村田俊英のリブランディングに学ぶ、デザイナーの上流の仕事

村田俊英のリブランディングに学ぶ、デザイナーの上流の仕事

Shoto Nakakoshi

Shoto Nakakoshi

デザイナーとして、もっと上流から関わりたい
ブランディングやコンセプト設計に興味はあるけど、実際どうやって進めるのかイメージが湧かない

そう感じているデザイナーは、少なくないのではないでしょうか。

そんなリアルな問いに向き合う場として、今回「リブランディングのプロセスから学ぶ、デザイナーの上流の仕事とは」をテーマに、オンラインイベントを開催しました。

ゲストスピーカーは、博報堂アイ・スタジオで日産・資生堂・ソニーなどのブランド案件を14年間担当し、現在はスタートアップ・Resilireに1人目のデザイナーとしてジョインしている村田俊英さん。

当日はモデレーターのLIG Agentキャリアデザイナー・大澤とともに、Figmaの実データを画面共有いただきながら1時間語り合いました。

予定時間を超えて延長するほど盛り上がったイベントの模様を、本記事でレポートします!

ico 登壇者紹介:村田 俊英博報堂アイ・スタジオ、STORES, inc.などでWebサイトやUIデザインを経験。現在はスタートアップResilireにて、ブランディングからプロダクトまで全てのデザイン領域を統括。その実践知を活かし、デザインメンタープロを主宰。noteやポッドキャストでデザインをテーマに発信中。
X:村田俊英 / Designer
note:村田 俊英 / デザイナー
ポッドキャスト:のうきんデザインラジオ
Webサイト:DESIGNMENTOR-PRO
icon モデレーター:LIG Agent キャリアデザイナー 大澤人材事業「LIG Agent(LIGエージェント)」責任者/キャリアデザイナー。人材採用・育成、キャリア開発、事業戦略立案を専門とし、ホスピタリティからクリエイティブ分野まで幅広い業種での人材マネジメントに精通している。2022年2月よりLIGに参画し、人材関連の経験を活かしてクリエイティブ人材の育成と支援に従事している。

村田さんが定義する「リブランディング」とは?

本題に入る前に、大澤から「リブランディングの定義」を質問しました。

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大澤:いろんなお話をするにあたって、村田さんとしてのリブランディングの定義を最初に聞かせていただけますか? それを基準に聞けるといいかなと思いまして。
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村田さん:大きい質問ですね(笑)。リブランディングをするということは、今のブランドがあって、何かしらの課題があって、こんな目標を立てたいというゴールがあるはずなんですよね。大きく言うと、「会社が次のステージに進むための意思を再定義して、それを社内外に再度約束するアクション」だと思います。

ブランディングとの違いについても整理してくれました。

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村田さん:ブランディングはゼロから、その会社や製品の独自性を顧客と約束するプロセスです。差別化ではなく、「差異化※詳しくは後半で解説」と言うんですけど。一方でリブランディングは、すでに事業があって顧客がいて社員がいて文化がある状態で、もう一度「自分たちは何者で、何を約束する会社なのか」を捉え直す行為です。

なのでロゴをきれいに作り直すだけじゃなくて、経営の根幹にある意思そのものをアップデートして、プロダクト・採用・組織構成まで一貫して形に翻訳し直すことが、リブランディングだと考えています。

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大澤:ブランディングとリブランディングは、かなり別物ですね。その考え方にたどり着くまでに、これまでのご経歴の中でいろいろな経験があったということですよね?
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村田さん:そうですね。新卒で博報堂アイ・スタジオに入って、日産・資生堂・ソニーといったナショナルクライアントのブランド案件を14年間やってきました。後は、広告会社のTBWA HAKUHODOに3年間行ったんですが、そこは外資系なので、adidasやMcDonald’sといった案件があって、海外のリブランディングのプロセスに触れられる環境でした。そういった経験が今につながっているかなと思います。

Resilireに1人目のデザイナーとして飛び込むまで

続いて、村田さんが現在在籍するResilireに入社した経緯について聞きました。

https://corp.resilire.jp/

株式会社Resilire(レジリア)
世界中のサプライチェーン情報をつなぐことで、モノづくりを持続可能にするデータ連携基盤を提供するスタートアップ企業。
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大澤:現在ご在籍されているResilireでのリブランディングのお話に入っていきたいと思います。まず入社することになった経緯を教えていただけますか?
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村田さん:何回かオファーのご連絡をいただいたことをきっかけにお会いしたのが始まりです。

