LIGブログ編集長のまこりーぬ(@makosaito214)です。
私事で恐縮ですが、なんとこのたび日本実業出版社さまから『デジタルマーケの成果を最大化するWebライティング』という本を出すことになりました! ありがとうございます! ありがとうございます〜〜〜!!!
本日2023年10月26日より店頭に並びます(電子版は11月中旬リリースを予定しています。デジタル派のみなさま、いましばらくお待ちくださいませ!)。
せっかくの機会なので本の紹介と、執筆の背景やいまの思いを綴りたいと思います。
目次
どんな本なのか
一言にまとめると、デジタルマーケティング目的で記事を執筆するときのポイントをまとめた、ライター・編集者・マーケターのための本です。
次のような課題をお持ちの方には、とくにオススメです!
「記事が読まれず、PVが伸びない」
「記事が読まれても、コンバージョンにつながらない」
「そもそもどんな記事を作ればいいのかわからない」
「いい原稿があがってこない」
「情報発信したいのに、経営者に投資してもらえない」
執筆にあたり、事前に「ライティング」に関する本をたくさん読み込んだのですが……。実は「マーケティング × Webライティング」をテーマにした本はそこまで多くありません。
ライティング本は、そのほとんどが「美しいビジネス文書の書き方」あるいは「キャッチーなコピーを生み出す技」を解説するものです。また、「SEOライティング」に特化したものはありますが、デジタルマーケティング全般に言及しているライティング本は意外にも少ないのが実情です。
よって本書は、「デジタルマーケティング目的で記事を書きたい/書いてもらいたい。でも、書き方がわからない」というみなさまに、教科書として長く使っていただけると嬉しいな、という願いを込めて執筆しました。
ここから「はじめに」の章を全文公開しますので、もしご興味を持っていただけましたら、ぜひお手に取っていただけますと幸いです!
「はじめに」全文公開
「いいライターがいません」
コンテンツマーケティングを実践している企業の人と話をすると、「いいライターがいません」という悩みをよく聞きます。いちオウンドメディアの編集長として、同じく私もそう思います。安心して執筆を任せられるライターがどうもなかなか見つからないのです。
オウンドメディアを立ち上げて記事作りに取り組む企業は、不思議とみな次のようなストーリーを歩みます。
はじめは「外注費がかからないし、社員に記事を書いてもらおう」と考えます。しかし忙しい社員に記事を書いてもらうのは想像以上に難儀なことです。「今月はそれどころじゃなくて」と本人や上司から断られる、締切通りに原稿があがってくることはほぼゼロ、なんとか出してもらった原稿は専門用語連発で読みにくく編集にものすごく時間がかかる……。こうして未回収の原稿と心労が溜まった編集部は、「執筆はライティングのプロに外注しよう」と画策しはじめます。
いざ、クラウドソーシングやビジネスマッチングサービスを使ってライターを募集します。大量の候補者のなかからようやく見つけた「ビジネス系の記事を書いたことがあるライター」に、お試しで1本発注してみるわけです。しかしこのチャレンジも残念な結果に終わります。「自分で全部書き直したほうが早いんじゃないか」という気持ちにならざるを得ない雑な原稿が、たいてい締切翌日の午後にあがってくるのです。続けて依頼できそうなライターには「5人に1人いればラッキー」くらいの確率でしか出会えません。
こうして冒頭に戻ります。「いいライターがいません。誰か紹介してくれませんか?」「それが、うちも同じ状況で……」という会話が企業間で繰り返されては、とくに明快な解決策を得られることなく、宙に舞い消えていきます。
なにも企業は、マーケティングの知見と拡散力を持っているようなハイスペックなライターを求めているわけではありません。「締切通りに、ていねいに文章を書き上げてくれるライター」を探しているだけなのに、驚くほど出会えないのです。
「いいライターがいない」構造的な理由
「ライター」は、いますぐ誰もが名乗れる職業です。参入障壁がゼロだからこそ、玉石混交になってしまうのはある程度仕方がありません。
また、参入障壁が低いこと以上に、スキルアップの機会を得づらい点が諸悪の根源だと感じます。残念な原稿があがってきたとき、ほとんどの編集者は「あとはこちらで対応します」と業務を巻き取ります。なぜなら修正箇所が多ければ多いほど、「なぜこの文章がよくないのか」を逐一指摘するより、自分の手で黙々と直したほうがはるかにラクだからです。つまり、未熟なライターほどフィードバックを得られる機会がありません。
さらには、「文字単価」という古いビジネスモデルも悪影響を及ぼしています。どんなに日本語がイケていなかったとしても、発注側は提出された文字数に対してお金を支払わなければなりません。よってライターは、自分のライティングスキルがどんなに低かろうが、とにかく文章を書いて提出すれば多少は稼げてしまいます。
このように、業界の構造そのものが「ライターのスキル向上の機会」を奪っているのです。
くわえて2000年前後までは、とにかく大量に記事を作って世に出すだけで、ある程度検索流入を増やせました。言うなれば「記事の量」が成果に直結する時代だったのです。当時ライターに求められていたものは、量産体制を築くための「スピード」と「安さ」。だからこそ「とりあえず文字を納品するだけのライター」にも一定のニーズが存在してしまい、ライターが危機感を覚えるタイミングが遅れてしまったように思います。
