こんにちは。クリエイター専門の転職エージェント「ReNew by LIG Agent」でキャリアアドバイザーをしている久保です。
日々、Webデザイナーを目指す方の転職サポートをしていますが、もっとも多いお悩みの一つが「志望動機をどう書けばいいのか」という点です。
Web制作会社で働く私だからこそ伝えられる、机上の空論ではない現場で本当に求められること、そしてキャリアデザイナーとしてあなたの熱意が伝わる志望動機の書き方やポイントを、具体的な事例を交えながら、包み隠さずお伝えします。
- 💡この記事で学べること
-
- Webデザイナーの志望動機において最低限おさえておきたいポイント
- 採用側の目線で見た、志望動機の実例とプロの添削ポイント
- 現場で「使えない」と思われてしまう、絶対に避けるべきNG例とその理由
- Webデザイナーとしての「市場価値を高める」ためにアピールすべきスキルとその具体的な伝え方
目次
Webデザイナーの志望動機で最低限おさえたいポイント5選
志望動機は、求職者(あなた)がWebデザイナーとしてどの程度貢献してくれるのか、経験が浅い場合はどの程度将来性があるのか、という点を見極めるための材料です。
苦手意識を持たれがちな志望動機ですが、正しく採用担当者に伝えることで、他の求職者との差をつける武器にもなるのです!
以下では、Webデザイナーの志望動機で最低限おさえたいポイントを5つご紹介していきます。
「なぜWebデザイナーなのか?」にストーリーを
ただ「デザインが好き」だけでは、Webデザイナーを目指す理由としては弱いです。「なぜデザインなのか?」「なぜWebデザイナーでなければならないのか?」あなたの原体験に基づいて語りましょう。
ポイント
- Webデザインのインタラクティブ性やUX(ユーザーエクスペリエンス)への興味を具体的に示す
- Webを通じて社会に貢献したいという熱意を伝える
- Webデザインの可能性や将来性に魅力を感じていることをアピールする
採用担当者は、あなたの行動(モチベーション)の源泉になっている原体験を知りたいと思っています。
「なぜこの企業で働きたいのか?」を具体的な案件と絡めて語る
Webデザイナーの求人はたくさんあります。その中で、「なぜこの企業を選んだのか?」 を明確に説明する必要があります。企業のWebサイトやブログ、SNSなどを隅々まで調べ、過去の制作実績や得意分野、企業文化など、共感できるポイントを見つけ、具体的な案件と絡めて語りましょう。
ポイント
- 具体的な案件を挙げ、「〇〇の案件のようなデザインに携わりたい」とアピールする
- 企業の得意分野や強みを理解し、自分のスキルがどのように活かせるのかを説明する
- 企業の企業文化や社風に共感していることを具体的に示す
「ちゃんと見ている」というアピールの裏付けになります。サイトなどで情報をキャッチアップしていないと、志望度が低いと思われてしまいます。
「入社後にどんな案件を通して、どう活躍して、どうキャリアアップしたいのか」を具体的に語る
採用担当者は、あなたが会社に入ってどんな案件で、どのように活躍してくれるのかを具体的に知りたいと思っています。入社後にどのようなWebデザイナーになりたいのか、どのようなスキルを身につけたいのか、どんな案件に挑戦したいのかを、具体的な案件名を挙げて語りましょう。
- 例)
- 「貴社の〇〇案件のような、大規模なECサイトのデザインに携わり、UI/UXデザインのスキルを向上させ、コンバージョン率向上に貢献したいと考えています」
「貴社の地方創生に関わるWebサイト制作に携わり、地域活性化に貢献したいと考えています。とくに、〇〇県の観光サイトのような、地域の魅力を最大限に引き出すデザインに挑戦したいです」
会社が求める人物像を理解し、熱意と誠意を伝える
制作会社はクライアントの要望を理解し、それを形にできる人材を求めています。そのため、志望動機では、クライアント視点を意識し、コミュニケーション能力や問題解決能力をアピールすることが重要です。
