マーケ知識0のデザイナーが、3ヶ月でサイトのCVR改善ができるようになるまでにやったこと

マーケ知識0のデザイナーが、3ヶ月でサイトのCVR改善ができるようになるまでにやったこと

Mayuko Yamazaki

Mayuko Yamazaki

こんにちは。インハウスマーケティング部デザイナーのぱんちゃん(@panchaaan_2)です。

現在入社1年半で、2年目からは事業部のWebサイトのCVR(コンバージョン率)改善のため提案・実行を主に担当しています。サイト改修を任せてもらった当初はサイト改善の知識がゼロで、何もわからない状態でしたが、3ヶ月でCVRを0.58%→0.71%に改善することができました。

今回は、そんな私が3ヶ月でサイト改善提案ができるようになるまでにやったことをお伝えします。私がサイト改善で大事にしていることや、基本知識を学ぶための情報源についても細かくお届けするので、マーケティングに強いデザイナーになるための一歩を踏み出したい方の参考になれば幸いです!

サイト改善をやることになった当初の状態

私が2年目に入って任されたタスクは、Webクリエイティブスクール「デジタルハリウッドSTUDIO by LIG(通称:デジLIG)」のWebサイトのCVR改善です。コンバージョンが説明会申し込みのため、いかにより多くのサイトに訪れたユーザーに説明会申込をしてもらえるかが私のミッションになりました。

LIGに入社してから1年間は、基本的にマーケター・編集部・各部署から依頼されたデザイン業務を行うことがメインで、数値を改善するタスクは全くの未経験。マーケティングに関する知識もゼロ。上司から「ぱんちゃんのこの半期の目標はCVR改善ね!」と任せてもらえたはいいものの、「サイトのCVR改善って何をするの?」という状態でした。

どれくらい知識がなかったかというと、目標を伝えられたときに「CVR」の意味がわからなくて、こっそりPCでググったほどです(笑)。

ちなみに、その当時の私の状況をまとめると、こんな感じです。

当時の私の状況
  • 何をしたらCVRが改善されるのかがわからない
  • サイト改善で見るべき指標がわからない
  • インハウスチームにサイト改善を担当しているデザイナーはいない

ベースの知識を入れるためにやったこと

全く知識がなく、サイトの改善策を思いつかなかった私は、まずはとにかく知識をインプットしようと決めました。

ベースとなる知識を入れるために、以下の2点を行いました。

Web解析士の資格を取る

そもそも「マーケターが何の指標をみて、何をやっているのか」がさっぱりわからなかったので、「まずはWebマーケティングの全体像を知ろう」と思い、Web解析士の資格を取りました。

Web解析士とは、一般社団法人ウェブ解析士協会によって運用されている民間の資格のことです。資格を取ってもそのまま実務に活かせるとは限りませんが、基礎をある程度包括的に学ぶことができ、今後知識を得ていくための土台ができる資格だと思います。

勉強期間

私は1ヶ月半勉強を行い、資格を取得しました。一般社団法人ウェブ解析士協会のWebサイトによると、未経験者の学習期間の目安は2~4か月(学習時間:40~60時間)とのことなので、1ヶ月で勉強を行うのはかなり大変でしたが、短期間で集中して行なったからこそ、何とかWebマーケティングの基礎を頭に叩き込むことができたと思います。

勉強方法

公式テキストを読み全体像を理解し、本で出版されている公式問題集と、アプリの問題集(App StoreからダウンロードGoogle Playからダウンロード)を3周ほどして試験を受けました。

勉強してよかったこと

Web解析士の資格勉強をしてよかったことは、「マーケティング全体でWebサイトやバナーがどんな役割を担っていて、マーケターが何を見ているのか」がなんとなく理解できたことです。 また、マーケティング初学者にとっては耳にするだけで脳がシャットアウトしてしまいそうな「CVR」「CTR」「CTA」「UU」などの用語に耐性がついたことも、よかったことの一つです。

サイト改善を行ううえでWeb解析士の資格はマストではないですが、短時間である程度広く浅く知識を得る手段として、はじめにWeb解析士の勉強をしたことはよかったと思います。

また、サイト改善系の書籍や記事を読むにしても、そもそものサイト改善の考え方や専門用語が全くわからければ内容が頭に入ってきません。そういった意味でも基礎をなんとなく理解することは大事だと感じました。

書籍を読む

Web解析士の資格を取得してWebマーケティングの全体像が頭に入った状態で、次は書籍をいくつか読みました。

デジタルマーケティングの定石 なぜマーケターは「成果の出ない施策」を繰り返すのか?

