ChatGPT=融通のきかない天才新卒?|正しい活用術を生成AI戦略顧問、梶谷氏が解説!

ChatGPT=融通のきかない天才新卒?|正しい活用術を生成AI戦略顧問、梶谷氏が解説!

Kakeru Yanagi

Kakeru Yanagi

こんにちは、インハウスマーケティング部のかけるです。

LIGは、AIを活用した企業のDX支援をおこなう「生成AIコンサルティング」事業のスタートに伴い、生成AI活用の専門家・起業家である梶谷 健人さんを戦略顧問としてお迎えしました! 梶谷さんの参画により、生成AI領域のソリューションやプロダクト開発を強化し、DX支援事業の更なる拡大を目指していきます。

先日、梶谷さんによる初の全社向け勉強会が開催されました! 「生成AI時代に10x人材になるためのガイド」と題して、生成AIのトレンドや活用のテクニック、生成AI時代に自らの能力を10倍に拡張する「10x人材」についてお話いただきました。

今回は、その勉強会の内容を一部抜粋してお伝えします! 「生成AIで世の中はどう変わる?」「どうしたら生成AIを使いこなせる?」など、AI活用を考えている方はぜひご覧ください。

ico 人物紹介:梶谷 健人 さん株式会社VASILYにて国内最大級のファッションSNS「iQON」のグロースや広告事業を担当し、「いちばんやさしいグロースハックの教本」を出版。フリーランスとして、日本、インド、アメリカそれぞれで現地の大手ブランドやスタートアップの新規プロダクト立ち上げとグロースハックを支援。2017年にXR/メタバース領域のスタートアップMESONを創業し、大手通信キャリア4社やアパレルブランドなどと共同でのサービス開発や、独自のXRフレームワークの開発などの事業を展開。現在は生成AI/XRなどの先端テクノロジーや、プロダクト戦略を軸にした経営アドバイザーとして様々な企業を支援している。Twitternote

今まさに、歴史的な転換点

まずはじめに今の生成AIの勢いをお伝えすると、ChatGPTがたった2ヶ月でMAU1億人を超え、TikTokやInstagramを圧倒して、Threadsに次ぐ高速成長したToCサービスとなりました。また、Microsoft創業者のビル・ゲイツ氏は「自分が生きている間に革命的だと感じた技術のデモはたった2回で、最初はGUIを見たとき。2回目はOpenAIの最新のGPTを見たとき」と語っています。

それくらい今起こっている生成AIの進化は、歴史的な転換点と捉えてもいいと思っています。

「AI is eating software」。成長・衰退の岐路に立っている

このような転換点のなかで、ソフトウェアサービスを提供してる会社は、これまでにないスピードかつ大きなインパクトのある形で、成長するか、もしくは衰退するかの岐路に立っています。

かつて「Software is eating the world(ソフトウェアが世界を飲み込む)」という有名な言葉があった通り、これまでソフトウェア企業がレガシー産業を塗り替えていく構造でした。しかし今は「AI is eating software(AIがソフトウェアを飲み込む)」と言われていて、ソフトウェア企業も、新しく生まれているAIサービスにリプレイスされている状況です。

昨年Googleが「このままだと検索広告ビジネスがChatGPTによって大きなダメージを受ける可能性がある」と緊急事態宣言を出したり、マッキンゼーが「従業員の業務時間の約7割は節約可能」というレポートを公開したりなど、ショッキングなニュースも印象的でした。

AIを使いこなす「10x人材」へ

ここまで生成AIによって起こるネガティブな側面をお伝えしました。ただ個人的には、生成AIの活用によって、自分の専門領域以外のスキルを拡張しながら、プロダクトや手法を駆使して生産性を10倍以上にする「10x人材」が生まれる、というポジティブな側面の方が強いと考えています。

今後、積極的にAIを活用できる人とあまりそこをキャッチアップできなかった人とでは、大きな差が生まれてしまいます。今から生成AIに触れて、個人の仕事の質を上げていったり、業務効率を改善したりすることが非常に重要なテーマです。

ChatGPTの正しい接し方とは

みなさんはChatGPTにどんな内容のプロンプトを入力していますか? たとえば、このような生成AIに関するセミナーの章立てを相談する場合、一般的には下記のようなプロンプトで依頼すると思います。

今度、生成AIを活用して生産性を向上させることをテーマにしたセミナーで登壇するんだけど、その内容を教えて。

このように依頼すると、下記のようなアウトプットが返ってきます。 

セミナーのタイトルや章立てが生成されましたが、このようなざっくりとした内容だと「ChatGPTってそこそこだな」という印象だけで終わると思います。世の中一般的にそのような印象で終わってしまう方が非常に多いです。