ポイント
- クライアントの課題を理解し、デザインでどのように解決できるのかを説明する
- チームメンバーと協力して、クライアントの期待を超える成果を出すことを約束する
- Webデザインに対する情熱、企業への貢献意欲、成長意欲を自分の言葉で伝える
自身の強みを、具体的なエピソードと実績でアピールする(自己PRと絡める)
Webデザイナーとして働く上で、どのような強みを持っているのかを、具体的なエピソードと実績を交えてアピールしましょう。未経験者の場合は、ポータブルスキル(あらゆる業界や職種に持ち運びできるスキル)やポートフォリオを活用することが重要です。
経験者の場合
- 過去のWebデザインの実務経験(具体的な案件名と大義、担当範囲、成果を定量的に)
- 使用できるデザインツール(Photoshop, Illustrator, Figmaなど。経験年数も記しておくと◎)
- コーディングスキル(HTML, CSS, JavaScriptなど。スキルレベルも明記すると◎)
- Webサイトの企画・設計・制作・運用経験(具体的なプロセスと役割)
- チームでの開発経験(チーム規模、役割、貢献度)
- クライアントとのコミュニケーション経験(具体的な内容、解決した課題)
上記のようなスキルや経験を、具体的な成果と合わせてアピールしましょう。
(例: ○○のECサイトを制作し、コンバージョン率を○%向上させ、売上を○%増加させました)
未経験者の場合
- デザイン系の学校やスクールでの学習経験(カリキュラム内容、習得スキル)
- 自主制作のWebサイトやデザイン作品(ポートフォリオURL必須)
- Webデザインに関する書籍やブログでの情報収集(具体的なタイトルを挙げると◎)
- スキルを習得した方法(HTML, CSSなど。ポートフォリオと紐づけてアピール)
- ポータブルスキル(コミュニケーション能力、問題解決能力、論理的思考力など。具体的なエピソードを交えてアピール)
Webデザインの学習をこれから始めたい方におすすめの就職・転職支援が手厚いWebデザインスクールも紹介しているので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
大前提、未経験だからといって諦める必要はありません。「学ぶ意欲」と「Webデザインへの情熱」をアピールし、ポートフォリオであなたの可能性を示すことができれば未経験転職の道はあります。
また応募書類作成の際には、情報量の多さに注意しながら、読みやすさを重視する必要があります。単に情報を詰め込むのではなく、UI/UXの観点から、見る人の立場に立って資料を準備することが大切です。履歴書、職務経歴書、ポートフォリオのいずれにおいても、情報の可読性と視認性を意識して作成することを心がけましょう。
Webデザイナーの志望動機の実例と添削ポイント
ここでは、実際にWebデザイナーを目指している方の志望動機を例に、添削のポイントと修正後の志望動機をご紹介します。
- 添削前の文章例
- 私はWebデザインに興味があり、将来的にWebデザイナーとして活躍したいと考えています。
貴社の理念に大変共感しており、また教育制度により成長させていただける環境に魅力を感じ、志望いたしました。
独学でWebデザインの基礎スキルは習得しているため、1日でも早く貴社に貢献できるよう努めてまいります。
入社後は、貴社の事業成長に繋がるデザインに携わりたいと考えています。前職での顧客のデータに基づく改善提案の経験を活かして、顧客満足の向上に繋がるデザインを作成したいです。
添削ポイント①原体験は具体的に!
学生の頃にはじめてブログを開設した際、HTML/CSSのコードを触りながらデザインを調整することに夢中になった原体験から、Webデザインの世界に強い興味を持つようになりました。
添削ポイント②企業情報はちゃんとリサーチ!