現在は60名ほどに成長していますが、僕が入社した2年半ほど前は、まだ10人目の社員でした。

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大澤:そうだったんですね。実際に会ってみてどうでしたか?
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村田さん:当時10人しかいなかったので全社員とランチしたりしたんですが、やっぱりポテンシャルが高かったんですよね。サプライチェーンって世界基準のビジネスなので、ファーストフェーズから世界を前提に作らないといけない。メンバーもスタートアップ2回目みたいな人が多くて、ポテンシャルしかないなと思って入ることにしました。

入社当時、会社はシード期で「10ヶ月後に資金が尽きる」という状況でした。それでも飛び込んだ理由を聞くと、こんな答えが返ってきました。

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村田さん:不安よりも、「やったほうが面白そうだな」という気持ちが勝っていましたね。スタートアップの1人目デザイナーは、CEOと一緒に会社の意思そのものを定義し直すところから関われるんです。デザイナーとして人生に何度もない機会だなと思って。責任はすごく重いんですが、経営とデザインの距離がゼロになる瞬間があるなと思い、挑戦しました。
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大澤:村田さんくらい経験を積んでいる方でも、「挑戦」という言葉が出るんですね。
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村田さん:はい、普通に半年後にお金が尽きる状態ではありましたが、この歳になると社会課題に対して自分の価値を出していきたいと思うようになって。社会貢献ができるスタートアップがいいなと思っていたんですよね。

また、当日は参加者から、村田さんがResilireを選んだ決め手を尋ねる質問も出ました。

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村田さん:Resilireに入社した決め手は3つありました。

  1. 社会課題の大きさと世界規模であること
  2. 人の優秀さ(背中を合わせて戦えるかどうかを重視した)
  3. 「超でかくて難しい」挑戦であること。それがResilireでした。

Resilireのリブランディング実録

ここからがこのイベントの真骨頂。村田さんがResilireで実際に手を動かしてきたリブランディングのプロセスを、FigmaやFigJamの画面を共有しながら惜しみなく語ってくださいました。

入社1ヶ月目は業務委託として入ったという村田さん。まずは当時のResilireの状況について聞きました。

リブランディングのスケジュール

 

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村田さん:当時はCEOの津田さん自身がロゴもプロダクトもデザインしていた状態でした。いわば手探りで作られたものですね。それを津田さんと話しながら、全部作り替えていく感じでしたね。

さらに、ブランディングとプロダクト開発を並走させる必要性についても語ってくれました。

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村田さん:ブランドの資産を積み上げながら、プロダクトの機能開発もして売上を上げていく、その両方を並走させる必要があるんです。どちらか一方だけやっていても、ブランディングができなければデザインシステムも作れないし、その資産が積み上がっていかないと、あとあと辛くなってくる。だからブランドを資産として積み上げることを、最初から並行して進めていたという感じです。

ここでMiroの画面を共有いただき、ブランドシステムの全体構造をご説明いただきました。

村田さんによると、ブランド構築のプロセスは大きく3段階に分かれています。

  1. ブランドDNAの策定:ヒアリングして情報を整理し、ブランドDNAを作る
  2. ビジュアルアイデンティティの制作:ロゴ・カラー・タイポグラフィーなどを作る
  3. ブランドの浸透・運用:ブランド・コラテラル、インナーブランディングへ展開する

以降では、この3段階に沿って実際のプロセスを詳しくご紹介します。

💡 参考書籍
村田さんはこのブランドシステムの作り方について、『ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと(小山田 育・渡邊 デルーカ 瞳 著/クロスメディア・パブリッシング)』に詳しく書かれているとおすすめされていました。気になる方はぜひチェックしてみてください。
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村田さん:入社前の業務委託期間から、もうブランディングを並行してやらないと後々が厳しいなと感じていました。ブランドコンセプトがないとデザインができないので、目的となる旗がないとデザインを選べないんですよね。どちらが良いかを判断できないので、まずブランドコンセプトを作らないとどうしようもないと思っていました。
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大澤:ベースがないと作れないですよね。

1.ブランドDNAの策定:ワークショップは「合意の場」

続いて、2023年11月に実施した全社ワークショップのFigJamを共有いただきました。4時間×2日間で実施したというこのワークショップ、その目的について村田さんはこう語ります。

