セルフM&AとM&A仲介、どっちがいい?経験者とウィルゲートM&Aに聞いてみた

セルフM&AとM&A仲介、どっちがいい?経験者とウィルゲートM&Aに聞いてみた

伊藤あきら

伊藤あきら

こんにちは、ライター兼アンティークの輸出会社を経営している伊藤です。

以前、私の会社に「事業売却やM&Aに興味はおありですか?」と電話がかかってきたことがあり丁寧にお断りしたのですが、電話を切った後、ふと「うちの会社を売るとしたら、どうやって売ったら良いんだろう?」そんな疑問が頭に浮かびました。

もし自分で売るとしたら同業者に声をかけるんでしょうが、人脈やノウハウがないと難しい。だとしたら事業売却に詳しい仲介会社を入れて、買い手を紹介してもらうべきなのか……。実際のところどっちがいいんだろう?

そんな疑問を払拭すべく、今回は自分でM&A(セルフM&A)をした経験のある海山さんと漆畑さん、ベンチャー/IT特化のM&A仲介「ウィルゲートM&A」を運営している株式会社ウィルゲートの吉岡さんに集まっていただき「セルフM&AとM&A仲介、どっちがいいの?」というテーマで話を聞いてみました。

ico 株式会社ウィルゲート
専務取締役COO/共同創業者 
吉岡諒
1986年岡山県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。代表取締役小島氏と共に、2006年に株式会社ウィルゲートを設立。個人として累計で3,000社のWebマーケティングの課題解決提案を実施。2018年にはSEOのAIツール「TACT SEO」、2019年にはオンラインで編集チームが作れる「エディトル」をリリース。同年、M&A仲介支援サービス「ウィルゲートM&A」をリリースし、3年で47件の成約を獲得。2021年にはSNSを活用した営業支援「ソーシャルセリング」を開始。COOとして全サービスの管掌役員を務める。
ico 株式会社Wiz CSO
株式会社HIT CEO
海山 龍明
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社での勤務を経て、2015年に株式会社HITを設立。自社が手掛けた飲食情報メディア「めしレポ」や、サイト売買プラットフォーム事業の売却を行う。2021年に株式会社Wizの執行役員と、Wiz子会社の株式会社フォーカスチャネル代表に就任。フォーカスチャネル社を11ヶ月後に売却し、現在はWiz社CSOとして活躍している。
ico 元 株式会社CARTA HOLDINGS 執行役員事業本部長
株式会社OKPR 代表取締役CEO
漆畑 慶将
中学生の頃にHP制作などで個人事業主として起業。高校生のときには月間4,000万PVのサイトを作り上げるも、ドメイン消失などの事件が発生し挫折。その後は在京放送局、株式会社美人時計(現・BIJIN&Co.株式会社)、株式会社三菱UFJ銀行への出向などを経て、2016年に株式会社OKPRを設立。2020年、M&AによりVOYAGE GROUP(現・株式会社CARTA HOLDINGS)にジョインする。



この記事は「ウィルゲートM&A」の提供でお送りします

海山さん、漆畑さんのM&Aの経緯は?

伊藤:今日はお集まりいただきありがとうございます。さっそくですが、まずは海山さんと漆畑さんが行ったM&Aの経緯についてお聞かせください。

海山:私はこれまでM&Aを3度経験しています。最初は2019年に飲食情報メディアの「めしレポ」を株式会社イードに、2020年にサイト売買プラットフォーム「UREBA」を株式会社フォーイットに売却しました。これらの経験から株式会社Wizにお声がけいただき、Wizの子会社でマンションサイネージ事業を展開する株式会社フォーカスチャネルの代表に就任。2021年にフォーカスチャネルをニューラルポケット株式会社に売却しています。

吉岡:3年連続で上場企業に売却ってすごいですよね。

伊藤:それぞれの事業・会社をM&Aした理由も教えてください。

海山:「めしレポ」はもともと先行投資がかさんでいたこともあり、手堅くキャッシュインしたかったというのが大きな理由です。「UREBA」はもちろんキャッシュインもありますが、2年連続で上場企業に事業売却できれば自身のブランディングになるだろうという目的もありました。また、当時は業界に強力なプレイヤーがどんどん参入してきていたので、売るなら良いタイミングかなと。3社目のフォーカスチャネルに関しては、Wizに入る際に売ることがミッションとして課されていましたね。

伊藤:漆畑さんはいかがでしょう?