貴社は、「ユーザー体験を第一に考え、革新的なWebサービスを提供する」という理念を掲げており、私も常にユーザー視点に立ったデザインを心がけているため、深く共感いたしました。とくに、〇〇(具体的な案件名)のWebサイトは、ユーザーの課題を解決するデザイン設計がされており、私もこのようなWebサイト制作に携わりたいと考えております。
添削ポイント③「基礎スキル」だけではスキル不十分の評価になりやすい
現在は、Webデザインスクールで基礎スキルだけでなく現役のデザイナーから実務レベルのフィードバックを受けデザインの考え方を学んでいます。現役デザイナーのもとで、デザイン原則から顧客課題に合わせたデザインの考え方を学び、ヒアリング〜デザイン〜コーディングまでクライアントワークの実績もございます。
添削ポイント④数年先のキャリアイメージがあると◎
3年後にはWebディレクターとしてキャリアアップを目指しており、クライアントとの折衝やディレクターさんとの日々のフィードバックの機会があれば積極的に参加したいと思います。顧客の課題解決のために自ら考え提案できる貴社の風土の中で、他のデザイナーさんたちと切磋琢磨して最短で即戦力を目指したいと考えております。
添削ポイント⑤定性的ではなく定量的に
現職では初年度から売上目標に対して、3年連続120%達成を継続しています(売上目標2,000万円〜3,000万円)。
これはダメ!志望動機のNG例5選
どんなに熱意があっても、書き方によっては逆効果になってしまうこともあります。ここでは、Webデザイナーの志望動機で絶対に避けたいNG例を5つご紹介します。
企業の事業内容を”雰囲気”でしか理解していない
企業のWebサイトや事業内容をまったく調べていないことが伝わる志望動機は、「うちの会社に興味がないんだな」 と思われてしまいます。企業の理念やビジョン、事業内容、競合他社との違いなどをしっかりと理解した上で、志望動機を作成しましょう。
転職理由が”愚痴”になっている
前職の不満や人間関係の悪口など、ネガティブな転職理由を志望動機に書くのは絶対にNGです。採用担当者は、「この人はうちの会社でも同じような不満を持つのではないか?」 と不安に感じてしまいます。転職理由はポジティブな言葉に変換し、「成長したい」「新しいことに挑戦したい」 といった意欲を示すようにしましょう。
スキルアピールが”自己満足”になっている
自分のスキルをアピールする際に、「〇〇のツールを使えます」「〇〇の知識があります」 と羅列するだけでは、採用担当者には響きません。そのスキルを活かして、どのように会社に貢献できるのかを具体的に説明することが重要です。
ポートフォリオが”自己満足”になっている
ポートフォリオは、あなたのスキルをアピールするための重要なツールですが、作品をただ並べるだけでは意味がありません。それぞれの作品について、制作意図、ターゲット層、デザインコンセプト、制作プロセス、そして成果を説明することが重要です。
誤字脱字が多く、”雑”な印象を与える
誤字脱字が多い文章や、小学生のような稚拙な文章は、「仕事に対する意識が低い」「プロ意識がない」 と思われてしまいます。提出前に必ず文章を読み返し、誤字脱字がないか、適切な言葉遣いができているかを確認しましょう。
キャリアアドバイザーが教える志望動機の書き方4ステップ
効果的な志望動機を作成するためには、以下の4つのステップを踏むことが重要です。
1. 自己分析と企業分析を徹底的に行う
まず自己分析を行い、自分の強みや弱み、Webデザイナーとして実現したいことなどを明確にしましょう。
次に企業分析を行い、企業の理念やビジョン、事業内容、社風などを深く理解しましょう。
自己分析と企業分析をしっかりと行うことで、自分と企業の共通点や、自分が企業に貢献できることが見えてきます。
自己分析のポイント
- 自分のスキルや経験を客観的に洗い出す(ツール、言語、デザイン経験など)
- Webデザイナーとしてどんな案件に挑戦したいのか、どんなキャリアパスを描きたいのか明確にする
- 自分の強み(得意なデザイン、コーディングスキル、コミュニケーション能力など)を具体的に把握する
- 過去の成功体験(顧客満足度向上、CVR改善など)や失敗体験(プロジェクトの遅延、顧客とのトラブルなど)を振り返り、そこから得られた学びを言語化する
企業分析のポイント
- 企業のWebサイトやブログ、SNSなどを隅々まで調べ、過去の制作実績を分析する(デザインの傾向、使用技術、ターゲット層など)。自分なりの考えや提案ができるレベルでアウトプットできるとベスト!(「おこがましいかもしれないのですが……」などクッション言葉を忘れずに!)