ワークショップの一部

💡 ワークショップ設計の参考書籍
ワークショップの組み立てにあたっては以下の書籍を参考にされていたとのことで、村田さんからあわせておすすめいただきました。

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村田さん:ブランドって結局は社長の意思だと思っているんですが、社長と自分だけが分かっていても意味がなくて、社員全体が合意して「そうなんだ」という納得感を持っていないと機能しないんです。ワークショップって、強いアイデアを出す場というより、合意の場だと思っているんです。みんなが一緒に考えたよね、という場なので、この場で決めるというより、みんなが一緒に考えることが大事なんですよ。
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大澤:なるほど。CEOの思いを形にすればいいだけじゃないんですね。

Resilireでは社内ワークショップを通じて、参加者全員がResilireのブランドコンセプト案をキーワードとして書き出し、最終的に「Dynamic Connecting(ダイナミック コネクティング)」というブランドコンセプトにたどり着きました。

 

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村田さん:バイヤーとサプライヤーの双方が、リスクのために情報をつなげたくなる仕組みを社会に表現しましょう、それがResilireですよ、ということです。「ダイナミックコネクティング」ってみんなしっくりくるじゃないですか。「確かに」と思えることが大事なんですよね。だからワークショップをやりましょう、ということですね。

ワークショップの話題が出たことで、参加者からファシリテーションのコツについて質問が寄せられました。

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村田さん:ファシリテーションは自分も最初からうまくできたわけではなく、実践しながら少しずつ学びました。特に意識していたのは、「うまく場を回すこと」よりも、「参加者が考えやすい状態をつくること」です。事前に以下をしっかり設計しておくと、当日のファシリがかなり楽になります。

  • このワークショップで何を決めたいのか
  • 参加者にどんな問いを投げるのか
  • どの順番で考えてもらうのか
  • 意見が広がった後、どう収束させるのか
  • 最終的に何をアウトプットとして残すのか

ファシリは司会というより、場の交通整理に近いです。チームのMVVや文化の言語化であれば、いきなり言葉を作るよりも、まずは「大事にしている行動」「過去に良かったチームの瞬間」「逆に違和感があった場面」など、具体的な経験から引き出すと進めやすいと思います。

2.ビジュアルアイデンティティの制作:リブランディングは3%変えるだけでいい

ブランドコンセプトが決まった後のロゴ制作のプロセスも、実際のFigmaで大量のロゴ案とともに見せていただきました。

 
一度「サンライズ」というコンセプトのロゴが完成したものの、わずか1ヶ月で白紙になったというエピソードも飛び出しました。

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村田さん:シリーズA(資金調達)の公開に合わせてギリギリでこれで、という形になってしまったので、消化不良だったんですよね。そのためCEOから違和感があるという話になって。

最終的には、もともとCEOが自分で作ったロゴのシンボルを丁寧に整えていく方向で落ち着きました。

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村田さん:ここで大きな学びがあったんですが、リブランディングはゼロから作らないということが大切で。有名なNIKEのデザイナーが「リブランディングは3%変化すればいい」と言っているんです。そのブランドを愛している人がいるので、大きく変えすぎると失敗しますよね。あれは変えすぎているからなんです。リブランディングは基本的に3%でいい。元のロゴの形をきれいに整えてあげる、本当に微調整する程度でいいんです。
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大澤:リブランディングは3%でいい、と。
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村田さん:はい。みなさん失敗しないように(笑)。

当日は、ブランドコンセプトとロゴが合っていない場合にどのように調整するかという質問が寄せられました。

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村田さん:まず「ロゴをコンセプトに合わせて変える」のか、「ロゴは変えられない前提で、周辺のデザインで整える」のかを切り分けて考えます。今回のように急遽前のバージョンに戻す場合、ロゴ自体を大きく変えることは難しいので、基本的には周辺要素でブランドコンセプトとのズレを調整していくことになります。具体的には以下のような要素でロゴが持つ印象とブランド全体の世界観ができるだけ自然につながるよう設計します。

  • カラー
  • 余白の取り方
  • 書体
  • 写真のトーン
  • コピーの言葉遣い
  • あしらいやグラフィック
  • ロゴの配置やサイズ感

逆に、ロゴとコンセプトのズレがかなり大きい場合は、「今のロゴのままだと、こういう印象のズレが出る」ということを整理して伝えたうえで、短期的には周辺デザインで調整し、長期的にはロゴ改修も検討する、という進め方が現実的です。大事なのは、ロゴ単体だけで判断しすぎないことです。ブランドはロゴだけで成立するものではなく、写真、色、言葉、レイアウト、UI、体験全体で印象が作られます。

