転倒・落下・移動です。オフィスの被害で多かったのは以下の通りです。
- 棚などの落下物:約57%
- 壁面などの亀裂・落下:約49%
- 家具類の転倒:約40%
- エレベータの停止:約37%
このことから、家具類の転倒・移動・落下防止策が重要であることがわかりますね。
普段は気にならなくても、地震が起こると事故につながってしまうような配置はたくさんあります。その代表例と対策方法をご紹介しますので、ぜひオフィス設計の参考にしてみてください。
- 参考:オフィス家具類・一般家電製品の転倒・落下防止対策に関する指針
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-bousaika/kaguten/oktsisin1.pdf
1. キャビネットラックに重量物や薬品などの危険物を置いている
特に前面に扉が付いていないオープンラックタイプの場合、中の重量物や危険物などがすべり落ちてきて、頭などにぶつかる可能性があります。
普段は取り出しやすくて便利なのですが、地震に備えるなら以下のような対策が必要です。
- 転倒しにくいようにキャビネットを連結して一体化しておく
- キャビネットの上下を壁面や床面に固定する
- 重量物はラックの下の方に置き、軽いものは上の方に置く
- 地震対応のラッチ(飛び出し防止のための掛け金)付き扉がついたキャビネットにする
- キャビネットガラスには飛散防止フィルムを貼る
物の置き方に気をつけても、キャビネット自体が倒れてしまっては元も子もありません。キャビネットは上部・下部を壁面や床面にしっかり固定しましょう。
また、固定金具が外れないよう、アンカーボルトで留めておくことも忘れずに!
2. 窓の付近に背の高い収納家具を置いている
ガラス窓を背にして細長い収納家具を配置していると、ガラスが割れて外に飛び出してしまう可能性があります。ガラス窓の近くには腰より高い家具を置かないよう注意しましょう。
3. ドアの付近に棚などの家具を置いている
転倒場所によってはドアを塞いでしまい、避難経路が閉ざされてしまう可能性があります。通路と避難口はできるだけ広くとり、収納家具などは置かないようにしましょう。また、収納物が飛び出してしまうことも十分に考えられます。
ドアのまわりに家具を配置する場合は、もし倒れても人が通れる程度の幅を確保しましょう。
4. パソコンなどのOA機器が机に置いただけになっている
デスク上のパソコンやコンパクトプリンターなども意外に重いものです。もし倒れてデスクから落ちることがあれば、怪我につながりやすいのはもちろんのこと、衝撃を受けると中のデータに大きなダメージを及ぼす可能性があります。
- 耐震テープ、滑り止めシート、落下防止ベルトなどで固定する
- 大切なデータはローカルに保存しないようにする
- 机の上を整理整頓しておく(書類が滑り落ちることを防止)
などの対策をしておきましょう。
5. パーテーションをL字型で配置している
チームごとにパーテーションで仕切りを設けているオフィスも多いかと思います。
ハイパーテーションはもちろんですが、ローパーテーションでも画像のようにL字で配置していると、倒れやすくなり大変危険です。
パーテーションを使用する場合は、上のように「コの字型」か「H字型」などの安定した配置にするか、もしくは他の家具と組み合わせることで倒れにくくしましょう。
また、少し大掛かりになりますが、造作壁にしてしまうのも良い方法です。
6. 電子レンジを棚の上に置いている
お弁当の温めなどに重宝する電子レンジですが、重量がある分、棚からすべり落ちた際に大怪我をする可能性大です。
- 耐震用粘着マットを電子レンジの下に敷いて、落下を防止する
- 棚自体も倒れないよう転倒防止対策をする
- デスクから離れた場所に設置する
などの対策をおこないましょう。
同じような重量物として金庫があります。軽量型でも重いものが多いので、家具の上やラックに置かず、できる限り床置きにして固定しましょう。
7. 背の高い家具をオフィス中央に設置している
背の高い家具を単独でオフィス中央に設置すると、四方に倒れやすくなるためあまり良いレイアウトとは言えません。
- 必ず背面には壁がくるようにする
- 他の家具と連結する
- パーテーションと組み合わせる
など、とにかく固定することを考えましょう。
特に扉がガラスになっているものは破片が飛び散る可能性があるので、飛散防止フィルムが必須です。
さらに、家具の上にはものを置かないようにしましょう。最近では、免震機能付きのオフィス家具(キャビネットベース)も出てきているので、試してみるといいかもしれません。
8. コピー機をデスク付近に単独で設置している
コピー機は重心が上方にあるので、地震で倒れやすいOA機器です。また複合機のような大型でキャスター付きのものであれば、オフィス内を猛スピードでガラガラと移動してしまう可能性があり大変危険です。
- キャスター付きのものなら、必ずロックをかける
- パーテーションなどで囲い、一箇所にまとめる
- ワイヤーなどで壁に固定する
- デスクから離れた場所に設置する
などの転倒・移動防止対策をおこないましょう。
これまでオフィス家電を中心に対策を見てきましたが、まず第一に「揺れているうちは動かない」ということが鉄則です。
家具だけではなく、天井から照明設備や空調機などが落下してしまうこともあり、ガラスが激しく飛散することも考えられます。地震が来たらとにかく上半身を守るように机の下などに隠れて、揺れが収まるのを待ちましょう。
おすすめ地震対策グッズは?
つづいて、地震に備えてそばに置いておきたい地震対策グッズをご紹介します。
帰宅支援マップ&スニーカー
http://www.mapple.co.jp/mapple/product/map/business/kitakumap.html
交通機関がストップしたとき、帰宅困難者は徒歩で自宅まで帰るか、安全な場所にとどまらなければならなくなります。
「震災時帰宅支援マップ」は、帰宅困難者が徒歩帰宅を選択した場合に、自宅まで安全に帰るためのサポートをする地図です。通信圏外でも使える安心のスマートフォンアプリもあります。
また、歩きやすい靴は必須です! 履きなれたスニーカーを常備しておきましょう。ストッキング派の女性は靴下も一緒に!