サイト改善を担当することになった際にマーケターの上司に勧めてもらった本です。デジタルマーケティングには成果を出すために知っておくべき「定石」(施策パターン)があり、その定石を理解したうえで施策を考えよう、という趣旨の本です。

ちなみにイントロダクションに、

  • 求人情報を多数掲載している「求人検索型」の人材紹介ページ
  • 求人の掲載はなく人材紹介会社の特徴が書かれた「会員登録型」の人材紹介のページ

上記のどちらが登録率が高いのか、という問いがあるのですが、私は自信満々に答えを思い浮かべ、見事に間違えました(笑)。

リアルなユーザー行動とニーズを知っておかないと、「ユーザーのため」と思いつつも、最悪なWebサイトを作ってしまう可能性があるということを教えられた一冊です。

ランディングページ 成果を上げる100のメソッド

LP改善をするうえで考えるべきことが網羅されている、教科書のような本です。

事前準備・制作のポイントから、LPの分析方法、LPの改善方法、A/Bテストの方法、コーディングでの実装・最適化のポイントまで、膨大な情報が詰まっています。各メソッドは1~4ページのボリュームで紹介されており、具体的なツールの使い方や考え方までしっかりと解説されています。

アクセス解析ツールやヒートマップなどをまったく触ったことがない方には難しく感じる部分もあるかもしれませんが、今まさに実務でサイト改善を行なっている方にとっては救世主的な存在になるかと思います。

ネット広告クリエイティブ“打ち手”大全 広告運用者が知るべきバナー&LP制作 最強の戦略 77

   

デザイン初学者の方にとって、今回紹介する書籍の中でもっともやすく、内容も非常に分かりやすい本です。CVR改善のためには広告と切り口を揃える必要があるのですが、この本では広告の効果的な切り口とLPの考え方がわかりやすく書かれており、バナーとLPの両方について解説されているので、初学者にとってありがたいと感じました。

また、紹介されている打ち手はすぐに業務に取り入れられるものも多く、非常に実用的な本です。LP改善だけでなくバナー制作に携わる方にはおすすめの一冊です。

コンバージョンを上げるWebデザイン改善集

さまざまな会社がコンバージョン改善のために行なっていた施策と結果がBefore/Afterの形式で具体的に紹介されている本です。事例集なので、使えそうな事例をピックアップし実務に活かすという形で使っています。

また、紹介されている事例には改善案が役立つ条件や、施策難易度、デバイス、CVポイント、BtoBかBtoCかなどがそれぞれ書かれており、「自分が担当しているサイトに取り入れられるのか?」を判断しやすいところも、この本のおすすめポイントです。

ユーザーインタビューのやさしい教科書

ユーザーインタビューを行う際に参考にした書籍です。「やさしい」とあるように、インタビューの計画から、準備、実施、考察までが丁寧に解説されています。特にインタビューに参加する「ユーザー」に接するうえでの姿勢や、言葉の選び方について学びが大きかったです。

この本を読んだのは数回ユーザーインタビューを実施してからだったのですが、「ここまで言葉の選び方に意識をしなければいけないのか」と衝撃を受け、自分の「とりあえずやってみる」で行なったインタビューのコミュニケーションの取り方に対して大反省をしました。

実際の会話例や、ゆるっとしたイラストがたくさん登場するので、挫折することなく読み進めることができます。ユーザーインタビューに興味のある方にはおすすめの一冊です。

改善案を出すために業務で取り組んだこと

次に、サイト改善案を出すために業務で取り組んだことをお伝えします。

アクセス解析ツールとヒートマップを使ってみる

数値を見て分析ができるように、アクセス解析ツールヒートマップツールを使い始めました。

ツールの使い方は書籍やWeb解析士の勉強時にざっくりとインプットし、数値の出し方がわからない部分は都度マーケターの上司に聞いたり調べながら使っています。

また、施策に効果があったのかを検証するうえでも、この二つのツールを活用しています。とはいえ、数字の分析はまだまだなので現在も勉強中です。

アクセス解析ツール

Googleアナリティクスをはじめとするアクセス解析ツールは、ウェブサイトにアクセスするユーザーの数やアクセス方法、コンバージョン数やコンバージョン率などの様々なデータを収集し、分析するためのツールです。「どのページでコンバージョンが発生しているか」「どのページで離脱が多いのか」などを把握し、改善点を見つけることができます。

