応募が集まる求人票の書き方|NG表現や成功のコツを実例付きで解説

応募が集まる求人票の書き方|NG表現や成功のコツを実例付きで解説

Sayuri Yamaguchi

Sayuri Yamaguchi

こんにちは! 人材紹介サービス「LIG Agent(LIGエージェント)」の山口です。

転職活動中の求職者が応募を検討する際に重要な情報源の一つが「求人票」です。採用でお困りの担当者の皆様、求人票を改善することで課題解決に大きく前進できます。

この記事をお読みいただければ、どなたでも「企業の魅力を効果的に伝え」かつ「ミスマッチのない応募者を集める」求人票が作成できるようになります!テンプレートもご用意しておりますので、求人票作成の際にぜひご活用ください。

目次 

求人票とは?書く前に知っておきたい3つの前提

求人票は、企業が人材を募集する際に作成する、求人情報が掲載された文書です。一般的には、仕事内容や給与条件、休暇制度、勤務地などの就労条件に加え、企業文化や会社の強みなどの詳細情報も記載されています。

💡募集要項との違い
「募集要項」と書かれている場合もありますが、これは主に職業安定法で明示が必須とされている事項をまとめた求人情報を指しています。これに対し「求人票」は情報そのものではなく文書形式を指し、求人の掲載先によってフォーマットや記載項目に多少の違いがあります。

求人票には募集要項の内容が含まれるため、使用される媒体によっては「求人票」と「募集要項」が同義として扱われることもあります。

数多ある求人の中で求職者はどのように応募求人を選ぶのでしょうか。ここでは、魅力的な求人票を作る前に知っておきたい前提についてお話しします。

求職者は「条件」ではなく「納得感」で動く

転職市場が活発な現在において、給与や勤務地といった条件面が希望と合致していれば応募するという時代は終わりつつあります。求職者は、その会社の価値観や職場の雰囲気、業界の将来性などに共感し、納得できる求人かどうかを重視して意思決定を行っています。

そうした判断材料となる情報をいかに具体的に記載できるかが求人票の要となります。そのため、「自由に働ける会社です」といった抽象的な表現では、求職者の応募意欲を喚起することは困難です。

このポジションにはどの程度の裁量権があるのか、出社頻度は週何日なのか、入社後にどのようなキャリアパスを描けるのかなど、具体的な情報を求人票を通じて伝えることが不可欠です。

伝えるべきは仕事内容だけでなく「働くイメージ」

どんな業務をするのかは概ね職種によって分類されているので、一歩先に踏み込んだ具体的な表記が必要です。

  • どんな人と(誰と)
  • どういう目的に向かって
  • それらを遂行する時間軸・必要なスピード感はどれくらいか
  • 求人票を読むことで、この企業のこのポジションで自分が働くイメージを具体的に持てることが、応募に繋がる重要なポイントです。

    書き方を間違えると法的リスクになることも

    求める人物像があるのは当然ですが、労働基準法、男女雇用機会均等法、公正採用選考の基本方針など、法律で禁止・制限されている表現があります。これらに抵触しないよう、細心の注意を払いましょう。

    なお、これらの法令は改正されたら直ちに抵触していないか確認し、必要であれば早急に専任の社労士に確認し修正することを心がけてください。違反となった場合は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

    この詳細については本記事後半でもご紹介してます。引き続きお読みください!

    最低限おさえるべき求人票の必須要素(チェックリスト付き)

    最低限おさえるべき求人票の必須要素は以下のとおりです。

    • 業務内容(雇入れ直後/変更の範囲)
    • 契約期間(更新の有無・上限)
    • 試用期間の有無・期間
    • 就業場所(雇入れ直後/変更の範囲)
    • 就業時間・休憩時間
    • 休日・休暇
    • 時間外労働の有無/裁量労働制の適用有無
    • 賃金(内訳・固定残業代の有無など)
    • 加入保険(雇用・労災・健康・厚生年金)
    • 受動喫煙防止措置
    • 募集者の氏名または名称
    • 派遣の場合の雇用形態の明示

    一つひとつ詳細にご説明していきます。

    業務内容(雇入れ直後/変更の範囲)

    項目 記載例
    業務内容 <雇入れ直後の業務>
    既存取引先(製造・物流企業)へのルート営業が中心です。
    1日平均2〜3社を訪問し、課題のヒアリング→提案→フォローを行います。
    ノルマはなく、数字よりも「関係性の構築」を重視しています。

    <変更の範囲>
    営業部門内の他業務全般(新規開拓、社内営業企画など)