漆畑:私の会社はPR会社で、創業が2016年。当時のPR業界というのは2020年の東京オリンピックが近いこともあり非常に盛り上がっていたんです。私たちも創業当初からオリンピックに向けて仕事をガンガンとっていこうという感じで動いていたんですけれども、2019年の夏頃にこれだとちょっと難しいぞ、となりまして。

伊藤:難しいというと?

漆畑:人的なリソースや組織体制に課題が出てきたんですよね。それで自前で事業をまわしていくよりも外部資本を入れ、会社を大きくしたほうがよいのではないかということで、最初は資金調達を考えていたんです。ただ、これが思った以上に時間がかかることがわかってしまい……。

吉岡:具体的にはどのくらいなんですか?

漆畑:大体4〜6ヶ月ですね。調達を検討していたのが2019年ですから、これだとオリンピックに間に合わない。どうしようということで別の手法を探す必要があるなと。そんなときにタイミング良くVOYAGE GROUPと話をさせていただくことになり、そこからM&Aに切り替わっていったというのが流れです。

M&A仲介会社を入れなかった理由は?

伊藤:お二人は仲介会社を入れずにご自身でM&Aを行ったんですよね。

漆畑:「どんな会社があるかチェックはしていましたが……」という感じです。当時はM&Aのコンサル会社や仲介会社ってコストが高そうという印象を持っていたんです。報酬面などよくわからないことも多かったので、ライトに依頼するには遠い存在でした。

伊藤:ご自身でM&Aを進めることに不安はなかったですか?

漆畑:もう不安しかないですよ(笑)。M&Aは初めてで、全くわからないですから。今は違いますが、当時はM&AというとTHE・敵対的買収みたいなイメージが私の中にありまして。ビジネス交流会みたいな場で「M&Aやってます!」と言ってる人を見ると、保険の営業マンよりもっとタフで強い人みたいな印象で、戦ったら負けそうだなと思ってました。

一同:(笑)

海山:私は3回売却しましたが、どれも入れてないですね。「めしレポ」に関しては、サイト売買プラットフォームの「UREBA」を始めた時期に買い手企業探しをしていたんですけれども、その際に先方から「実は御社の事業に興味があるんだよね」と言われ、話を進めていったんです。「めしレポ」はGoogleのアルゴリズムで収益が大きく左右されるため、早く手離れさせなければというプレッシャーはありました。

吉岡:話を進めているうちに売上が落ちたらどうしようみたいなことですか?

海山:そうですね。DD(※)の間とか、契約書を巻くまでの期間はどんなに短くても2ヶ月はかかるので。最終合意するまで精神的にしんどいなという感じでしたね。
※DD……デューデリジェンスの略称。売り手側の事業・会社の財務、法務などの実態を調査し、リスクチェックを行うこと。

伊藤:お二人は自分で相手を見つけてM&Aをやり切っていますが、一般的に仲介会社を入れないケースは多いんですか?

吉岡:お二人のようにオーナーが自分の人脈で買い手を見つけて、仲介を入れずに進めるケースも結構あります。その意味で、M&A仲介会社の最大の競合って実はオーナー自身なんですよね。

とはいえ自分でM&Aを進めるなら、事前に情報収集を行って温度感の高い人に当たることが重要でして。もともと自分とつながりがある人に「会社を売りたい」と話すと、相手も「◯◯さんが頼ってくれたなら話を聞いてあげないと」と、買収意欲が高くなくても話を聞く場ができがちなんです。でも、そもそも買う気がなければお互い時間の無駄になってしまいますよね。M&Aの成約に必要な行動量として30社の候補と話をしないといけないのでかなり手間がかかります。

海山:わかります、それ……(苦笑)。

吉岡:仲介会社が入ると、第三者が話を持っていくので、興味がなければ即答で断ってもらえるんですよ。売り手も買い手も、社長の時間が大きく奪われるという機会損失は会社として影響が大きいので、最小限にしたいですよね。

伊藤:なるほど。仲介会社を入れると社長の工数を抑えることで機会損失のリスクを減らせるという利点もあるんですね。

セルフM&Aはぶっちゃけ大変? 手間と費用を天秤にかける

伊藤:実際に自分でM&Aするのは準備など大変だったのでは?

