「自分のキャリア、このままでいいの?」若手クリエイターが集った“CREATOR COMPASS”イベントレポート

「自分のキャリア、このままでいいの?」若手クリエイターが集った“CREATOR COMPASS”イベントレポート

Riko Sato

Riko Sato

クリエイティブ業界で働き始めて数年、スキルもついてきて、仕事も面白くなってきた。でも同時に「この先どうしよう」という漠然とした不安も大きくなってくる……。

そんな多くの若手クリエイターが抱える等身大の悩みを、リアルに語り合う場として企画されたのが「CREATOR COMPASS」です。2025年6月8日、約50名のクリエイターが集まり、自分らしい働き方やこれからの選択肢について本音で話し合いました。

会場では「それ、まさに自分も気になっていた」といった共感の声があちこちから聞かれ、スライドを見ながら熱心にメモを取る姿も見られました。同じようなキャリアを歩んでいるからこそわかり合える悩みや期待が交錯する、そんな熱のこもった時間となりました。

本記事では、その様子をレポート形式でお届けします。

イベント概要
  • 主催:LIGエージェント株式会社FMC/フリーランスデザイナー・もりぐ
  • 対象:2〜5年目の若手クリエイター(Webデザインスクール・デジLIG卒業生)
  • 参加者数:約50名

市場価値の正体とは?職種を超える3つのポータブルスキル

イベント前半では、事前アンケートで集められた若きクリエイターたちの質問に、登壇者がトークセッション形式で回答。会場は「なるほど」「それ、まさに自分も気になっていた」といった共感の声が会場のあちこちから聞かれ、スライドを見ながら熱心にメモを取る姿も見られました。

会場がもっとも湧いたテーマのひとつが、「市場価値」についてでした。

「クリエイターとして市場価値を高めるために、次に何を学ぶべきか?」

この問いに対し、フリーランスデザイナーのもりぐさんは「特定のツールや流行の技術を追いかける前に、あらゆる仕事の土台となるスキルを磨くべき」とお話しされました。それが、「読む」「作る」「伝える」という3つのポータブルスキルです。

【読む力】クライアントの言葉の奥にある「本質」を見抜く

もりぐさんの言う「読む力」とは、単に言葉を理解することではありません。クライアントの要望や課題の背景にある、真の目的(=本質)を読み解く力です。

もりぐ:たとえば、「このボタンを赤くしたい」という要望があったとして、ここで「はい、赤くしますね」と安易に答えるのではなく、「なぜ赤くしたいのですか?」と質問してみましょう。

その答えが「目立たせてクリック率を上げたいから」であれば赤以外の色も検討できるかもしれないし、文言やレイアウトや装飾など色以外の調整で解決できるかもしれません。

ただ言われた通りに作るのではなく、相手の達成したいこと・エンドクライアントの満足につながることを深く読み解く。この「読む力」が、すべてのクリエイティブの出発点になります。

【作る力】課題解決を「設計」し、リソースを最適化する

「読む力」で本質を捉えたら、次はその課題を解決するためのプロセスを「作る(設計する)」段階です。

単にビジュアルを作るだけでなく、予算や時間といったリソースを考慮して、もっとも効果的なアウトプットを設計する力を指します。

もりぐ:予算が100万円なのに、それ以上の労力を投入して150%のアウトプットを!というアプローチを業界でよく見かけます。

その一方で80〜90万円分の労力でクライアント期待値100%を超える成果を出し、残りのリソースで次の提案をするというのも考えられるようにしたい。どちらが正解と言いたいのではく、案件に合わせて選べる余裕を常に持っていたい。

力の入れどころと抜きどころを見極め、プロジェクト全体を成功に導く設計力。これこそが、単なる作業者で終わらないための「作る力」です。

【伝える力】相手の立場に立ち、伝言ゲームをなくす

どんなに素晴らしいものを作っても、その価値が相手に伝わらなければ意味がありません。「伝える力」で重要なのは、相手の立場や知識レベルに合わせて、伝え方を最適化することです。