ではどうしたら良いかというと、ChatGPTを「めちゃくちゃ頭が良くて何でも知っているけれど、全く融通が効かない新卒1年目」という捉え方をすると、正しく接することができます。

部下に「いい感じに資料を作って」とざっくり指示をする上司と、「こういうゴールでこういうところに気をつけて作って」と細かく指示をする上司では、やはり後者の方が良いアウトプットが出てきますよね。

ChatGPTも全く一緒で「セミナーの概要」や「セミナーのターゲット」「アウトプットのフォーマット」など、ChatGPTの役割とセミナーの詳細を渡してあげることが重要です。そして新卒1年目のマネジメントと同じく、1回のアウトプットで100点になることはほぼ無いように、生成結果はブラッシュアップ(採点評価)させて、より良いアウトプットをChatGPTに考えてもらうと良いでしょう。

これらを踏まえ、下記に具体的なプロンプトのサンプルをご紹介します。

あなたは経験豊富なプレゼンテーションクリエイターです。

以下の#タイトルと#概要のイベントのプレゼンテーションの章立てと内容を考えてください。
その際に以下の#スピーカープロフィールと#想定ターゲットを参考にしてください。

そして、その生成したイベント章立てをもっと#想定ターゲットにとって面白い内容になるように5回改善を繰り返しながら自分でブラッシュアップしてください。

また、改善するたびに以下の#採点基準で自己評価で点数を教えてください(100点満点)。

#採点基準:”””
プラス評価
・想定ターゲットにとって面白い内容になっている
・スピーカーの得意領域を加味した内容になっている
・イベントの趣旨に合っている
マイナス評価
・表層的な内容に留まっている
・抽象的すぎる
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#イベントタイトル:”””
生成AI時代に10x人材になるためのガイド
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#イベント概要:”””
ChatGPTやStable Diffusionなどの生成AIが急速に発展し、社会全体が大きく変化しようとしている。わたしたちの仕事の仕方も当然革新されていく。
今回は、どうすれば生成AIによって自分自身のクリエイティブティや生産性を10倍にあぷうする10x人材になれるかについて、具体的なメソッドやサービスを紹介しながら解説していきます。
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#スピーカープロフィール:”””
株式会社VASILYにてグロースや広告事業を担当し、「いちばんやさしいグロースハックの教本」を出版。その後、日本、インド、アメリカで大手ブランドやスタートアップの新規事業立ち上げとサービスグロースを支援。
2017年にXR/メタバース領域のスタートアップMESONを創業。大手通信キャリア4社やアパレルブランドなどと共同でのサービス開発や、独自のXRフレームワークの開発などの事業を展開。現在は生成AI/XRなどの先端テクノロジーとプロダクト戦略を軸に複数企業の経営顧問を務める。WIRED、Forbes、日経クロストレンドでの連載や、画像生成AIを事業で活用するためのワークショップなど生成AI軸での活動も多く展開。
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#想定ターゲット:”””
・スタートアップ経営者
・スタートアップのプロジェクトマネージャー、プロダクトマネージャー
・スタートアップのマーケター
・スタートアップの営業職
・大企業の新規事業担当
・大企業のプロジェクトマネージャー
・大企業のマーケター
・大企業の営業職
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#Desired Format:”””
1.章のタイトル
 └小項目の見出し
 └小項目の見出し
 └小項目の見出し
2.章のタイトル
 └小項目の見出し
 └小項目の見出し
 └小項目の見出し
3.章のタイトル
 └小項目の見出し
 └小項目の見出し
 └小項目の見出し
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実際にこのプロンプトを使用した「初回」のアウトプットがこちらです。

ChatGPTは思いのほかストイックで、初回の自己評価は70点という結果となっています。評価理由では良い点や反省点を述べていて、ここから自発的にブラッシュアップをしてくれます。

そして、ブラッシュアップを繰り返した最終的な結果がこちらです。

最初のざっくりとした内容と比較すると、クオリティが格段に高くなっています。たたき台として十分に活用できるレベルになっていますね。

このように、ChatGPTひとつとっても奥が深く、AIの本来のポテンシャルを最大限引き出すためには正しい方法で使うことが必要です。

 
今回は、セミナー内容の考案を例にChatGPTの具体的なプロンプトのテクニックをご紹介しましたが、様々なジャンルの生成AIが誕生しているなかで、今後大幅に効率化できる業務領域は以下の6つに整理できます。