ヒートマップツール

ヒートマップツールは、ウェブサイト上でユーザーがどのように動いているかを視覚的に把握することができるツールです。「ページごとにユーザーがどの部分をクリックしているか」「どこまでスクロールしたか」などが色で表現されるので直感的に理解しやすく、コンテンツの改修やユーザビリティの改善に役立ちます。

ユーザーインタビュー・ユーザビリティテストを行う

デジLIGの在学生・卒業生の方にアンケートを行い、その中で4名の方にユーザーインタビューユーザビリティテストを実施しました。

ユーザーインタビューを行なった理由は生の声を聞きターゲットの理解を深めること、ユーザビリティテストを行なった理由はユーザーが実際にどのような行動をしているかを知り、Webサイトの使いづらい点を見つけ出すことです。

初めてのユーザーインタビュー・ユーザビリティテストだったので、先ほど紹介した『ユーザーインタビューのやさしい教科書』を参考に準備を行いました。

「一旦やってみよう!」の精神で実施したので、インタビューとテストの進め方に課題は残っています。しかし実際にやってみることで、ユーザーの声を聞くことがいかにサイト改善で重要かを知ることができました。

ユーザーは、マーケターが思い描いていた行動とは異なる行動をしていることを知れたり、ユーザーの離脱につながるであろうサイトの問題点が複数見つかったりと、収非常に収穫の大きい取り組みでした。

サイト改善で大事にしていること

最後に私が今サイト改善を行う上で大切にしていることを紹介します。

インパクトのある施策を優先する

サイト改善はマーケター・現場と優先順位をすり合わせながら進めているのですが、その際にインパクトのある施策を優先することを共通認識として置いています。特に、メインビジュアル、CTA、フォームの改善はコンバージョンに影響するので優先順位が高いです。できるだけ多くの人の「負」を解消するもの、多くの人の行動に直結するものの改善を、優先順位高く取り組むことを心がけています。

CVRだけではなく流入数も見て判断をする

サイトのコンバージョン数を増やすためには、CVRに加えてページへの流入数も意識しなければなりません。

例えば、サイトのCVRが上がったとしても、そもそもそのサイトに訪れる人の数が少なければ、結果的にインパクトの小さい改善になってしまうでしょう。LIGでは複数の事業を行なっていることもあり、サイト改善に使えるデザイナーのリソースも限られているので、ページ流入数も踏まえて改善タスクの優先順位づけの判断をするようにしています。

仮説を持って取り組む

課題を解決するためにただ数字を見るのではなく、仮説を持って改善策を考えるようにしています。

例えば、フォームの通過率が下がってしまっているのであれば、何かしら原因があるはずです。その仮説を持ったうえで数字を見に行ったり、サイト改修の案を考えることを大切にしています。

完璧を目指すことをやめる

これまでは「世に出す前に完璧にしてから出したい」「気になる部分があったら全部改善したい」と思っていましたが、その考えを(ある程度)捨てることにしました。

もちろん、デザイナーとして細部にこだわることはものすごく大切です。ただ、Webサイトは公開して終わりではないですし、特にインハウスデザイナーは「デザイナー的に」という視点よりも「その工数をかけて成果が出るか」を一番の優先事項として考えるべきだと思います。

そのため、ときには「小さな部分の改修は後回しにする」という選択をしながら仕事を進めるように心がけています。

まとめ

今回はマーケティングの知識がゼロだった私が、サイトのCVR改善提案ができるようになるために取り組んだことをご紹介しました。マーケに強いデザイナーになるための第一歩を踏み出したい方の参考になれば幸いです!

色々やってみた3ヶ月を振り返ると、これは押さえておくべきというポイントを理解したら「とりあえずやってみる!」のスタンスが大事だったと思っています。私もまだまだ初心者なので、引き続きトライ&エラーを繰り返していきたいと思います。

以上、ぱんちゃんでした! また次の記事でお会いしましょう〜!

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Mayuko Yamazaki
Mayuko Yamazaki In-house Marketing / Designer / 山崎 真由子

1996年静岡県生まれ。国際基督教大学を卒業後、フィットネスジム本部に新卒入社。その後食品製造販売の会社に転職し、広報業務を行う中でデザインに興味を持ち始めデジタルハリウッドSTUDIO by LIGに入学。現在はLIGのインハウスデザイナーとして事業推進に関わるクリエイティブ制作を担当している。

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