こんにちは! セブ拠点でブリッジディレクターをしているなごみんです。
日本企業のプロジェクトに参画し、日々現地エンジニアと一緒に働いています。
オフショア開発を検討する企業の方にとって、「どんな人が開発を支えているのか」「現地チームの雰囲気はどうなのか」は気になるポイントではないでしょうか。
この連載では、LIGのセブ拠点「CODY」で活躍するエンジニアたちのキャリアや仕事への向き合い方を紹介し、”顔が見えるオフショア開発“をお届けします。
第2回は、CODYのテクニカルディレクター(TD)のMark。
シニアバックエンドエンジニアとして入社後、役割を超えてチームを動かし続け、TDへと昇進。5四半期連続で社内アワードを受賞した実力派です。設計からタスク管理、プロダクト定義まで幅広くこなしながら、「AI-nativeなエンジニアになる」という明確なビジョンを持って挑戦を続けるMarkについて、ご紹介します。

| 名前 | Mark Saren(マーク・サレン) |
|---|---|
| 職種 | テクニカルディレクター(TD) |
| 所属 | CODY Inc. |
| 得意領域 | バックエンド開発、システムアーキテクチャ、AIを活用した開発 |
| 出身 | フィリピン・ミンダナオ |
| 学歴 | University of San Carlos, Bachelor of Science in Computer Engineering Major in Software Engineering / サン・カルロス大学 コンピュータ工学学士号 |
| こんな人! | 技術力・リーダーシップ・AIへの探究心を兼ね備えた、チームの設計塔 |
テスト担当からTDへ。キャリアの軌跡
――まず、エンジニアとしてのキャリアの出発点についてお聞かせください。
サン・カルロス大学でコンピュータ工学学士号を取得しました。ソフトウェアだけでなく、ロボットなどのハードウェアやインフラ技術まで幅広く深く学べたことが、私の大きな強みになっています。大学での学びは非常に充実しており、Magna Cum Laude(学業成績優秀者)として卒業しています。
最初のキャリアは、大手多国籍テクノロジーコンサルティング会社でのソフトウェアテスト業務からスタートしました。ただテストを実行するだけでなく、テストの効率化のためのコーディングにも積極的に取り組みました。「もっと改善できるはず」を常に考えながら行動する習慣がこの頃に身につきましたね。この会社で約2年半の経験を積みました。
――そこから、フリーランスへの転身を決意されたのですね。
はい。その後は2年ほどフリーランスとして、工場の機械のメンテナンス監視システムの開発・運用保守を担当しました。小規模なチームだったので、要件定義からスケジュール調整、設計、実装、テストに至るまで、開発プロセスのほぼすべてに関わりました。クライアントと直接コミュニケーションを取る機会も多く、エンジニアとしての視野が一気に広がった、非常に貴重な時期でした。
――幅広いご経験を積まれた上で、CODYへの入社を決めたのはなぜですか?
一番の決め手は「カルチャーが好きだった」ことです。高い技術力はもちろんですが、チームの温かい雰囲気や価値観が自分に非常に合っていると感じました。
入社当初はシニアバックエンドエンジニアとしてスタートしましたが、いつの間にかアサインされたタスク以外にも、チームの進捗管理や品質チェック、メンバーサポートなど、自然とリーダー的な役割を担うようになっていました。
その働きを評価していただき、テクニカルディレクターに昇進。さらに、5四半期連続で社内アワードを受賞することができました。
日本企業との開発で学んだ「プロセス重視」の価値
――過去に参画した日本企業の案件について教えてください。
治験・臨床試験に関わる業務効率化プラットフォームの開発・提供を行う企業のプロジェクトに参画しました。日本側チームのPM1名、ブリッジSE1名と、セブの開発チームは私を含む9名(フロントエンド4名・バックエンド4名・QA1名)という体制で、私はリードエンジニアとして関わっていました。
――開発を進める上で特に意識したことはありますか?