    💡ポイント
    あいまいな表現は避けましょう(NG例:「諸般の事情を考慮して判断」など)。
    入社後にポジションの異動など、業務内容が変わる可能性も想定して記載が必要です。

    契約期間(更新の有無・上限)

    項目 記載例
    契約期間 正社員:期間の定めなし
    契約社員:6ヶ月間(契約期間満了後、更新有り)
    パート・アルバイト:3ヶ月間(契約期間満了後、更新有り)
    💡ポイント
    雇用契約の期間は正しく明示しましょう。更新の有無なども記載漏れのないように。

    試用期間の有無・期間

    項目 記載例
    試用期間の有無・期間 試用期間有り(3ヶ月間)
    💡ポイント
    試用期間とはスキルや能力などの適性を判断するために係る期間を指します。長くても1年程度が望ましいでしょう。

    就業場所(雇入れ直後/変更の範囲)

    項目 記載例
    就業場所 <勤務地>東京本社(新宿区/新宿駅 徒歩5分)
    <変更の範囲>関東圏内の支店(本人希望を考慮)
    💡ポイント
    最寄駅からの所要時間も併せて記載することで求職者が応募するかしないかの判断がスムーズになります。通勤時間や沿線などは求職者の希望条件の中で優先度が高いということを認識しておきましょう。

    就業時間・休憩時間

    項目 記載例
    就業時間・休憩時間 就業時間:9:30~18:30(実働8時間)
    休憩時間:12:00~13:00(1時間)
    フレックスタイム制あり(コアタイム10:00~15:00)
    💡ポイント
    具体的な勤務時間と休憩時間を明記しましょう。フレックスタイム制や時差出勤制度がある場合は、その詳細も記載してください。

    休日・休暇

    項目 記載例
    休日・休暇
  • 完全週休2日制(土日)・祝日
  • 年末年始、夏季休暇、有給休暇(初年度10日)、慶弔休暇
  • 年間休日:120日以上
  • 💡ポイント
    他社と差をつけるならココ! というくらい企業によって特殊な休暇の導入が増えています。パートナーとの時間を大切にする休暇や失恋休暇……ボランティア活動に従事するためのボランティア休暇などもあります。当たり前のように取得している休暇も、もしかしたら他社にはない休暇かもしれません。取得できる休暇はすべて記載しましょう。

    時間外労働の有無/裁量労働制の適用有無

    項目 記載例
    時間外労働の有無/裁量労働制の適用有無 時間外労働:月平均10〜15時間(残業代全額支給)
    裁量労働制:適用なし
    36協定:締結済み
    💡ポイント
    現実とかけ離れた表記にしないこと。当該の募集ポジションにおける平均残業時間を正確に明示しましょう。

    賃金(内訳・固定残業代の有無など)

    項目 記載例
    賃金(内訳・固定残業代の有無など)
  • 月給:250,000円~300,000円(経験・能力により決定)
  • 賞与:年2回(昨年実績3ヶ月分)
  • 昇給:年1回
  • 通勤交通費支給(月上限30,000円)
  • 固定残業代なし(残業分は1分単位で全額支給)
  • 💡ポイント
    月給制なのか、年俸制なのか、賞与は何回/年なのか、与えられる情報はすべて記載しましょう。額が大きく見えたほうが応募者は増えますが、バッファを持たせすぎるのも考えもの……。スキルや経験に応じて変動があるにせよ、年収で考えた時に150万円ほどのバッファが適切でしょう。

    加入保険(雇用・労災・健康・厚生年金)

    項目 記載例
    加入保険(雇用・労災・健康・厚生年金) 各種社会保険完備(雇用・労災・健康・厚生年金)
    💡ポイント
    安心して働ける環境の提供として、最低限必要な情報は記載しましょう。
    加入保険の名称も記載されているとより親切です。

    受動喫煙防止措置

    項目 記載例
    受動喫煙防止措置 屋内完全禁煙(喫煙所は屋外に設置)
    💡ポイント
    禁煙者も喫煙者も双方にとって重要な情報です。気持ちよく働くために、明示しましょう。

    募集者の氏名または名称

    項目 記載例
    募集者の氏名または名称 株式会社ABC(東京都新宿区西新宿1-2-3)
    💡ポイント
    会社名を正しく記載しましょう。求職者が当該の企業名をネット検索し、コーポレートサイトや採用サイトにアクセスして履歴書の志望動機の記入時の参考にします。

