こんにちは、LIGでPMOとして働いているFANです。
「あとでやっておきます」——この一言の捉え方が人によってぜんぜん違って、期待値のズレから大混乱になった経験はありませんか?
私は以前、日本・中国・モンゴル・ベトナムをまたぐ多国籍チームでPMOをしていました。クライアントとは日本語、エンジニアとは日本語・中国語・英語でやり取りする日々。
最初は失敗ばかりでした。伝えたつもりが誤解を生み、「言わなくてもわかるよね?」がまったく通じない。何度もトラブルを起こしながら、「どうしたら伝わるのか」を必死で考え続けてきました。
今回は、そんな現場で試行錯誤しながら身につけた「伝え方」の8つの工夫を紹介します。
多国籍チームで働いている方、リモートワークで意思疎通に悩んでいる方、PMやPMOとしてチームをまとめる立場の方に、ぜひ読んでいただきたいです。
目次
多国籍チームで磨いた「伝え方」8つの工夫

日本で当たり前に通じていたことが、国籍や文化が違うとまったく伝わらない。失敗と試行錯誤を繰り返しながら、私が現場で実践してきた工夫を紹介します。
① 曖昧な言葉は禁止!ハッキリ明確に伝える
多国籍のメンバーとのやり取りで、特に痛感したのが「曖昧な言葉」がいかに危険かということです。たとえば「あとでやっておきます」という一言を、日本人の同僚には通じても、多国籍チームではまったく違うスケジュール感として理解されてしまいました。
実際、「リリース後に検討予定だった作業」が「この1週間で急いでやるべきこと」と勘違いされ、本来優先度の高いタスクの進行が遅れてしまったのです。そもそも「あとで」や「適当に」といった表現は、文化や価値観によってまったく違う意味に受け取られます。
この経験以降、「担当:Aさんが、来週火曜までに」など、いつ・何を・誰がを明確に言葉にすることを徹底。曖昧さゼロの伝達を心がけています。
② 話した内容も必ず文書化する
「みんな、今日の打ち合わせはわかってくれているだろう」と高を括っていた時期がありました。しかし実際は、チャットのやり取りや口頭説明だけでは大事な連絡が埋もれてしまいます。また、他国のメンバーだと時差や情報の優先度が違い、「聞いたつもりで忘れていた」「参照する場所がわからない」ということが頻発しました。
あるとき、定例ミーティングの議事録をきちんと残さなかった結果、翌日になって「前日の仕様変更を知らなかった」という状況になり、本来不要な手戻りが発生。以降、決まったことや連絡事項はConfluenceなど共有ツールへの記録→必ず全体に再通知というサイクルを定着させています。
ドキュメントは「伝達の証拠」であり、共通認識を支える基盤だと強く実感しています。
③ 前提や「なぜ」まで丁寧に説明する
日本では「これ、やっておいて」と一言だけで伝わることもありますが、多国籍チームではまず通じません。私自身、日本語で指示を出しても、相手は背景やゴールがわからず誤った方向に作業してしまう事が何度もありました。
たとえば「Webサイトのデータを最新版に」と依頼した際、私は「ユーザー画面のリフレッシュ」だと思っていましたが、相手は「サーバーのデータロジックを作り直す」と解釈していたのです。なぜそうするのか・何のためなのかという目的・背景が抜け落ちていたため、意図と実態がズレてしまいました。
以来、5W1H(誰が・何を・いつ・どこで・なぜ・どのように)のフレームで説明すること、結論や目的を最初に明示することを徹底しています。これにより指示の納得度と実行スピードが段違いに上がりました。
④ 小さな問題でもすぐ相談(ホウレンソウの徹底)
PMOとして毎日進捗を管理していると「ここは大丈夫」と思い込んでしまうことがあります。しかし蓋を開けてみると、小さいと思っていた懸念があとから大きな障害に……ということはあります。
たとえば、チームの中でほんの少しの作業順の食い違いがあっただけで、全体のスケジュールが数日ズレたこともありました。気がついた時点ですぐ相談ができていれば、簡単な調整で済んだはずです。
