Technology部の菊池です。
「GPT」や「DALL-E」などOpenAIの各種モデルは、OpenAI社が提供しているAPIだけでなく、「Azure OpenAI Service」を経由して使用することもできます。
2023年9月現在は、以下のとおり同様のモデルを利用可能です。
Azure OpenAI | GPT-4 GPT-3.5 DALL-E Embeddings |
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OpenAI | GPT-4 GPT-3.5 GPT base GPT-3 DALL-E Whisper Embeddings Moderation |
よって当記事では、Azure OpenAI Serviceを経由してOpenAIの各種モデルを使うようにするべきか、それともOpenAI社が提供している各種モデルのAPIを利用するべきか、この2つをどのように使い分けるべきかをまとめました。
目次
Azure OpenAI Serviceを使ったほうがいい場合
Azure OpenAI Serviceを使ったほうがいい場合は4パターン考えられます。
1.独自のプロンプトやコンプリーションを追加したい場合
Azure OpenAI Serviceにはカスタムモデルという機能が存在しており、GPT-3.5やGPT-4に対して独自のプロンプトやコンプリーション(プロンプトに対するAIの応答)を追加することが可能です。これは「社内独自の業務知識をもったチャットボットを顧客に用意するとき」などに役立ちます。
プロンプトやコンプリーションは以下のようにJSON形式で追加でき、特に数学の知識がなくてもカスタマイズ可能です。
json
{"prompt": "地球は太陽の周りを何日で一周しますか?", "completion": "約365.25日"}
{"prompt": "地球は太陽の周りを何時間で一周しますか?", "completion": "約8765時間51分26秒"}
{"prompt": "地球は太陽の周りを何秒で一周しますか?", "completion": "約31536000秒"}
2.入力した質問や回答内容を外部へ送信したくない場合
OpenAIのAPIプライバシーポリシーには「OpenAIで入力されたプロンプトは、API経由の場合学習はされない」と明記されています。
同様に、Azure OpenAI Serviceのプライバシーポリシーにも「入力した内容はAzure OpenAI Serviceのモデル改善には使われない」と記載があります。
しかしながら、会社のプライバシーポリシーによっては社内の機密情報を外部に送信できない場合があるでしょう。
Azure OpenAI ServiceであればAzure内に独自のGPTサーバーをフルマネージドで構築可能なため、社内の従業員が入力したプロンプトを内部だけに送信できます。また、GPTサーバー自体も外部公開しないようVNET経由のみでアクセス可能としたり、クライアントアプリケーションについてはAzure Active Directoryによってアクセス制御することも可能です。
3.WindowsやAzureの各種サービスと連携したい場合
また、Azure内の各種サービスとの連携にも期待できます。
Azure DirectoryとAzure Cognitive Searchを連携することで社内のOfficeファイルを読み込み、社内データの内容を要約したり、質問に回答するチャットボットアプリケーションを開発したりできます。また、従業員のアクセス権限に応じて出力内容を制御することも可能です。
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4.本番環境でシステムを安定稼働させたい場合
OpenAIのAPIは、APIサーバーはOpenAI社側で保持することになります。このとき、OpenAI社の仕様変更により、APIのレスポンス内容の変更が突然発生するリスクがあります。
一方でAzure OpenAI Serviceは、GPTサーバーをAzure内で独自に展開するため、このようなリスクがありません。つまり本番環境において安定稼働を求めるならば、Azure OpenAI Serviceを使ったほうがいいでしょう。
OpenAIのAPIを使ったほうがいい場合
OpenAIのAPIを使ったほうがいいケースは2つあります。
1.フィジビリないしはプロトタイプとして組み込みたい場合
Azure環境がなくとも、APIキーがあれば簡単にAPIを実行できます。APIの挙動を確認したい場合、アプリやシステムのプロトタイプとして開発する場合は、OpenAIのAPIを使ったほうがスピーディーに確認が可能と言えます。
2.Azure OpenAI Serviceにはない最新モデルを使いたい場合
2023年9月現在、Azure OpenAI ServiceにはWhisperなどの存在しないモデルがあります。これらを使用したい場合は、OpenAIのAPIを使うことが適しています。
特に最新のモデルについては、先にOpenAI社にてモデルが追加されて、あとからAzure OpenAI Serviceに公開されます。最新のAPIを使用したい場合は、OpenAIのAPIを使うほうがよいでしょう。
まとめ
Azure OpenAI Serivceを使ったほうがいい場合
- GPTに対して独自のプロンプトやコンプリーションを追加したい場合
- 入力した質問や回答内容を外部へ送信したくない場合
- WindowsやAzureの各種サービスと連携したい場合
- 本番環境でシステムを安定稼働させたい場合
OpenAI社のAPIを使った使ったほうがいい場合
- フィジビリないしはプロトタイプとして組み込みたい場合
- Azure OpenAI Serviceにはない最新モデルを使いたい場合
当記事が参考になれば幸いです。
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