やはり品質管理ですね。チームでいつも言っているのが、“Quality is everyone’s responsibility”――品質はみんなの責任、という考え方です。品質管理はテスト担当者だけの仕事じゃない。開発のすべてのステップに品質チェックを組み込むようにしていました。
具体的には、こんな流れで進めています。
- 開発チームメンバーが自分でテストした証跡として、スクリーンショットや画面録画を残してもらう
- そのうえでTDである私がコードレビューで問題がないか確認する。最近はAIツールも活用しながら、処理の流れやセキュリティ面のチェックも加えるようにしている
- 最後に品質管理担当が、正常な操作だけでなく、イレギュラーな操作や境界値のテストまで幅広く確認する
――日本側とのコミュニケーションは、特に問題なく行えましたか?
DB設計者は日本人だったのですが、ブリッジSEが間に入ってくれたおかげで、コミュニケーション自体はスムーズに進められました。ただ、特に技術的な話をする場面では、図表を使いながら認識のズレがないよう丁寧に確認するようにしていました。「お互いの認識が合っているか」を常に意識しながら進めることの大切さを、改めて実感した経験でした。
また、フレームワークごとに設計のお作法が異なる部分もあるので、LaravelならではのベストプラクティスをベースにしたDB設計を自分から提案するようにしていました。ただ提案するだけでなく、そのプロジェクトの要件にきちんと最適化されているかも常に意識しながら進めていましたね。
――日本チームと働いて感じた違いはありましたか?
ドキュメントへの向き合い方が印象的でした。日本のチームはプロセスを重視する文化があり、どちらかというと結果重視の傾向があるフィリピンとは少し異なるスタイルです。
ただ、日本的なプロセス重視の進め方から、「どうしてその機能が必要なのか、どうしてその仕様になったのかなど、プロセスも含めてきちんと記録しながら進める」ことの重要性など、多くの学びがあり、現在のTDとしての仕事のスタイルにも影響を与えています。
設計からチームまで、TDとして全体を動かす
――現在はどのようなプロジェクトに関わっていますか?
これまで、米国の大規模医療システム企業のプロジェクトや、ERPシステムの開発など、さまざまなタイプのプロジェクトを担当してきました。
現在はモバイルファーストのセブローカル向けプロジェクトに参画しています。AIを活用した開発を積極的に取り入れているプロジェクトで、チーム構成は私(TD)のほか、モバイルエンジニア2名、フルスタックエンジニア2名です。
――TDとしての役割はどのようなものですか?
上流設計、タスク管理、PM的な動き、システムアーキテクチャの策定、そしてプロダクトオーナーとして機能やサービス設計の意思決定まで、開発の「上流から下流まで」幅広く担っています。
――これまでで特に難しかったプロジェクトはどんなものでしたか? どう乗り越えましたか?
モバイルアプリの開発プロジェクトで、クライアントからの仕様変更・追加要件が頻繁に発生したことが一番の壁でした。変更のたびにスケジュールや設計を見直す必要があって、チーム全体への影響も大きかったです。
そのときに大事にしたのは、変更をその都度きちんとドキュメントに落とし込み、チーム全員が同じ認識を持てるようにすることでした。曖昧なまま進めるとあとで大きな手戻りになるので、「確認してから進む」を徹底しましたね。
――CODYチームの強みはどこにあると思いますか?

今のCODYチームが持つ大きな強みは、AIツールを実務的に使いこなす力だと思っています。Claude Codeのような最新のLLMを活用することで、コードのアウトプットスピードが飛躍的に上がっています。ただ、AIが出したコードをそのまま使うわけではなく、システム設計者がAIの出力を検証・精査するプロセスがある。ここが重要なポイントです。
CODYではエンジニアを対象にAI活用のための社内トレーニングなども行われており、会社としてAIを積極的に学習・利用していこうという動きが強いです。
――CODYのお気に入りポイントを教えてください。
オープンで協力的な雰囲気、そして気軽に話しかけやすい文化です。DevOps・デザイン・モバイルなど各領域の専門家がそろっていて、社内のメンバーから知識を吸収しやすい環境だと感じています。社内のイベントや活動も充実していて、楽しく働ける会社だと思っています。
「AI-nativeなソフトウェアエンジニア」へ
――オフの過ごし方も教えてください!
3Dプリンティングが趣味で、実用的なものを自分でデザインして印刷するのが好きです。あとは自己成長のためにノンフィクションの本を読んだり、最近フィリピンで人気なピックルボールというスポーツを始めて、体を動かしています。
――エンジニアとして成長するために今取り組んでいることは?
以前とは、注力していることが変わりました。今はAIを前提としたワークフローの精度を上げることに集中しています。単発のプロンプトでAIを使うスタイルから脱却して、Claude Code上に体系的な環境を構築しようとしている感じです。
具体的には「SKILLS」と呼ぶものを研究・開発しています。開発ライフサイクルの各フェーズをAIに実行させるための、モジュール型の指示セットです。今は仕様策定(SPEC)・計画(PLAN)・実装(BUILD)・テスト(TEST)・レビュー(REVIEW)をカバーするSKILLSのフルスタックライブラリを構築中です。目標は、AIが各ステージで何をすべきかを正確に把握した状態で動ける、再現性が高くて品質の安定したオーケストレーションに開発プロセスを変えていくこと。
体系化できるかどうかが、エンジニアの差になってくると感じています。
――これからどんなエンジニアを目指したいですか?
目指しているのは、本当の意味での「AIネイティブなソフトウェアエンジニア」です。
自分の価値が、打ったコードの行数じゃなくて、アウトプットのスピードと品質で測られるような。AIを単なるサポートツールとしてではなく、自分のスタックのコアとして組み込んだワークフローを作りたいんです。エージェント型のワークフローを使いこなすことで、以前なら数ヶ月かかっていたフルスタックの開発を数日で形にする。そして浮いた時間を、セキュリティやユーザビリティ、ビジネスゴールとの整合性の確保に使う。そういうエンジニアを目指しています。

Markのインタビューから、CODYには技術の最前線を追い続けながら、チーム全体を動かすリーダーシップを体現するエンジニアがいることが伝わったのではないでしょうか。AIをただ使うのではなく、設計・検証・活用までを主体的に担うMark。そのスタンスは、まさにCODYの開発力の象徴です。
丁寧なコミュニケーションと技術力で距離や言語を超え、日本企業と一体感を持って開発に取り組むエンジニアたち──それがCODYの強みです。これからもCODYは、「安心して任せられるオフショア開発パートナー」として、企業の挑戦を支えていきます。