  1. リサーチ
  2. ライティング
  3. コミュニケーション
  4. アイデア企画
  5. サービス設計
  6. コーディング

本記事では割愛となりますが、当日の勉強会では、各業務領域で活用できる生成AIサービスのご紹介と、具体的なプロンプトのテクニックをお話しいたしました。

このような各業務領域での効率化にご興味のある企業様は、勉強会の実施も可能でございますので、こちらからお気軽にお問い合わせください。

「10x人材」になるための3つのポイント

これから新しい生成AIサービスがどんどん生まれていくなかで、生成AIのトレンドを積極的にキャッチアップしつつ、自分に合ったテクニックを編み出していけるようになるのがベストです。生成AIを使いこなす10x人材になるために、下記3つのポイントを意識しましょう。

  • 中身を読む
  • 好きを極める
  • クリエイティブディレクション力を磨く

中身を読む

1つ目は「表紙を読むだけじゃなくて中身を読む」です。

生成AI時代に10x人材になるための一番重要な考え方は「実際に生成AIサービスを触ってみること」です。そんなの当たり前じゃん、と思われてしまいそうですが、実際に触っている人は実はかなり少ないと感じています。

本屋を例にすると、日々流れてくる生成AIのニュースは、毎日発行される新刊みたいなものです。そのニュースの字面だけを読むのは、毎日本屋さんに足を運んで積んである本の表紙だけ見て、知識を得たような気分になるのと同じです。

実用的な知識を得るためには、その本を実際に手に取って中身を読む、場合によってはお金を払って家でじっくり読むという行為が必要なのと同じように、やはり生成AI領域もきちんと中身を読む(ツールを触る)ところが本質的に一番大事です。

昨今、生成AI関連のニュースが多いこともあり、それらを追うだけで満足感が生まれるような錯覚しやすい構造なので、意識的に気をつけていただければと思います。

好きを極める

2つ目の「好きを極める」は、結局のところ「オタク」が作るプロンプトは非常に強いです。

実際、私自身が作ってる建築やプロダクトデザイン、ファッションの生成画像は、カメラのISO値やネガフィルムの名前、建築様式など専門用語をいくつも組み合わせて作っています。

そういった自分の好きが強烈に存在していて、その領域の言語の引き出しが多い人は、良いプロンプトを書けます。自分の好きを極めることは、好きな領域の言語で理想のものをAIに伝えるための強力な武器として使えるようになります。生成AI時代で、好きを極めることは逆説的に重要です。

「クリエイティブディレクション力」を磨く

最後3つ目の「クリエイティブディレクション力」を磨くについても、これからの生成AI時代でとても大事な考え方です。

生成AIが今後進化していくなかで、やはり人間がやるべき領域は、なにか理想を思い描いたときに、その感性を言語化してAIに正しく伝えて実現させることです。これは現在のクリエイティブ領域で、ディレクターやデザイナーがやっている「クリエイティブディレクション」という行為と構造的に近しいです。

そして、クリエイティブディレクション力は、6つのスキルを合わせたものです。

理想を言語化する「感性の言語化力」、言語化したものを正しくAIに伝える「引き出しの多さ」、AIが生成したものを責任を持って選び取る「目利き力」。また、そもそも人々が熱狂するような理想を描く「理想力」、チームやAI同士を強調させる「オーケストレーション力」、自分の理想を他人に説得するための「ストーリーテリング力」も必要です。

これらが生成AI時代で重要な3つのポイントだと考えています。

AIを良き友にできる人の黄金時代が到来

これからの時代は、AIを良き友にできたホワイトカラー/クリエイターは強く、めちゃくちゃ楽しいと思います。

いままで「コーディングはできるけど、デザインできない」や「プランニングできるけどデザインできない」など、スキルの制約で諦めていた理想がたくさんあったと思います。これからはそういった制約は無くなり、個人のセンスの良さやAI対話力がアウトプットの質と量に直結するようになります。

表現したい理想があって、センスや教養を磨いてきた人にとってはまさに黄金時代です。この領域はとにかく動きが早く、毎日いろんな情報が流れてきます。自分のなかにある古い情報を捨てながらキャッチアップして、AIを良き友にしながら楽しく仕事をしていきましょう。

まとめ

いかがでしたか。

今回ご紹介させていただいた内容はほんの一部です。その他にも勉強会では今日から実践できる具体的なAI活用のテクニックのお話が盛りだくさんでした!

「生成AIコンサルティング」事業では、生成AIを活用した業務効率化にご興味のある企業様に、梶谷氏の勉強会を実施いたします! 勉強会をご希望の方は、以下フォームよりお問い合わせくださいませ。

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大学卒業後、IT系上場企業に新卒入社したのち、2021年にLIGにジョイン。メディアディレクターとして、おもしろ企画からCVを狙ったストレートな企画まで幅広く担当。現在は生成AIコンサルタントとして、生成AIの社内推進・生成AIコンサルティング事業を担当。

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