もりぐ:プレゼン相手は誰ですか? 現場の担当者? それとも最終決済者である社長? もし担当者経由で社長に伝えるなら、その担当者が社長に説明しやすい資料を作る必要があります。専門用語だらけの資料では、伝言ゲームの途中で価値が半減してしまう。

専門用語をできるだけ使わない、細かいニュアンスなら動画でデモを見せるなどもいいかもしません。

形式ばったプレゼンではなく相手がもっとも理解しやすい形で届ける工夫。このワンプロセスが、あなたの仕事の価値を決定づけます。

本当の価値は「自分が無意識にできていること」に眠っている

講義の中で、もりぐさんがとくに強調していたのが「自分が無意識にできていることの価値」です。

もりぐ:人から褒められても「いや、こんなの普通のことですよ」と謙遜してしまうことありませんか? 実はそれこそが、あなたがストレスなく他者貢献できる市場価値の高いスキルなのかもしれません。

報連相が丁寧、締め切りを守る、誰に対しても感じがいい、といったことを褒められたとしても「普通だよね」と思ってしまう方がいらっしゃいますが、それは本当にもったいない。自分にとって当たり前なことほど自覚しづらいのです。

まずは、人から褒められたら「ありがとうございます」と素直に受け取ってみる。そして、どんな点を褒められたかメモしておく。その積み重ねが、あなたも気づいていない隠れた強みを可視化してくれるはずです。

「どう働きたいか」は、「どうありたいか」から逆算する

講義の後半でこのようなスライドが映し出されました。

この記事を読んでくださっているあなたはどうでしょうか?

キャリアを考える上で、年収・リモートワークの可否・残業時間など、定量的な面だけを見て仕事を選んでしまうことも多いのではないでしょうか?

でも一度立ち止まって、「なぜ自分はそんなに残業時間の少なさやリモートワークにこだわるのか?」を深く考えてみてください。

それらはあくまで「手段」であって、本当に求めているのは、その先にある「自分らしく働ける状態」や「心の余裕」ではないでしょうか。

そうした理想の状態がはっきりすれば、リモートワーク以外の選択肢でも、自分に合った働き方が見えてくるかもしれません。

この講義で一番印象的だったのは、「人生のコンセプトを持とう」という言葉。

周囲に流されて何となくキャリアを決めるのではなく、自分自身の理想像を言語化し、必要なスキルや経験を逆算する思考法が語られました。

Step 1:「Want(やりたいこと)」の奥にある「Why(なぜ)」を5回繰り返す

「年収を上げたい」「リモートで働きたい」といった表面的なWant(欲求)から、「なぜ?」を最低5回、自分に問いかけてみましょう。

Want: 残業をなくしたい
Why 1: なぜ? → 自分の時間が欲しいから
Why 2: なぜ? → 趣味のイラスト制作に没頭したいから
Why 3: なぜ? → いずれはイラストで収入を得たいから
Why 4: なぜ? → 会社に依存せず、好きなことで生きていきたいから
Why 5: なぜ? → 時間と場所に縛られない自由な人生を送りたいから

ここまで掘り下げて初めて、自分が本当に求めているものが見えてきます。残業をなくすことは、あくまでそのための「手段」に過ぎなかったことに気づくことができます。

Step 2:自分の「幸せのど真ん中」を言語化する

Step1で深掘りした「なぜ」の先にたどり着いた答えこそが、あなたの「幸せのど真ん中」。これを、いつでも立ち返れるように短い言葉で定義します。それが「人生のコンセプト」です。