また、前のロゴに戻した際のコンセプトとの調整方法についても質問が寄せられました。

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村田さん:前のロゴに戻したというよりも、前のロゴをベースにコンセプトに合うようにブラッシュアップしました。コンセプトは誠実・洗練なのに、ロゴが少しカジュアルに見えたので、ロゴを整えながら、色、余白、書体、写真、コピー、レイアウトなどの周辺要素で誠実さを補います。

ビジュアルのルーツを「歴史」に求める

村田さんが独自のビジュアルを作るうえで大切にしているのが、「歴史から学ぶ」というアプローチです。

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村田さん:ビジュアルアイデンティティを作る時は、歴史から学んだほうがいいと思っています。僕はResilireのブランドの根本の歴史をドイツの家電ブランド「BRAUN」の哲学から派生させているんです。

プロダクトデザイナーのディーター・ラムスが提唱した「良いデザインの10ヶ条」で知られるBRAUNの哲学を、村田さんはResilireのブランドの根本に据え、迷ったときの判断基準として活用しているといいます。

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村田さん:そのBRAUNの哲学をSaaSとして取り入れたらどうなるかっていうのを、今挑戦しています。超巨大な素晴らしいデザイナーの肩に乗って歴史の重みをデザインに反映させると、デザインに重みが出るんですよ。
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大澤:デザインの歴史を知ることがそこにつながるんですね。
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村田さん:そうです。デザインの歴史は本当に勉強したほうがいいし、その中で自分の心に響くデザイナーを見つけておくと良いと思います。

当日は、歴史をデザインに反映させる際の、具体的な追い方について質問が寄せられました。

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村田さん:本を読むのも良いんですが、一番おすすめは美術館に行くことです。直接見ないと密度や迫力は伝わらないので。日本でやっているデザイン系の企画展に毎月通うのがおすすめですし、僕も結構通っています。そこで歴史を体感するのが、結局一番早いと思います。

3.ブランドの浸透・運用:ブランドは「成長させていくもの」

ロゴが決まった後は、デザインシステムを作り、コーポレートサイト・採用サイト・営業資料・SNS発信など、あらゆるタッチポイントに展開していくフェーズに移ります。

Figmaでは、Resilireのデザインが時系列で変化していく様子も共有いただきました。

 

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村田さん:ブランドって成長させていくものなんですよね。デザインも変わっていっていいんです。それがちゃんとブランドコンセプトに合っていれば問題ない。大事なのは、自分のデザインがどんどん古くなっていくという恐怖心を持って、アップデートし続けること。まだまだ途中経過でしかない、もっと良くなるはずだという気持ちを持ち続けることがすごく大事で、特にインハウスデザイナーはそれが超大事です。満足したら終わるので。

また、村田さんが現在も1人でResilireの全デザインを担当できている理由についても話してくれました。

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村田さん:現在Resilireには社員が60名いてエンジニアも20名いますが、デザインは基本1人でやっているんです。これができるのはこの2年半の積み重ねなんです。ブランドコンセプトをベースにしたロゴ・デザインシステム・コミュニケーションデザイン、すべてが整っているから、ずっと1人でできているんですよね。

このセクションのまとめ

💡 ブランド構築の3段階で押さえておきたいこと。

  • ブランドコンセプトがないとデザインの判断基準が持てない。まずDNAを作ることが最優先
  • ワークショップの目的は強いアイデアを出すことではなく、全員の合意を作ること
  • リブランディングはゼロから作らない。3%の微調整でいい
  • 歴史的なデザイナーの哲学を根拠にするとデザインに重みが出る
  • ブランドは完成させるものではなく、成長させていくもの

デザイナーが上流の仕事に関わるために

セッション後半は、「どうすれば上流の仕事に関われるようになるか」というテーマに移りました。

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大澤:本日参加いただいている方の中には、ブランディングやリブランディングに携わりたいけど、なかなか入り込めないと感じている方も多いと思います。日頃からどんなことにチャレンジしておくといいでしょうか?
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村田さん:まずビジネス本やポッドキャストでVC(ベンチャーキャピタル)や社長が話しているものを聞くのは、かなり良いと思います。財務指標が読めなくても問題なくて、それよりも社長の悩みや課題、何を考えているかを聞けると、経営視点での会話の解像度が一気に上がるので。
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大澤:ポッドキャストでそれが聞けるんですね。
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村田さん:はい、おすすめですよ。社長やVCがよく話しているので。