一方で2023年現在、インターネット上の情報が指数関数的に増えているため、ただ大量に記事を出すだけで成果につながることはまずありません。いい記事でなければ、検索上位がとれることも、SNSでシェアされることもない。つまり「量」だけでなく、「質」が強く求められるようになりました。そのため企業は多少コストを払ってでも「高品質な記事を作ろう」と努力していますし、ライターには「高品質な文章」を求めています。しかし前述の背景から、市場にいるのはスキルが伴わないライターばかり。その結果、ライティングを外注したい企業はみな「いいライターがいない」という課題にぶち当たるのです。
マーケティングにおいて「コンテンツ作り」はとても重要です。「いいライターがいない」という課題が生まれていることこそ、いまもなお記事制作とライターの需要があるなによりの証拠です。にもかかわらず、安心してライティングを任せられる人がいない。私はその課題を解決するために、マーケティングにおける「いい記事の書き方」を、本書にまとめました。
マーケターでありライターであり編集者である立場から
申し遅れました。株式会社LIGの齊藤麻子と申します。普段は「まこりーぬ」という名前で記事を書いています。コンテンツマーケティングに取り組む企業の経営者のみなさんから指名でライティングの仕事をいただき、月に6本、年間で70本ほど記事を書くような生活を3年半ほど続けています。
ただし本業はライターではなく、「マーケター」です。株式会社LIGのインハウスマーケティング部門の長として、チームメンバーと力をあわせながら、自社のお問い合わせを増やすべく日々仕事に取り組んでいます。守備範囲は広告・SEO・セミナー・メールなど、マーケティング全般です。
そんな私がライティングをするようになったきっかけは、上司の指示で先輩マーケターに取材にいったことでした。いざやってみると「取材をして記事を書く」という仕事が想像以上に自分にハマったらしく、ありがたいことに多くの方に記事を読んでもらいました。
さらにそこから、取材相手であった経営者のみなさんから「うちでも記事を書きませんか?」と副業の依頼を受けるようになり、あれよあれよとライティングの仕事が舞い込むようになったのです。ライターの仕事を始めて以来、つねに案件を抱えている状態が続いています。直近は「ライティング講座」の講師を依頼される機会も増えました。
▼指名でお仕事をいただいている企業(一部、五十音順)
アナグラム株式会社、株式会社うるる、株式会社キーワードマーケティング、株式会社才流、株式会社THE MOLTS、株式会社セールスリクエスト、株式会社トライバルメディアハウス、株式会社ベイジ、株式会社ラクス、株式会社リチカ、株式会社WACULなど
▼お客様の声
・書いてもらった記事に対して、手直ししようと思ったことがない
・文字起こしの切り貼りではなく、読み物として再構成されている
・質問項目にストーリーがあり、事前に完成イメージが湧いてくる
こうしたライターとしての活動を評価してもらい、2021年からは弊社LIGのオウンドメディア「LIGブログ」の運営に携わることになりました。「LIGブログ」は、2007年創業時からいまもなお平日1日1本欠かさず更新を続けている、月間約200万PVのご長寿オウンドメディアです。2023年現在は「編集長」として、社員が書いた記事にフィードバックをしたり、外部のライターに仕事をお願いしたりしています。つまり私は、マーケターでありライターであり編集者でもある、うっかりすべてを同時進行しているような人間です。
ライター歴は3年半と、決して長いわけではありません。「文章が好き」というモチベーションで幼いころから文章を書き続けてきたわけでもありません。しかしながら、他職種からライターに参入したからこそ書ける記事があり、ライターとして仕事の依頼が絶えないのだと感じています。
本書では、そんなあらゆる立場を経験しているからこそ生まれた自身のライティングノウハウを余すことなくまとめました。また、名だたるベテランマーケターのみなさんから取材を通じて学んできたこともすべて、この一冊に詰め込んでいます。
「ライター・編集者・マーケター」のための本です
本書では、マーケティングで成果を出すための「いい記事の書き方」を徹底解説します。文章術の本やSEOの本はこの世にごまんと存在しますが、SEOに閉じずマーケティング全体をカバーしたWebライティングの本は少ないのではないでしょうか。
本書をぜひ読んでいただきたいのは、マーケティング目的で記事を執筆する機会があるライターや社員のみなさんです。Webやマーケティングにあまり馴染みがないライター、ライティング経験がない社員でも参考にしてもらいやすいよう、できるだけ細かくていねいに、具体例を挙げながら説明しました。
とくにフリーライターのみなさんは、「ライターとして生き残るために武器を増やしたい」という気持ちでこの本を手に取っていただいたのではないかと思います。
コンテンツマーケティングの変化とテクノロジーの進化に伴い、「とりあえず文字を納品するだけのライター」が淘汰されることはほぼ間違いありません。しかしながら「マーケティングの成果に貢献するライター」へと変貌すれば、あなたに「仕事を依頼したい」と考える企業は確実に存在します。本書にて、「文章を書くこと」を仕事にし続けるヒントを得ていただければ幸いです。