海山:はい。仲介手数料などのコスト面は抑えられましたが、代わりに自分の時間がかなり取られてしまいました。とにかく手間が多いというか、細かな事項への対応が大変で……。

漆畑:私も契約書などを紙ベースで保管していたのですが、過去の契約書をPDFで全部出してくれって言われてしまいまして。M&Aについて他のメンバーには伝えていなかったので、夜な夜な一人で膨大な数の契約書をスキャンしていました。

吉岡:当社でも「M&Aの準備から成約までのプロセスで、どの部分に時間がかかったか」をアンケートで取ったことがありますが、仲介を入れない場合はこれらの作業全てを一人で対応しなければいけません。コストの代わりに、社長の時間を犠牲にするしかないんですよね。社長の時間はプライスレスだから、どっちを取るかみたいなところはあります。

漆畑:通常の業務と並行してM&Aの煩雑な手続きも代表自身が対応しなければならない。セルフM&Aだとその間の事業成長はどうしても鈍化してしまうという点は悩ましかったです。

海山:会計資料とかもそうですよね。決算業務の請負がメインの税理士さんだと、M&A用の資料は作れない場合もあるので自分で作るしかないんです。仲介会社を入れれば必要な資料のフォーマットなどもいただけるので、そうしたサポートをしてもらえるのは良いなと感じます。

伊藤:やはりこうした手間は仲介を入れると少なくなるんですかね?

吉岡:基本的に仲介は社長の負荷軽減をサポートする仕事なので、だいぶ変わってくるかと思います。弊社の「ウィルゲートM&A」の場合、事業計画を作るところまで手伝わせていただくこともありますよ。

伊藤:おお、それなら負荷をかなり抑えられそうですね。

「ウィルゲートM&A」に相談してみる

セルフM&Aした経験者が見る、M&A仲介会社選びのポイント

伊藤:もし今お二人がM&A仲介会社を選ぶなら、どのような点をチェックしますか?

海山その業界での実績が豊富にあるかどうかは必ずチェックします。「手広くやってます」という仲介会社だと、担当によって得意な業界があるんです。自分の業界に詳しくない担当が付いてしまった場合、うまく買い手を探して来れないというケースが考えられます。

伊藤:担当の当たり外れがでてしまうということですか。

海山:そうですね。各業界ごとに交渉する上で注意すべきポイントがあって、業界に知見がある人でないと、そこがわからないこともありますから。

漆畑:私も全く同じです。例えばサイバーエージェントさんとMIXIさんとDeNAさんがいらっしゃるのに、それぞれの特性や違いを理解せずに「全部同じIT業界です」というくくりで話をされても困りますよね。そこの差分をわかっていないと適切に話を進められないですから。あとは実績や会社としてのバックボーンがちゃんとしているかというのは気にしますね。

伊藤:業界に強いっていうのはお二人共通のポイントのようですが、吉岡さんのご意見はいかがですか?

吉岡:私も同じです。仲介側としては、一番初めにその事業に興味がありそうな会社やシナジーがありそうな会社をリストアップするんですけれども、業界に特化している仲介会社じゃないと、買い手と売り手の事業シナジーがあるかを精査できないと思うんです。最終合意まで持っていくためには、シナジーが見込める濃いリストを30社は用意しないといけないので。

伊藤:30社ですか……!

海山:M&Aの場合、基本合意のあとでも「やっぱり売るのやめよう」あるいは「買うのやめた」となるケースもありますしね。

吉岡:そうですね。だからこそ最初の段階で一定数の濃いリストを持っていなければ、最終契約まで進めること自体がかなり難しくなると思います。例えば弊社の場合、30社に声をかけると13社くらいから興味があると連絡がきます。そこから話を進めて実際に会って話をしたいとなるのが大体6社、この6社の中から1〜3社がオファーしてくれて、そこから1社を選んで基本合意。そして最終的に契約というのがおおまかな流れです。

伊藤:30社からそうやって絞られていくんですね。

吉岡:売り手、買い手とシナジーがある会社を少なくとも30社以上リストアップするわけですから、業界に深い人脈を持っていないと厳しいです。だから「ウィルゲートM&A」は、元々弊社が行っているSEO事業の7200社の顧客基盤を活かして、ベンチャー/IT業界特化型で仲介しています。介護や製造業など弊社の得意領域でない顧客には、他の仲介会社を紹介することもありますよ。

当時の自分たちに言いたいことは「もっと情報を集めるべき」

伊藤:もし今のお二人が当時の自分にアドバイスするなら、どのようなことを伝えますか?

漆畑「情報をしっかり集めろ」と言いたいです。M&Aに関する情報ももちろんですが、相手先の情報も大事です。あとはネットの情報だけではなく生の声をもっと聞いておくというのも重要かなと。

伊藤:生の声ですか。

漆畑:実際にM&Aをしたことがある人から色々と話を聞けるなら、ぜひ聞くべきかと。M&Aはセンシティブな話なので、どこまで話せるか線引きが難しいんです。売却に関して困ったときに、会社の細かな部分まで相談できる相手がいるのといないのとでは全然違ってくるんですよね。誰にも相談できないと全部自分で抱え込んでしまうので。

伊藤:海山さんはいかがですか?