そして、最も大事なこととして出てきたのが「自分でブランドを作ってみる」という話でした。

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村田さん:一番大事なのは、自分でブランドを作ってみることだと思います。何でもいいんです。アプリを作ってもいいし、僕の知り合いだと3Dプリンターで自分のフィギュアを作って売ったりとか、1日1作字みたいなことをやってInstagramに上げたりとか。自分でブランドを作って社会に発表して、社会からフィードバックを得るという経験は、とても良い経験になると思います。
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大澤:その発想はなかったなと。今日からでも考え始めることができそうですね。

この流れで、村田さんがデザイナー特化のメンターサービス「Design Mentor(PRO)」を立ち上げた際に作った資料もFigmaで共有してくれました。ミッション・ビジョン・ブランドコンセプト・インサイト・サービス概要・ターゲット・提供価値・競合との差異化・実装方法……Resilireのリブランディングとまったく同じプロセスで作られたものでした。

デザインメンタープロを立ち上げた時に作った資料

 

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村田さん:これらのベースは全部同じですね。だからこのプロセスを自分のブランドで一度やってみれば、どんなブランディングでも使えるはずです。

続いて、大澤が事前に読んでいた村田さんのnoteの話題になりました。

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大澤:村田さんのnoteに「大切なのは、そのビジネスが持つ継続的な競争優位性の仕組みを理解すること」という言葉があって、今日の話の全体を象徴しているなと感じたんですが、この辺りはいかがでしょうか?

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村田さん:ブランドって差別化しようとすると、結局は死んじゃうんですよ。機能が多いとか安いとかで戦うと、永遠に競合との消耗戦になってしまう。

そうじゃなくて、自分たちにしかない何かを見つける、「差異化」をする必要があって、それって意外と非合理なんですよね。AIに「どうしたらいいか」と聞いて出た答えは、みんな同じです。みんながAIを持っている今、AIが提案しないようなことをあえてやることが重要です。

短期的には遠回りに見えるんだけど、長期的に見るとすごい優位性がある、そういうことが大事だと思っています。

デザイナーとしての立ち位置についても、こんな言葉がありました。

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村田さん:デザイナーってPdMとかと違って、お金をそんなに触らないぶん意外と自由なんですよ。一番ピュアに顧客のことを考えられる。

その視点がとても大事で、ずっと持ち続ける必要があると思っています。変にPdMもやります、エンジニアもちょっとやりますってなるよりも、会社の未来をずっと考え続けているほうがレバレッジが効くんじゃないかと思っています。

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大澤:これだけAI、AIと言われている中で、デザイナーとしての生き方みたいなものが聞けた気がしました。今日聞いていただいている方にとってはすごく嬉しい言葉だったんじゃないかなと思います。

このセクションのまとめ

💡 上流の仕事に関わるためのヒントは、日常の中にある。

  • 経営者やVC(ベンチャーキャピタル)のポッドキャストを聞いて経営視点を養う
  • 自分でブランドを作って社会に発表し、フィードバックを得る経験を積む
  • デザイナーはお金を触らない分、一番ピュアに顧客のことを考えられる存在。その視点を持ち続けること

Q&Aセッション

他にも、後半ではたくさんの質問に回答いただきました。

Q. 海外企業と日本企業のリブランディングで違う部分はありますか?
全然違いますね。カルチャーが全然違うので現地に行って作ったほうがいいし、日本人が作らないほうが良いケースもあります。UIひとつとっても、世界中の人が使うなら、インド人でもフィリピン人でもアフリカ人でも全員が使えるように作らないといけないので、もっとシンプルになるんですよね。一言では言えないんですが、めちゃくちゃ違う、というのが正直なところです。
Q. 言語化力はどう鍛えましたか?
インプットとアウトプット、両方が大事です。書くっていうのもアウトプットしないと上手くならないんです。僕もnoteを書き始めた頃は全然読まれていなかったと思うんですが、毎週書き続けてあるところで伸びたりして。やっぱり書き続けることが大事です。インプットとしては、抽象化・具体化に関する思考の本がおすすめで、考えること自体にも技術が必要なので、そういった本で考える力を鍛えることをおすすめします。
Q. Resilireの泥臭い差異化ポイントは何ですか?
サプライチェーンって機密情報なんです。なので多くのバイヤーやサプライヤーは、サプライチェーンの情報をデータとして入れたくないんですよね。でもそれって日本からしたらすごくリスクが高い。サプライチェーンってもう今は有事問題ぐらいの発展をしていて、薬がなかったら人が亡くなったりしますし、ドローンや防衛関連の部品、ICチップなど色々あるので、結構防衛テックに近いものがあって。だからこそ、啓蒙活動が大事なんです。1つの会社というよりも国全体でリスク管理しましょうという活動をやっています。
Q. コンセプト設計やデザインワークにAIは使っていますか?
入社当時は2年半前だったのでAIがあまりなかったんですが、今の状態だったら使っていましたね。アイデア出しなどで普通に活用していたと思います。