なお、あくまで「マーケティングで成果を出すための記事の書き方」に焦点を当てているため、本書では「Webライターとして案件を獲得する方法」「アフィリエイトですばやく収益化する方法」などには触れていません。何卒ご了承ください。
一方、記事をディレクションする立場である編集者やマーケターのみなさんにとっては、企画・フィードバックするうえで役立つエッセンスをつかんでいただけるはずです。
編集者やマーケターのみなさんは、きっと「コンテンツマーケティングを加速させたいのに、いいライターがいない」という悩みに共感し、この本を読み進めてくださっているのではないかと思います。いいライター不在問題は、業界の根深い課題です。この状況を打開するには、企業側にはいよいよ「社内外でいいライターを育てる」マインドが求められていると感じます。本書が「いい記事の書き方の教科書」となり、外部ライターや社員のライティングスキル向上を支援すること、ひいては貴社の成果創出につながることを心より願っています。
・
・
・
・
・
出版よもやま話
さて、ここからは完全に裏話です。
2023年1月某日、
「まこりーぬさん、編集長ご就任おめでとうございます! 完全に著者たる人とお見受けしました! 一度、お時間いただけないでしょうか? いろいろお話をお聞きしつつ、出版界隈のお話なども、ざっくばらんにお話しできればなと思っております。」
……と、日本実業出版社の編集者である前川健輔さんにDMをいただいたことがすべての始まりでした。
前川さんは、私の師匠でもある株式会社WACUL代表取締役 垣内勇威さんの『定石シリーズ』を手掛けていらっしゃる編集者さんです。そのつながりで、数年前からX(Twitter)の相互フォロー関係にありました。
▼定石シリーズ
デジタルマーケティングの定石 なぜマーケターは「成果の出ない施策」を繰り返すのか?
BtoBマーケティングの定石 なぜ営業とマーケは衝突するのか?
DMをいただいたときは、「これはきっと “うちで一緒に働きませんか?” 的な話だな?」と思っていたのですが(勘違い甚だしい)、本当に光栄なことに出版のオファーをいただきまして、現在に至ります。
正直なところ、「ライター歴3年程度の私がライティング本を出してもいいのか?」「Amazonで酷評されるのではないか?」という不安は多少なりともありました。ですが、「そんな不安を理由に、こんな大きなチャンスを逃すことはできない!」という思いから、覚悟のうえ、挑戦することにしました。
まだまだ不十分なところもあるかと思いますが、本書にはいまの私がお伝えできるすべてを、全力で詰め込んでいます。
誰か一人にでも二人にでも、「めっちゃ役に立った」と感じていただければ本望です。ただあわよくば、機会をくださった前川さんに恩返しするためにも、多くの方に手にとっていただけると嬉しいなとも思っています(本音)。
もし少しでも「いいな」と思っていただけましたら、SNSやAmazonにて感想をシェアいただけると泣いて喜びます。もちろん、違和感がある場合も遠慮なくフィードバックくださいませ。真摯に受け止め、糧にしてまいります!
……ちなみに、出版までのスケジュールはこんな感じでした。
1月:オファーいただく
3月:正式GOサインをいただく
5月:構成案を作る
6月〜8月中旬:執筆する
8月下旬〜9月:校正・関係者確認を進める
10月:出版
途中、あこがれの「執筆合宿」などをはさみながら、約2.5ヶ月間、ほぼすべての土日を執筆にあてました。ふだん取材記事を書くことが多いので「音声入力からの清書」という手順を踏んでみたのですが、話し言葉を書き言葉へと整えるのに想像以上に時間がかかり、時折泣きそうになりながらも、なんとか書き上げました。
せっかくこうして一生懸命書いたのだから、発売時はいろんな「出版記念ほげほげ」を企画するぞ! と思っていたのですが……すみません……実は10月から営業兼務になったこともあり……全然……販促活動に時間を割けておらず……。
そこで本当に、本当にもしよろしければなのですが、お願いです。「イベント登壇」「取材」のご相談、大歓迎でございます! もし私でお役に立てそうな場がございましたら飛んでいきますので、気軽にお声がけくださいませ!!!
なお、私がライティングの仕事を始めるきっかけとなった「マーケターの大先輩に取材しました!」連載の再稼働だけは心意気十分ですので、来月以降、順次記事を出していければと思っています。どうぞお楽しみに!
さいごに
「チャンスの神様に後ろ髪はない!」という勢いでオファーを引き受けてから約10ヶ月経ち、ようやく今日この日を迎えることができました。
改めて、このような打席に立てることをとても嬉しく、光栄に思っています。私が書いてきたWeb記事をおそらく一つも読んだことのない両親が「この本を家宝にします」と言っているあたり、「本を出すって、すごいことなんだなぁ」としみじみ感じている次第です。
いままで関わってくださったすべてのみなさまに、改めてお礼申し上げます! いただいた学びやご縁に少しでも報いる人間となれるよう、今後もおおいに打席に立ち、精進いたします。
以上、まこりーぬでした!
→本の詳細はこちらから