    派遣の場合の雇用形態の明示

    項目 記載例
    派遣の場合の雇用形態の明示 契約期間:2025年5月1日~2025年12月31日(更新あり)
    就業場所:東京都渋谷区にあるABC有限会社
    業務内容:事務業務(データ入力、書類作成、電話対応など)
    賃金:月給25万円(残業代別途支給)
    労働時間:9:00~17:00(休憩1時間)
    退職:契約期間満了時、もしくは双方合意により退職
    💡ポイント
    派遣社員は雇用元と雇用先が異なるので、この記載が必要です。

    求人票の必須項目チェックリスト

    必須項目を以下にリストとしてまとめました。ぜひ求人票の内容チェックにご活用ください。












    求人票で絶対に使ってはいけないNG表現【法令違反の可能性あり】

    前述のとおり、以下内容を違反すると法的に罰則が課せられる可能性がありますので細心の注意を払いましょう。

    「女性限定」「男性歓迎」など性別を限定する表現

    募集職種の作業内容や現状の当該ポジションの男女比などによっては採用したい性別を特定したい場合もあるかと思います。しかしながら、男女雇用機会均等法により禁止されております。

    活躍している性別を記載するぶんには差し支えないので「女性が活躍中!」などは事実に基づいた表記として許されています。

    ❌️NG例:「女性限定」「男性のみ募集」
    ✅️OK例:「女性が活躍中!」

    「35歳以下」「若手のみ活躍中」など年齢に関する表現(明示・暗示問わず)

    人生100年ともいわれる昨今、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律により募集年齢を限定する表記は禁止されています。明示的な年齢制限だけでなく、暗黙的に年齢による排除と見なされる表現もNGです。

    年齢を制限したい場合は、例外事由(例:長期キャリア形成のため、など)を明記する必要があります。

    ❌️NG例:「35歳以下」「20代限定」「若手のみ活躍中」「40代以上不可」
    ✅️OK例:「長期キャリア形成を図るため、35歳以下の方を募集」「20代も活躍中(年齢不問)」

    「日本人のみ」「外国籍不可」など国籍に関する表現

    国籍に関する表現は国籍差別に該当するためNGです。しかしながら専門用語が多い職種やお客様対応のをメインとする接客業など、受け入れが困難な求人もあるかと思います。限定する必要がある場合は「業務上、日本語での高い会話能力が求められる」など目的ベースで記載しましょう。

    生産年齢人口が減少している日本の実情において、外国籍の方が活躍できる場を提供することは日本経済への貢献と考えましょう。

    ❌️NG例:「日本人のみ」「外国籍不可」
    ✅️OK例:「業務上、日本語での高い会話能力が求められます」

    「健康な方」「体力に自信のある方」など身体的条件を求める表現

    身体的条件に関する表現は避け、代わりに「業務上、重量物の持ち運びがあるため一定の体力が求められます」など具体的に業務と直結させた表記にしましょう。なお障害者差別解消法の観点から表記がNGになるケースもあります。

    ❌️NG例:「健康な方」「体力に自信のある方」
    ✅️OK例:「業務上、重量物の持ち運びがあるため一定の体力が求められます」

    「独身者歓迎」「既婚者不可」など婚姻状況を条件にする表現

    既婚者だとすぐに出産で休職するかもしれないといったイメージによる差別は公正採用選考の観点で完全NGです! 家族構成やライフスタイルで差別的な判断をしてはいけません。社員のライフスタイルやライフイベントに適応できる採用計画、さらに福利厚生の拡充を検討しましょう。

    ❌️NG例:「独身者歓迎」「既婚者不可」
    ✅️OK例:「ライフイベントに配慮した働き方が可能」

    「見た目重視」「清潔感がある方」など外見に関する評価基準

    特定の外見や容姿を評価基準に含めることは差別的な印象を与えるため、媒体によって掲載NGです。業務関連性を示せば許容されるケースもありますが、募集段階ではなく選考段階で判断すべき事項と捉えましょう。

    ❌️NG例:「見た目重視」「美人・イケメン歓迎」
    ✅️OK例:「接客業務のため、清潔な印象が求められます」

    応募が集まる求人票に変える5つのコツ

    なかなか望ましい応募につながっていない求人は以下の内容を見直しましょう!