当日回答しきれなかった質問への回答

当日はお時間の都合上、すべての質問にお答えできませんでした。いただいた質問について、後日村田さんに回答いただきましたので、あわせてご紹介します。

Q. 組織全体・部署単位・デザインチームなど、各メンバーの取り組みに対する熱量の足並みを揃えるために大切なことは何でしょうか?
全員の熱量を完全に同じにするのは難しいと思っています。役割や責任範囲、見えている景色が違うからです。大切なのは、熱量そのものを揃えるというより、向かう方向と判断基準を揃えることだと思います。具体的には、なぜこの取り組みをやるのか・何を優先するのか・何を成果とするのか・各メンバーに何を期待するのかを明確にすることが重要です。熱量は無理に揃えるものではなく、目的の共有と成功体験によって自然に高まっていくものだと考えています。
Q. お忙しいと思うのですが、本を読む時間はどのように取っていらっしゃいますか?
毎日出社しているので、基本的には電車の時間は必ず本を読むようにしています。歩いているときはポッドキャストやYouTubeで本の紹介番組を聞いていますね。習慣化のコツとして、決まった行動を「トリガー(きっかけ)」にすることをおすすめしています。すでに無意識に行っている行動と新しい習慣をセットにすることで、意志の力を使わずに自然と行動できるようになります。

参加者の声

イベント終了後のアンケートに寄せられた声をご紹介します。

  • 「ちょうどリブランディングを行なっている最中でしたので、実際に村田さんが行なっているフローを知り、とても学びになりました。細かい丁寧なプロセスに圧倒されました。」
  • 「”リブランディングは3%”という話がとても興味深かったです。」
  • 「自分のブランドを作って社会に発表して、社会からフィードバックを得るという経験が、日々の実践がスキルを育てる大切な時間なのだと気づくことができました。」

みなさんの感想やご意見は、今後の企画に反映していく予定です。さまざまなご意見、ありがとうございました!

デザイナーとして「経営に近い仕事」をするヒントが詰まった1時間

今回の1時間を通じて印象的だったのは、ブランディングもリブランディングも「決めることより合意を作ること」「ロゴを変えることより意思を定義し直すこと」が本質だという村田さんの一貫した考え方でした。

そして「デザイナーはお金を触らない分、一番ピュアに顧客のことを考えられる」という言葉は、AIが普及する今の時代にデザイナーとしての立ち位置を改めて考えさせてくれるものでした。

LIG Agentでは今後も、クリエイターのキャリアに役立つイベントを定期開催していきます。公式LINEにご登録いただくと、イベント情報をいち早くお届けします。ぜひご登録ください。

「自分も上流の仕事に関わりたい」そう感じているデザイナーの方へ

「ブランディングやコンセプト設計に携わってみたい」
「経営に近いところで、デザイナーとして価値を出したい」

今回村田さんが語ったように、上流の仕事に関わるためのヒントはキャリアの中にあります。LIG Agentでは、あなたの経験や強みを一緒に整理しながら、次のキャリアを考えるお手伝いをしています。

今すぐの転職をお考えでなくても、自分の市場価値を知るために相談してみたいといった方も大歓迎です。ぜひお気軽にご相談ください!

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ソフトウェア開発会社でシステムエンジニアとして7年間のキャリアを積んだあと、デジタルハリウッドSTUDIO by LIGでデザインを学び、インハウスデザイナーへと転身。生活関連情報サイトのオウンドメディア運営を経て、2025年10月にLIGへ参画。現在はSEOコンテンツ制作、マーケティング数値分析、イベント運営を中心に、マーケティング施策を推進している。

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