もりぐさん自身のコンセプトは、

もりぐ:好きなときに、好きな場所で、好きな人と、美味しいものを食べることが、今日も明日も、ずっと続く状態。

このコンセプトが、キャリアのあらゆる場面で迷いをなくすコンパスとなります。

Step 3:コンセプトを軸に、すべての選択を「逆算」する

これからの人生、あらゆる選択を迫られます。仕事選び、スキル習得、住む場所、付き合う人……。

これらのすべてで「この選択は、自分の人生のコンセプトに合っているか?」という視点を持って判断できるようになると、選択に自信が持てるようになるかもしれません。

そして、その選択が自分にとって本当に必要なものなら自然と努力できるはず。自分を深く理解するのはとても大変ですが、逃げずに向き合うことが大事です。

流行っているから、みんながやっているから、という理由で流されるのではなく、自分だけのコンパスに従って道を選ぶ。この思考法こそが、変化の激しい時代を生き抜くための最強の武器となるでしょう。

時間が足りないほどに盛り上がった交流会

イベントの後半は、参加者同士の交流会。卒業生・若手クリエイターが集う場だからこそ、共通点も多く、自然と会話が生まれているようでした。

 

会のスタートは、LIGエージェント責任者 しょうへいさんの乾杯の音頭から。にこやかな掛け声に会場も和み、会話が一気に盛り上がりました。

 

「今、どんな仕事してる?」
「転職考えてる?」
「今の会社、ぶっちゃけどう?」

そんな何気ないやりとりの中にも、それぞれの想いや不安、期待が交錯していたように感じました。

イベント主催である株式会社FMCのメンバーと直接会話する場面も多く見られ、企業の雰囲気を肌で感じられたという声もありました。

とくに印象的だったのは、名刺交換が活発に行われていたこと。

事前にご自身で名刺をデザインしてきた方や、所属企業の名刺を用意してきた方も多く、Xでは名刺づくりの様子をシェアする投稿も見られました。

 

1時間半があっという間に過ぎ、事後アンケートでは「もっと話したかった」「時間が足りなかった」という感想も多数寄せられました。

参加者の声から伝わる、リアルな学びと気づき

イベント終了後にはアンケートを実施し、多くの参加者からうれしい声が寄せられました。いくつか抜粋してご紹介します。

同じ業界で働く方と対面で交流できたこと、もりぐさんのお話しを聞くことができ、大変有意義な時間でした。
特に、どんな人生を歩みたいかからキャリアをデザインするお話しや、どの分野にも共通する仕事で求められるスキルのお話しが印象に残りました。

最初のアンケートをもとにした話は他にない貴重な情報でとても参考になりました。
また、交流会も時間が足りないほど他の会社の方とお話しできて普段の業務では得れない話やつながりができてとてもよかったです。

また、Xでも「#CREATORCOMPASS」などのハッシュタグを通して、参加者の投稿が多く見られました。

キャリアに悩むのは当然。だからこそ、立ち止まって考えよう

キャリアについて悩むことは、決して特別なことではありません。だからこそ、一人で抱え込まずに、誰かの話に耳を傾けたり、自分の考えを整理する機会を持つことが大切だと、今回のイベントを通してあらためて感じました。

「理想の働き方」は、誰かから与えられるものではなく、自分自身で描いていくもの。CREATOR COMPASSは、そんな“自分だけのキャリアの地図”を見つめ直す、良いきっかけになったのではないでしょうか。

次回開催も現在計画中です。詳細は今後、LIGブログやLIG公式Xにて発信予定です。興味がある方はぜひご参加ください!

あなたのキャリア、これからどう描きますか?

「このままの働き方でいいのかな?」とふと立ち止まることってありますよね。

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大学卒業後、大手金融機関にてキャリアをスタート。その後マーケターへと転身し、現在はSNS運用、SEOコンテンツ制作、マーケティング数値の分析・戦略立案など、LIGのマーケティング活動全体を横断的に担当。最近はYouTubeをはじめとした動画メディア領域にも注力し、企画から編集ディレクションまで一貫して手がけ、メディアのグロースを推進している。

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