こんにちは、Webディレクターの永井(リコ)です!
LIGでは株式会社こどもりびんぐ様が運営する子育てメディア「あんふぁんWeb」と「ぎゅってWeb」を統合した新メディア「&あんふぁん」のサイトを制作しました。
- 株式会社こどもりびんぐ
- 小学館グループの一員として2020年5月から事業スタート。「ママ・パパ、そして子どもたちを応援したい」という理念のもと、幼稚園・保育園をステージとした子育てファミリー向けメディア発行事業、プロモーション・イベント事業、リサーチ事業を展開している。
今回は担当デザイナーの西岡と一緒に、こどもりびんぐ様にサイト制作に至った経緯や制作過程のエピソード、ローンチ後のユーザーの反応などをお聞きしました。
Webサイトの制作・リニューアルを検討している企業の方は、ぜひご一読ください!
ユーザーのライフスタイルの変化に対応するため、二つのサイトの統合を決断
永井:今回「&あんふぁん」というサイトを新規制作しました。まずサイト制作の経緯を教えてください。
▲株式会社こどもりびんぐ 事業本部デジタルメディア部マネージャー、&あんふぁん編集長 寺山さん
寺山:当社は紙媒体で「あんふぁん」と「ぎゅって」という二つの子育てファミリー向けのフリーマガジンを制作・発行しています。
それらに紐づく形で「あんふぁんWeb」「ぎゅってWeb」というWebサイトを運営していたのですが、1年くらい前に二つを統合して新たなメディアを立ち上げることになったのです。
▲株式会社こどもりびんぐ 事業本部デジタルメディア部 部長 植田さん
植田:統合の一番の理由は、ユーザーのライフスタイルの変化です。両方とも子育てファミリー向けサイトではあるのですが、「あんふぁんWeb」は主に専業主婦、「ぎゅってWeb」はワーキングマザーや共働き家庭と、ターゲットが違いました。
ところがサイトの立ち上げ当時と比べてライフスタイルが大きく変わり、今や夫婦共働きが当たり前になりつつある。それならば一つにした方がユーザーにアピールしやすくなると考えたのです。
またサーバーやシステムの老朽化というテクニカルな問題も抱えていたため、統合リニューアルによってこれらの課題を解決したいという目的もありました。
▲株式会社LIG Webディレクター 永井
永井:それぞれ人気のあるメディアだったので、大きな決断だったと思います。一つにすることに社内でもいろんな意見があったのではないですか。
寺山:そうですね、社内でかなり話し合いましたね。でも事前のユーザー調査でも、ライフスタイルの変化が明確に浮かび上がっていたことが、決断の後押しになりました。
永井:メディアにとってターニングポイントになるような大事な決断だったと思いますが、それをLIGにお任せいただいた理由をぜひ聞かせてください。
寺山:もともと「ぎゅってWeb」はLIGさんにつくっていただいたもので、とっても気に入っていたんです。だからLIGさんは第一候補でした。
植田:もちろん、お願いするにあたっては他の制作会社とさまざまな点で比較検討しましたが、LIGさんに決めたのは表面的なサイトのデザインや構成にとらわれず、サイトの本質から提案していただけたからです。
デザインのワークショップを開催して、それをふまえてコンセプト設計をするという制作方法は初めてだったのですが、ご提案を聞いて「ここまでしてくれるなら安心してお願いできそう」だと感じました。
ワークショップで媒体への思いを共有。メンバーの気持ちが一つに
永井:今少しお話がありましたが、今回のサイト制作では最初に要件定義と並行してワークショップを実施しました。ワークショップにはデザイナーも参加し、サイトで目指したいことを整理し、達成目標を固めました。
それをベースにデザインコンセプトを考え、同時にロゴを制作。並行してサイトの機能設計も進めました。ワークショップは初めてだったそうですが、感想を教えてください。
▲株式会社こどもりびんぐ 事業本部デジタルメディア部 飯倉さん
飯倉:Webのチームだけでなく、紙面編集者や営業担当者にも参加してもらったのですが、普段、媒体について深く話し合うことがないので、みんなの媒体に対する思いが聞けてたくさんの発見がありました。
「こういう媒体にしていきたい」という漠然とした思いがワークショップを通して融合し、形になった気がします。
