こんにちは、ライターの安齋です。
毎年この時期になると巷で話題になるのが確定申告。特に「青色申告」「白色申告」という言葉を耳にする機会が多くなるでしょう。
ここで疑問となるのが、「青色申告」と「白色申告」の違いです。
いったいこの2つの申告形式はどこが違うのか? それぞれどのような申告形式なのか? 今回の記事ではこれらの違いについて検証します。加えて、青色申告のメリットについても解説していきたいと思います。
※今回の記事ではフリーランスの方の場合を想定しています。フリーランスは「事業所得」と呼ばれる所得に分類されるため、青色申告をおこなうことができます。対してサラリーマンは「給与所得」と呼ばれる所得になるので、青色申告をおこなうことはできません。
確定申告とは
確定申告とは、1年間(1月から12月まで)の所得を「確定」し、翌年の2月から3月(今年度の場合は2015年2月16日~3月16日)に「申告」して所得税を納税することです。
毎月給与から所得税が天引きされるサラリーマンと異なり、個人事業主は所得税をまとめて納付する仕組みになっています。
1年分の所得を確定するためには、その年の収入や必要経費を申告します。収入から必要経費を引いたものが「所得」となり、この所得を元に所得税が計算されるのです。収入を得るための必要経費が多いほど所得が少なくなり、節税ができます。
青色申告には2種類ある
青色申告の場合、「特別控除」というものが受けられます。控除とはその年の実際の所得からさらに差し引くことができる金額のことで、その分節税ができます。
青色申告には「10万円控除」と「65万円控除」の2種類がありますので、以下で青色申告をさらに2種類に分けて解説していきます。
白色申告と2つの青色申告
白色申告とは
確定申告の際、税務署に届け出をする必要がない申告形式です。おおまかな経費を申告できる反面、青色申告のような特別控除を受けることはできません。申告の手続きは青色申告ほど煩雑ではないため、白色申告を選択する人も多いです。
ただし、平成26年度確定申告(今度の確定申告)からは白色申告でも記帳が義務化されるようになりました(詳細はこちらをご参照ください)。
以前は「記帳義務がないので白色申告を選択する」という人もいましたが、記帳義務が発生するようになったことで、さほどこの申告形式を選ぶメリットが無くなってしまったというのが実情です(帳簿の保存期間を例にしても、青色申告・白色申告とも7年となりました)。
青色申告(10万円控除)とは
確定申告の際、税務署に届け出をする必要がある申告形式です(青色申告承認申請書という書類を提出します)。
開業から2か月以内に青色申告承認申請書を提出する必要があります。
白色申告との違いは、上記の書類提出のみです。逆に言えば、書類を提出さえすれば10万円の控除を受けられます(記帳も家計簿的な簡易簿記だけでOK)。
そのため、白色申告か青色申告かで迷っている個人事業主の方はとりあえず青色申告の10万円控除を選択することをおすすめします。
青色申告(65万円控除)とは
税務署への届け出だけではなく、複式簿記での記帳と「貸借対照表」「損益計算書」の作成が義務付けられている申告形式です。白色申告および青色申告(10万円控除)が3月16日以降も申告可能であるのに対し、こちらは3月16日厳守となっています。
手続きの若干の煩雑さや期限が設けられている反面、65万円の控除が受けられます。この65万円控除は個人事業主にとってかなりおいしい特典なので、多少手間はかかりますが65万円控除を選択する人は多いです。
なお、フリーランスの場合、会計ソフトなどを使用すれば帳簿作成自体もそれほど面倒ではありません。
白色申告と青色申告の違いとは
先ほども書きましたように、平成26年度の確定申告から、白色申告であっても記帳や帳簿の保管義務が発生するようになりました。
そのため、白色申告と青色申告の違いがほとんどなくなったといえます。これまで白色申告でおおまかな処理をしていた人も、今年度から青色申告並みの手続きが必要となります。
その他、青色申告のメリットとは
青色申告を受けるメリットは特別控除だけではありません。
「青色申告専従者給与」といって、配偶者などに支払った給与を経費とすることができるようになったり、純損失の繰越控除(赤字を来年度以降に繰り越して翌年の黒字と相殺すること)ができるようになったり、30万円未満の少額減価償却資産の特例(パソコンなど30万円未満の減価償却資産をその年の経費として算入できるようになること)を受けることができるようになったりします。
これらの特典を受けたいのであれば、とりあえず税務署に書類(青色申告承認申請書)を提出しましょう。
- 青色申告制度_所得税_国税庁
まとめ:白色よりは青色で
先述の通り、白色申告と青色申告の差が無くなってしまった以上、青色申告を選択したほうが良いでしょう(少なくとも10万円控除を受けたほうがお得です)。
最近では会計ソフトが便利になってきているので、65万円控除を受けるハードルも下がってきています。やらない手はない青色申告。今年度からさっそく青色申告にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
それでは。