この経験から、少しでも不安や違和感があればすぐ報告・相談・連絡(ホウレンソウ)を行う文化を徹底。大小問わず共有することで、チーム全体が余裕を持って動けるようになりました。
⑤ 大きなタスクは「細分化」し、進捗を見える化する
多国籍のエンジニアと仕事をしていると、「全部まとめてお任せ」な進行だと現状把握がほぼ不可能になります。「順調です」という報告だけでは、本当に順調なのかまったくわかりません。
ある機能の修正でこうした曖昧な進捗把握をしていた結果、締め切り直前に「ほとんど進んでいない」ことが発覚……現場が大混乱したことがあります。
それ以降は、「タスクを小さく分け、担当・期限・期待値まで明文化」する仕組みに変えました。「データベース設計」「API作成」「テスト」といった小単位で進捗を共有し、「どこまで終わっているか」が一目でわかる体制を作っています。
⑥「間もなく完了」を信じず、具体的な成果物で進捗を確認
「あと少しで終わります」は、国や文化によってぜんぜん違う意味を持ちます。実際、9割が終わった状態と2割でも”もうすぐ”と言う人がいるため、進捗確認で大きな誤差を生む原因になっていました。
そこで、「進捗確認=成果物や進行度を”見える形”で確認する」方式へ変更。コードの完成率や、実際のデモ、テストの通過状況といった定量的な指標とアウトプットでマネジメントすることを心がけています。
⑦ トラブル時ほど「正確かつ冷静に伝える」
システムトラブルが発生したとき、多国籍チームではパニックや混乱が伝達ミスを生みがちです。以前、責任や優先順位が曖昧になり、復旧対応が一時的に混乱した経験がありました。
この時、私はできるだけ冷静に「①原因」「②影響範囲」「③次に何をすべきか」という3点を整理し、それぞれに合わせて日本語・英語・中国語でポイントだけを共有。そうしたことで、全員が「自分の役割」を正しく認識でき、通常より早く主要機能が復旧しました。
この一件から、トラブル時こそ”伝え方”が命綱になると強く実感しました。
⑧「伝わる」を仕組み化する:機能依存図の実践
どれだけ丁寧に言葉で伝えても、誤解や行き違いはゼロにはできません。そこで私は「プロジェクト開始時に機能依存図を作り、全員で確認する」という仕組み化に取り組みました。
システムのどこがどこへ影響を及ぼすか、「見える化」することで、説明がこれまで以上に簡単になり、全員が同じ土台で議論できるようになりました。伝える力は、個人の技能だけでなく、チームの”仕組みづくり”でもある……これも実感した大きな学びです。
このように、数多くの失敗や現場でのトラブルを通じて、「どうしたらより伝わるのか」を徹底的に考え抜き、その都度新しい工夫や仕組みを積み重ねてきました。
こうした”伝わる工夫”が積み重なることによってこそ、多国籍なチームでも一つの目標に向かい、最大の成果を出せるのだ……と、自信をもって言えるようになりました。
まとめ:「伝える力」の本質とは
数多くの失敗を通じて、「どうしたらより伝わるのか」を徹底的に考え抜き、その都度新しい工夫を積み重ねてきました。こうした”伝わる工夫”が積み重なることで、多国籍なチームでも一つの目標に向かい、最大の成果を出せるようになったと実感しています。
振り返れば、私がIT業界に入ったきっかけは、大学時代の音声ロボット開発プロジェクトでした。音声データの前処理という地味な作業を通して、「小さな作業の積み重ねが、プロジェクト全体の成果に直結する」ことを実感し、チーム全体を支えるPMOという仕事に魅力を感じたんです。あのとき感じた「丁寧な仕事が大きな成果を生む」という感動が、今も私の原点になっています。
多様なバックグラウンドを持つメンバーと協働することで学んだのは、単に「伝える」だけでなく、相手の立場や背景を理解し、「伝わる」まで責任を持つことの大切さ。これまで培ってきた「伝える力」を、LIGの現場でもっと発展させ、誰もが安心して意見や課題を話せる環境づくりを実現していきたいと思っています。
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