寺山:「『&あんふぁん』を人に例えると、どんな見た目や性格ですか」といった、考えたこともなかった方向からの質問があって驚きましたが、みんなの回答の違いが面白かったですし、何よりそうやって意見を声に出して共有するという作業で、みんなの気持ちが一つになった気がします。
「サイトを作るため」という目的以上に、得られたものは大きかったです。
LIGさんが私たちの思いをくみ取って、後日フィードバックしてくれた内容もわかりやすかったですしね。
永井:今回は、ブランドパーソナリティを考える際に有効なフレームワーク「ブランド・アーキタイプ」を用いて「&あんふぁん」の性格や特徴を掴み、ブランドの人格を明確化することで、「&あんふぁん」らしく、一貫性がある表現を目指しました。
ワークショップで出た単語や要素をこのフレームワークに当てはめて、どの属性が大きいかをLIG内で検討して、御社のタイプをフィードバックしました。
寺山:私たちの好き・嫌い、目指していること・目指していないことなどがとてもキレイに整理されていました。LIGさんの第三者的な目線からのフィードバックは、納得感がありましたね。
「あんふぁんWeb」は一時期ママ向けに作られていたのですが、もうママだけが子育てをする時代ではありません。ママ・パパのどちらか一方に寄ったサイトにしないというのは大事にしたかったのですが、そこも理解してもらえていました。
植田:フィードバックは経営陣にも資料として提出したのですが、とても納得してもらえました。サイトの方向性を理解してもらうことができ、社内の意思統一につながりました。
永井:まさか経営層にも見ていただいていたなんて……。活用していただき、うれしいです。
では今度はLIG側からサイトデザインのうえで苦労したこと、工夫したことなどを教えてください。
▲株式会社LIG デザイナー 西岡
西岡:今回のサイト制作は、私がこれまで携わったプロジェクトの中でも一番情報設計が難しかったですね。
そもそも二つの大きなサイトを統合するため情報量が多く、記事の種類は「記事」「ブログ」「連載」と3つのジャンルが存在し、執筆者としては「ライター」「ナビゲーター」「ブロガー」の方々がいらっしゃいます。記事の検索軸も「カテゴリ」「タグ」「年齢」とあって、これらの膨大な情報量をどのように整理して見せていくか、すごく悩みました。
もちろん制作において、かなりの数のメディアサイトはリサーチしましたが、同等の情報量ですべてを落とし込めているサイトは見つからず……。
検索軸の多さという面では、不動産系の検索サイトや宿泊予約サイトなどを参考にし、情報整理の仕方やストレスにならないUIを研究しました。
記事はどれもとても良い内容なので、それを無駄にしないために、かつユーザーを混乱させないために、社内で何度もディスカッションしながらサイト設計をしました。
永井:御社にお見せしたワイヤーフレームは2パターンくらいだったと思いますが、社内では数え切れないくらいいろんなパターンを作りましたよね。
寺山:やっぱりそうだったんですね。私たちの要望に対する回答の端々で、社内で何度も話し合ってくれているというのが伝わってきました。
子育てのステークホルダーをつなぐ存在に。サイトの目標を表す「&」のロゴに納得
永井:ぜひ完成したサイトについての感想、みなさんのお気に入りポイントを教えてください。
寺山:私はサイトのファーストビューに出てくる「今日のひとこと」欄ですね。このサイトには「子育てファミリーの『きっとうまくできる』という気持ち(=自己効力感)を高める」というミッションがあります。
ユーザーが前向きになれるような言葉を伝えたかったので、「今日のひとこと」でそれが実現できました。
あとはサイト内でいろんなパーツが不思議な動きをするところも、遊び心があって気に入っています。
▲株式会社こどもりびんぐ 事業本部デジタルメディア部 渋谷さん
渋谷:全体的にかわいらしいけれど、子どもっぽすぎないんですよね。記事を邪魔しない、洗練されたデザインがすごく好きです。
あと、私のお気に入りはロゴですね。「&」をモチーフに4色のカラーで構成されているのですが、4色は子育てのステークホルダーである「ママ・パパ・子ども」「園の先生・保育士」「行政」「企業」の4つが途切れることなくかけ合わさり、「&あんふぁん」がすべてをつなぐ架け橋になるという意味が込められています。
渋谷:このロゴを見たとき、パズルのピースがカチッとハマったような感じがしました。使い勝手もすごく良くて、企画書のモチーフにしたり、媒体資料に配置したりして活用しています。ロゴを使ったシールやパネルも作ったんです!