ホイッスル
防災グッズの中でも特に重要だと言われているホイッスル。
建物が崩壊して、万が一下敷きになったとき、自分や怪我人の場所を知らせることができます。大声で助けを求めるのは体力の消耗を招きますが、ホイッスルなら少ない力で簡単に大きな音を響かせることができます。
かさばらないので、防犯用に普段から持ち歩いてもいいですね!
懐中電灯
夜間に外を歩く場合や、停電が発生したことを考えると懐中電灯が必要になります。また、電池タイプの懐中電灯の場合は、予備の電池も一緒に用意しておきましょう。電池が不要で、ソーラーで充電できるタイプがおすすめです!
ラジオやテレビ
地震の規模が大きくなればなるほど、情報から隔離されやすくなります。
被害規模はどのくらいだったのか、救助・救援活動はどうなっているのか、物資の支給はいつどこで行われるのかなど、情報を得られるかどうかで安心感も大きく異なります。
停電した場合でもラジオは強力な味方になりますが、テレビは視覚的に理解しやすいという大きなメリットがあります。電灯付ラジオも手回し充電式など多くの種類が出ていますね。
アルファ米
http://www.onisifoods.co.jp/products/alpharice.html
大規模な災害に見舞われると、3日間は自力で生き延びなければならないと言われています。
絶対に必要なのは、水と食料です。3日間といえば、通常9食分です。持ち運びしやすくて保存のきくものが一番ですが、同じものばかりだと飽きてしまいますよね。
そこでおすすめなのがアルファ米。お湯でも水でもつくれて、なかなか美味しいそうです。いろいろな種類があるので、自分の好みで選べるのも嬉しいところ。
トイレ
http://mylet.jp/item/itemlist.html
停電になると、水の供給が止まるビルも多くあります。そうなると最も困るのが、トイレです。
災害用の簡易トイレを持っておくと、被災から復旧作業が始まるまでの約2~3日分を簡易トイレだけで過ごすことができます。
衛生上の問題もあるので、トイレは事前にしっかり準備しておきたいものです。オフィスでは、やはり男女別にしっかりと分けて設営することがおすすめです。
ヘルメット
http://yellow-inc.com/prod_tatazukin3.html
たためるヘルメットこと、タタメットズキン。
飛来物や落下物による危険から頭部を守るためにヘルメットは必需品です。防災のため、オフィス内にヘルメットを常備している企業も多いかと思いますが、ヘルメットって結構かさばるんですよね。タタメットズキンはぺしゃんこに折りたためるので保管時に場所を取らない上、以下のような工夫が施されています。
- 後頭部をシートで守り、火災時の火花などを避ける
- 耳元を開いた設計で、避難指示などの聞き漏らしを防ぐ
- 3D形状に湾曲して頭にフィットするヘッドバンドを採用
オフィスだけでなく家庭にもあると安心できそうです。
非常持ち出し袋
http://www.pro-bousai.jp/shouhin.htm
オフィスで被災したときのことを考えて、自宅に帰るまでに最低限必要なグッズを職場のロッカーやデスクの中に置いておきましょう。
避難生活に欠かせない基本的なアイテムにプラスして、自分にとって必要なものを入れておくことが大切です。
とは言え、「何を用意すればいいのかわからない」という方には避難グッズのセットがおすすめ。被災者の声を参考にしつつ、プロの防災士が重量・サイズ・耐久性・使用期限・品質・使い勝手などの観点からピックアップした30点がセットになっています。
点数が多いにも関わらず、重量が約5キロと他の避難セットに比べて軽めなところも嬉しいですね。非常持ち出し袋として初めて、グッドデザイン賞も受賞しているそうです。
防災パンダさん
かわいいパンダのぬいぐるみの中に以下の防災グッズが入っています。
- 防災クマさん蓄光腕章
- 長期保存水
- コンビニトイレ(1回分)
- 長期保存羊羹
- ポケットライトラジオ
- 電池
- 防寒ブランケット
- 軍手
- マスク(1枚)
- ホイッスル
こうした防災グッズのセットは押入れの中などに保管しがちですが、落ち着いて押入れを開けることすらままならないような緊急事態もあるかと思います。
防災パンダさんは見た目もかわいらしいため、枕元や机の上などの目につく場所に置いてもよさそうです。
オフィス向けというよりも、小さい子どものいる家庭へのプレゼントなどにおすすめのグッズです。
まとめ
地震に備えたオフィス設計とおすすめ地震対策グッズをご紹介いたしました。
オフィスレイアウトについておさらいすると、以下の項目は最低限注意しておきたいですね。
- 収納家具には必ず転倒防止対策をすること
- 上下連結・横連結など、倒れにくいよう固定する
- しっかりと壁や床に固定する
- 安全な家具を選ぶ
- ガラスには飛散防止フィルムを貼る
- 扉やラッチが付いている棚を選ぶ
- 通路を塞ぐような配置をしない
- 通路を塞ぐ可能性のあるものを近くに置かない
- 避難経路の幅は1.2メートル以上を確保する
とは言え、「思い当たるところがありすぎて悩ましい……」とか「地震に備えたオフィスづくりをしたいけれど何から手をつけていいか分からない……」などというときもあると思います。そんなときは、オフィスの専門家にレイアウトを相談してみてはいかがでしょうか。
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三幸エステートの特徴
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