海山:あらためて振り返ってみると、自分のつながりだけでなく、もっと他の買い手候補を当たって話を聞けていたらと思うことはあります。結果的にどの買い手企業もすごく良い会社だったので、後悔は全くないんですけれども、他の会社を見る余裕は持ってもよかったかなと。そうすればまた違った選択肢もあったかもしれません。そういう点も含めて業界に知見のある専門の方に詳しく話を聞きたかったですね。

吉岡:海山さんの言う通り、M&Aの場合、本気で買いたいという会社が2社以上あれば条件は上がっていきますからね。広く会社を当たっていくことで、いい意味で悩ましい状態になることも多いんですよ。弊社が支援した案件でも複数社からの熱烈なオファーの結果、億単位で売却価格がアップしたことがありました。

伊藤:たしかに、そうなると売り手にとっては嬉しいですね。

吉岡最終局面で複数の選択肢があると、金額以外の部分でじっくり検討できます。例えば事業としてのシナジーや、この経営者と一緒に働きたいとか。原点回帰じゃないですけれども、そもそもの売却の目的や今後のことをあらためて考え直し、広い視野で選べるというのは大きいのかなと思います。1社だけだと「そこに売る」以外の選択肢がないので。

漆畑:なるほど……。

吉岡:セルフM&Aはお互いの条件をクリアさえしていれば、そのまま合意できます。それで大きな問題はないんですけれども、金額や諸条件以外の面で、もう一歩先のワンチョイスができないんです。

伊藤:たしかにそうですね。

吉岡:冒頭でM&A仲介会社のライバルはオーナー自身と言いましたが、オーナーが自分の人脈の中で選択肢を準備できる場合は、仲介を使う必然性はないと思います。ただ、最終合意前に選択肢をもう少しだけ広げて考えてみたいという場合は、仲介会社を入れるのも一つの手段ですよね。「ウィルゲートM&A」の場合は完全成功報酬型で着手金なし、相談も無料ですので、自分でM&Aをする方でも選択肢を広げたいと考えている場合はお声がけいただけると嬉しいです。

伊藤:いい具合にPRいただきましたね(笑)。せっかくなので海山さん、漆畑さんも現在行っている事業についてご紹介いただけますか?

海山:Wizでは起業・独立を目指している方を支援する「仕事付き起業支援プロジェクト」を行っています。Wizの持つ商材力、営業力、経営ノウハウ、コネクションなどのリソースを活用し、固定給または業務委託という形で成功確率の高い起業・独立を後押しします。チャレンジしたい事業がある方や、興味のある方はぜひチェックしてみてください。

漆畑:私たちは広報を自前で置けない企業から上場に向けて動いている企業まで、PRやデジタルコミュニケーションを支援する事業を展開しています。PRとの相乗効果で一気に売り上げを伸ばしたり、将来的に広報やPRを内製化するための自立支援のためのサポートなど幅広くお手伝いさせていただきます。ご希望の方はぜひお声がけください。

まとめ:セルフM&AもM&A仲介サービス利用も、最終的な選択肢を広げることが重要

みなさんのお話を聞いて、セルフM&AとM&A仲介会社はそれぞれ一長一短あることが分かりました。セルフM&Aは仲介会社を利用するのに比べて、圧倒的にコストを抑えられるのが最大のメリット。一方で、細かな作業や候補会社との面談を代表自身が行う必要があり時間が大幅に奪われるというデメリットもありました。

また、バリュエーションの最大化を実現するためには選択肢を多く持つことが重要です。自身で動く時間は抑えつつ、幅広い買い手候補にアプローチしたい……そんな経営者にとって、完全成功報酬型の「ウィルゲートM&A」は強い味方になってくれるでしょう。

【ウィルゲートM&Aの特徴】
  • ベンチャー/IT領域に特化し、候補企業を徹底的に洗い出すことで納得感あるマッチングを実現
  • WebメディアやSaaS事業の成約実績が豊富(マーケティング支援やWeb制作やシステム開発・ECなどの実績も多数)
  • 着手金なし、中間手数料なしの完全成果報酬のため、無料で相談できる
  • 最低手数料は200万円。株式譲渡に加えて事業譲渡も相談可
  • 平均3〜4ヶ月で成約するスピードの早さ

ベンチャー/IT領域の株式・事業売却を検討している方は、ぜひ「ウィルゲートM&A」にご相談してみてはいかがでしょうか?

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