西岡:かわいいですね! グッズまで作っていただいたなんて、感激です。
▲株式会社こどもりびんぐ 事業本部デジタルメディア部 濱村さん
濱村:写真を横長ではなくスクエアにしたのも、オシャレで令和の時代っぽくていいですよね。スマホでも見やすくなりました。
また、記事の年齢分けができたところもお気に入りポイントです。Web検索が苦手な人だと、サイトが複雑だと探している情報になかなかたどりつけないんです。
今回のサイトでは、記事を「1〜2歳」「小学1〜3年生」といった風に年齢別にカテゴライズしていただいたので、情報を見つけやすくなりました。
企業クライアントへの説明の際にも、その企業がターゲットにしたい年齢の記事があることが説明できるようになり助かっています。
西岡:記事カードには9つのカテゴリーアイコンに加え、お子様の年齢タグを入れて、年齢ごとに異なる幾何学のアイコンをつけました。それによって一覧を見たときに記事カテゴリーと対象年齢が直感的にわかるように工夫しています。
寺山:ユーザーは家事に仕事に忙しい方が多いので、検索性が高まったのはメディアとして大事なポイントだと思います。
飯倉:読者アンケートでも「見やすくなった」「情報が見つけやすい」「めちゃくちゃステキです」という回答をいただいています。みんなでつくったサイトをユーザーに愛を持って届けられてうれしいです。
新サイトでブロガーのモチベーションもアップ!ユーザーにとって頼れる「コンパス」となるサイトに
永井:2024年10月のサイトローンチからまだ1カ月ほどですが、公開後の定量的、定性的な変化を教えてください。
寺山:定量的な面では、PVはうまくサイト流入ができたことで、想定通りの好スタートが切れています。
定性的な面では、先日インフルエンサーイベントを開催したのですが、事前に参加者や広告主にサイトを見てもらうことで、イベントコンセプトや実現したい雰囲気をすんなり理解してもらうことができました。
これまでサイトとイベントのイメージがリンクしていなかったので、新サイトで統一されました。
飯倉:私はブロガーさんの担当をしているんですが、新サイトになってからブロガーさんたちの記事に対する意識がすごく高くなったと感じます。
たとえば以前は人によってブログに使う写真のクオリティに差があったんです。でも今はみなさん「このサイトに見合うような、ちゃんとした写真を撮ろう」と思ってくれている気がします。
ブロガーさんのプロフィールが表示されるようになったことも、モチベーションアップにつながっているのかもしれません。
寺山:当サイトはブロガーさんが書いてくれる月300本以上の記事に支えられています。
ブロガーさんたちは元々一般のユーザーで、ほかのママ・パパの日々の大変なことや楽しいことを知って刺激になったり前向きな気持ちになったりしたことから、「自分たちもそういう存在になりたい」とブロガーに立候補してくれています。「&あんふぁん」は、そういう等身大のママ・パパと一緒につくっているんです。
永井:新サイトが記事のクオリティアップにもつながったとは、そんな効果もあったのですね。では最後に、Webサイト制作を考えている企業に向けたアドバイス、制作の感想をお願いします。
植田:今回のサイト制作では、ユーザーを中心にすべてを決めることを第一に考えました。そこでまずユーザー調査を実施し「ユーザーにとって最適なサイトとは何か」をじっくり突き詰めました。
いろんなやり方があると思いますが、サイト制作では最初にユーザーが置かれている状況、求めていることを明確にすることが一番大事なんだなと感じています。
寺山:私たちのメディアは紙媒体があって、すでにブランディングができているというのが、ほかのメディアとの大きな違いです。長いお付き合いがあるのでユーザーのことはわかっているつもりでしたが、サイト制作の過程でユーザー目線に立ち返ったことで、より深い理解につながりました。
当社がおこなったアンケートでは、Web会員のママ・パパの7割以上が「自分の子育てに自信がない」と答えています。これってすごく高い数字ですよね。私たちはそういう人たちの気持ちを少しでも楽にしたい。
サイトのショルダータイトルとして「子育ての迷いに頼れるコンパスを。」を掲げています。ママ・パパが「自分の子育てはこれでいいんだ」と思えるように、方向を示すコンパスのようなサイトにしていきたいと思っています。
植田:子育ての時期って、人生の中でも一番Web検索に頼る時期だと思うんです。でも検索したからといって、なんとなく納得はできても、問題が解決するわけではありません。ユーザーの悩みを解決できないことにずっともどかしさを感じていました。
でも解決はできなくても、コンパスとなって道を示すことはできるはず。そのための信頼できる情報を、これからもお届けしていきたいと思います。
永井:ユーザーへの愛あふれるサイトづくりに携わることができて光栄です。本日はありがとうございました!
さいごに
LIGではメディアサイトやポータルサイトなど、さまざまなジャンルのサイトの新規制作・リニューアルを行っています。
ワークショップなどを通じてサイトの目標などをしっかりと理解して、ターゲットや目的に合わせたサイトをデザイン・構築します。サイト制作をご検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。