    業務内容は「どこまで・どんな関わり方か」まで具体的に書く

    ひとことに「Webデザイナー」という職種で募集していても、提案段階から関わるのか、コーディングまで自身で行うかなど業務範囲は企業によって大きく異なります。

    「営業」も資料作成から手がけるのか、テレアポでのアポ取りから関わるのかなど、どの職種においても具体的に関わる業務範囲を明記することで、ミスマッチや「イメージと違った」という早期離職を防ぐことができます

    どのような業務の流れの中で、誰とどのような内容に関わり、どの職務に取り組むのかを応募段階で把握できることで、求職者と募集企業の双方にとって効率的なやり取りが実現できます。

    💡具体例
    営業職:既存顧客への提案営業が中心(新規開拓は月1~2件程度)。商談から契約まで一貫して担当し、社内のマーケティングチーム・技術チームと連携しながらソリューション提案を行います。

    応募条件は「必須」と「歓迎」に分けて、必要最低限で絞る

    育成コストがかけられないポジションの採用では、必須スキルを明示することが欠かせません。専門スキルを要する場合も同様に、業務で使用するツールや言語を明示し、書類選考の母数を適切にすることで採用工数の削減を図ることでしょう。

    しかし、あまりに限定的に絞りすぎると、求職者は「自分は対象かどうか」で悩み、少しでも条件に合わないかもしれないと感じた場合には応募に至らないケースが多いです。「すべて満たしていないと対象外」と感じさせないように、必須スキルと歓迎スキルに分けて記載することで、ミスマッチを減らしながらも応募数を増やすことができます。

    💡具体例
    【必須条件】
    ・営業経験2年以上
    ・基本的なPCスキル(Excel、PowerPoint)

    【歓迎条件】
    ・IT業界での営業経験
    ・プレゼンテーション経験

    キャリアパスは「事例込み」で言語化する

    誰しも入社することだけが目的ではありません。入社後、その企業・ポジションで自分がどのようなキャリアパスを描けるのかが重要です。そのため、キャリアパスを具体的にイメージできる書き方が必要です。

    たとえば「入社2年目で海外拠点へ異動し、現在は5~8名を束ねるチームリーダーとして活躍中。本人の希望を聞いた上で、キャリアを広げられる仕組みがあります」など、本人の希望に合わせながらも、きちんとステップアップできる環境であることが伝わる書き方が望ましいです。

    💡具体例
    キャリアパス例:
    1年目:既存顧客担当として営業スキルを習得
    2~3年目:新規開拓も含めた営業活動、後輩指導
    4年目以降:チームリーダーまたは専門領域のスペシャリストとして活躍
    ※本人の適性と希望に応じてキャリアを選択可能

    「この会社で働くメリット」は職種ごとにチューニングして書く

    多くの求職者は「希望職種」で求人検索をしています。同じ職種の中で他の企業と差別化するために必要な情報は、「この会社で働くことのメリット」として募集職種に応じて記載しましょう。

    職種 企業の強み例 記載例
    デザイナー職 自社サービスと受託の両輪で事業展開している ジャンルを問わず多彩な案件に関われるため、実績づくりに最適
    営業職 グループ会社との連携による安定した顧客基盤 テレアポなし&既存中心。信頼関係を重視した営業スタイルです
    エンジニア職 サブスクリプションモデルによる安定収益を背景に、長期的な製品開発に取り組める環境 毎月新規プロダクトを立ち上げる少数精鋭チームで、0→1に関わるチャンスが豊富

    写真は「リアルな社内の人」を使うことで雰囲気が伝わる

    求職者は「この職場で働く自分」を想像したいと考えています。使われがちなのがリアリティのないフリー素材やオフィスの外観写真、さらにロゴ画像を使用している求人も。他社と差別化のためにもどんな環境でどのような人たちと働くのか、が伝わる写真を使用しましょう。

    LIGはこんな写真を使っています!

    どうですか。具体的に社内の雰囲気が伝わりませんか? 掲載写真も見直しましょう。

    まとめ

    求人票は定期的に見直して、さらに他社の求人もリサーチしてみましょう。募集ポジションにマッチした求職者とより多く出会えるために必要な行動です!

    企業や募集ポジションの魅力を的確に伝えることで、採用課題の解決だけでなく、企業の市場価値向上にも直結すると捉えて、求人票の書き方を工夫しましょう。

    採用にお困りのご担当者様はぜひ弊社LIGが運営する「LIG Agent(LIGエージェント)」へご相談ください!

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    Sayuri Yamaguchi
    Sayuri Yamaguchi Digital Education / Education,HR / Career Designer / 山口 さゆり

    クリエイタースクール「デジタルハリウッドSTUDIO by LIG」の受講生サポートと「LIG Agent」のCA/RA業務に従事。大学卒業後、通信会社で9年間営業を経験し、3店舗の営業オペレーション改善を実現。1年間の海外生活を経てLIGに転身。前職での実績を活かし、スクール運営の効率化と転職支援の質の向上に尽力している。

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