- 企業の理念やビジョン、事業内容を理解する
- 競合他社との違いを把握する(強み、弱み、ターゲット層など)
- 社員のインタビュー記事や口コミサイトなどを参考に、社風や働き方を理解する
2. “結論”を最初に、”具体的に”伝える【採用担当者の時間を奪わない】
志望動機は、結論から書き始めることが重要です。最初に「私は貴社でWebデザイナーとして〇〇に貢献したいと考えています」といったように、自分の熱意と貢献意欲を伝えることで、採用担当者の興味を引きつけることができます。
PREP法をご存じですか? 文章を書くときや面接などで話す順番に迷ったときに活用すると、上手く整理できるのでおすすめです。
- PREP法
- P point 結論から
R reason 理由
E example 具体例やエピソード
P point 結論。「要するに」「まとめると」
3. 会社に貢献できる”根拠”を示す【実績とスキルを紐づける】
具体的なエピソードを交えながら、自分が会社に貢献できる根拠を示しましょう。過去の経験や実績、スキル、企業への熱意などを具体的に説明することで、「この人はうちの会社で活躍してくれるかもしれない」 と採用担当者に思ってもらうことができます。
- 例)
- 前職では、ECサイトのデザイン改修によりCVRを15%向上させることに成功いたしました。
貴社では、これまで培ってきたWebデザインのスキルを活かし、さらなるCVR向上に貢献するとともに、UI/UXデザインの知識を深め、よりユーザー視点に立ったWebサイト制作に挑戦したいと考えております。
具体的には、〇〇(具体的な案件名)のような大規模ECサイトのデザインに携わり、売上向上に貢献したいと考えています。
4. “熱意”と”人間性”をアピールする
志望動機は、自分の言葉で書くことが重要です。テンプレートをそのまま使用したり、他の人の例文を参考にしすぎたりすると、「どこかで見たような文章だな」 と思われてしまい、あなたの個性や熱意が伝わりにくくなってしまいます。自己分析や企業研究を通して得られた情報をもとに、自分の言葉で、Webデザイナーとしての情熱、企業への貢献意欲、そして成長意欲を伝えましょう。
未経験での転職において人柄やコミュニケーションスキルはとても重要です。一緒に気持ちよく仕事ができそうか、オンボーディングを進めるときに素直に受け入れてもらえそうか、なども大事ですが、やはり最後には「ここで働きたい!」という気持ちの強さとそれをうまく伝えられるかどうかが、大きな判断材料になると思っています。
Webデザイナーが志望動機でアピールすべきスキル
Webデザイナーとして採用を勝ち取るためには、自分のスキルを効果的にアピールすることが重要です。Webデザイナーの志望動機でアピールすべきスキルと、具体的な伝え方についてご紹介します。
Webデザインの実務経験
Webデザインの実務経験は、もっとも強力なアピールポイントの一つです。過去に担当したWebサイトの種類、規模、役割、成果などを具体的に説明しましょう。とくに、ポートフォリオは、あなたのスキルを視覚的にアピールするための重要なツールです。
プログラミングスキル
Webデザイナーにとって、プログラミングスキルは必須ではありませんが、持っていると非常に有利になります。HTML、CSS、JavaScriptなどのコーディングスキルをアピールすることで、「デザインだけでなく、Webサイトの構築もできる人材だ」 と評価される可能性があります。
ポータブルスキル(複合的なスキル)
Webデザイナーとしての専門スキルだけでなく、ポータブルスキルも積極的にアピールしましょう。ポータブルスキルとは、コミュニケーション能力、問題解決能力、論理的思考力、チームワークなど、どのような職種でも役立つ汎用的な能力のことです。
- 例)
- 「お客様のニーズを的確に捉えるヒアリング力があり、お客様が求めるWebサイトを制作することができます。前職では、お客様との打ち合わせで、潜在的なニーズを引き出し、期待以上のWebサイトを制作することができました」
「課題を発見し、解決策を提案する問題解決能力があり、Webサイトの改善に貢献することができます。前職では、Webサイトのアクセスログを分析し、課題を発見し、改善策を提案することで、コンバージョン率を向上させることができました」
「チームメンバーと協力して目標を達成するチームワーク力があり、プロジェクトを円滑に進めることができます。前職では、チームリーダーとして、プロジェクトを成功に導きました」
具体的なエピソードを交えながら、あなたのポータブルスキルをアピールしましょう。
まとめ
さいごに、Webデザイナーを目指すみなさんへ、制作会社のキャリアアドバイザーとして採用の現場の生の声をお届けします。
私たちが求めているのは、単に「デザインが好き」という人ではなく、「Webデザインを通して、お客様の課題を解決したい」という熱意を持った人です。もちろん、大前提デザインに対してポジティブな想いは持っているべきことですが、それ以上に重要なのは、具体的な価値を生み出す意欲です。
よくある誤解があります。「自分には特別なアピールポイントがない」と思い込んでいる方が多いのですが、それは完全な誤りです。自分の中にある強みに気づくのは、意外と難しいものです。とくに日本人は、自己PRが苦手な傾向があります。
ポイントは、自分で考えるだけでなく、第三者の目線で自分の経験を洗い出すことです。これまでの経歴や経験を丁寧に紐解けば、必ず輝く強みが見つかるはずです。自己分析ではなく、他己分析の視点で、あなたの可能性を一緒に探っていきましょう。もし自分では見つけられないなら、気軽にキャリア面談へお越しくださいませ。
この記事を参考に、自分の言葉で、あなたの想いを伝えてください。お会いできることを楽しみにしています!